No.687 努力

2023.12.25 Monday 09:00

このところ、事業再生を目的とした『デューデリジェンス』の依頼が増えてきました。

デューデリジェンス(Due Diligence)とは、「正当な/当然の」を意味する「due」と、「努力/勤勉/精励」などを表す「diligence」の組み合わせですが、実際には、M&Aにおいて、買収対象企業の経営環境や事業内容、法務や財務・税務、さらには人事関係の状況など、買収対象企業の正確な経営状況を把握するために行われる調査・監査を指すことが多く、通常「DD」と表現されます。

DDは、事業再生が必要となった企業の現状把握にも行われます。私どもへの依頼が増えているのは、まさにこの事業再生を目的としたDDです。またDDは、事業・財務・人事・法務など、経営に関わるあらゆるテーマを対象としますが、当社に依頼されるのは、特に財務面のDDです。

この内容は、再生に向けた最も重要なテーマと言っても過言ではありません。もし仮に間違いがあったら、助かるものも助からなくなる、ないしは、利害関係者に多大なる損害を与えることになる、とても重要な業務です。その意味では“正当な努力”が求められると言えるでしょう。

私自身、バブル崩壊後とリーマンショック後に何件か手掛けていたこともあって、少しだけお手伝いをしています。

やっていて思うのは、「人間は本当に学ばないんだなぁ」ということ。「歴史は繰り返す」と言いますが、バブル崩壊後、30年程度しか経っていないのに、なぜ同じ過ちを繰り返すのか、少々悲しく、また腹立たしく思いながら電卓を叩いています。

みなさんの会社は大丈夫ですか?「損益計算書」偏重=「貸借対照表」軽視になってはいませんか?そして、自社の状況を正しく把握できていますか?

□財務分析(特に安全性分析)は行っていますか?

□売上高がゼロになったとき、何カ月生き残ることができるか、わかっていますか?

□非常時貸借対照表は作成していますか?

□「担保設定状況」は把握していますか?

□またそれらの内容は、好ましいものになっていますか?

これを機会に、ぜひ自社の状況を明らかにしてください。自力では把握ができない、ないしは相談できる先がないのであれば、気軽にお声がけください。

「もうどうにもなりません」という状況に陥ってからでは助けようがありません。「転ばぬ先の杖」と言います。常に自社の状況を正確に把握する“正当な努力”をし続けていっていただきたいと思います。