「千年」バックナンバー No.501~600

目次

No.501 トキ

1000nen

2020/02/25 09:00:00

このところ、新型コロナウイルスの影響により、イベントや会合などの中止が増えてきました。それ以外にも経済活動における具体的な弊害も出てきているようです。みなさんの会社でも「動きたくても動けない」状況になってはいませんか?

このようなときは、「動けない」ことに嘆いていないで、「考える」ことにシフトすることが大切です。

“トキ”には、大きく分けて3つあると思います。「身体を使う」トキ、「頭を使う」トキ、「お金を使う」トキです。

少し話が逸れますが、この中で一番難しいのが「お金を使う」トキです。お金は、ベストなタイミングで使えば大きな成果を生み出すことができますが、使うトキを間違えれば、そのまま破綻の道を転がり落ちる可能性があります。

また、体と頭は、たとえ望む結果が出なくても、使っただけ鍛えられるものです。ところがお金は、使うトキと対象を間違えればただただ枯渇していくのみです。その点においてお金の使い方は本当に難しいものなのです。

閑話休題。

現状は、先の3つのうち、身体とお金を使うことが難しい“トキ”といえます。このようなトキは、思い切って「頭を使う」ことに注力することをおすすめします。要するに、これまで放置してきた課題に真正面から向き合い、きちんと検討する時間を設けるのです。

「大切だとは思いながらも、目先の儲けや些事に追われて検討することから逃げていた」ようなことはありませんか?

かくいう私も、重要度は高いけれども緊急度が低いことをいいことに後回しをし続けてきた課題があります。それを今抽出して、一つひとつ着手し始めています。「やることが他になくて逃げられなくなっている」といった方が正しいのかもしれませんが・・・。

ただ、こんな時間は滅多にありませんから、非常に有意義に使わせてもらっています。多分あと1~2か月で終息するでしょうから、今のうちにやれるだけやっておきたいと思います。

「閑話休題ってどんな意味だろう?」と思いながらも、結局調べずに済ませてきた方、ぜひ今のうちにすっきりさせてくださいね。

今回のような状況に限らず、常日頃から、身体・頭・お金のうち、何を使うのが最適なトキなのかを考えて行動していきたいものです。


No.502 承継

1000nen

2020/03/02 09:00:00

先月の日本経済新聞の「私の履歴書」は、陶芸家で十五代樂吉左衛門こと樂直入氏でした。私は、基本的に経営者のものしか読まないのですが、“十五代”という歴史と、昨年長男さんに代を譲られたタイミングとのことから関心をもって読み始めました。十四代続いてきた家を継ぐ重みが端々に感じられ、最後まで有意義に拝読することができました。

中でも十四代の御尊父との対峙はなかなかのもの。譲る者が、「そんな線が細いことでは、この家は継げん」と吐き捨てるように言えば、継ぐ者は継ぐ者で、「父こそ運命の元凶のように思え、ほとんど口をきかなく」なり、「最も嫌なこと、それは父に似た、同じような茶碗を作ること」で、「私の中の父を殺す。心の底にそんな思いが」あり、「父にあれこれ指導されるのまっぴらごめん」だったのだとか・・・。なかなか壮絶な関係ですね。

しかし、その御尊父が亡くなったときには、「450年続く歴史を背負ってきた一人の男、同志として私は十四代の死を思った」と言いますから、心は繋がっておられた。このあたりが、譲る者と継ぐ者の関係を端的に表しているように感じます。

そのようにして継いだ十五代が昨年、ご長男に家を譲られた。そのときの話もまた、事業承継の本質を突くものでした。

「昨年、長男に代を譲った。彼にも激しい葛藤の時期があった。その末に彼は十六代を継いだ。私は同じ立場を歩んだ故に、過剰な心配ばかりをしていた。その私を妻はこう言ってなだめた。「あなたも昔はお父さんに口もきかず、反抗を重ねさんざん心配をかけたでしょう。でもちゃんと家を継ぎ、ここに立っているわ。大丈夫ですよ」と。」

いやはや、時代は本当に繰り返すものですね。

そのほかにもご紹介したいエピソードはいくつかありましたが、紙面の関係もありますので、ここではひとつだけ。

「昔から樂家では、曽孫・玄孫のために粘土を残すことが当主の務めになっている」のだそうです。「良質な土は容易に見つからず、調達してもすぐに使えるものではない」からなのだとか。現に「私が主に使うのは曽祖父、十二代が集めた京都・深草の大亀谷の土。もう樂家の土小屋で100年ほど寝ている」ものだとか。

ご自身も「奈良時代から薬師寺の土や、桃山時代以来の聚楽第の土と巡り合え」たそうです、そのことに対して、「これで自分の責任を少し果たせた。「十五代は己にかまけて子孫のことを考えなかった」との曽孫からの誹りを免れる」とおっしゃっています。これもまた奥深いお話しです。

「曽孫や玄孫のために何を残すか」事業承継においても、とても重要なテーマであると思います。一度考えてみてはいかがでしょうか。


No.503 時間

1000nen

2020/03/09 09:00:00

皆さんの会社では、新型コロナウイルスの影響は如何でしょうか?

かくいう私は、2月後半からの講演がことごとく中止ないしは延期となり、時間不足を言い訳にして後回しにしてきた諸々の業務に、強制的に向かい合わされています。

おかげさまで、重要性はそこそこ高いにも関わらず緊急性の低さから放置してきてしまったことが一つひとつ日の目を見ることになり、結構いい時間を過ごさせていただいています。

みなさんも、そのような視点で業務の棚卸をしてみてはいかがでしょうか?

もう一つ、私にとってよいことがありました。それは、これまで知らなかった事実を知ることができたことです。

このような問題が起きますと、ついつい自分ないしは自社のことばかりに意識がいってしまいますが、状況は他人ないしは他社も同じこと。ともすると、自分ないしは自社よりも厳しい状況に置かれているかもしれません。

実際に、たまたま連絡をいただいたある社長から、売上高が90%ダウンしたという話をお聴きしました。これはもう死活問題です。「多少の貯えがありますから、半年くらいは何とかなると思います」とのことでしたが、そのような会社があることを知って、講演がなくなったことくらいでグチグチ言っていた自分が恥ずかしくなりました。

一方で、その会社がどんな仕事をしていらっしゃるか、実はあまり知りませんでしたが、これを機に、じっくりお聴きすることができました。おかげさまで、このことも放置してきたことのひとつであると気付かされました。

そして、その後にお会いすることができた方には、付き合いの長短に関わらず、会社のことをできるだけお聴きするように意識しています。これまで放置してきたことに向き合うことができてよかったと思います。

世の中には、厳しい状況に置かれている会社も数多くあるでしょう。そのような会社があることに思いを馳せ、自分に何かできることはないかと考えると共に、これまでやり残してきた業務の棚卸を行い、天が与えてくれたこの時間を、今まで以上に有効に使っていきたい、そう思う今日この頃です。


No.504 歴史

1000nen

2020/03/16 09:00:00

新型コロナウイルスの影響で、開催されるはずだった研修やセミナー、または参加予定の会合が日々刻々と中止になっていくおかげでできた有り余る時間を有効に使おうと、社内でいろいろな企画が持ち上がっています。

その中で、東京事務所の社員から「ぜひ名南の歴史を知りたい」との声が上がり、たまたま別件で出張した折に、私がお話をすることになりました。

ありがたいことに昨年、中部経済新聞社様に取り上げられ、「名南経営 半世紀の歩み」と題した連載をしていただきました。その後、社員と一部のお世話になった方々に配布できるよう製本したものを事前に読んでおいてもらい、その内容に対する質問に私が答えていく、という形式で進めることにしました。

どんな質問が飛び出すかわからない中、自分の手持ち資料やどこかで見覚えのあるものをもっていそうな人に声を掛けて搔き集め、「もうこれ以上は思い出せない」という状態で質問攻撃の場に臨みました。

ところが、用意していた回答にマッチする質問は半分程度で、全く無防備なところをどんどん突かれて四苦八苦。でも面白いもので、「う~ん」と唸りながら過去を紐解くと、どんどん思い出してくるものですね。多少あいまいで、「これは事実ではないかもしれない」ということについては、「私の記憶では」と前置きをしながらも、おおむね答えることができたのではないかと思います。

今回の機会は、何よりも私にとってとても有意義なものとなりました。忘れかけていた創業者・佐藤澄男や私を拾ってくれた影山勝行との思い出と感謝の気持ちを掘り起こしてもらえたことは、何よりも嬉しく、またありがたいことでした。

今回の参加者は、たまたま東京事務所に来ていた他拠点のメンバーを含め、30名ほどでしたが、平成19年に亡くなった佐藤澄男と直接会ったことがあるのは、私を含めてわずか3人。まさに、他のメンバーにとっては、おとぎ話を聴いているようなものだったのではないかと思います。

しかし、2時間ほどの話の後、「そういうことなら、こういうことも考えていかないといけませんね」などと、どっぷり佐藤ワールドに浸かってしまっている私には気付けなかった視点を与えてもらうこともできました。

歴史というものは、新たな未来の扉を開くきっかけにもなるのだと、新たな気付きをいただききました。「歴史ってすごいなぁ~」と改めて感じます。

歴史を紐解くことは、とても大切なことだと思います。皆さんの会社でも、これを機に自社の歴史を振り返る時間を設けられては如何でしょうか?


No.505 理想

1000nen

2020/03/23 09:00:00

先々週のことになりますが、当社が主宰する経営者・後継者・経営幹部向けの研修「経営者大學」(https://www.keieisha-daigaku.jp/)の修了式が行われました。今期は私がお誘いした千年経営研究会のメンバーが参加してくれていましたので、親代わりに参列してきました。実際に、来賓席に座り、来賓としてあいさつもさせていただきました。

経営者大學は、昭和62年に始まり、年2回4月と10月に開講する、1年間12回に亘る1泊2日の研修で、今期で53回目の修了式となります。修了式では、受講生が1年掛けて学んできた内容に基づき自ら立案した戦略的中期経営計画を、修了式出席者を社員に見立てて発表していただきます。

今回の参加者は5名で、それぞれが1年間の集大成を、本当に社員の前で話すように発表してくださいました。これまでの反省を口にする人、現状の危機感を共有しようとする人、日常における具体的な心掛けを熱く語る人など、みなさんとても個性的な発表で、とても楽しいひとときを過ごさせていただきました。

また、来賓あいさつの中で「この1年で人が変わった。本当に経営者として成長した」とのコメントをいただき、とても嬉しく思いました。

ただ発表を聴く中で、少し気になることがありました。ひとつは、「聴き手のことを考えているか?」という点です。同じ社員といえども人それぞれ。思いを熱く語れば意気に感じて黙ってついてきてくれる人もいるでしょう。しかし一方で、思いを素直に受け止めてくれなかったり、真逆の考えをもっている人もいるかもしれません。

よって思いを伝えようと思うならば、いろんな考えをもった社員がいることを念頭に、ひとつのことでもいろいろな角度からその必要性を説明しなければなりません。今回の発表では、ちょっと一方的過ぎるように感じました。

もうひとつは、目先の話が多く、10年後、20年後の理想の姿がイメージできなかったことです。もちろん、今を生き抜かなければ未来はありません。よって、現状の課題を解決していくことはとても大切です。しかし、未来に魅力を感じなければ、今を生き抜く力が湧いてこないのも事実です。「もっと大きな、そして明るい理想を掲げて欲しかった」というのが私の率直な感想でした。

  “理想”が人を動かし、心に火を灯す

その本質を改めて考えてもらいたい、来賓あいさつにて、そのことをお伝えしました。みなさんもこれを機に、自社の理想を見詰め直してみてはいかがでしょうか?


No.506 思い

1000nen

2020/03/30 09:00:00

千年経営研究会では、今期から「後継者会」なるものを開催しています。これは、事業承継前の後継者が互いに悩みを語り合い、あるべき姿を見出していくという当会発足の原点に立ち返ろうという取り組みです。

先週、前月開催された内容の議事録をいただきましたので、その内容を少しご紹介させていただこうと思います。

開始早々、ある参加者から「再来年に会社を継ぐことになった」との報告がありました。そして、そのための準備として、教育制度と人事制度の見直しをし始めたとのこと。

その報告を聴いた私は、「社長になれるのは当分先になりそうだね」と伝えました。継ぐ準備が制度の見直しと考えているようでは、とても譲る気にはなれないからです。

もちろん制度の見直しは重要な経営課題です。自分が継いだ後のことを考えれば、やっておきたい気持ちはよく分かります。しかし、譲る側からすれば大した話ではない。自分が大切に守り育ててきたものを譲るのです。もっと大切にして欲しいことがあるはず。それ以前に、制度の見直しを一番に掲げられては、自分がやってきたことを批判されているようでいい気分はしないでしょう。とても譲る気にはなれないと思います。

では何が大切なのか。それは“思い”を継ぐことです。「もうこれ以上伝えることは何もない」と思ってもらえるくらい、聴いて聴いて聴きまくる。それこそが一番大切な準備です。

また、「経営理念がない」との話も出ました。これもまた相当な思い違い。経営理念とは、経営者の熱い思いですから、ないはずがありません。ただ、明文化されていないことはよくあります。よってこの場合は、「経営理念が明文化されていない」が正解です。

これは確かにもったいない話です。彼が継ぐために最も大切にしなければならない準備は、経営理念の明確化にあると言っていいでしょう。経営理念が明らかになれば、自分が社長になったときの確固たる指針となり、内外に発信する錦の御旗となりますから、これをまとめることは自分にとっても大切なことです。

譲る者の“思い”を、聴いて聴いて聴きまくり、その中から最も重要なものを経営理念としてまとめ上げる。これ以上重要な準備は他にありません。

これから継ぐ予定の方はぜひこの本質をご理解ください。既に継がれた方も、今一度経営理念の見直しをされては如何でしょうか。


No.507 強弱

1000nen

2020/04/06 09:00:00

新型コロナウイルスの影響はいかがでしょうか。先日、千年経営研究会の会員さんには、「何かあったらご相談を」とお伝えしましたが、今のところ相談の申込みは1件だけですので、まだ切羽詰まった状況にはないのだろうと、少し安心しているところです。

一方、切羽詰まってからでは打てる手が限られてきます。会員さんに限らず、できるだけ早いタイミングでご相談いただくよう、お願い致します。

さて、こういう時期は、自社の強いところ、弱いところが際立って見えてくるものです。特に

「勝ちに不思議の勝ちあり 負けに不思議の負けなし」(平戸藩第九代藩主 松浦静山)

といいますが、弱いところというのは、それまで放置してきた問題であり、こういう時期に際立ってきます。

例えば、皆さんの会社ではBCP(事業継続計画)は立案されているでしょうか?

BCPとは、「企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画」(中小企業庁HPより)のことです。

罹患者が発生した会社のその後の対応はまちまちです。ただ、私の知り得る限り、BCPがきちんと立案されている会社の対応は迅速で、迷いがないように思われます。

何もないときに「何かあったら」を考えることは、なかなか難しいことです。しかし、古典を紐解いても、優れたトップはその備えをきちんとしています。

今、もうすでに起こってしまっている状況ではありますが、決して遅くはありません。今からでもやれることはたくさんあります。これを機に、BCPといえるほどの立派なものではなくても、BCPの考え方に沿った対応を検討いただければと思います。

その際、過去においては無理だと諦めていたことも、現在では可能になっていることもたくさんありますから、改めて検討してみてください。

たとえば私どもではこれまで、会ってお話ししなければ仕事になりませんでした。しかし、今週予定していた東京出張は取りやめましたが、ビデオ会議システムを使って面談は実施します。これは、資料やこちらの操作を画面上で共有しながら話をすることができるなど、システムの精度が上がってきたから可能になったことです。

また、そのような面談をお客様に受け入れていただける時代になったことも大きいと思います。

いずれにしろ、これまで無理と諦めていたことに対しても、「何かできる方法はないか?」と改めて見詰め直すよい機会にしていただきたいと思います。

一方で、こんな状況であってもお付き合いしていただけるには、やはりそれなりの理由があります。それが自社の強みといえます。はっきりとした強みを明確にするチャンスでもあります。

いずれにしろ、こういう時期だからこそわかる自社の強み・弱みを明らかにし、対応していくチャンスと捉えていただきたいと思います。

追伸

現在、さまざまな経営支援策が出てきています。特に中小企業庁と各都道府県のホームページの『最新情報』はこまめにチェックしてみてください。


No.508 機会

1000nen

2020/04/13 09:00:00

愛知県に緊急事態宣言が発令され、先週は当社でもその対応に追われました。みなさんの会社では、どのような対策を講じれられているでしょうか。

私どもでは、システム上の問題でどうしても出社しなければできない仕事があり、完全なテレワークに移行することが困難で、まずは指針にある出社率30%以内の実現を目指しています。

一方で、今回の検討を通じて、非常時における対応策がかなり進んだのではないかと思います。日本は災害大国で、地震や台風など、いつ通常営業ができなくなるかわからない状態にあります。しかし、実際に何かないと、その対応策の検討は後回しになってしまうものです。

今回のコロナ禍は、もちろん大変な事態ではあるものの、非常時対応策を検討するのにはよい機会ととらえる必要があります。

思い起こせばリーマンショック後の回復率は、渦中における行動の内容によって間違いなく異なっていました。

ただ単に助成金を申請して休んでいただけの会社と、その期間、重要性は高いものの、ついつい目先の仕事に追われて後回しにしていたことを棚卸しし、一つひとつ取り組んでいった会社。その差はまさに大差といえるものでした。

緊急事態宣言がいつまで続くかわかりませんが、経済的影響は今後半年くらい続くものと考えておいてよいと思います。それだけの時間が与えられたと考え、ぜひ有意義な時間を送っていただければと思います。

そのときに一つ考えていただきたいのは、「これまでの常識を疑ってみる」ことです。

たとえば私どもの仕事は、お会いしてお話しすることがこれまでの“常識”でした。しかし、先週からテレビ会議を使った面談をし始めてみると、これが実に便利で、資料や画面上でのカーソルの動き、さらにはこちらで議事録的に入力したメモを共有できるなど、実際の面談とほとんど遜色のない対応が可能です。

また、時間を決めて行うため、無駄も少なく、集中もできて、かなり効率のよい面談が実現できました。

もし、今回のようなことがなければ、トライしようとも思わなかったことをやらざるを得なくなって、新鮮な気付きを得ることができたのです。ちょっと得した気分です。

いずれにしろ、単にマイナス面だけを見るのではなく、これを好機ととらえて、今の今、何ができるかを考える機会にしていただければと思います。


No.509 理念

1000nen

2020/04/20 09:00:00

先週、4月1日から実施していた新入社員研修が終了しました。コロナ禍の中での研修は、全員マスクを着用し、着座の間隔広げ、1時間に1回換気するなど、できる限りの対策をして、何とか無事に終えることができました。

私も期間中3枠の講義を受け持ちましたが、マスクをしての講義は高地登山のようなもので、一番長かった3時間半の講義では、終わったときは本当に少しクラクラしました。

11日間に亘る研修の中でも、「特に有意義でした」との感想が多かったのが、『経営理念の浸透』というテーマの研修でした。

これは、当社の理念に対して、よくわからなかったり、もっと深く知りたい内容をそれぞれがピックアップし、事前に4~5人のチームに分かれてそれぞれの考えを整理・検討した上で役員にインタビューし、最終的に名南人としてどのように働いていくかを自ら決める、という内容です。

(当社の理念はこちらをご参照ください → https://www.meinan.net/about)

私を含めて登壇した3人の役員の役割は、彼らの“意思決定”の参考となるよう、入社してから今日までの名南人人生における具体的なエピソードから得た学びや気付きや理念に対する自らの想いなど交えて、彼らの質問に答えていくことでした。

明日からの自分自身の人生に直接関わって内容だったからでしょうか、確かに、私が担当した他の2講座以上に全員が真面目にかつ積極的に参加してくれたように思います。後日、当日の各自のワークシートを見せてもらいましたが、その思いがひしひしと伝わってくる内容でした。

主催してくれたメンバーからも「たくさんメモ、そして自分の考えを整理でき、今後の社会人・名南人としての活動の中で大切な要素となったかと思います」とのコメントをもらいました。期待に沿うことができて、一安心しているところです。

今回、初めてその大任を受け持ちましたが、とてもいい取り組みだと感じました。今回は新入社員が対象でしたが、既存の社員さんに実施しても、間違いなく有意義な時間になると思います。

参考までに、具体的な進め方をご紹介します。

・まず、自分が疑問に思うこと、もっと知りたいことをリストアップ

・GDで擦り合わせ

・役員に質問

・質問の答えを共有・整理

・まとめ

 ①印象的だったこと

 ②新しい発見だったこと

 ③自分の理念(プライベート、仕事・社会人として)

以前からお伝えしている「日頃できない大切なこと」のひとつとして、ぜひ検討していただければと思います。


No.510 創業

1000nen

2020/04/27 09:00:00

本日は、少し前に開催した後継者会で出たお話しをご紹介させていただこうと思います。

ある参加者が、アメリカへの進出・展開に取り組まれています。昨年5月から現地法人の代表となり、意思決定のすべてを一任されているとのこと。

ところが、コロナ禍により計画が大きく狂ってしまった。売上が立たない中で、家賃や人件費は否応なく出ていく。資金繰りがどんどん悪化していく。いろいろと手を打たなければいけないが、かといって妙手があるわけではない。そんな日々の中で、順調だったころは感じていなかった「決めること」に対する“ストレス”を感じ始めたのだとか。

「決めること」に対する“ストレス”を感じること、これは後継者にとってとても貴重な体験だと思います。決められない社長に文句を言っていれば済んでしまう後継者には滅多に味わうことができない、とても有難いシチュエーションなのです。

それに、後継者の場合は命までは取られるわけではありません。経営者の場合は、連帯保証人としての責任と心労から命を落とされることもある。ここに経営者と後継者の本質的な違いがあります。彼には大いに“ストレス”を楽しんでもらいたいと思います。

世に、『後継創業者』と言われる人がいます。要するに、後継者でありながら、創業者のような風格を持っていらっしゃる方です。彼らに共通しているのは、創業者や先代たちが創り上げてきてくださったものを守り、育てていくだけではなく、自らの意思と意欲で新たな“業”を立ち上げてきた、という点にあります。そしてその新規事業が単に「新しいことに取り組んだ」程度のものではなく、全社的な事業の柱にまで育てられてきたことが重要です。まさに「新しい事業を創った人」なのです。

仮に、事業の柱にまでは育てることはできなかったとしても、そのような取り組みをしていくことそのものが重要です。

今回のコロナ禍は、どうも「収まったら元に戻る」ようには思えません。それがどのようなものなのか、今ははっきりとは見えていませんが、全く新しい世界が待っているような気がしてならないのです。

この閉塞感に満ち満ちた今、ぜひいろいろなアイディアを具現化する時間をお持ちいただきたいと思います。その一つの方向性が新規事業であり、それが後継者育成にも活かせることができるようであれば、とても素晴らしいことです。

後継者の方には、このような時期だからこそ新規事業にチャレンジされることをおすすめ致します。命までは取られませんから。


No.511 愚痴

1000nen

2020/05/11 09:00:00

今週も、先日の後継者会でのお話をひとつ。今回の相談は、「社長に対する愚痴や批判を口汚く言ってくる社員がいるが、どう対処したらよいか?」という内容でした。

その社員は、仕事はできるそうなのですが、そのような言動によって周りに悪い影響を与えてしまっているのだとか。「後継者の立場として社長のフォローをすべきだとはわかっているが、そうすると今後何も言ってくれなくなってしまうのではないか」と危惧されているのだそうです。

みなさんが同じ立場なら、どうされますか?

この相談に対して、オブザーバーで参加していた現社長のHさんが、次のような話をしてくれました。

「私も同じ経験がある。どちらかというと私は不満を持つ勢力と一緒になって社長と闘っていた。ただ結論から言うと、不満で繋がっていた社員は全員辞めた。一方で、目先の問題だけではなく、一緒になって未来の話をしていた社員は幹部になった。」

これがこの問題の本質ではないかと思います。

私は基本的に「嫌なら辞めればいい」と思ってます。会社が社員の首を切ることはなかなかできませんが、社員は辞表一枚で辞められるという最大の権利を持っているのですから・・・

ただし、話しはじっくりと聴きます。彼の心を癒すためでも媚へつらうためでもなく、彼の不平・不満、愚痴・ボヤキ、要求・要望の中に、会社をよくするためのヒントが隠れているかもしれないからです。

ここはクレーム対応と同じなのですが、まずはしっかりと聴き切ることが大切です。その内容を棚卸して、今後の経営に活かせるもの、彼の見方に誤認があるもの、彼自身に変わってもらわなければならないことを整理し、その内容をきちんと伝えた上で、最後に「いろいろ教えてくれてありがとう」で締める。ここまでやって同じことを繰り返すようなら、辞めてもらえばいい、そう思うのです。

愚痴や批判レベルの話では社長に話すのは気が引けるでしょうが、ここまでやっておけば、自分の中に留めておく必要もないでしょう。

社長に対しては、「こんな話が出たので、こう対処しておきました」で良いでしょう。「すべてを報告している」という参加者の中に「内容によっては社長の解釈を知ることもできる」との話がありましたが、その通りだと思います。そこにまた、大きな学びや気付きがあるものなのです。

もしかすると「社長に言えない」のは、自分自身が同じように思っているからかもしれません。それこそ大問題との認識が必要ですね。

一方で、声のでかい人間というものは、善い方向に向けば力強い味方になることもあるものです。ぜひ、「徹底して耳を傾ける」姿勢で、強力なパートナーを見出していっていただければと思います。


No.512 変化

1000nen

2020/05/18 09:00:00

当社では、4月10日(金)に愛知県独自で発令された緊急事態宣言を受け、翌週13日(月)からテレワーク、いわゆる在宅勤務を認め、ネットワーク全体での出社率削減に努めてきました。先週14日に国の指定は解除されたものの、当面はテレワーク容認を継続する予定です。

かくいう私も、研修・セミナーなどの講師の予定はすべて延期か中止、お客様との面談もオンライン会議システムを利用したものとなりましたので、会社機材を利用する必要がある日など以外は自宅で仕事をしており、出社は週に1~2日程度になっています。

出張もなく飲みにも行かず、毎日三度の食事を自宅で取るという、結婚27年目にして初めての“普通の生活”に最初は戸惑いもあったものの、意外に仕事にも集中でき、快適かつ生産性の高い日々を送っています。

仕事に集中できる理由は、とりもなおさず「ちょっといいですか?」がないからです。目の前にいると気軽に聴けるものが、顔が見えないと「今連絡してもいいものか?」と躊躇するものですね。もちろん、重要なことであれば「遠慮なく連絡して」と伝えてありますが、それほど急ぎの用件は多くはないもののようです。

一方で、目の前で仕事をしてくれているときは、「何となくわかっている」つもりだったものが、目の前にいなくなった途端、不安な気持ちになることも事実です。

そこでまず、日報や業務報告書をより詳しく記載するように指示しています。実施してみると、多くの管理者が「目の前にいるときよりも、何をしているかわかるようになった」と口を揃えます。「把握でいていると錯覚していたことに気が付いた」というのが実際のところでしょう。

また、部署ごとに毎日オンラインにて朝礼と夕礼を実施しています。朝礼はこれまでも実施していたのですが、「知りたい」「聴きたい」欲求が極限まで高まっているからでしょうか、その中身がだいぶ濃いものになっているように感じます。少なくとも、日頃は朝礼や会議などで一言も話さなかった社員の声をよく聴くようになりました。とても良い傾向だと思います。この流れは、在宅勤務ではなくなっても続くものだと思います。

また、先日初めて千年経営研究会でオンライン会を実施したのですが、実に有意義な時間を過ごすことができました。もちろん、顔を合わせて話をするのに越したことはないのですが、「意外に悪くない」というのが本音です。特に、一人ひとりの話をじっくり聴くのには、オンラインの方が集中できてよいのではないかと感じました。

いずれにしろ、強制的に「させられた」ことではありましたが、おかげさまでいろいろと有効な手段もあることがわかってきました。これからはより一層、過去の常識にとらわれることなく、変化をうまく受け止めて、より効果的・効率的な組織運営方法を見出していきたいと思います。

もちろん、テレワークが馴染まない業種の方もいらっしゃると思います。これはあくまでも一例に過ぎません。現状を前向きに捉え、これまで着手していなかったこと、食わず嫌いで避けてきたことなどにトライしてみてはいかがでしょうか。他で成果が出ていることは、間違いなく新たな気付きを得る機会になると思います。「テレワークなんて」と否定的だった私からの提言です。


No.513 実践

1000nen

2020/05/25 09:00:00

先日、千年経営研究会のオンライン会にて、5月4日にご尊父を亡くされた会員のお話しをお聴きしました。5月1日に急に腹痛を訴えられ、彼自身が病院に連れていかれたところそのまま入院、そしてわずか3日後にお亡くなりになってしまったとのこと。あまりに突然のことで、「ほとんど話も聴けなかった」のだとか。

しかし振り返ってみれば、昨年末に30年ぶりの家族旅行に行かれ、社内外の要職もすべて退任され、年賀状も「今年で最後にします」とされていたとのこと。「周りに迷惑をかけないよう、あらゆる準備をしていたみたい」と、その必然を受け入れておられました。

また、コロナ禍で遠方にいたお孫さんも自宅に戻って来られていたようで、会社に人生を捧げてこられた晩年に家族団らんのときを過ごすことができ、「本当に幸せな人生だったと思います」とのこと。

さらには、通夜・葬儀を近親者だけで執り行うことができ、「あんなこともあったね、こんなこともあったね」と懐かしく思い出す時間が十二分に取ることができたようです。ご本人からは十分聴けなかったものの「経営者として気づかされることも多かった」とのことでした。これもお父様から与えられたよい機会だったように思います。

今はその内容も踏まえつつ、お父様がやって来られたこと、言っておられたことなどを思い出し、書き出しているとのこと。その上で、これまでできていなかったことを意識して実行されているとの話に、よい受け止められ方をされていると感じました。

ただ、まだ15個程度とのことでしたので、いつもの通り「最低100個」と改めてお伝えしました。その上で、「同じ言葉であっても立場や人によって意味は異なる」として、「人として」「経営者として」「家族として」「友人として」など、その立場の違いによって自分がどのような態度・言動をすべきなのか、また「会社に対して」「仕事に対して」「お客様に対して」など、社員さんや周りの方々に期待する態度・言動はどのようなものなのかを展開して考えてみてはどうかとアドバイスさせていただきました。

そして何より、その書き出した内容を実践することが大切であり、その実践こそがお父様が残してくれた一番の財産であるとお伝えしました。

最後に、いろいろと話をお聴きするにつけ、本当に立派な“死に様”をなされた方だと感じます。“死に様”はその“生き様”を見事に表すものです。私自身も立派な“死に様”ができるよう、今日という日を立派に過ごしていきたいと感じました。


No.514 非常時

1000nen

2020/06/01 09:00:00

先日、後継者会を初めてオンラインで行いました。その中で、リーマンショックの時によくお話ししていた内容を思い出しましたので、みなさんにも少しお裾分けしたいと思います。

お題は、2つ。「今、会社を閉めたらどうなるか?」と「売上がゼロになったらどれだけ生き延びることができるか?」というものです。今回は、前者の説明をしましょう。試算表をご用意ください。

貸借対照表の「純資産の部」、今はプラスになっていると思いますが、もし、今すぐに会社を手放さなければならないほどの非常時だったらどうなるか、次の視点で見直してみて、プラスのままでいられるか確認してみてください。

まず「売掛金」。平時であれば問題なく回収できるものの、非常時となると「火事場泥棒」的に支払いを渋る人が出てきます。これは“感謝心”のバロメーターのようなもので、みなさんの会社がお客様から「ありがたい」と思われている存在であれば全額回収できますが、そうでないと「ざまぁみやがれ!」とばかり、難癖をつけては支払いを渋る輩が出てくるものなのです。また、そういう程度の人とばかり付き合っていると、その影響度は一層高まります。日頃のお付き合いを見詰め直してみましょう。

次に「棚卸資産」。こちらは、商品力がなければ、「二束三文」「投げ売り」状態になってしまいます。コロナ禍の中でもそれほど影響がなかったような商品やサービスであれば、定価のままでも売り切ることができるでしょう。よって、このような視点においても、商品力は「日に新たなり」と高めていかなければならないのです。一方で、こちらもお客様から感謝される存在であれば、定価のままでも喜んで買っていただけるかもしれません。

「仕掛品」が多いようであれば、さらに換金は難しいですね。日頃の生産性向上の取り組みが影響してくる点でもあります。

「建物」は、もしかすると「壊して出てってくれ」と言われてしまうかもしれません。資産価値はマイナスになってしまいます。

「土地」については、まず相場を確認してみましょう。高度経済成長前の土地であればかなりの利益が出るでしょうが、バブル期に買っているようなものであれば、大きなマイナスとなっている可能性があります。さらに、余程いい土地でなければ、相場価格では売れないと思っておいた方がよいでしょう。ひどい場合は「半値八掛け二割引」などといいます。非常時とは、そういうものだと認識しておいた方がよいでしょう。

さてそのように「資産の部」を見直してみると、「負債の部」は「役員借入金」くらいしか減らせるものはありませんから、「純資産の部」がマイナスになることは、十分に考えられます。

このとき、そのマイナス分を誰が補填するかと言えば、連帯保証人であるオーナー経営者に他なりません。「会社に何かあったときに、どれくらいの個人負担をしなければならないか?」を考えておいていただければと思います。

後継者の方は、それだけ重いものを背負っている社長の思いを感じてもらえればと思います。後継者会でも、「社長と皆さんの根本的な違いはここにある。社長は、会社が飛んだらすべて飛ぶ。危機感のレベルが蟻と象ほどの違いがある。「わかれ」とは言わないが、頭には入れておいて欲しい」とお伝えました。

このような視点で見直したものを『非常時貸借対照表』といいます。今回に限らず、少なくとも年に1回くらいは作成するようにしてみてください。


No.515 生存

1000nen

2020/06/08 09:00:00

先週に引き続き、後継者会でお話しした内容の中から、今回は「売上がゼロになったらどれだけ生き延びることができるか?」について考えてみたいと思います。今週も、直近の試算表をお手元にご用意ください。

まず、次の勘定科目の残高を確かめてください。

 □現預金 □受取手形 □売掛金 □換金可能なその他流動資産(棚卸資産を除く)

 ■支払手形 ■買掛金 ■短期的に返済が必要なその他流動負債

□の合計額から■の合計額を差し引いた金額が、売上高がゼロになった上で経営を継続していく中で手元に残る資金残高(①)ということになります。

次に、売上高がゼロになってもお金が出ていく月々の固定費の額と、借入金などの毎月返済額を合算した金額を明らかにします。これが毎月の現金減少額(②)です。

最後に、①を②で割ってみてください。算出された数字が「売上がゼロになったときに、何か月生き延びることができるか?」その月数を表します。

気を付けていただきたいのは、□に算入されている金額の中に、「回収不能な債権」が含まれていないか?ということです。特に売掛金や貸付金などは要注意です。これを機に、精査してみてください。

さて、この月数は「何も策を講じなかったら・・・」の場合です。次に「できる限りの金策を図ったら・・・」を考えてみましょう。①の金額に、次の順番に加算して再計算してみてください。

まず、「借りるだけ借り増ししたら」を考えてみてください。ただし、借りるのは金融機関からのみで、かつ他人の連帯保証を付けることなく借りることができるものに限ります。なんだかんだいっても金融機関の目は確かです。「〇〇万円までです」と言われたら、それが今の会社の実力であり、金融機関の適正な評価と考えていいでしょう。

次に、「不要不急な資産を処分したら」を考えましょう。ただし、今は不要でも、直ぐに必要になったり、再購入が難しいものは、安易に処分することはできません。不要不急度で3段階くらいにランク分けして考えるとよいでしょう。

次に、「個人資金を投入したら」を考えます。

個人資産の処分については、リーマンショックの時、ある方からお聴きしたお話をご紹介したいと思います。仮にAさんとしておきましょう。Aさんは知人から「お金を貸して欲しい」と頼まれた。それに対して「ご自宅は処分されたのですか?」と尋ねられた。「いいえ」の答えを聴いたAさんは、「自分の財産も処分しないで人さまの金を当てにするようでは経営者失格。そんな心掛けでうまく行くはずがない。お金は貸してあげるから、まず自宅を処分してからいらっしゃい」とお伝えになったのだとか。

結果、その知人はお金を借りに来られることはなかった。その後、自宅を売ることもなくV字回復を遂げられたその方は、感謝の言葉を伝えに再びAさんの元に来られたのだそうです。いたく感動したことを思い出しました。

最後に、「返済をストップすることはできないか」を考えます。人さまに借りたお金を返すのは人として当たり前のこと。それがどうしてもできないというならば、あらゆる手段を講じた後でなければなりません。だから「最後に」なのです。何事も、順番を間違えてはいけません。

もちろん、すべて実行に移す必要はありませんが、もしそのような状況になったらどのような手段を講じることができるかを考えておかれることは大事なことだと思います。これを機に、一度検討されることをおすすめします。


No.516 徳積み

1000nen

2020/06/15 09:00:00

以前、千年経営研究会総会の講師としてお招きした天明茂先生が、ブログをはじめられています。https://ameblo.jp/temmyo/

先生からご案内いただき、第1回目から拝読させていただいていますが、その中で「徳積みゲーム」なるものがご紹介されています。

これは「徳の高さを点数で表示できたらどんなに面白いだろうか」という発想に基づき、広瀬淡窓の「万善簿」(第8回)、袁了凡の「功過格」(第9回)などを参考にされ、ご自身の“徳”の発生・喪失・残高を一覧でわかるようにされた「徳積みゲーム表」(第11回)を作られているそうなのです。

「おもしろそうだ」と感じた私は、早速オリジナル表の作成に着手し、天明先生のアドバイスをいただきながら、先日何とか完成させることができました。今回は、その内容を少しだけ紹介させていただきます。

まず、天明先生が提示されている8つのテーマの内、自分が実践できそうな下記の6つのテーマに絞りました。

         ≪徳(+)の要因≫  ≪不徳(-)の要因≫

 □生命   : 生命の尊重      生命の軽視・剥奪

 □資源   : 資源の節約      資源の浪費

 □社会   : 社会への貢献     社会への棄損

 □人間関係 : 人間関係の良化    人間関係の破壊

 □親・先祖 : 親・先祖への感謝   親・先祖の疎外

 □価値   : 価値の創造      価値の破壊

その上で、第12回で紹介されているように、“生命”であれば、「虫を逃がす(+2点)」「虫を殺す(-2点)」、“社会”であれば「ボランティアする(1時間+1点)」「人の邪魔をする(-5点)」といったように、+-それぞれ30の細目をつくり、毎日点数を付けていく表を作りました。関心のある方は、お会いした時にお声掛けください。お見せします。

これにより、毎日「徳(+)何点」「不徳(-)何点」「差し引き何点」と、毎日の徳の残高がわかるようになりました。

残念ながら、三日坊主ならぬ一日坊主の私は、付けたり付けなかったりを繰り返して、満足に得点化することができていませんが、

 □自分がどんなことを大切にしたいと考えているかが整理された

 □これまで指摘はされていたにも関わらず失念してしまっていた大切なことを思い出すことができた

 □何かあったときにふと思い出し、行動を「起こす」「やめる」の判断がその場で瞬時にできるようになった

といったメリットを感じています。点はつけてませんが、以前よりは確実に“徳”が積み上がっていると思います。

やはり“あるべき姿”を明確にすることそのものが大切ですね。

ゲームをやるかやらないかは別にして、自分が大切にしていることは何なのかを考えることは価値あることだと思います。みなさんも一度考えてみてはいかがでしょうか。


No.517 副業

1000nen

2020/06/22 09:00:00

先日、久しぶりにリアル開催された後継者会の会合で、“副業”の是非についての質問がありました。みなさんはどうお考えですか?

もちろん、副業によって本業に支障を来すようではいけませんから、一定の歯止めは必要だとは思います。しかし私は、積極的とは言わないまでも、割と寛容な立場をとっています。

そもそも規則で縛らなくても、今の仕事に誇りをもち、収入的にもしっかり満たされ、イキイキ・ワクワク・ドキドキ働けていれば、「他で働きたい」という気持ちは持たないはずです。

問題は、「副業をしたい」というその動機です。

もし、「お金がないから」が理由であれば、現在の給与水準を見直す必要があるかもしれません。もちろん、その人の個人的な事情によるものもあるでしょう。しかし、たとえばこのコロナ禍で残業ができなくなってしまった結果「食べられなくなった」ということであれば大問題。そもそも残業しないと生活できないレベルの給与しか支払われていないことを反省しなければなりません。これまでの残業代込みの給与が固定給として払えるようになるためにはどうしたらよいのかを、ゼロベースで検討する機会にしていただきたいと思います。

一方で、「今の仕事を活かすためのスキルを身につけたい」ということであれば、喜ばしいことです。それが研修レベルでは身につかないようなものであれば、やはりそれを本業としている会社に修行に出た方が早いでしょう。そのような場合は、その気持ちそのものを嬉しく思うと共に、副業という範囲に留めずに、出向や派遣などの選択肢も検討されていいのではないかと思います。

また、「社長の気持ちをもっと理解したい」と、起業レベルの副業を考えているとしたら、とても頼もしいですね。内容によっては企業内起業を考えてもいいかもしれません。

いずれにしろ、副業の話が出てきたら、頭から否定するのではなく、その理由をきちんと確かめてみてください。その上で、ダメなものはダメ、反省すべきは反省し、サポートすることが好ましいのであれば必要な支援を実施する、そういう姿勢が大切なのだと思います。

但し、特に個人的な事情である場合、ある人には許可を出し、他の人にはダメを出す、という矛盾が生じてはいけません。その辺の線引きは、一時の情に流されず、きちんとしておく必要があります。それもまた、自分の考えを整理する機会にしていただければと思います。


No.518 写し鏡

1000nen

2020/06/29 09:00:00

先日行われた後継者会で、「考える社員」という話が出ました。「自ら考え行動できる社員と、そうでない社員の違いは何か」ということです。

ひとりの後継者からは、失敗報告として、次のような話をしてくれました。

「右腕候補として大学の後輩を入社させた。右腕として恥ずかしくない結果を出させるために何かとお膳立てをしていたが、結果を出せるようになってきた昨今、会社に対する不満を口にし、右腕どころか、雰囲気を悪くする存在になってしまっている。」

一方、「弊社には、考えて行動してくれる人がいる。製造、営業それぞれに、指示されて動くのではなく、自らふさぎがちな現場を引っ張っていってくれている」との報告もありました。この違いは、どこから生まれてくるのでしょうか?

これらの報告を受けてわたしは

 「社員は写し鏡である」

とお伝えしました。前者の社員のおごりは、「お膳立てをしてやっている」というその後継者のおごりの写し鏡。後者の社員の行動は、仕事を楽しんでいる社長の写し鏡。

本人にそのつもりはなくても、社員はとても優れた写し鏡で、何でもかんでもそのままに写してくれるものです。

残念なことに、いいところはなかなか似てくれません。「弱いところ」「良くないところ」ほど似る傾向にあるのです。よって、人の上に立つ者は、常に自分自身を律し、社員の手本になるようにしなければならないのです。

社員の行動を見、問題を感じたならば、日頃の自分のどんな言動が反映しているのかを明らかにした上で、自らの言動を改めて行かなければなりません。その繰り返しの中で、「自分が望む組織」が実現していくのです。特に、右腕にしたいと願う人材に対しては、なおさら背中を見せて倣わせるしか方法はありません。

今のような状況下では、これまで隠れてしまっていたいろいろな問題が顕在化してくるものです。「その問題の原因を作っているのは自分」との認識をもち、根本的に自らの言動を見直す機会にしていっていただきたいと思います。


No.519 理念

1000nen

2020/07/06 09:00:00

先日ある会合で、経営理念の必要性に関する議論になりました。今回は、そこでのお話しの内容をご紹介したいと思います。

経営理念は、経営者の熱い思いと言っていいものです。よって経営者は、どんな理念をもってもよく、その理念に従って行動したとき、その経営者は“自分らしい経営”が実現できているといえるものです。

以前、企業再生・再建業務をメインでやっていた頃でも、私は経営理念の策定を最優先させていました。経営者からすれば、「何でこんなお金にならないものに時間をかけなければならないのか」と、疑問に感じられていたと思います。現に「こんなことを教えてもらうために金を払ってるんじゃない」とお叱りの言葉をいただいたこともありました。

それでも私は、「確かに、経営理念で飯を食うことはできません。でも、経営理念なくしてまともな経営はできません」と突っぱね、時間をかけて必要性をお伝えし、何とか策定していただくようにしていました。

今回の会合に参加していたその中の1社の方から、次のような言葉をいただきました。

「経営者の思いが、会社経営のパワーの源になっていること、実によく理解できます。特にご指導いただいていた当時の僕は危機感250%でしたからなおさらです。確かに今思うほど当時は理念、ビジョンの重さが理解できていなかったとは思いますが、いまだに当時の理念、ビジョンに惚れ込んでいるくらいです。おかげさまで、今こうしていられるのは、本当に理念、ビジョンの重さの証でしょう」

当時私が行ってきたことが間違いではなかったと、胸をなでおろしました。

思いが純化されればされるほど、思いは強くなっていきます。そしてその思いの強さが、思いの実現へと導いていくのです。その思いが最も純化された言葉が経営理念です。

私がコンサルタントとなって32年、一貫してお伝えしてきたのが経営理念の大切さです。バブル崩壊やリーマンショックなど、あらゆる危機的状況の中でも、明確な理念をもたれていた経営者は強かった。本当にそう思います。

コロナ禍の最中、改めて経営理念の重要性をご理解いただき、思いの純化を模索する機会にしていただければと思います。


No.520 人財

1000nen

2020/07/13 09:00:00

先日開催された後継者会にて、次のような相談がありました。営業部に配属されて2年が経過する社員さんについての悩みでした。

彼の最大の問題は「指示したことが守れない」ことでした。言った直後はできるのですが、ちょっと気を許すとすぐにやらなくなってしまう。何度も何度も繰り返し指導するものの、全然直らない。病気ではないかと疑い、病院に行かせたものの答えはNO。素直に指示に従ったところをみると、本人も病気を疑っていたのかもしれません。しかし、結局本当の理由はわかりませんでした。

結果、通常の2年生の6分の1程度の成果しか出せない。やるべきことをやっての結果であればまだ許せるものの、やるべきことをやらない結果だけに許すことはできない。しかし、「どのタイミングで見切りを付けたらいいかわからない」というのが、今回の相談内容でした。

そこで私からは、次の2つの話をしました。

ひとつは、「成長の目安を明確にする」ということです。

1年目にはここまで、2年目にはここまでと、年度別に達成水準を示すのです。さらには、その達成水準を現実のものとするために必要な行動を明確にし、その徹底を促します。

これにより、社員側からすれば、自分の成長目標をきちんと持つことができますし、お互いに共通の目線で成長度を測ることができます。少なくとも「できていない自分」を自覚することが、自己革新には欠かせません。

昔話をすると嫌われるかもしれませんが、かつては3年後のあるべき姿を示せば、「何をすればよいか」を自ら考え、自ら実践するのが当たり前でした。しかし「今の若い者は」何をすればよいかがわからないと動けない傾向にあるように思います。その観点においても年度別の達成水準と、その達成のための具体的行動を示すことは大切だと思います。

もうひとつは、「採用時は“性悪説”でみる」ということです。

聴けば、26歳ながら既に転職経験が4回、それもそれぞれの勤続期間が数か月ずつということでした。もちろん、「そういう人間を更生させ、まっとうな人生を歩ませるのが当社の使命」という会社であれば、まさに採用すべき人材といえることができるでしょう。しかし、そうでないなれば、やはり採用したことそのものが問題であったと考えられます。

そもそも採用活動とは、「いい人を入れる活動」ではありません。特に、私たち中堅・中小企業においては「入れてはいけない人を入れない」活動と考えなければなりません。

「性格が悪い」と言われそうですが、私は面接時には徹底的に“あら捜し”をします。徹底的に欠点を探し出して、「それを許せるかどうか」を採用の判断基準にしているのです。

さらに、私がOKを出した後には、必ず現場の社員の面接を入れます。その上で、「私たちが育てます」と言ってくれた人を採用するのです。“トップの目”より“現場の手”の方が間違いないと思っているからです。

いずれにしろ、採用前は“性悪説”、採用したら達成水準を示した上で“性善説”で育てていく、そういう姿勢が大切なのだと思います。


No.521 提案

1000nen

2020/07/20 09:00:00

先週、以前私が担当していた会計事務所に数件訪問する機会がありました。直近でも3年ぶり、長い先だと5年ぶりの再会に、とても懐かしく旧交を温めることができました。

その中で、少し反省することがありました。私が訪問していた当時に提案していたことがほとんど進んでいなかった先があったことです。それも、「ぜひ取り組んでみます!」と力強い言葉をもらっていた先ばかり・・・。

その原因を考えてみると、おおむね2つあるように思います。

ひとつは、次の担当者にきちんと引継ぎができていなかったことです。もちろん報告書には書き残していたものの、“熱”をもって伝えていなかったことが最大の原因です。

「言った」「聴いてない」の問題は「言った」側に責任がある、とは、私がよくお話しする内容ですが、当の私が十分できていなかったことが露見してしまいました。お恥ずかしい話です。

もうひとつが、お客様の「取り組んでみます!」を鵜呑みにしてしまったことです。

たとえば、次のようなやりとりを経験されたことはありませんか?

あなた「この用紙に必要事項を記入して郵送してくださいね」

相手「わかりました!」

あなた「じゃあ、書いてみてください」

相手「どう書けばいいんですか?」

今回の問題の原因は、これに近いところにあったわけです。

「取り組んでみたい!」というお気持ちには嘘はなかったと思います。しかし、会話とは難しいもので、そのときの“熱”で一旦は盛り上がるものの、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ではありませんが、とくに「どうやればいいのか?」が明確でなければ、そのまま放置されてしまうことは、自分自身の体験を振り返ってもよくあること。

「やりたい!」から「やれる!」へ、さらには「できた!」までをきちんとサポートできていなかったことを大いに反省しました。

今回の訪問を通じて、改めて「やれる!」と思っていただけるよう、その事務所の実情に合わせた具体策をお示しすると共に、現担当者に「できた!」までをサポートして欲しいと、“熱”をもってお願いをしました。

皆さんの会社にも、「やりたい!」で止まってしまっている課題はありませんか。ぜひこれを機に、「やりたい!」を「やれる!」に、そして「できた!」にまで昇華できるよう、取り組んでいただければと思います。


No.522 あがり感

1000nen

2020/07/27 09:00:00

先日、来年で開業10年目を迎えるという税理士事務所に伺いました。

売上高も職員数もほぼ当初の予定通り順調に来ており、そろそろ次の10年を見据えた計画を立てなければならないとおっしゃいます。

ところが、「気持ちが乗って来ないんです」とのこと。年は40を少し過ぎたところ。まだまだこれからというところなのですが、「何ならもうこのままでいいのかなって思ってしまう」のだとか。

このような状況は、がむしゃらに走ってきた経営者が「食っていける」ようになったときに起きやすいものです。決して彼だけではなく、また創業者だけでもなく、よくある話です。私はこの感覚を“あがり感”と呼んでいます。「1ゲーム終わった」という感じです。

しかし残念ながら「このままで」はあり得ません。そう思った瞬間から衰退がはじまっているとの認識が必要です。

そのようにお伝えすると、「じゃあ、何をすればいいんでしょうか?」との返答が。「魅力的な“何か”があれば、気持ちが乗ってくるかもしれない」とのこと。

これに対して私は、「その答えは外にはありません」とした上で、この10年間をじっくり振り返っていただくことをおすすめしました。

「誰に、何を、どのような方法で提供してきたのか?」「そこから得られた喜びや感動は何だったのか?」「その喜びや感動をさらに得るためには今後何が必要か?」などを考えるようにお話ししました。

加えて、「書いたことも、書かせたこともない」という『業務報告書』の記載をおすすめしました。お客様とのやり取りを、詳細に文字に残すのです。

マーケティングの答えの多くは、お客様がもっておられます。そのお客様とのやり取りを文字に残し、何度も繰り返し目にすることで、お客様に対して何をすればさらなる喜びや満足を提供することができるかが見えてくるものです。それが次の10年で追い掛けるべき、ないしは心から追い掛けたいと思えるテーマのヒントになるものなのです。

いずれにしろ、“あがり感”は誰でも体験するものだと思います。そのような状況に陥ってしまったときには、これまでの歴史を振り返ると共に、より一層周囲の声にきちんと耳を傾ける努力をしていただきたいと思います。


No.523 自由

1000nen

2020/08/03 09:00:00

先日、少し驚いたことがありました。「3~4年、冷蔵庫なしの生活をしていました」という話を耳にしたのです。

その方は東日本大震災の際、被災者が冷蔵庫を使うことができなくなって困っているという話を聴いて、「当たり前にあるものがなくなってしまったらどうなるんだろう?」との疑問が生じ、「やってみないことには始まらない」と引越のタイミングで冷蔵庫をもっていかなかったのだとか。

奥様は、最初は不機嫌そうな顔をされていたそうですが、最後は「あってもなくても変わらないよね」と承諾されたとのこと。冷蔵庫をなくそうと思った彼もすごいですが、それを受け入れた奥様はもっとすごいと思います。

さて、冷蔵庫をなくした結果はどうだったかというと、「アイスクリームが買い置きできなくなったくらいで、そんなに問題はありませんでした」とのこと。さすがに真似をしようとは思いませんが、驚きと共になんだか安心感を得ることができました。

よく考えてみれば、電気冷蔵庫は元々あったものではありません。世界初は1834年、国産第1号は1930年に作られたそうですが、一般家庭で当たり前にあるようになったのはここ60年前後のことと思います。一度覚えた便利さはなかなか捨てられないものですが、それまではなかったわけですから、なくてもやっていけることは、当然と言えば当然ですね。

“自由”という言葉があります。「自らに由る」と書きます。要するに自分の意思で行うことはすべて自由、自分の意思に由らないときは不自由ということです。その点彼は、冷蔵庫を自らの意思で捨てた訳ですから、不自由さを感じるはずはなかったといえるでしょう。

そう考えると、これまでの私たちは本当に自由だったといえるのでしょうか。もしかするとやらなければならないことに囲まれた非常に不自由な状況の中で、わずかながらの自由を得て喜んでいたに過ぎなかったのかもしれません。

逆に「何もできなくなった」今、自らの意思で何でもできる極めて自由な時間を得たともいえます。「時間があったらやろう」と思っていたことができる時間がふんだんにあるのです。まさに自由時間に溢れかえっています。

「学ぶに暇(いとま)あらずと謂う者は、暇ありといえどもまた学ぶこと能(あた)わず」(淮南子)

といいますが、まさに今、その暇が与えられています。

この自由時間をどのように活かしていくか、お互いに自らの意思で考え、実践していく時間にしていきましょう。


No.524 就人

1000nen

2020/08/17 09:00:00

先日、2022年3月卒業の学生を対象としたインターンシップの講師を務めました。初のオンライン開催でかなりの準備を要しましたが、まずまずうまくいったように思います。

しかし、インターンシップそのものが選考活動の一環となっている現状において、オンラインでその適不適を測ることは難しいと感じました。

今年度も終盤はオンライン面接でしたが、それまではリアルで会っていましたから、多少のやりにくさはあったものの、お互いに納得できる選考ができたように思います。しかし最初から最後までオンラインというのは、かなり悩ましいものがあります。

今回の内容は、15年ほど前から行っている「就職活動支援セミナー」と題するものをリニューアルしたものですから、単に「就業体験」としての内容ばかりではなく、就職活動の心構えのようなお話しも多く盛り込んでいます。

その中で「就職するな」という話をしています。就職活動をしている学生に「就職するな」とは禅問答みたいですが、これは「職業で選ぶな」という意味です。

理由は2つ。一つは求めた仕事があり続ける保証はどこにもないことです。もう一つが、入社後に与えられた仕事が求めたものでなかったら不満になってしまい、その結果、成長が阻害される可能性があるからです。

また「就社もするな」とも伝えています。すなわち「会社で選ぶな」ということ。今は良い会社であったとしても、それがずっと続く保証はどこにもありません。

私がすすめているのは「就人」です。「こんな人たちと一緒に働きたい」「この人の下で働いてみたい」「この人のようになりたい」と思える人がいる会社を選びなさい、とお伝えしているのです。

ところが、オンラインではそこのところが分かりにくいことが問題です。これまで以上に社員との接点を増やし、「就人」の見極めの機会を多く与えてあげたいと感じました。

一方で、この話をするたびに、自分自身に対して「お前は人さまから、この人と一緒に働きたい、この人の下で働きたい、こんな人になりたいと心から思ってもらえる人間になっているか」との問いを突き付けられるような気がします。

その上さらに現状では、カメラ越しにも伝わる高い人間性をもつために、より一層の努力を求められているのかもしれない、とも感じます。

そのような認識の下、お互いに「この人と一緒に働きたい」「この人の下で働きたい」「こんな人になりたい」と思ってもらえるような人間性を、より一層高めて参りましょう。


No.525 戦略

1000nen

2020/08/24 09:00:00

先日、ある地方都市の税理士先生とオンライン面談をしました。コロナの罹患者がまだ2名しかいらっしゃらないということもあって域外への出入りは憚られ、「まるで厳戒令が敷かれているような感じ」なのだとか。

そんな中、主産業のうちの観光業は壊滅状態で、「今はただひっそりとしているしかない」。一方で、もう一つの主産業の水産業は明暗を分けているとのこと。

これまで飲食業向けの出荷がほとんどだった会社は8割減、直販やスーパー・小売店向けの会社は2割増し、通信販売を行っている会社は2~3倍にもなっているところもある。

この話を聴いて思い出したのがマクドナルドで、同業他社が落ち込みを余儀なくされている中で堅調な業績をキープしている理由も、店内飲食以外に持ち帰りやドライブスルー、そして宅配と、複数の販売方法をもっていることにあると言われています。

これまで、販売先や商品についてはあまり偏りをもたない方がよいという話はしてきましたが、販売方法についても複数ルートを持つことが大切であることをひしひしと感じます。

優れた起業家に共通する意思決定プロセスや思考を体系化した「エフェクチュエーション」という理論の中に、「レモネードの原則」というものがあります。「人生が酸っぱいレモンを与えるならレモネードを作れ」といった発想で、既に手にしている手段に対する新たな目的を見出し、革新的な事業や市場を創造することを意味します。

たとえば飲食業ならば、これまで店内飲食のみであった店がテイクアウトや宅配を始めた、という話はよく聴きます。また、オンライン料理教室を始めた、などという話も耳にします。他にも考えれば、「ご自宅へ伺って温かい料理をその場でお作りします」であったり、「後は煮る・焼く・盛り付けるだけ」の状態でのお届けも考えられるかもしれません。

もっているモノは変わらなくても“打つ手は無限大”。やれることを徹底的に考え尽くし、その中で最適な答えを見つけていく、まさに今必要な思考法なのだと思います。

先の「レモネードの原則」の前提となるものに、「手中の鳥」という視点があります。

□私は誰か(独自の選好・能力・特徴・アイデンティティは何か)?

□何を知っているか(意思決定に活用され得る知識はないか)?

□誰を知っているか(アプローチ可能な社会的ネットワークはないか)?

など、既に手にしているものを考えろ、という意味です。

今からゼロベースで考える前に、まず手にしているモノから考える。ぜひみなさんもこれを機に、このような考え方でご自身のビジネスを見直してみてはいかがでしょうか。


No.526 承継

1000nen

2020/08/31 08:45:06

先日、安倍首相が辞任表明をされ、にわかに後継者問題が騒ぎの的となっています。その話題に触れるたび、事業承継対策の大切さを痛感させられます。

やはり一番思いを致すのは、後継者を決めておくことの大切さです。

特に、すべての意思決定が経営者に集中する中堅・中小企業では、空白期間は大混乱を招くことは自明の理ですから、何よりも大切なことです。

この責務は、人の命は自ら差配できるものではありませんから、現経営者がどんなに若くても逃れることができません。

最終的には誰に譲りたいのか、その者が残念ながらふさわしい年齢に至っていない場合は誰に中継ぎをしてもらいたいのかを明確にしておかなければならないのです。

ご自身が創業者である場合は、なかなか考えることが難しいかも知れませんが、「そういうものなんだ」と肚に決め、実践してみてください。ご自身が後継者であるならば、譲ってもらった大切なものをきちんと引き継ぐことは、絶対に果たすべき役割との認識が必要です。

第二に、守り伝えていってもらいたいことを明確にしておくことです。

ただし、事業そのものは、時代の変遷によって変えていかなければならないことですから、ここでいう守りつたえていってもらいたいこととは、“思い”や“信条”などに関わることです。

このような内容を、次代を見据えて明確にしていくことは、結果としてご自身の経営にとっても大切なことです。「自分の経営のために」と考えると、どうしてもいい加減になってしまうところがあります。しかし継いでもらう者を想定しながら考えると、じっくりと、しっかりと考えることができるものです。

廃業を決めていた経営者が、後を継いでくれる者が現れた途端、事業意欲に目覚め、新たな革新をし始める、という事例は枚挙に暇がありません。それほど後継者の存在は、現経営者にとって希望であり、いのちの源泉と言っても過言ではないものです。

その後継者に何を継いでいって欲しいかを考えるとき、はじめて本当の“思い”や“信条”を明確にできるものなのです。

数年ぶりに訪れた政治の世界での後継問題に触れ、ご自身の後継に憂いはないか、また明るい事業承継に向けて、改めて考えていただく機会にしていただければと思います。


No.527 人間性

1000nen

2020/09/07 09:00:00

毎月購読している月刊誌「致知」の10月号が届きました。早速、表紙を飾っている二十六世観世宗家 観世清和氏と、デザイナー コシノジュンコ氏の対談記事を読みました。

観世宗家は、それまでにあった猿楽を発展させ、「ごった煮ではなく、もうこれ以上はシンプルになれない、ぎりぎりのところまで引き算して、省いて極めた(観世氏)」現在の能の原型を完成させた世阿弥の流れを汲む、約700年の歴史をもつ家柄。やはり、事業継承のあるべき姿に通じるところがあります。

一方で、既視感というか、「どこかで触れたニュアンス」を感じながら読んでいたのですが、前月号で登場した、300年以上の歴史を持つ狂言の和泉流野村万蔵家の先代・野村萬氏のインタビュー記事であることに、途中で気が付きました。やはり続く家柄には共通点が多いものだと思います。

そのひとつが、親子の関係。もちろん、芸能の世界と経営の世界は違うのでしょうが、継承という観点からすると、学ぶべき点は多いと思います。

「真似るには相当耳が働いていなくちゃいけません。父の発する台詞を全身でとらえる心を持っていないと稽古というものは成り立たないんです」(野村氏)

「怒鳴るといったことはありませんでしたが、いつ終わるのかなと思うほど細かい、丁寧な稽古でした。とにかくできるまでやり続けるのです」(観世氏)

父子であっても師弟の間柄。そのような姿勢が会社内にも互いに存在していたら、どれだけスムーズな事業継承が実現できるかと、思わざるを得ません。

また二氏が共通して挙げているのが、いわゆる“人間性”の大切さです。

「人柄の悪い奴は舞台に出る資格はない」「技術と人間性が相俟って芸になる」(野村氏)

「どんなに謡の声がよくても、舞がシャープで腰の切れがあっても、人間性、心がなかったらだめなのです」(観世氏)

コロナ禍によって経営への影響が大きくなるにつれ、隠れていた人間性が表に出ることが多くなってきているように思います。それを感じるたびに、人間性を磨き高め続けることの大切さを痛感しています。

私たちにも、継いでいくべきものがあります。

「考えてみれば、芸能というのは長い歴史の中でいくつもの苦難を乗り越え、そこで何か新しい発見をしながら今日まで伝承されてきたんです」「そのような先人の苦労を思えば乗り越えられないはずがありません」(野村氏)

私たちも、継がせていただくことができるものを残してくださった方々に感謝し、自らの人間性を高めながら、苦難を乗り越えていきましょう。


No.528 仕事

1000nen

2020/09/14 09:00:00

先日、「おかげさまでいい仕事との出会いがありました!」と、喜びの声が届きました。2年前、「売上の20%強を占めていたお客様を失ってしまった」と嘆いておられたO社長からでした。

そのときお話しをお伺いした際に私は、単に大口顧客を失っただけではなく、ビジネスモデルそのものが老朽化していると感じ、そのことをお伝えしていました。

「そうですよね」と言われてはいましたが、残念ながら、私の思いは届いていなかったようです。5か月前に改めてお会いしたとき、「その後、5%ほど挽回したんですが、コロナで蒸発してしまいました」とのこと。その消えた上澄みは、残念ながらそのビジネスの延長線上にあるものでした。コロナのタイミングで失うことになったのですが、早晩なくなっていたのだと思います。

私は改めてモデルチェンジの必要性をお伝えした上で、次のことを質問してみました。

 「社長が本当にお付き合いしたいと感じるのは、どんなお客様ですか?」

 「そのお客様が、今一番困っていらっしゃることは何ですか?」

 「それに対して、社長の会社で何かできることはありませんか?」

そして、その答えが今回の喜びの声の内容でした。

「まさに灯台下暗しでした」というその内容は、蒸発してしまった雪の下にひっそりと隠れていた可憐な花のようなもので、新たにできたものではなく、元々あったのに目の前の仕事に追われて気付かずにいたことだったそうです。

詳しくはお伝えできませんが、「起こってから対処する」のが当たり前の業界において、「起こる前に対処する」方法を思い付き、お客様の多大な損失を回避させることができるようにされたのだとか。「損害額の10%くらい払っても全然惜しくない」と、価格競争に明け暮れていた既存事業とは打って変わって、多額の報酬を喜んで支払ってくれたのだそうです。

さらにそのマーケットは、「東海地区だけで1,000社はある」というのですから、まさに「金脈を掘り当てた感じ」と喜びを隠すことができないようでした。

こんなにうまくいく話は、そうそうあるものではないでしょうが、なくなってしまったものを追い掛けるのではなく、その下に眠る伸びる芽に目を向けることは、とても大切なことだと思います。

みなさんもこれを機に、先の3つの問いを繰り返し、足元に眠る雪下の花探しをしてみてはいかがでしょうか。


No.529 共感

1000nen

2020/09/23 09:00:00

先日、「パートナーとして育てようとしていた社員に逃げられてしまった」という方とお会いしました。仮にAさんとしておきましょう。

開業5年目で、パートさん4名の中に、昨年やっと正社員を雇うことができたというAさんは、1年間Bさんに期待し、かなりの時間を使って指導し、ときに評価して「いい関係ができてきた」と感じ始めていたとある日、机の上に辞表が置かれていたのだとか。

「心の中にぽっかり穴が開いてしまった」というAさんは、「辞めた理由がわからない」と言います。そこでこの1年の二人のやり取りをお聴きしたところ、一つのことが分かってきました。それは、「互いの期待がズレていた」ということです。

Aさんはどちらかというと多弁なタイプ、それに対してBさんは寡黙派。黙ってうなずくBさんに、Aさんは「何でも分かってくれている」と思っていたようです。その上、言われたことはそつなくこなしていくBさんに、「彼も私が期待していることを喜んでいるに違いない」と、さらに高い期待をするようになっていたのだとか。

何も言えずにどんどん自分の期待するところでない方向に進んでいくBさん。自分の本音を語ろうとしてもしゃべり続けるAさん。このギャップはこれからも解消することはないだろう、その結果が辞表だったのだと感じたのです。

「多分その通りだと思います」というAさんに私は、「士は己を知る者の為に死す」(史記)という言葉を伝えた上で、「自分の思いを伝えるのと同じくらい、相手のことを知る努力をすることが大切」とお話ししました。

一方で、開業間もなくかつ少人数の組織ですから、社員に求めるものは何よりも“共感”でなければならないともお伝えしました。入口の段階でじっくりと思いを伝え、「この指止まれ!」で真に共感を得ることができるかを確認することが大切です。

この点については、どの組織においてもパートナーとなっていく人の共通点だと思います。

「士は己を知る者の為に死す」ぜひ皆さんも、共に働く社員さんのことをどれだけわかっているか、または共感を得ているかを考えていただく機会にしていただければと思います。


No.530 採用

1000nen

2020/09/28 09:00:00

先日行われた後継者会にて、「採用してはいけない人とは、どんな人ですか?」という質問がありました。

これは、先月の会にて私が「採用においては、いい人を入れるではなく、入れてはいけない人を入れないことが大切」とお伝えしていたことに対する素直な疑問でした。

正直なところ、「入れてはいけない人」は会社ごとに異なっており、一概には言えないのですが、私の経験則からの3つの共通点をお話ししました。本日はその内容についてお伝えしようと思います。

一つ目に、写真写り。数はそれほど多い訳ではありませんが、履歴書の写真をみて、ちょっと嫌な気持ちになることがあります。しかし、会ってみると全然印象が違う。その印象に流されて採用してみると、写真を見たときの印象の理由が分かる、という感じです。写真は、意外と人の内面を映し出すものなのかもしれません。

二つ目に、第一印象。これも写真に近いのかもしれませんが、結構大事だと思います。採用する側は採用したくて会ってます。応募してきた人は採用されたくて訪ねてきています。ある意味では、キツネとタヌキの化かし合いのようなもの。第一印象に違和感を覚えながらも、話すうちに盛り上がって採用!ところが、入れてみたら全然違う。思い返せば第一印象通りだったということは、意外に少なくありません。

三つ目は、前職を辞める理由。辞めるにはそれなりの理由があります。その中にネガティブな内容が含まれることはある意味仕方がないでしょう。しかしその中でも、前職での上司や同僚などに対する人格否定と思われるような発言や、あまりにも被害者意識が強いような場合は、その矛先は採用後にあなたや会社に向けられる可能性が高いと思っておいてよいでしょう。

逆に、「前職では皆さんにお世話になりました」「今の自分があるのは前職の皆さんのおかげです」などといった感謝の言葉が伴うようであれば、入ってからもそのような姿勢をもってもらえることでしょう。

もちろんこれは中途採用時の話ですが、新卒でも部活やアルバイトなどの話の中から探っていただくことができます。

これらはあくまでも私の経験則に基づくものですが、よろしければ参考にしてみてください。

最後に、かの稲盛和夫氏は、「成果=能力×熱意×考え方」と仰っています。能力や熱意はゼロになることはあってもマイナスになることはありませんが、考え方にはマイナスがあります。

また、かのジャック・ウェルチは、「能力の高い人間は必要だ。ただし、経営理念を共有する者に限る」と言っています。

いずれも一番入れてはいけないのは、あなたや会社の考え方と一致していない人といえるでしょう。


No.531 会話

1000nen

2020/10/05 09:00:00

先週、2日間にわたり、6時間分の動画の撮影を行いました。通常リアルで行うセミナーを無観客で撮影して配信する、という形式のものはこれまで何本も撮ってきましたが、今回はNHKの「時論公論」や選挙前の政見放送のようにカメラが固定され、映し出されたレジュメに従ってただただ話すという形式のものでした。

同席して聴いていた社員から「亀井さんらしさ30%」と言われるほどやりにくさを感じると共に、初ネタも多かったこともあってか噛みまくり。業者さんの編集力にお任せするしかないほどの出来栄えで、これが記録として残るのかと思うと憂鬱な気分になってしまいました。

それはさておき、今回撮影中感じていたのがカメラの向こうに自分の言葉がスーっと抜けていくという感覚で、そのたびに頭の中がどんどん空っぽになっていき、自分が今何を話しているのかが分からなくなってしまう、ということがよくありました。

いつもであれば、目の前には聴いてくださる人がいて、良くも悪くもその人の反応を見ながら話を修正したり、繰り返したり、他の事例を加えたりできるのですが、それがまったくできません。

聴いてくださる人の存在がいかに大きいかを痛感しました。それがなくてもあれだけのパフォーマンスを発揮できる東進ハイスクールの先生方の凄さも感じましたが(苦笑)。

一方で、「これまで本当に私の言葉は聴いている人に届いていたのだろうか?」という疑問も湧いてきました。「反応があることに満足してしまってはいなかっただろうか?」「もっと相手の理解度を確かめながら話をすべきだったのではないだろうか?」という疑問です。

もちろんセミナーでは限界がありますが、1対1の対話においても本当に伝わっていたのか心配になってきたのです。

逆に、オンライン会議や懇親会においては、話される方の言葉に対する感度が高まるように思います。それくらい真剣に聴かないと相手の真意を正しく受け取れない恐れを感じるからです。終わった後はかなり疲労感を覚えるのですが、この姿勢は悪くないことだと思います。

今回の経験を通じて私は、相手の話はオンライン会議をイメージしながらじっくり聴き、私の話についてはきちんと伝わっていることを確認しようと決めました。

私との会話の中で「そうでない私」を感じられましたら、遠慮なくご指摘ください。即座に修正させていただきます。


No.532 傾聴

1000nen

2020/10/19 09:00:00

先日、ある社長とお話をしていて、とても違和感を覚えることがありました。

その方のお話しは理路整然と筋道だっていて、その上楽しい逸話が所々にちりばめられ、とても聴きやすく、わかりやすいお話しでした。

しかし、どうにもすっきりしないのです。いろいろ思いめぐらせたのですが、その理由は、話しの構成が「結論ありき」だったからなのだと思います。「いろいろご意見をいただきたい」とのことでしたが、結局、徹底的に理論武装した自分の結論の正しさに賛同して欲しい、ということだったのだと思います。

以前ある企業の不正事件についてマスコミの取材を受けたことがありましたが、そのときも、同じような気持ちになったことを思い出しました。

その取材は「事実を明らかにする」ことが目的ではなく、「その企業を悪者に仕立て上げる」ための材料集めの意図が透けて見えるものでした。だからこちらがいくら問題にはあたらないと説明しても、「でもそれは悪いことですよね?」の一点張り。1時間ほどの取材でしたが、ほとほと疲れ切ってしまいました。それ以来、マスコミの取材はお断りしています。

また、かの社長の話にはもう一つ問題がありました、それは逸話のすべてが自己体験上のものであり、話しとしては面白いけれども、結論の根拠としては極めて薄弱なものだったのです。

ドイツの宰相・ビスマルクの言葉に「賢者は歴史に学び、愚者は体験に学ぶ」というものがありますが、歴史や真理に基づかない理論立ては、やはり納得感を得られるものではないと思います。

「友人だったら楽しいけれど、部下だったら大変だろうなぁ」と感じた私は違和感を覚えたことを素直に伝え、逸話としては面白いけれども根拠としては成立していない箇所をいくつか指摘した上で、もう少し人の話に耳を傾けた方がよいとお話ししました。

その時点においては少しムッとされた様子でしたが、その後いろいろ質疑応答する中でさらに自分の考えがまとまったようで、最後はスッキリした顔で帰られました。

お帰りになった後、「人は鏡」という言葉を思い出しました。私自身も口の多いタイプ。改めて“傾聴”を心掛けていきたいと思います。


No.533 後継

1000nen

2020/10/26 09:00:00

先日、昨年末に世代交代をされた会社にお邪魔してきました。5年ぶりの訪問だったのですが、あまりの変化に最初は戸惑いを隠せませんでした。その変化とは、親子の関係です。

5年前は、私がお伺いするとまずお父様が登場し、ご息子の足らないところをあげながら、「何とか指導をお願いします」。退席されるとご子息が登場し、「僕はこんなに苦労しているんです。オヤジに言ってやってください」となる。まったく折り合うことなく、でも離れない、そんな状態でした。

ところが、今回は最初から二人そろってご同席。さらには、新社長が新たな取り組みの説明を始めると、会長になられたお父様から「本当によくやってくれている」。それに対して「いやいや、親父のおかげだよ」。正直、心の中で「えーっ!」と叫び声をあげてました。

ひとしきりお話をお伺いした後に、その変化の理由をそれとなく尋ねてみました。会長から間髪入れずに出てきた言葉は「諦観ですよ」。

諦観とは、

1 本質をはっきりと見きわめること。諦視。「世の推移を諦観する」 

2 あきらめ、悟って超然とすること。「諦観の境地」        (大辞泉)

要するに、息子に任せるしかないという本質を受入れ、手放すことを決意したということでしょう。確かに終始超然とされていました。

さらには、お父様に批判的だったご子息が、会長の言動を認め、感謝の言葉を伝えられるようになったことに関しては、「社長になってみて、いろいろ見えてきたんです」とのこと。まさに「継いでみないとわからない」ということだったのでしょう。

訪問を終え、同席した担当者と感慨深く面談を振り返る中で、「どうしたら関係改善のお手伝いができるだろうか」と頭を悩ませていたことを懐かしく思い出すと共に、何のお役にも立てないまま解決してしまったことに対しては、「案ずるより産むがやすし、だね」というところに落ち着きました。

まさに後継問題の本質を感じさせていただいた訪問となりました。

最後に「話を聴いてくれる人がいたことが大きかった」と、私たちかけていただいた労いの言葉を支えに、これからもただただじっくりとお話をお聴きしていきたいと思います。


No.534 周年

1000nen

2020/11/02 09:00:00

先週29日、当社が所属する名古屋市南区倫理法人会の30周年記念式典が開催され、参列してきました。

現在714単会のうち全国で75番目、愛知県で4番目の単会となった当会は、1988(昭和63)年4月、名古屋市南準倫理法人会の名の下、当ネットワークの創業者・佐藤澄男を発起人の一人として、また初代会長として産声を上げました。

昭和・平成・令和の3つの時代を経て、またバブル崩壊やリーマンショックなどといった経済危機や、阪神淡路大震災や東日本大震災などの天災、その他の大きな危機を乗り越えての30年は、やはり凄いことだと思います。

私自身、倫理法人会と深く関わりをもたせていただくようになったのは、平成17年に豊田支店を開設した際、ちょうど立ち上がったばかりの豊田市準倫理法人会に加入させていただいてからです。よって、豊田地区のことはある程度分かってはいたものの、当社の出自である名古屋市南区倫理法人会の歴史については、よくわかっていませんでした。

今回の式典で、その歴史の一部を知ることができました。たとえば開設当初、南区にセミナーが開催できる適当な施設がなく、場所の確保に奔走せざるを得なかったこと、中にはお寺の講堂や喫茶店などをお借りしていた時期もあったこと、出入禁止になってしまったこともあったことなど、創業期の諸先輩方の想像を超えるご苦労を垣間見ることができました。

このような歴史に触れ、改めて周年行事の大切さを知ることができました。特に創業期の苦労を知らないメンバーに対しては、きちんと語り継いでいく必要を感じました。

また、私の考えや思いにしっかりと根付いている倫理の教えですが、昭和20年に丸山敏雄先生が教えをまとめ、それを今日まで守り、継承してくださった方々がいてくれたおかげで、引き継ぐことができています。

そのことも踏まえ、会社や組織の歴史を知り、その歴史を作ってきてくださった方々への感謝の気持ちを忘れないようにするための機会は、とても大切なことだと思います。

みなさんも、改めて周年行事の大切さを感じていただき、実践していただければと思います。


No.535 対応

1000nen

2020/11/09 09:00:00

ご存知の通り、私は日本経済新聞を購読しています。もちろん、経営に関わる確かで役立つ情報をタイムリーに取得することが主目的ですが、ときに学術的に参考になるものとの出会いがあります。

ちなみに、「確かで役立つ情報」とは、

 ①出所が明確であること

 ②情報提供の目的が明確であること

 ③数値や時間などの裏付けがあること

が満たされていなければなりません。これらが欠けているものは単なるうわさ話に過ぎないとの認識が必要です。

話を戻して、先週の「やさしい経済学」は、私にとってとてもタイムリーなものでした。その内容は、慶應義塾大学 前野隆司教授の「幸せ中心社会への転換」でした。

前野教授は、これからの社会は、経済的な豊かさよりも心の豊かさが重視される時代との認識から、心的幸福の因子分析を行っておられるとのこと。その結果、得られたのが4つの因子なのだそうです。

 ①「やってみよう」とする「自己実現と成長の因子」

 ②「つながりと感謝の因子」

 ③「なんとかなる」と考える「前向きと楽観の因子」

 ④「独立と自分らしさの因子」

これを目にしたとき、正直目新しさは感じませんでした。ただ、ちょうど若手社員の動機づけに世代間ギャップを感じていたときでしたので、「そういうことかもしれない」と、少しヒントをもらえたような気がしました。それは③と④におけるギャップです。

私は経験がないことすら③の因子が高いほうですから、④は長期的に考えることができます。ところが③の因子が低い場合、「できない」との認識から目先のことから逃避しやすく、④を胆略的に外に求める、いわゆる“青い鳥症候群”に陥る傾向にあると感じたのです。

この記事を読んで以来、「とにかくやってみろ」という言い方をやめ、長期的視点に立って「どうしたらできるか?」を一緒に考えるようにしてみました。

まだ数日のことですので、具体的な成果は出ていませんが、少なくとも相談者の眉間の皺は減ったような気がしますし、手応えも少なからず感じています。

価値観の変化や世代間ギャップというものは、いつの時代にも付き纏うものです。それを嘆いて手をこまねいていては、正しい成果を得ることはできません。

11月5日の「今日の学び」にも書きましたが、

「理想を同じくする者が力を発揮できないのは、上に立つ者の責任」

です。社員の力を最大限に発揮させるためには何が必要かを考え、実践していきましょう。

なお、より詳しい内容は、教授がパーソナル総合研究所と実施された「はたらく人の幸福学プロジェクト」の結果が公表されていますので、参考にしてみてください。

慶應義塾大学前野研究室とパーソル総合研究所、「はたらく人の幸福学プロジェクト」の成果を発表はたらく幸せ・不幸せをもたらす7つの要因を特定。誰でも幸福度を測れるツールを公開 - パーソル総合研究所

パーソル総合研究所はPERSOL(パーソル)グループのシンクタンクです。お客様の人事課題に「寄り添い続けるパートナー」として、組織・人事コンサルティング、人材開発・…


No.536 改善

1000nen

2020/11/16 09:46:16

コロナ禍第三波の到来がささやかれる中、「業務の抜本的な見直しをしている」というお話しや、「したい」という相談が増えています。

中でも、「これを機に〇〇をやめました」という話はよく耳にします。

かのP.F.ドラッカーも、

「すべての仕事について、まったくしなかったならば何が起こるかを考える。何も起こらないが答えであるならば、その仕事は直ちにやめるべきである。」(『経営者の条件』ダイヤモンド社)

と述べています。まさにその通りだと思います。

「まったく何も起こらない」ほどではないものの、投入資源に見合わないものは、やはり“やめる”対象にすべきでしょう。このような視点に立ったとき、慣習的にやっていることの中で、その対象になるものが如何に多いかに驚かれることもあると思います。

一方で、やらなければならないことをきちんとしていなかったために発生していたミスやムダに気付かれる会社も多いようです。

先日も、品質保証のためのチェックリストが、チェックをすることが目的となってしまっていたために二度手間、三度手間が発生し、かつ最終チェッカーも、数多くのチェック項目をリストアップすることに喜びを感じて仕事をしていたことが明らかになった事例をお聴きしました。まさに本末転倒ですね。

それぞれの業務の目的がきちんと果たされているかも、確認しておきたいところです。

いずれにしろ、時間的な余裕ができたときには、やはり足元の見直しをするよい機会です。

□これまでやりたくてもできなかったことはないか?(時間的制約の解除)

□これまでやらせたくてもやってくれなかったことはないか?(人的制約の解除)

□これまでスポットさえあてていなかったことはないか?(感性的制約の解除)

といった視点で、すべての業務にスポットライトを当ててみてください。

なお、改善にあたっては、次の着眼点を参考にしていただくとよいでしょう。

 □業務そのものを止めてしまうことはできないか?
 □業務そのものをもっと簡単にすることはできないか?
 □業務を他の人・モノ・方法で代替することはできないか?
 □業務の順序を変更することで時間短縮できないか?
 □複数の業務を一緒にすることで時間短縮できないか?
 □複数の業務を並行して行うことで時間短縮できないか?


No.537 立場

1000nen

2020/11/24 09:00:00

数年前、「社長が細かいところにまで口を出してきて困る」と不平不満を口にしていた方と久しぶりにお会いしました。30代前半で、後継はもう少し先だろうと思っていたのですが、先代の体調不良をきっかけにして、急遽社長になられていたとのこと。

詳細は割愛しますが、そのときの不平不満の内容とは次のようなものでした。

社長は現場を離れてもう何年も経ち、今どんな状況にあるかわかっていないくせに、解決できない問題に対して、「あれは試したか?」「これをやってみてはどうか?」と言ってくる。「そんなの意味がない」と言ってるのに「いいからやってみろ」と。結局やってみても解決しない。いつもいつも「そらみたことか」となる。もう現場に口出しするのはやめて欲しい。

その彼が社長となった今、その不平不満の矛先は現場に変化していました。その内容は・・・

「もっと改善しろ」「もっとチャレンジしろ」と言ってるのに、ちっとも動かない。俺が現場にいたらもっといろいろできるのに・・・

人は、立場が変われば言うことが分かるものですね。

以前お会いした時、先代の口うるささは「経営責任の重さの表れ」とお伝えしていたはずですが、そのことは彼の耳には届いていたかったようでした。改めて説明すると、「そういうことだったんですね」と、数年越しで納得してもらえたようです。

その後、「あなたは口先ばかりで熱を感じない」「先代は思ったことがあったらどんどん現場に出て確かめようとした。あなたは不平不満を言うばかりで何も動いていない。あなたが不平不満を言うべき相手はあなた自身」と伝えた上で、先代から多くを学び、実践する必要性を訴えました。

うなだれながら「先代に甘えてました」と口にした彼から、先代の凄さ、偉大さをたくさん聴かせてもらいました。そして、「これからはもっと先代の話を聴いて、もっといい会社にするためにチャレンジしていきます!」と力強くお話しいただくことができました。

自信をもって取り組んでいたステージから、急遽未経験の場に立たされれば、誰でも不安になるものです。しかし、その不安を他者への不平不満に変換させてはいけません。やはり、その立場立場で自分自身ができる全力を尽くさなければならないのです。

「今自分が何をなすべきか」その時々にこのテーマを明確にし、それぞれのステージで全力で邁進していきたいものです。


No.538 愚痴

1000nen

2020/11/30 09:00:00

少し前の話になりますが、今月10日に後継者会が開催されました。その中で愚痴や不満を口にする人とはどんな人か、との話が持ち上がりました。

その中で参加者のF君から、「まさに先日まで愚痴や不満を口にする社員の話に付き合っていました」との報告がありました。自分の右腕になって欲しいと期待して採用した大学の後輩で、入社後は期待通り成長していってくれていたにも関わらず、できることが増えていくのに比例して、思い通りにならない現状に不満がどんどん募り、そのはけ口としてF君に愚痴るようになっていたのだそうです。

自分が採用したという責任感もあって、その愚痴の内容をできるだけ解消してあげようと真剣に耳を傾けて対応しようとしたものの、不満は少しも減らないどころか日に日に溜まっていくばかり。

そんなある日、ヤケ酒食らって飲み過ぎて遅刻した彼の口から出てきた言葉は「僕今一切罪悪感がないんです」だった。改めて彼に対する思いを伝えようとするも、すでに聴く耳を持ってはいなかった。そのときはじめてF君は、彼に対する期待は自分のエゴであって、後輩の気持ちや意思ではなかったこと、そして愚痴や不満に付き合っていることに自己満足していたことに気づいたとのこと。

その話を耳にした先輩社長のMさんから、次のような話がありました。

「目に付く、気に入らない相手というのは自分と同じことをやっているもの。そしてその相手に言っていることは自分ができないことが多い。」

確かにF君は愚痴ボヤキが多かった。私からも、「彼はあなたの鏡、あなたの想いがすべて集約されたのが彼」だとお伝えしました。

また、「自分が良かれと思って言っていることも、相手にとってプラスじゃないこともある」とした上で、育児書を読むことを薦められました。「子育ては無条件で愛し育てていくもの。そういう本を読むと人との関わりに変化がある」とのこと。

私は、愚痴やぼやきを口にする人は、「構って欲しい」「分かって欲しい」「認めて欲しい」という欲求が強い人だと思っています。だから、その一つ一つの内容にはそれほど意味はありません。意味がないものに応えていってもいい結果が出るはずがないのです。

よって、まずはとことん話を聴く。その上で、「あなたなら乗り越えられると思っている」と伝える。話を聴いてくれて、その内容をわかってくれたその上で「乗り越えられる人だ」と認められる。そのことによって人は激変するものです。

愚痴やボヤキ、不平不満を耳にすることは心地の良いことではありませんが、その人を革新させるチャンスでもあるのです。

「会社に入ってくれた人の人生をプロデュースするのが経営者」と認識し、そのチャンスをうまく活かしていっていただければと思います。


No.539 期待

1000nen

2020/12/07 09:00:00

先日、創業13年目を迎えるある社長と4年ぶりにお会いしました。前回お会いした際には社員数8名程度だったのが、20名を越えるまでになっておられましたので、「順調ですね」とお伝えすると、「全然です」との答え。当時の社員は全員退職し、現在の社員のほとんどが3年以下。「入っては辞め、入っては辞めの繰り返しです」と嘆息されました。

「全然思い通り育たないんです」と言われる社長に、「どんな社員に育ってもらいたいのですか?」とお尋ねすると、「積極的」「前向き」「自主的」などといったキーワードが上がるのですが、どうにも具体的なイメージをつけることができませんでした。

そこで、これまでの社員さんを頭に浮かべたとき、どんな言動をする人を評価するかを尋ねました。

・時間を意識して仕事をする

・きちんと報告してくれる

・お客様にいろいろ提案する

などの具体的な内容が上がってきました。またその内容は至極当たり前のことで、決して理解されにくいものではないと感じました。

そこで、やって欲しいことをきちんと伝えているかをお聴きしたところ、どうにも歯切れが悪い。

「以前は口酸っぱく言っていたんですが、ある社員が辞めていく際に、「社長は細か過ぎる」と捨て台詞を言われてから、あまり言わないようになってしまった」とのこと。

そのあたりから歯車が狂ってきたようです。思っていることがあるのに口にしない。結果として行動が起こらない。それに不満を感じながらも言えないフラストレーションが溜まり、社長の態度に表れて会社の雰囲気を悪くし、社員は居たたまれなくなって辞めていく。そんな悪い循環が生まれているのではないかと感じました。

そこで、次のような提案をしました。

・まずは今の社員さんの言動の中で、いいところを具体的にリストアップする。

・その言動を、会社の規範となる言動としてまとめる。

・そのような言動をする社員さんを褒めちぎり、他の社員さんにも同様の言動を求める。

これであれば「口酸っぱく」とは言われませんよね。それどころか、褒められた人はその言動をさらに意識してするようになるでしょうし、見本となる人がいるのですから、他の人も真似することが容易にできるようになります。

期待はきちんと伝えなければなりません。但し、伝え方というものはあります。ぜひ好ましい伝え方を実践し、喜んで期待に応えてくれる社員さんを育成していっていただきたいと思います。


No.540 同行

1000nen

2020/12/14 09:00:00

先日、久しぶりに当社社員の営業に同行してきました。

入社2年目の彼は、物腰も柔らかで、初回訪問先ながらスムーズに面談を開始することができていました。

ところが具体的な話に入ると雲行きが怪しくなってきました。具体的には、

・先方が何を期待しているかも確認しないまま、知り得た情報を繰り出していく。

・先方の話が終わりかけると、明らかに自分が話す内容を考え始める(視線が逸れる)。

・先方がせっかく商談のヒントを与えてくれているのにスルーする。

・自分が見込んだ課題が出てくると、一気にまくしたてる。そして、それが本質的な課題でないことがわかると、言葉を失う。

などなど、若手営業マンが陥りがちな対応に溢れていました。

30分ほど経過した段階で、溜まらず話を引き取ることになりました。

商談終了後、自分と私の商談の違いがどこにあると思うかを確認したところ、「私のときは、私がほとんど話していましたが、亀井さんのときは、先方がほとんど話されてました」との回答。まさにその通り。

その上で私は、次のようにアドバイスをしました。

 ・人は、人の話を聴くよりも、自分の話がしたいもの。どんな情報を提供するかではなく、どんな質問をするかを考えること。

 ・先方の話が終わるまで、先方の目を見て、先方の一言一句を聞き逃さないようにすること。自分の話は、先方の話が終わった後に、相槌やオウム返しをしながら考えればいい。

 ・商談にあたって仮説を立てることは悪くないが、絞り込み過ぎないこと。絞り込み過ぎると先方が出してくれるヒントに気付かない。まずは切り口となるヒントを逃さないよう、細心の注意を払って聴く耳を立てる。

どこまでわかってもらえたかはわかりませんが、少なくともそれ以降の彼は、私の話を最後まで聴いてくれるようになりました。

人の成長は、経験年数ではなく経験量だと思います。しかし多くの経験を積んでも、その内容が浅薄なものであれば、せっかくの経験が十分に活かされません。

「たまには同行も悪くないな」と感じた一日でした。


No.541 仕事

1000nen

2020/12/21 09:00:00

先週、嬉しい報告が立て続けに2件ありました。ひとつが、入社3年目の若手社員が、今年立ち上げたばかりの新サービスの初受注を決めてくれたこと、もうひとつが、今年の新入社員が初講師を無事務め上げてくれたことです。

彼ら自身も大きな自信をもつことができたようで、さらなるチャレンジをしていってもらいたいと思っています。

そもそも「仕事の報酬は仕事そのもの」です。一生懸命に働いたときに自ずから湧き上がる心からの喜び、その結果、何かを生み出し、何かを達成したときの充実感、その上に、お客様や周りの人たちから「ありがとう」と感謝の言葉をいただく感動以上の報酬はありません。

金銭としてもらえる給料や賞与などは、その本質的な報酬の上乗せ分といっても過言ではないでしょう。

さらに、仕事は仕事ができる人に集まるものです。一生懸命に働いた結果、より一層やりがい、働きがいのある仕事をさせていただけるようになる、これ以上の報酬はありません。

これこそが仕事の真理といえるものです。

その意味において、若い彼らに今回のような仕事の真理を実感できる具体的な場と役割を与えてくれた上司たちにも感謝したいと思います。

一方で、いまだそのことが理解できない人には、理解できるだけの経験を積んでもらわなければなりません。

さらには、その経験を通じて正しく真理に気付いてもらうために、

□我が社は何をもってこの社会に貢献をしようとするのか

□その貢献に対して、社員にどのような役割と成果を求めるのか

□結果として社員にどのような喜びや感動、または満足を感じてもらおうとしているのか

を明確にしておく必要があります。

ぜひ皆さんの会社においても、全社員が仕事に真理を手にすることができるよう具体的に検討し、それに基づく場と役割の提供をしていっていただきたいと思います。


No.542 昇進

1000nen

2020/12/28 09:49:00

先週、ある研修の講師を務めさせていただきました。受講生7名のうち5名が今年昇進され、新たに役員になられた方でした。

その方々の1泊2日の研修内における言動を通じて、昇進、それも単なる部門長ではなく、役員という重責を新たに担うことになった方の共通点が見えてきました。

部門長の場合は、昇進後の役割はそれまで担ってきた仕事の延長線上にあり、また上司の日ごろの言動から何となくイメージできるものです。また、「自分が部門長になったらこうしたい」という思いは必ずどこかにあるものですから、それほどの戸惑うことはないものです。

ところが役員となると話は別です。経営という全く未知の世界に入っていくわけですから、まさに右も左もわかりません。「何をしたらいいかわからない」という状況に陥ってしまったとしても、仕方がないことでしょう。

一方で、任命する側はそれほどおおごとだと思われていない節があります。もちろん、自分の分身として共に経営責任を負ってもらおうというわけですから、任命までには何度も迷い、悩み、躊躇されるものです。しかしいったん指名してしまえば、「あとは頑張って」と、その人の自力に委ねられてしまうことが多いようです。

その結果、周囲は経営者として会社全体のことを考えて行動して欲しいと思っているのに対して、何をしていいかわからない彼らはより一層目の前の仕事に励むようになる。ところが、いくら頑張っても周囲の評価が上がらないことを感じて、さらに日常業務に埋没していくという負の循環が進み、広がっていく。5名の共通点は、そんなところにありました。

新任役員に対して「期待外れだった」との声を耳にすることがありますから、このようなギャップは少なくないものだと思います。しかし、その原因が彼らにあるとは言い切れません。少なくとも、役員するほど買っていた方です。期待通りでないのは「何をしたらよいかわからない」だけであり、それさえ明確になれば必ずや力を発揮してくれるものだと思います。

彼らには、「役員になるとは青虫から蝶になるのと一緒。役割はこれまでの延長線上にあるものではない」とした上で、役員として周囲がどのような期待をしているのか、またその期待に応えるために自分が果たすべき役割は何かを明確にするようにお伝えしました。

任命する側のみなさんも、役員としての心構えと期待を昇進時にちんと伝え、具体的な役割を示し、共通の認識にすることを徹底してみてください。それさえできれば必ず期待通りの活躍をされるものと思います。


No.543 干支

1000nen

2021/01/12 10:14:00

明けましてお目出度うございます。今年もどうぞ宜しくお願い致します。

今年も恒例の干支の解説から1年を始めましょう。

2021年の干支は“辛丑(かのとうし)”です。

“辛”は、秋の終わりで木々は枯れ、実は落ち、次の世代の種を大地に還す状態で、その字のごとく「痛みを伴う幕引き」を意味するそうです。

一方“丑”という字は、発芽直前の曲がった芽が、種子の硬い殻を破ろうとする命の息吹を意味し、種子の中に今にもはち切れそうなくらいの生命エネルギーが充満している状態なのだそうです。

また、辛と丑は、相手の力を生かし強め合う“相生”の関係とのことで、「辛いことが多いだけ、大きな希望が芽生える」年といえるのだとか。

「辛いこと、ドンと来い!」という気持ちになれますね(笑)

前年の“庚子(かのえね)”は、それまでに培ってきたもののうち、削ぎ落すべきものは勇気をもって捨て去り、継続すべきものは徹底して維持しつつ、新しい時代に合致した新しい自分へと変化させていくことが大切な年でした。

もしかすると、これから起こる辛いこととは、前年にやり残したことの結果かもしれません。改めて見詰め直してみてはいかがでしょうか。きっと綺麗な幕引きと、素晴らしい芽生えがもたらされることでしょう。

改めて変革への強い意志をもち、焦らず弛まず堅実にことを進めていく。そんな1年にしていきたいと思います。


No.544 言葉

1000nen

2021/01/18 09:36:00

このところ、「言葉が通じない」という嘆き声をよく耳にします。

もちろん「今の若いもんは」という枕言葉に代表されるように、世代間のギャップは以前からありました。しかし、今起こっているギャップは、どうもそれだけでは済まされないように感じます。

特に顕著なのが、「もっと相手のことを考えて」とか、「もっと先を見て」といった、“今の自分”の外に存在するものに対する感性が劣ってきているように感じます。

よって、何かを伝えようとする、または何か指示をする場合には、「それくらい言わなくてもわかるだろう」は禁物です。「自分にとっての当たり前は、彼にとっては当たり前ではないかもしれない」という前提で話をする必要があるのです。

一方で、「言われたことしかやらない」という嘆きも聞こえてきます。「それくらい言われなくてもわかるだろう」ができないのですから、当然のことかもしれません。

しかしこの点については、「言われたことはちゃんとやる」わけですから、決して悪いことではありません。「言われたことができない」よりは、かなり優秀と言えるでしょう。

いずれにしろ、一昔前は「言わなくてもわかっていた」ことが通じなくなってきているという事実は、きちんと受け止める必要がありそうです。

このような状況を打開するためには、やはり“言葉を尽くす”ことが大切です。それも、できる限り明文化し、その文書に基づいて繰り返し繰り返し説明し、伝わっていないことがないかを確認し、ズレがあるようであればさらに詳しく説明する。そういう姿勢が必要なのです。

一見、無駄な時間のように感じるかもしれませんが、彼のこれからの長い仕事人生を考えれば、大した時間ではありません。

それどころか「言われたことはやる」のですから、心底理解・納得してもらえたときには、これほど心強いことはありません。まさに『急がば回れ』なのです。

また、「言わなくてもわかるだろう」で曖昧にしてきたことをはっきりさせるよい機会になるともいえるでしょう。

これを機に、より一層“言葉”を大切にし、かつ徹底して伝えていきましょう。


No.545 ビジョン

1000nen

2021/01/25 09:34:38

先日、講演会でお話しさせていただいた後、ある社長がご挨拶に来られて一言、「社員の言っている意味がやっと分かりました」とのこと。

その社長は社員さんからことあるごとに「社長には夢がない」と言われていたのだそうです。しかし社長からすると「売上〇億円」「業界No1」と毎日のように口にしていて、「夢がないと言われる意味が分からない」と感じられていたのだとか。

今回の私のお話は、“経営ビジョン”に関わるものでした。経営ビジョンとは、経営の理想像・未来像であり、経営理念を実現するための具体的なゴールを示すものです。

経営ビジョンには大きく分けて、“定量的”ビジョンと“定性的”ビジョンの2種類があります。

定量的ビジョンとは、売上高や社員数などの数値で具体的に表現されるビジョンです。まさに社長が掲げられていたものはこれに当たります。

それに対して定性的ビジョンとは、会社としてのあるべき“状態”を表すものです。具体的には、「〇〇NO.1」「日本一〇〇カンパニー」「〇〇を続ける会社」「〇〇があふれる会社」などと表現されるもので、〇〇の中には、たとえば、下記のような文言が入ります。

□会社の雰囲気 :アットホーム、笑顔、快適、共感

□社員のありよう:成長、幸せ・豊か、健康、努力、満足、挑戦

□会社の印象 :信頼、魅力的、フェア、革新・クリエイティブ・先進的・リーディング、独自・オリジナリティ

社長が「私にはこれがなかった」と思われたのが、この定性的ビジョンでした。

アメリカ・ノックス大学のカイザー博士の研究によれば、「○○円の売上を達成する」(物質主義的な目標)を設定した人たちは、目標を達成している、していないにかかわらず、時間が経つにつれて幸福感が次第に下がる傾向にある一方、「地域の人5000人を笑顔にしたい!」(心の豊かさ)を目標にする人たちは、こちらも目標を達成している、していないにかかわらず、時間が経つにつれて前向きで、幸福感・充実感が次第に高まる傾向にあるのだそうです。

「売上や規模を追っかけてここまで来たが、それは私のつまらないエゴや見栄に過ぎなかった。社員たちが求めているものに気づいていなかった」と反省の弁を述べられ、「魅力的なビジョンを掲げてみます!」と意気揚々帰って行かれました。

社員の心に火をつけるのは、こうした定性的なビジョンなのだと思います。ぜひこれを機に、魅力的なビジョンを再検討されてはいかがでしょうか。


No.546 理念

1000nen

2021/02/01 09:00:00

このところ、「理念を見直したい」「理念を徹底したい」というご相談が増えてきました。緊急事態宣言が発令されるような状況の中、とても好ましいことだと思っています。

先日も、ある後継社長から「なかなか理念が浸透しない。どうしたらよいか」というご相談を受けました。

そこで、次のような質問をさせていただきました。

 □創業者であるお父様は、どのような思いでこの理念を明文化されたのですか?

 □その理念をどのような思いで継承されたのですか?

 □どのような行動を取ることが、理念の実現に繋がりますか?

しかし、残念ながら的確な回答を得ることはできませんでした。

よくよく聞いてみれば、自分の思い通りに動いてくれない社員に対して、「理念行動ができていない」という言葉を伝家の宝刀にしていただけだったようです。

そういう状態にあるのではないかとお伝えした上で、

 「社員に理念行動を求めるならば、ご自身が理念の最高実践者にならなければならない」

 「理念は、自らの言動によって浸透させていくしかない」

とお伝えし、まずは上記の3つの質問に対して、ご自身の答えをきちんと持ってもらうよう、お伝えしました。

今年の1月21日の「今日の学び」で

 「他人に自責を求める時点で、既に他責」

と掲載しました。今回の後継社長も、まさにそのような状態にあったのだと思います。

こういう時期だからこそ、改めて理念を見直し、浸透させていくことはとても大切なことだと思います。

そしてその浸透には、何よりも自らの意識改革と実践こそが必要です。ぜひこれを機に、理念の浸透についてじっくりと考えていただければと思います。


No.547 会議

1000nen

2021/02/08 09:00:00

先週、ある部署の会議に参加させてもらいました。「改善点があったら指摘して欲しい」とのことでしたが、多少のアドバイスをさせてもらったものの、参加者全員が積極的に発言するなど、全体的にとてもいい会議でした。

とりわけよかったのは、常に部門ミッションに照らし合わせて会議が進行していたことでした。自分たちの使命は何なのか、どんな役割を担う必要があるのかを全員が意識して考え、発言できていたと思います。とても嬉しく感じました。

その状況が実現できているのは、会議の進め方がよかったのだと思います。

まずリーダーが当期部門方針と目標を確認することからスタートしました。これはとても大切なことです。それらの内容は「もう言わなくてもわかるでしょ」となりがちで、具体的行動の実施状況確認から入ってしまうことが多いものですが、手段の検証ばかりしていると、いつの間にか目的からずれていってしまうことも少なくありません。

また、繰り返し確認することによって、それぞれが認識している内容の微差に気づき、早めの修正・統一を行うことも可能になります。

さらには、状況の変化などによって、目的そのものも見直す必要がある場合もあるでしょう。

いずれにしろ「わかってるでしょ」は禁物で、常に「本当に同じ思いでいるだろうか?」を確認する必要があるのです。

もう一つ良かった点は、質問が多かったことです、自分の意見を述べることは、ある意味「言ったら終わり」ですが、質問には相手の反応という続きがあります。よって、質問が多いということは、好ましい人間関係が構築されている証拠ともいえます。質問は好ましいコミュニケーションが図れているかどうかを測るバロメーターなのです。

また、質問とは「知りたい」「もっとよくなりたい」という成長意欲のバロメーターでもあります。

いずれにしろ、質問が飛び交う理想の会議が実現できるよう、まずは会議の目的そのものが、イキイキ・ワクワク・ドキドキできるものとし、常に正しく受け止められているか確認しながら、会議の活性化を図っていただければと思います。


No.548 変革

1000nen

2021/02/15 09:00:00

先日、千年経営研究会の月例会がオンラインで開催されました。通常は、名古屋・岡崎・豊橋・三好それぞれの会持ち回りでの開催ですので、なかなか他会のメンバーが集うことは難しいのですが、オンラインとなってすべての会のメンバーが揃い、とても有意義なひとときを過ごさせていただきました。

その中でも、Mさんの近況報告は秀逸でした。

自動車部品を製造するM社では、他に違わず、昨年4月ごろから仕事が激減、ラインを止めざるを得ず、製造メンバーにはお休みいただいたとのこと。

しかし、設備担当の社員はフル稼働で、機械が動いているうちは手を付けることができなかった生産性向上のための改良を徹底的に行われた。

その結果、秋口から戻った受注に即対応。またその後に入ってきた過去最高の受注量にも人を増やすことなく稼働させることができたのだそうです。

私は常々、「苦難のときこそ原点に戻って考える必要がある」とお話しています。業界の原点、商品・サービスの原点、自社創業の原点、などなど・・・

そのうえで、

□これまでやりたくてもできなかったことはないか?(時間的制約の解除)

□これまでやらせたくてもやってくれなかったことはないか?(人的制約の解除)

□これまでスポットさえあてていなかったことはないか?(感性的制約の解除)

など、今しかできないことを徹底的に考え、実践することが大切です。

ときに、不況に陥ってから新規開拓や新商品開発などに取り組む人がいますが、正直なところ時既に遅しで、不況になってから動いても魅力的なものは残ってません。それまできちんと種蒔きしてきた人だけが、不況時にもおいしい果実を手にすることができる、そういうものだと思います。

十分な種蒔きができていないのなら、より一層仕事がないときにしかできない内部の変革に取り組まなければなりません。「外はガラクタ、宝は内にあり」ということです。

晴耕雨読ではありませんが、晴れた日は晴れた日に、雨の日には雨の日にやるべきことがあります。

「今の今、何をなすべきか?」この問いに対する答えを、真摯に実直に実践していっていただければと思います。


No.549 歴史

1000nen

2021/02/22 09:00:00

先日、ある雑誌を読んでいたところ、次のフレーズが目に留まりました。

「人生はボートを漕いで未来に向かうようなもの」

確かにその通りですね。ボートが進む先は背中の後ろ、見ることはできません。目の前に映るのは、通り過ぎてきた景色と波の跡。

「先が見えなくなった」との話をよく耳にしますが、元々先なんて見えていません。見えているように錯覚していただけです。「元々見えていないことに気が付いた」というのが真実なのだと思います。

では、先が見えない状況で何をすればよいのでしょうか。「通り過ぎてきた景色」とは、人類が経験してきた歴史、漕いできたボートの「波の跡」を自分自身の人生航路と考えれば、その答えが見えてくるように思います。

よく考えてみれば、これまでの人類の歴史の中で、越えられない苦難はありませんでした。

日本を考えてみても、100年に一度といわれたリーマンショック。1,000年に一度といわれた東日本大震災。さらに遡れば、バブル崩壊、阪神淡路大震災、大東亜戦争、関東大震災、明治維新。戦争がなかった江戸時代でさえも、4回にわたる大飢饉を経験しています。「仕事がない」どころか、食べるものさえなかった時代があった・・・

私たち日本人は、あまたの苦難を乗り越えてきました。乗り越えられない苦難はこれまで一度もありませんでした。今回も、乗り越えられないはずはありません。

またその雑誌には、「歴史は、人生の修羅場を疑似体験させてくれるもの」とも書いてありました。

世の中がバレンタインで浮かれた2月14日。東北ではまたもや震度6強、マグニチュード7.3の大きな地震に見舞われました。東日本大震災から10年。まだ心の傷が癒え切れていない中での揺れに、どんな思いで過ごされているのでしょう。

それを思えば、弱音を吐いている暇はありません。

まずは歴史に学びましょう。歴史は繰り返しています。そして、苦難を乗り越えて来た実話が詰まっています。これを活かさない手はありません。

「歴史は苦手で」という声が聞こえてきそうですが、その人には、不安を口にする権利はないと思います。不安というならば、まず不安を解消する最強・最良の材料に真摯に向き合う、そういう姿勢が必要だと思います。

私たちは、過去を見据えて、見えない未来に向かっています。自分のこれまでの人生を振り返りつつ、真摯に歴史に学びましょう。そして、喜んで、楽しんで、前向きに、苦難に向かっていきましょう!


No.550 負債

1000nen

2021/03/01 09:00:00

先日、ある後継者から、「社長が年商を超える設備投資をしようとしている。その価値はよくわかるが採算に不安がある。本当にしていいか迷っている」という相談を受けました。

いろいろ話を聴いていく中で、「設備投資そのものではなく、あなたの代にまで残るであろう借金が不安なのではないか?」と尋ねました。まったくの的外れではなさそうでした。

そんな彼に私は「10億の借金を残されるのと、10億の預金を残されるのと、どちらが幸せな後継者かはわからない。ただ、10億の借金を残されて、それに真摯に向き合うことができた経営者は強い」とだけお伝えしました。

この相談を受けた前日に、有楽製菓 株式会社の河合伴治会長とお話をする機会がありました。

本来であれば、来る3月27日に開催する千年経営研究会総会後の講演会にリアルでご登壇いただく予定だったのですが、このような状況の中、総会はオンライン開催で、講演会も動画配信となりました。

その動画の前撮りのためにご足労いただいたのですが、お話をさせていただく中で、「機械が半分動かないほど業績が悪化していた工場の立て直しに、金も人も機械も何も与えてもらえなかった。でも、今から考えればそれがよかった」との話がありました。

内容は違えど、同じことだと思います。そのときには“負”としか思えないものが、実はその後の力になる。

一方で、「今の借金を完済してから会社を譲る」という社長がいらっしゃいますが、それはおやめになった方がよいと思います。結局は、引退しない言い訳を作るようなもの。「借金を残すのが譲る者の務め」くらいに思っていただいてちょうどいい。もちろん、未来に価値あるものを残すための借金に限りますが・・・

いずれにしろ、負債は財産を生むための原資です。前向きにとらえていい。みなさんにもこれを機に、その意味を噛みしめていただきたいと思います。

なお、河合会長のお話は、このメールを受け取ることができている皆さんはお聴きになることができます。また、関心のある方をご紹介いただいても構いません。参加申し込みをしていただいたうえで、後日配信されるアドレスからご聴講ください。

とても素晴らしいお話でした。聴き逃されることがないよう、ご案内致します。


No.551 チーム

1000nen

2021/03/08 09:00:00

コロナ禍で「会えない」「話せない」という状況が続いている中、「チームワーク」の維持・向上に対する関心が高まってきているようです。

先日も、「どうすれば離れていても好ましいチームワークを維持することができるか?」という質問を受けました。それを受けて、改めてチームワークについてその考えを整理してみましたので、皆さんにもご紹介したいと思います。

まずチームとは、「ある目的のために協力して行動するグループ」(大辞泉、以下同じ)と解説されています。ちなみにグループとは、「仲間・集団」「共通の性質で分類した人や物の一団・群」とのことですから、その違いは、「協力して行動する」かどうかにあるようです。

そのチームでワーク(仕事・勉強・研究)するのですから、チームワークとは、

「チームのメンバーが一つの共同体となり、同一の目的・目標に向かって助け合い、お互いの弱点を補完しながら強みを活かし合い、個人一人ひとりでは達成できないより大きな成果を成し遂げるような働き方」

といえるでしょう。

ということは、そのチームワークがよいものであるためには、少なくとも次の5つの条件が必要であると考えられます。

目的・目標が共有されている
目的・目標達成のためになすべきことが明確である
そのなすべきことについて、メンバー各自の個性にマッチし、かつお互いの弱みを補完するように役割が分担されている
それぞれが分担された役割を全うしつつ、お互いに協力し、高め合っている
業務を円滑に進めるためのルールが守られている

ぜひ一度、皆さんの会社で上記5条件が満たされているか、確認してみてください。そして不足すると思われる点があれば、これを機にその充実を図っていただければと思います。

目の前にいるとなんとなく「わかってるつもり」「できてるつもり」になっていたことが多かったのではないでしょうか?しかし今、「会えない」「話せない」中で、その不足が明確になってきた、という点も多いと思います。

コミュニケーションとは、「会って話をすること」ではありません。「お互いに考えていること、思っていること、感じていることを分かり合うこと」です。その方法は、いくらでもあります。あらゆる方法でコミュニケーションを図りつつ、より強固なチームワークを発揮できる組織にしていっていただきたいと思います。


No.552 感謝

1000nen

2021/03/15 09:00:00

先週の土曜日、甥っ子の結婚式に参列してきました。2回に亘る延期の末の開催でしたが、感謝の言葉にあふれた、とてもよい式でした。

よく考えてみれば、結婚式にしろ卒業式にしろ葬式にしろ、“式”がつくイベントは、何らかの感謝の気持ちを伝える、とても大切な場です。

ところが、このコロナ禍で実施が難しくなっています。来週は私の次女の卒業式ですが、実施はされるものの、かなり規模を縮小してのものになるようです。

一方で、「このコロナ禍で」とは書きましたが、過去には1年に11回も呼ばれていた結婚式も、今回が実に3年ぶり。またお葬式もコロナ前から参列する機会が極端に減っているように思います。

「家族のみで」ならまだしも、それさえも行われなくなってきているようで、お葬式に至っては、直葬などというお世話になった人をモノのように扱うやり方があたかも市民権を得たような印象さえあります。極めて憂うべき状況にあると思います。

しかし、この流れはコロナが明けたからといっても変わることはないでしょう。一度覚えてしまった“楽”を、人は手放すことができないからです。

よって、“式”があるからこそ思い起こすことができる感謝の気持ちを、日常の中で感じることができる何かしらを考え、実行に移していくことが大切になるのだと思います。

これまでも「サンキューカード」や朝礼などでの「褒め合い活動」など、さまざまな取り組みをされている会社がありますが、それぞれの組織風土にマッチした方法を考えていただきたいと思います。

ただし、このコラムをお読みいただいている皆さんには、ぜひ“式”を大切にしていただきたい。“式”には必ず意味があります。その意味を深く理解し、その実現に心を尽くし、その価値を大いに現実のものとしていただきたいと思うのです。そしてその内容を、ご家族に、そして社員さんにお伝え、広めていってください。

今回の結婚式は、世の中には変えてはいけないものもあること、そして感謝の気持ちの大切さを改めて感じることができる機会となりました。


No.553 承継

1000nen

2021/03/22 09:52:54

先週、立て続けにその座を譲られるタイミングが近いおふたりの社長様にお会いしました。

おひとりは、ご子息が35歳でご自身63歳の4代目社長。「私は42歳で社長を引き継ぎました。息子にも同じ年で継がせるのが私のプランです」とのことでした。

私は「それはプランではありません。ただの先延ばしです」とまでは言いませんでしたが、「今すぐでも早くはありませんよ」とお伝えしました。

少々驚かれたようですが、「社長の修業は、社長にならないとできない」「並走期間は長い方がいい」との話に、少しは得心いただけたようです。ただ、突然の異見だったこともあってか、すぐに心変わりをされるような気配はありませんでしたが・・・

もうおひとりは、ご子息42歳、ご自身69歳の創業社長。「息子はまだまだ足りない。何なら社員の中から探そうかと思っている」とのこと。

私は「もう遅い」とまでは言いませんでしたが、「ご子息がよろしいと思いますよ」とお伝えしました。

もちろんご自身の中でも「本当はそれがいい」と思われていたのでしょう。腕を組み、唸りながら考えこまれる社長に、「後継者に創業者の気迫を求めること自体、酷というものです」「社員から社長を選ぶ努力と時間を費やすより、社員が気持ちよくご子息を担げるようにしてあげてください」との話に、霧が晴れたようなご様子で、「なるほど!」と力強くお答えいただくことができました。

おふたりとのやり取りを通じて、事業承継のあるべき姿を伝えていくことの重要性と、私たち千年経営研究会の社会的意義を改めて感じることができました。

今週土曜日の3月27日、その千年経営研究会主催の講演会が開催されます。今回の講師は、あのブラックサンダーで名を馳せた有楽製菓株式会社の取締役会長 河合伴治さんです。二代目として会社を継ぎ、業績を5倍以上に拡大し、そしてご子息に三代目として社長を譲られたその経験を踏まえ、事業継承において大切なことを余すことなく語っていただきます。

今回は残念ながらオンライン開催ですが、逆にお気軽にお聴きいただけることができると思います。ぜひ万障お繰り合わせの上、ご聴講されることをお勧め致します。


No.554 総会

1000nen

2021/03/29 09:00:00

先週の土曜日、私ども千年経営研究会の総会が開催されました。昨年は、代替策を打つこともできないままに中止となり2年ぶり、さらには諸般の事情を鑑みてオンラインでの開催となりました。

皆さんに直接お会いできなかったのは残念でしたが、それでも総会初参加の方も多く、その意味ではオンラインでよかったとも感じています。

新年度においては、これまで各会持ち回りで、それぞれの場所で行っていた月例会をオンライン開催とすることにしました。開催場所に縛られることなく参加できます。多くの方にご参加いただけることを楽しみにしています。

また、各支部からの活動報告をいただきましたが、リアル開催ができない中でそれぞれが工夫を凝らしていただき、この1年間で11社のご入会をいただくことができました。皆さんの努力に心から御礼を申し上げるとともに、私たちの活動が価値あるものであることを証明されたと、とても嬉しく思います。

総会終了後には、あのブラックサンダーで有名な有楽製菓 株式会社 取締役会長 河合伴治氏にご講演いただきました。

自らが二代目として会社を引き継ぎ、またご子息にバトンを譲られた氏は、まさに事業承継の王道をいく取り組みを実践されておられました。

・正義を持つことは大切だが、振りかざしてはいけない。

・継ぐ者、譲る者がもめている会社は、社員が不幸。

・親への感謝の気持ちを持つことが大切。

など、珠玉の言葉に満ち溢れたお話でした。その内容は、また改めてお伝えする機会を設けたいと思っています。

いずれにしろ、来月から新たな年度を迎えます。おととし6月からスタートした後継者会も、よい形になってきていますし、各会においてもさらなる工夫と努力を約束いただいています。ぜひ多くの方にご参加いただき、素晴らしい事業承継の礎を作っていっていただきたいと思います。リアルで、オンラインで、お会いできることを楽しみにしています。


No.555 苦難

1000nen

2021/04/05 09:00:00

先日、100%子会社の社長を務められているAさんから相談を受けました。

社長に就任されて3年。「あなたに任せる」との言葉通り、口出しも、配当の要求などもまったくないまま、本当に自由にさせてもらっていたとのこと。

ところが先月、「まったく報告がないとはどういうことか」とのお叱りを受けられた。何も言われないことに安心してしまい、果たすべき責任を放棄してしまっておられたのです。

「叱られても仕方がない」と反省の弁を口にされるものの、その見返りとして求められた報告事項は実に細かく、「こんなことまで報告しなければならないのか」と少々不満なご様子。

また、業績に対して想像を超える要求が提示され、「どうすればよいかまったくわかりません」とうなだれながらのご相談でした。

そこで、まずはこれまでの対応は間違いなく反省すべき内容であることであり、そのことをきちんと自覚されていることを確認したうえで、「よかったですね!」とお伝えしました。

一瞬の驚きのあと、怪訝な顔をされるAさんに、次のようにお伝えしました。

「高い要求は、もっと成長できる可能性があるという証。自由にやれた結果、得られたはずの成果をみすみす逃していたかもしれないと気づかせてもらえたということ。」

さらに「これまでは何でも思い付きでやってきた」という彼に、

「高い要求は、きちんとした計画を立案しなければ実現できない。それを考える機会を与えられた。本当の経営者として革新を図れる最良のチャンスがやってきた。」

と示唆したうえで、具体的な考え方をお伝えしました。解説をさせていただくうちに、みるみる目に輝きが生まれ、帰り際には「楽しみながら考えてみます!」と笑顔を浮かべられるまでになりました。本当によかったと思います。

倫理法人会では、苦難は幸福へ誘う門燈であると教えられます。苦難には必ず意味があります。その意味をはき違えると、さらに苦難は増していくことになります。もし彼が高い要求に対して怒りで返してしまっていたら、彼はその立場まで失っていたかもしれません。

しかし捉え方を変えるだけで、希望となる。

今みなさんも、苦難と感じることがあるかもしれません。そうであるならば、少し見方を変えてみてください。振り返るとそこには明るい門燈が輝いているものだと思います。


No.556 執着

1000nen

2021/04/12 09:00:00

先日、ある創業社長とお会いしました。ご自身70歳、ご子息40歳を超えられ、いつ承継されてもおかしくない年齢になっておられるのですが、「まだ決められない」とのこと。それも、「いつ譲るか」ではなく、「誰に譲るか」が決められないとおっしゃいます。

その会社には、社長の右腕となっている叩き上げの営業部長がいらっしゃいます。年齢もご子息とほぼ一緒で、その方と迷われているというのです。

その理由は「息子は経営がわかってない」ためなのだとか。「本当に経営がわかるようになるのは、社長になってからですよ」とお伝えしても、「そんなことはない。俺は最初から何が大事かくらいはわかっていた」と、取り付く島もありません。さすが創業者ですね。

そこで、社長が経営の要諦と考えられていることをお聴きすると、即答で「営業力」。そこから営業談議が始まり、確かに営業の真骨頂と思える行動をご教授いただきました。そして、社長が考えられる経営の要諦が、そのオリジナリティ溢れる営業手法にあることがわかりました。「俺の言う通りにやればいい」その言葉に、すべての理由が詰まっていました。

しかし残念ながらその手法は、社長のキャラクターのなせる業。かの営業部長でさえ「まだまだひよっこ」で、「性格が真反対」というご子息では、完全なる習得は難しそう。

残念ながら、それがわかった時点でタイムオーバー。何もお伝えすることができないまま退席せざるを得ませんでしたが、仮にその場でお話できたとしても、私の真意は伝わらなかったと思います。また折を見て、十二分な作戦を練った上でお会いしたいと思います。

一方で、やはりご子息にも問題はありそうです。社長の教えを素直に、かつ徹底的に実践しようとしない点です。「はい!」と喜んですぐする。徹底してやる。その中で、自分の手法を確立していく。それが実践できれば、社長の後継者指名の迷いは消すことができると思います。いつまで経っても「まだまだ足りない」はなくならないでしょうが・・・

この事例の本質的な原因は、“執着”にあると思います。社長は自らが磨き上げてきた営業手法に執着し、ご子息はそれを「無理だ」と決めつけることに執着している。この例に限らず、互いの執着は、人間関係がこじれる原因のひとつです。“こだわり”であればよい結果がもたらされますが、執着になると途端にこじれる。

何かうまくいかなくなってきたときは、「自分の執着に原因があるのではないか?」と考えてみましょう。執着から解き放たれたとき、人間関係は好転し、ご自身の心の安寧も得られるようになると思います。


No.557 誓願

1000nen

2021/04/19 09:00:00

先日、5年ほど前に私が講師を務める経営者向けの研修に参加された創業社長とお会いしました。

創業4年目で研修に参加した彼は、その学びの中で、「創業10年で従業員100名、売上高10億円にする」との誓願を立てられました。当時はまだ従業員数10数名でしたから、わずか6年で10倍にするという、とても意欲的な目標を立てられたのです。

目標の期限まで残り2年を切った現在、「何とかクリアできると思います」と力強い言葉をもらったのですが、「その形は、想像とはまったく違ってました」とのこと。

第一に、「営業所を出すつもりはなかった」ものの、「出さざるを得なかった」のだとか。当初は地元だけで目標をクリアするつもりだったが、「思ったよりもマーケットは大きくなかった」のだとか。

このような壁にぶつかったとき、ともすると、「思っていたものと違っていたんだからしょうがない」と、目標そのものを引き下げることが多いもの。彼自身、「諦めようかとも思った」とのことでしたが、「みんなの前で誓った目標を未達で終わらせることはできない」と奮起し、営業所展開を決意したのだそうです。

第二に、「M&Aはするつもりはなかった」ものの、「2社ほど仲間になってもらいました」とのこと。「やるつもりがなかった分野や持つつもりがなかった機能を持たざるを得なくなった」のだとか。

当初は自力でクリアする方向で動いたものの、元々彼の不得意かつ未経験の分野。どうしたものかと考えあぐねていたところ、先方から「面倒を見てくれないか」と声がかかったのだそうです。

「異文化が交わるのにはとても時間がかかりました」と、大変苦労はされたようですが、根気強くその融合に取り組み、「今では当初からの仲間と何ら変わらない」ようになっているようです。これもぶれない軸を持っているからこそ、実現できたことなのだと思います。

いずれにしろ、大きな山に登ろうと思えば思うほど、麓からは見えなかった壁が立ちはだかるものです。そこに、明確な“思い”というぶれない軸があれば、あらゆる手段を使って超えていくことができる。そのことを強く実感させていただきました。

皆さんもぜひ、強い思いを明確にもち、誓願を立て、次々と現れる壁を勇気と覚悟をもって乗り越えていっていただきたいと思います。


No.558 問題

1000nen

2021/04/26 09:00:00

先日、ある社長とばったりお会いしました。「あのときと何も変わってなくて」とばつの悪そうな顔をされた彼は、5年ほど前に相談に来られた方でした。

その後の状況をお聴きしながら感じたのは、「この人はこの問題を解決するつもりはないな」ということ。

客観的に見ても解決すべきことだとは思いますし、確かに問題だとは思っていらっしゃるとは思うのですが、解決しようという覚悟が見えてこない。それどころか、「問題が起こるたびに私が走り回らないといけなくって大変なんです」と言いながら、どこか誇らしげで、その事後処理に自分の存在価値を見出しているようにさえ感じられたのです。

よほどの大事故が起きない限り、本気で解決しようとはされないだろうと感じた私は、その問題を放置することによって起こる可能性のある事象をお伝えした上で、「できるだけ早く着手された方がいいですよ」と念押しするに留めました。

一方で、既に5年の歳月を経ていますから、新たな問題が生じている可能性もあります。

そこで、別の状況をお聴きしていくと、いくつかの新たな問題が見えてきました。その中から2点ほど、着手すべき内容とその解決策をお示したところ、「まったく考えてもいませんでした」と喜んでいただくことができました。その策は、一度手を打てば済む内容なので、今回はきっと実施してもらえるものと思います。

天地自然のことならいざ知らず、人がすることで解決できない問題はありません。この社長に限らず、5年も問題と感じながら解決できないのは、「本当は解決するつもりなどないんだ」との自覚がまず必要です。そのうえで、「やはり放ってはおけない」と感じるのならば、今度は本気になって取り組めばいい。必ず解決に向かっていくでしょう。

逆に、それでも手を打とうという本気が生まれないなら、ウジウジ考えるのはさっぱりやめて、他の問題に着手した方がいい。その大きな問題の陰に隠れて、見えていない問題はたくさんあるはずです。

繰り返しになりますが、人がすることで解決できない問題はありません。解決できないのは、本気で解決しようとしていないからです。その前提に立って、目の前の問題を見つめ直してみてください。新たな展開が生まれてくるものと思います。


No.559 倫理

1000nen

2021/05/10 09:00:00

先週の木曜日、豊田市北倫理法人会、豊田市南倫理法人会合同の第600回記念モーニングセミナーに参加してきました。

講話は、現在豊田市に4つある単会の元となった豊田市準倫理法人会(現豊田市中央倫理法人会)初代会長の山中敦子さんと、その後誕生した豊田市北倫理法人会初代会長・杉浦鈴代さん、豊田市南倫理法人会初代会長・村山明子さん、そして豊田市中央倫理法人会二代目会長の小林健司さんでした。

当社が豊田市に支店を出した平成17年、時同じくして立ち上がった豊田市準倫理法人会に山中会長からお誘いいただいたのがきっかけで、私は倫理を学ぶ機会をいただきました。そして今は、千年経営研究会の考えの基幹となるものとなっています。

今回、その立ち上げ期のさまざまな逸話を改めてお聞きしました。同じ時を共にさせていただいた私としてはとても懐かしく、また初心を思い出させていただくとても良い機会となりました。

一方で、当時を知らない方々にとっては、今あることのありがたさを感じる機会になったのではないかと思います。

また翌日は、現在私が所属している名古屋市南区倫理法人会のモーニングセミナーに参加しました。当日は参加者全員が年初に立てた目標の進捗状況を発表するという内容でした。

30数名での発表でしたので、内容が薄くなってしまうのではないかと心配していましたが、皆さん非常に上手にまとめられ、どなたのお話も学びとなると共に、「自分ももっと頑張らないといけない」との思いを新たにすることができました。

立ち上げ時に苦労を共にした話を聴いて初心に戻り、今を共にするメンバーの実践状況を聴いて未来の覚悟を固める。とても有意義な2日間となりました。

千年経営研究会では、毎年3月最終土曜日(来年は4月2日)に総会を、また秋には研修旅行を開催し、立ち上げからの歴史を振り返ることができる機会を設けています。

また毎月月例会またはそれぞれの地域で会合を開き、参加者全員が近況報告をすることによって、実践の覚悟を新たにしています。

ぜひ皆さんもご参加いただき、その価値を感じていただければと思います。まずは今月の月例会へのご参加をお待ちしています。


No.560 機転

1000nen

2021/05/17 09:00:00

先週、とても嬉しいことがありました。

千年経営研究会のメンバーであり、かつ当社のお客様でもあるN社長から、私の携帯に電話が入りました。「お花が届きました。ありがとうございました」とのこと。

正直、私は何のことかわかりませんでした(苦笑)。実はその会社、今年創業50周年を迎えられるそうで、そのお祝いの花が当社から届いたのだそうです。

「亀井さんがそんな気が回る人とは思えませんので、会社のシステムでそうなってるんでしょうね。さすがです!」と。前半は「まさしくその通り!」と思いましたが、後半の部分にはちょっと疑問を感じつつ、電話を切りました。

そのやり取りを、担当者に伝えたところ、次のような返答が返ってきました。

「お疲れ様です。ご連絡ありがとうございます。先月の訪問で、今年でちょうど50周年とのことで、従業員へ記念品を贈答したいがその金額はいくらくらいが妥当か、というご相談を受けました。そこで、相談対応と同時に、弊社からもお祝いをさせていただこうと思い、お花を送らせていただいた次第です。無事に届いたようで何よりです。」

真実は、当社の社員がとても素晴らしい機転をきかせてくれていたのです。これは会社のシステムが優れていることよりも、もっと嬉しい現実でした!

そのことをN社長にお伝えすると、

「そういえば、先月訪問してもらった際に、社員に配る記念品は課税なのか非課税なのか、質問してました。ただの質問だったのに、さすが名南さん。参りました。うちもこういう仕事をしたいものです。」

とのご返答。ありがたいことに、当社への信頼をさらに高めていただけたようです。

そして続けて、

「というか、こういう仕事をしてる社員がいるはずなので、ちゃんと分かるようにしなきゃいけないですね」

こういうところがN社長の素晴らしいところ。私たちも見習わなければなりません。

そして最後に、

「〇〇さんのこと、目いっぱい褒めてください。おかげさまで、気分は快晴です。ありがとうございました。」

と締め括られていました。

ちょうどその翌日、タイミングよく彼との打ち合わせが入っていましたので、目いっぱい褒めさせていただきました。嬉しそうにはにかむ彼の顔を見ながら、こんな喜びの輪をもっともっと広げていきたいと感じた一日でした。


No.561 KPI

1000nen

2021/05/24 09:00:00

『KPI』という指標をご存じでしょうか。KPIとは、「Key Performance Indicator」の略で、「重要経営指標」とか「重要業績指標」などと訳される、経営や業績の最終目標を達成するために重要な要素を指標化するものです。

たとえば、「新規受注を増やす」という業績上の目標を達成するためには、

 ①アプローチ可能なリストを増やす

 ②リスト先へのアポイント数を増やす

 ③アポイント先への提案数を増やす

 ④提案先に対する受注を増やす

というプロセスがあり、それぞれにおいてより高い効果を上げることができれば、最終目標である新規受注数をより一層増やすことができます。

そしてこのとき、この最終目標を達成するためのKPIは、①リスト数、②アポイント率、③提案率、④受注率などが該当することになります。

このように考えるとき、KPIは「Key Process indicator」(重要プロセス指標)と捉えてもよいでしょう。

実はこの成果を上げるためのプロセス、ならびにKPIが明確になっていないことが、思ったような成果が上げられない理由となっていることが多いものです。

先日も「なかなか成果が上がらない」との相談を受けましたが、

 □その成果を上げるためのプロセスはどのようなものか?

 □そのプロセスの中で、成果を上げるために重要なステップは何か?

 □そのステップのうち、特に改善を要する内容は何か?

という問いに、曖昧な回答しか出せないことが問題であるとの結論に至りました。

そこで、最も重要な最終目標は何かを改めて確認した上で、その目標に対するプロセスを具体的にヒアリングしながら、納得のいくKPIを設定していただきました。

しかし、このような状況は今回の相談者に限ったことではないと思います。「最終目標の達成状況は毎月確認しているが、そのプロセスまではチェックしていない」という話はよく耳にします。それはとてももったいない話です。

もし、まだKPIの設定ができていないのであれば、これを機に、設定されている最終目標に対するそれぞれのKPIを検討してみてはいかがでしょうか。


No.562 懸命

1000nen

2021/05/31 09:00:00

先週、当社のお客様がおひとり、コロナでお亡くなりになってしまわれました。

その会社には3月にお伺いする予定でしたが、社長の持病である糖尿病が悪化されたとのことで延期となっていたところ、コロナに罹患され、そのまま逝ってしまわれました。

訪問前に行った担当者への事前ヒアリングによれば、社長にはどうしても実現したい新規事業があったとのこと。

ところが、その事業への賛同者はおられず、また、なかなか成果が上がらない中で、撤退を迫られる方もいらっしゃった。

それでも社長おひとり「必ず次の事業の柱になる」と信念をもって取り組んでおられたのだとか。そのような状況の中での死に、無念たるやいかばかりであろうかと心を痛めざるを得ませんでした。

しかし、世は無常、こればかりは何ともなりません。だからこそ、今を一所懸命生きるしかない。

今回の訃報を耳にしたとき私は、「インド独立の父」と言われるマハトマ・ガンジーが残された

「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ。」

という言葉が頭に浮かびました。

人はいつ命の終わりを迎えるかはわかりません。どうしても叶えたい夢があっても、それを実現して終えることができるかもしれませんし、夢半ばで朽ちてしまうかもしれない。

だからこそ今を一所懸命に生きるしかない。

普段はすっかり忘れてしまっているこの当たり前のことを、改めて思い出させていただきました。

かつてお葬式に出ると、家の前には黒く枠取りした「忌中」の文字が貼られていました。分解すれば「己の心の中」と読めます。「お前は大丈夫か!」「やるべきことをなしているか!」と問い掛けてくるようです。

コロナでお亡くなりになった多くの方に心よりお悔やみ申し上げます。

そして命ある私たちは、まさに今を一所懸命に生きる覚悟を、改めてもたせていただきましょう。


No.563 苦難

1000nen

2021/06/07 09:00:00

先週4日、厚生労働省から2020年の「人口動態統計」が発表されました。

新聞の見出しでは、一人の女性が生涯に産む子供の数を示す「合計特殊出生率」が1.34と前年より0.02減少し、5年連続で減少したことが取り上げられていました。

この数字は、国立社会保障・人口問題研究所によって試算された「日本の将来推計人口(平成24年1月)」において示された2020年の中位シナリオ1.43、低位シナリオ1.27と比較しますと、少ないシナリオに近づく結果になっています。

また、子供の出生数は840,832人と前年に比べ2.8%減少し、過去最少を記録したとのこと。婚姻数が前年比12%マイナスの525,490組とのことですので、出生数ならびに出生率は、今後より一層減少していくことになるでしょう。

以前より晩婚化の影響が大きいと言われていましたが、経済的な不安から結婚や出産を躊躇する傾向が増えていること、また出会いそのものがなくなっていることなど、コロナ禍によって新たな要因が加わったことで減少に拍車がかかっているようです。

私はこの合計特殊出生率を重要な経済指標のひとつとして毎年追い掛けているのですが、今年はそれ以上に目を引く数字がありました。それは、記事の中でおまけ程度に示された「死亡者数」です。

昨年の死亡者数は1,372,648人で、昨年よりも8,445人も減少していたのです。コロナによる死亡者数が3,466人とのことですので、この新たな要因がなかったとすれば、11,911人も減っていることになります。昨年までは「戦後最多」を更新し続けていたこのデータが、一転減少に転じたのです。

これは、コロナによって強制的に人間としてあるべき生き方、生活の在り方に近づけさせられているからと考えられないでしょうか。

確かに今、私たちはコロナからさまざまな苦難を与えられていますが、一方で、「過ちに気づけ」「正しき姿に立ち戻れ」との神仏の啓示でもあるように思います。そして、その啓示を正しく受け止め、正しき道を歩むことができるようになったとき、夜が明けて日がゆっくりと昇ってくるように、苦難は去り、喜びの世界が待っているように思えます。

コロナ禍は今、私たちに大きな試練を与えています。一方で、これを“必然”と捉えたとき、私たちは何を変え、何を改め、何を行うべきかを考えるよい機会を与えられているとも考えられます。

好ましい結果も現れているという事実を正しく受け止め、自分自身をあるべき姿へと正していく、そういう姿勢をもちたいものだと思います。


No.564 M&A

1000nen

2021/06/14 09:00:00

先週、M&Aで企業買収を進められている社長とお話しする機会がありました。

お子さんがいらっしゃらないその社長にとっての企業買収は、もちろん経営戦略上、不足する機能や役割を補完するためのひとつの手段ではあるものの、最大の目的は、「経営者を育てること」にあるのだそうです。

「社長と副社長との差は、副社長と社員との差より大きい」

といいます。要するに、「社長になってみないとわからない」ことが極めて多いということです。

よって、後継者教育における最も効果的・効率的な方法は、「社長を経験させる」ことです。ご自身がまだ40代半ばで、その場を譲ることは現実的ではないこの社長の判断は、極めて合理的かつ最適なものといえると思います。

一方で、ただ会社を買って与えるだけでは、期待する成果が得られる保証はありません。そこでこの会社では、株は会社が100%保有し、株主として報告を求めるものの、日々の意思決定には一切口出ししないようにしているのだとか。

また、最低限の利益目標を定め、それを超える部分については、1/3を内部留保、1/3を社員還元、1/3を役員報酬の増額に充てることにより、より一層モチベーションを高めるようにされているようです。

そもそも事業承継の出口は、「親族承継」「社内昇格」「外部招聘」「M&A」しかありません。この社長のようにお子様がおられず、また親族にも適する方がおられない場合、次の選択肢は「社内昇格」になります。

しかしながら適する人材を育てることができず、かつ外部からの招聘もままならないまま、結果として「M&A」を選択せざるを得ないケースは多いものです。

その点、この社長のように、ご自身が40代の頃から計画的に経営者に適する人材を育てていこうとする取り組みは、非常に価値あることだと感じました。

そして、M&Aの新しい意義を感じることができた面談となりました。


No.565 理念

1000nen

2021/06/21 09:00:00

先週、私どもの税理士法人の入社2~4年目の社員を対象に、「理念研修」と題して当ネットワークの理念の解説を行いました。

主催者が参加者に向けたメッセージは、次のようなものでした。

「専門業務を行う皆さんは、研修や経験を通してさまざまな専門スキルを磨いているかと思いますが、本研修は専門スキルを磨く研修ではありません。これはみなさんが業務を行う上でもっとも基礎となる『マインドセット』・『志』に係る研修です。今後の日々の業務にどう対峙するかを改めて考えるきっかけとして下さい。みなさんの行動は、その行動以前に『思い・考え方』から始まります。自身の思想の軸をより一層高めるきっかけになれば幸いです。」

教育にはさまざまなものがありますが、私はこのような『思い・考え方』を磨く内容が一番大切だと思っています。

私どもの理念は、次のようなものです。

【所訓】

「私たちは自利利他の精神に基づき、お客様の明日への発展のために、今日一日を価値あるものとします」

【改善の前提】

□自分が変われば相手も変わる

□常に原因は自分にないかと反省すること

□常に相手によい影響を与えること

□常に相手に思いやりを持つこと

□常に相手に迷惑をかけないようにすること

□常に相手との信頼関係を確立すること

□常に相手に自分の意思を伝えること

□常に相手へ感謝すること

□常に甘えの精神を捨てること

□常にけじめをつけること

【仕事の姿勢3つのポイント】

1.プラス発想

できないだけが答でない。ならばどうしたら可能か。いくつかの道を探り出すことが仕事であると心得ること。

2.だろうの排除

言っただけでなく、必ず現場主義・現物主義で事前事後のチェック・フォローを、どこまで徹底するかが決め手と心得ること。

3.もうちょっと主義

99点の仕上がりは0点と同じ。常に最低100点の仕事にプラスアルファして初めて、プロとしての報酬をいただけることを心得ること。

みなさんの会社の理念や行動指針の参考にしていただければ幸いです。

この内容の解説で4時間。正直「時間が余ったらどうしよう・・・」と思っていましたが、結局は【改善の前提】の3つ目でタイムアウト(苦笑)。半分にも届かず、「残りはまた後日」となりました。溢れる思いが止められませんでした。

聴く姿勢や提出された感想文を読みますと、受け止め方はさまざまだったようです。

このような話は、話し手と聴き手の周波数が合っていなければ心に届くことはないものです。だから、その場ですぐに「わかった!」となるとは限りません。

ただ、一度逃したら二度と聴くことができないラジオなどと違って、人の脳にはその言葉が残っていて、ふとしたことから過去に遡って周波数が合うことがあるものだと思います。これまでわからなかったことがにわかに「わかった!」となるのは、突然降って湧いてきたのではなく、過去に入っていた情報が蘇ってくるということだと思うのです。

だからこそ、より一層その言葉を鮮明に残してもらうために、何かあったときにすぐに思い出してもらえるように、何度も何度も、繰り返し繰り返し話をしていくことが大切なのです。

ある参加者から「非常に遠く、イメージもうっすらしたものだったのが、距離が近く、イメージしやすくなったように感じました」とのメッセージをもらいました。周波数が少し近づいたようです。

全員と周波数がばっちり合うことができるまで、これからもじっくりと話し合う機会をつくっていきたいと思います。


No.566 接点

1000nen

2021/06/28 09:00:00

毎年年末に、幹部の方々を対象とした講演をさせていただいているお客様があります。残念ながら昨年末は延期となり、さらにはリアル開催のめどが立たないとのことで、急遽5月に事前録画したものをオンライン配信するという形式で行いました。

先日、担当部署の方と反省会を実施したのですが、事前の反応は芳しくなかったものの、結果としてはとてもよい評価を得られたとのこと。

その会社は工場が10か所ほどに分散しているのですが、オンライン配信となった今回は、それぞれの所属場所で聴けた(移動しなくて済んだ)こと、終了後に同席した受講者同士で話し合いの場を持てたこと、どうしても参加できなかったメンバーも後日受講できたことなどが高評価につながったようです。

「これからはもっとオンラインを活用していきたい」との声も聴かれ、それぞれの業務の中でも、過去の慣習にとらわれない新たな取り組みの一歩にもつながったようです。

中には「亀井先生がいつもと違って穏やかで聴きやすかった」というものもあったようですが・・・

また、オンラインは集中力を増す効果もあるようです。リアルでの話は聴きやすく、「なんとなく耳に入ってくる」ことで「わかったつもりになる」こともある一方、オンラインはやはり少し聴き辛いこともあり、「ちゃんと聴かないといけない」意識が高まるようなのです。

以前、1日に5件のオンライン面談を行ったのですが、終わったときの疲れ方は半端ではなく、「オンライン面談は1日3件まで」と心に固く誓いました。それほど集中しているのだと思います。

翻って、先週の私の予定でも、外部の方とお会いした11件のアポイントの中で、リアルでお会いしたのは3件のみ。新しい面談の姿が定着してきた感があります。

もちろん、リアルでしか実現できないこともありますが、仮にコロナ禍が無事に明けたとしても、オンラインとの組み合わせは有益なものであると感じています。

そして、これまでは私個人として感じていたオンラインの有用性ですが、今回受講者側の声を聴くことができ、改めて確証を得ることができました。

リアルとオンライン、それぞれの良さを生かし、より一層効果的・効率的なコミュニケーションのありようを模索していこうと思います。


No.567 理解

1000nen

2021/07/05 09:00:00

先日、ある経営者団体の年度方針発表会に参加してきました。

平成17年から入会している団体なのですが、この方針発表会に参加したのは初めてでした。

もちろんメインは来期の方針の発表ならびに解説でしたが、私のように初参加となる方も多かったためか、その前提となる団体の主旨や目的、または成り立ちなどを詳しく説明していただきました。

お話をお聴きしながら感じたのは、「なんと知らないことが多かったか」ということです。

入会してから15年以上経っていますが、「そうだったのか!」と感じることが何度もあったのです。

中には、主旨・目的を勘違いしていたことさえありました。

まさしく「なんとなくわかっている」という状態は、「わかっていない」のと同じであることを痛感しました。

一方で、間違って認識していたために、主旨・目的とは異なる話や行動をしていたこともありました。こうなるともう、弊害以外何物でもありません。

翻って自社を考えてみても、創業者やそれに続く経営者たちの真意をきちんと理解できていたか、また自分の考えや方針を、社員たちに正しく伝えることができているか、自信をもって「できている」と言い切れない自分がいます。

自分自身、自社の生い立ちを振り返り、過去を知っていてくださる方の声に素直に耳を傾け、自分の認識が間違っていないか確認すると共に、自分の真意がきちんと伝わっているか、「わかっているだろう」で済まさず、改めて確認してみたいと思います。

一方で、今回の発表会には、私が所属する小グループの幹部メンバーと一緒に参加したのですが、このような価値観共有の機会はとても大切なものだと再認識しました。

当グループの来期方針を、今回お聴きした内容に基づいて、価値観を共有できた仲間と一緒に作っていくことができることが楽しみでなりません。

その内容について、機会があれば皆さんにも共有させていただきたいと思います。


No.568 役

1000nen

2021/07/12 09:00:00

当社が入会している経営者団体の一つである倫理法人会は8月が年度末で、9月から新しい期が始まります。

その来期から、僭越ながら、当社が所属する名古屋市南区倫理法人会において私が会長を拝命することになりました。会員数143社、身に余る規模の会ですが、周りの方々に支えられながら、任期を全うしていきたいと思っています。

会長を受けることになり、会の運営に全くタッチしていなかった私にいろいろな機会を設けて教えていただく中で、かなりしっかりとした会則や職務分掌、運営マニュアルなどが整備されていることを初めて知りました。先輩諸氏のご苦労が垣間見え、頭の下がる思いを抱くと共に、これをしっかりと守っていかなければならないと身が引き締まりました。

先週土曜日には、正副三役といわれる幹部の方数名に集まっていただき、来期の計画の骨子を検討させていただいたのですが、教えていただいた倫理経営とマニュアルに則ったものができたのではないかと自負しています。今月末には30名ほどの役職者の方々にお集まりいただき、最終的な計画を固めさせていただく予定です。

その役職者の方々は、給料を払っているわけでもない、何か特別なお手伝いをさせていただいたわけでもない私のお願いを快く受け止めていただき、貴重なお時間を会のために使っていただくことになる役を受けていただきました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。「役を受けてよかった!」と言っていただけるようにしていきたいと思います。

「頼まれごとは試されごと」と言われますが、今回の会長拝命は、事業承継をライフワークとしている私に対する神様の試されごとではないかと感じています。

何の貢献もしていない者が組織を引継ぎ、何の力もない者が組織をまとめ、よりよい組織にして次代にバトンを渡していく。その役割を与えられたことは、「本当にお前にできるのか?」「口先だけじゃないだろうな?」と言われているような気がしてなりません。

皆さんの力をお借りして何とか任期を全うするとともに、事業承継のご支援がさらにパワーアップできるよう、全力で務めさせていただきたいと思います。


No.569 交流

1000nen

2021/07/19 09:00:00

まん延防止等重点措置の解除により、先週からリアルでの面談や会食が増えてきました。

やはりお会いして話をするほうが「コミュニケーションをとっている」という満足感が高く、かつ、同じ1時間でもリラックスしてお話しすることができたような気がします。強制的な抑圧からの解放感が、より一層そう感じさせたのかもしれません。

一方で、改めてオンラインのよさも感じることができました。

移動を伴うリアル面談は、その移動時間の存在から面談時間の設定が難しく、せっかく福岡まで足を運んだものの、結局4件しかアポイントを入れることができませんでした。

さらには、移動時間内でできる仕事の制限、または隙間時間や待ち時間の時間の使い方が難しく、時間の無駄が多いことを痛感しました。リアル面談が当たり前であったときにはそれほど問題に感じることがなかったこれらのロスを、オンライン面談の常態化によって気づくことができるようになったことは、生産性を考える上では非常に良かったと思います。

また、会食においてもそれぞれの良さがあるように感じました。

4名を超える会食では、「1グループ4名まで」の制限があったこともあり、座る場所が分けられ、それぞれのテーブル内でしか話をすることができず、久しぶりにお会いした方もいらっしゃったのですが、結局あまりお話しすることができずに終わってしまいました。

振り返れば、仮に着座の制限がなかったとしても、人数が増えれば増えるほど、同じような状況になっていたように思います。

それに対してオンラインでは、一人ひとりの話に耳を傾けるほかなく、結果として、参加者すべての人の話を聴くことができますし、その内容で議論することもできます。

ときに「オンラインでは会話が続かない」という声を聴きますが、それは「目的が明確でない」「知りたい欲求が低い」ことが理由であり、オンラインそのものに問題があるわけではありません。目的が明確で、お互いに知りたいことがたくさんあったとしたら、盛り上がらないはずがないのです。

それがリアルになると、特に目的はなく、特に聴きたいことがあるわけではなくても、何となく話をして、何となく盛り上がって、何となく満足して帰ることができます。

もちろん、「ただ会って話がしたいだけ」という飲み会も私は大好きです。決して悪いといっているわけではありません。それこそ目的次第ということです。

いずれにしろ、私たちは外圧的にオンライン対応をせざるを得なくなったものの、それによって多くの気づきを得ることができたと思います。

それぞれのコミュニケーションの内容や目的に応じて、リアルとオンラインを上手に組み合わせ、より一層豊かな交流を図ることができるようにしていきたいと思います。


No.570 苦難

1000nen

2021/07/26 09:00:00

先日、私の友人がコロナに罹り、自宅療養中のところ、次のようなメッセージが届きました。

「現状としては、多少の喉の痛みと熱の上がり下がりがあり、思った以上にしんどくて、何もしたくない倦怠感でずっと自宅療養にてベッドに横たわっています。いつも忙しく動いていることが好きな体質ですので、今は非常に辛いです。」

遠い世界の話のように感じていましたが、知っている人から直接お聴きすると、その辛さがリアルに伝わってきます。

一方で、その辛さは、自分自身の身体だけの問題ではないようです。

「この症状が家族、社員、友人、近しい関係者の方々に及ぶと思うと、居た堪れない気持ちになります。感染すると身体のしんどさもさることながら、家族、社員、友人等々周りに大変な迷惑を掛けてしまうんだと改めて思いました。」

確かに、よく考えてみれば、こちらの方がよっぽど辛いことなのだと思います。

更に彼は、次のように続けます。

「また市町村に関しては、感染を広げないためにかなりのお金と労力を使ってくれています。ホテル費用、宅配弁当(家族分)、PCR検査代等々・・・。これもすべて皆さんの税金だと思うと、今までの軽い感覚は捨てなきゃと思います。」

自分の身の回りのことばかりでなく、税金にまで思いを馳せることができる友人をもてて、誇りに感じました。

自助・共助・公助の中で、公助ばかりを頼り、公助の不足を嘆き腹立てる人が多い昨今、こういう感性を多くの人にもってもらうことができれば、もっと素晴らしい社会にすることができると思います。自戒を込めて・・・

最後に彼は

「普通に生活できることのありがたみをずっと感じています。コロナに罹った立場としていろいろと学んでいますので、体調が戻りましたらみなさんにお伝えしていきたいと思います。」

とメッセージを結んでいます。きっと多くの学びを得て、復帰してくれるのだと思います。

苦難からしか得ることができない貴重な体験談を楽しみに待ちたいと思います。


No.571 チームワーク

1000nen

2021/08/02 09:00:00

先日、「チームワークで異次元の戦いをしよう!」をテーマに話をして欲しいとの要望を受け、このところ当然のようになってきた動画配信のための事前撮影をしてきました。

テレワークの進展などによりコミュニケーションが希薄となりがちな中で、より一層チームワークの必要性・重要性が高まってきているということなのだと思います。

“チーム”とは、「ある目的のために協力して行動するグループ」(デジタル大辞泉より、以下同じ)を表します。チームとなるためには、単なる「趣味が同じ」などの理由で集まる“グループ(群・仲間・集団)”に留まらず、少なくとも「明確な目的」と「協働」が伴わなければならないということです。

そして“チームワーク”とは、「チームの成員が協力して行動するためのチームの団結や連携、また、そのような協力態勢」を指します。

よって、よりよいチームワークを醸成するためには、以下のような条件が必要です。

 ・目的・目標が共有されている

 ・目的・目標達成のためにやるべきことが明確である

 ・メンバーの個性にマッチし、かつ互いの弱みを補完し合う役割分担がされている

 ・縦横のコミュニケーションが円滑に行われている

 ・メンバー相互に協力の意思と意欲がある

 ・業務を円滑に進めるためのルールが守られている

いかがでしょうか。皆さんの組織では、このすべての条件が揃っているでしょうか。

□「何を」は明確だが、「何のために」があいまいになっている

□「言わなくてもわかるでしょ?」「そんなの当たり前でしょ?」が横行している

□仕事のやり方や内容までもが担当者任せになっている

□重要な情報さえも共有されていない

□自分の仕事にしか関心がない

□守らないのがルールだと思っている

などの状態になってはいませんか。ここまでではないにしろ、いくつか心当たりがあるようであれば、やはり根本的な見直しが必要です。

ぜひこれを機会に、素晴らしいチームワークの醸成に向けて、現状を振り返り、課題を抽出して、適切な改善策を検討・実施されることをおすすめ致します。


No.572 放出

1000nen

2021/08/16 09:00:00

先週、ある創業社長と5年ぶりにお会いしました。「次を育てることができなくて」と頭を掻きながら渡された3度目の名刺は、“会長”に書き換えられていた前回から、また“社長”に戻っていました。

私の知る限り、「次はお前に」と定められた方はもう一人いらっしゃいました。10数年の間に二人の後継者に去られてしまったことになります。

「知り合いには先生の本(※)を紹介しているんだけど、「お前はどうなんだ」と言われる始末で」と恐縮されてはいましたが、70歳を超えられていても、どこかに「事業承継はまだまだ先」といった雰囲気を醸し出しておられます。

実際に、挨拶も早々、予定していなかった幹部社員の方をお呼びになり、コロナ禍での取り組みや今後の展望を熱く語り、「先生からも一言」と向けられた目の輝きは、現役バリバリ。まさに「生涯現役」を地で行く創業社長そのものでした。

幹部社員の方々も、「しょうがないなぁ」といった感はあるものの、新(?)社長の想いを実現すべく、具体的な内容について多くの質問をいただき、大変充実した時間を過ごすことができました。“今”を考えれば、これはこれで悪くはないのだと思います。

しかし、これをずっと続けるわけにはいきません。二人っきりになった帰り際、「どなたか意中の人はいますか?」とお尋ねしたところ、先ほど呼ばれていた幹部の中に一人いるとのこと。「本人も薄々自分じゃないかと感じていると思う」状況なのだそうです。私も何となくそう感じていた方でした。

「次は失敗しないようにしたいんだけど、どうすればうまく引き渡せますかね?」と問われた私は、「次は、引き渡すのではなく手離してください」とお伝えしました。

渡そうと思うと、渡す間際に“執着”が出る。渡したつもりで“執着”が離れない。特に創業社長の場合は、その傾向が顕著です。今思えば、「手離す」より「放り出す」の方がよかったかのかもしれません。それくらいの覚悟がないと渡せるものも渡せないのだと思います。

「執着なんてないんですがね」とつぶやかれた社長に、「会社に対する熱い思いが執着です。そこに気づかれないのが創業社長のいいところ。だから手離すしかないんです」とお伝えしました。

今の熱い思いを実現しつつ、一日も早く放り出し、その上で新社長と伴走しながらよりよい会社つくりに邁進していただける日が来ることをお祈りしています。

※中堅・中小企業経営者のための 「事業承継対策」の立て方・進め方(日本実業出版社)


No.573 反応

1000nen

2021/08/23 09:00:00

先日、久しぶりにインターンシップの講師を務めました。

講師と言っても講義は午前中のみ。午後からは参加者のみで実施するグループディスカッション、という構成です。

皆さんの会社でもインターンシップを実施されているかもしれませんが、どのような内容で行われているでしょうか。実務体験を中心にされている会社が多いようですが、グループディスカッションもおすすめです。学生同士がざっくばらんに話し合うことによって満足度が上がり、それがインターンシップそのものの満足度へとつながります。ぜひ検討いただければと思います。

また、ご多分に漏れずオンラインの開催でしたが、今は小部屋に分かれて議論できるシステムもあり、セミナー形式だけでなくグループワークも可能になっています。

リアルですと、社員側がそばに来るだけで話しにくさが出てしまうようですが、オンラインでは「聴かれている」意識なく話し合うことができるようです。また聴く側もリアルよりも聴きやすく、また話し合いの内容もわかりやすくなったように思います。

まだ実施されていないようでしたら、一度検討してみてください。

さて、今年から自分の娘よりも年下の子たちがメインの対象になりました。これからどんどん遠い世界になっていくものと思いますが、とりあえず今回は、娘たちに伝えてきたことを交えながら違和感なく進行できたものと思います。

ただ、いつものように私の話が長くなり、ディスカッション結果の発表に対するフィードバックの時間が十分に取ることができなかったことが反省です。アンケートにもそれを指摘するコメントが散見されました。

実はここ数年で感じ始めたことですが、今の若い子たちは、「認められたい」欲求が高まってきているのでしょうか、フィードバックを求める気持ちが強くなっているように思います。わかっていながら十分な時間を取れなかったことは本当に大反省です。

この傾向は、学生に限らず若手社員の中にも多いように思います。どんなに認め、評価していても、言葉にしないと伝わらない、「それくらい言わなくてもわかるだろう」が通じないようになってきているように感じるのです。

皆さんもぜひ、「言わなくてもわかるだろう」から脱却し、良くも悪くも社員さんの言動に対するフィードバックを心掛けていただければと思います。


No.574 営業

1000nen

2021/08/30 09:00:00

先週も、インターンシップの講師を務めさせていただきました。今回もオンライン開催でしたが、同じ内容で3日間、合計61名の学生に参加していただくことができました。

テーマは「最良・最強の営業パーソンになる」で、営業研修で使っているテキストを学生でもわかるように加工して講義をすると共に、実際に当社で提供している税理士事務所様向けのシステム販売の疑似体験をしていただくという内容でした。

具体的には、参加者を3~5人ずつのチームに分け、「システム研究」→「お客様へのヒアリング」→「商談内容検討」→「商談」の手順でグループワークをしていただきました。

税理士事務所という、学生にとってはまったくなじみのないお客様に対して、これまで一度も触ったことがないシステムを、「その場で契約まで持ち込んでください」という極めて高度な“就業体験”でしたが、とても素晴らしい提案にまとめ、お客様を演じた当社の営業が、思わず「契約します」と口にしてしまうほどの内容のグループさえありました。

一方で、プレゼンテーションはとても上手であったにもかかわらず、残念ながらシステムの機能説明に終始してしまい、契約には程遠い商談になってしまったグループもありました。

しかしこのことは、多くの営業パーソンが陥りやすい点でもあります。

お客様は、その商品やサービス(以下、商品)そのものが欲しい訳ではありません。その商品から得られる“喜び”や“満足”を求めて、その商品をお買い求めになるのです。

よってまず、自社が提供する商品が、お客様に対してどのような喜びや満足をもたらすのか、どのような利益を提供することができるのかを明確にし、そのことをお客様に伝えていかなければなりません。

さらに求められる利益はお客様によって異なりますから、自社が提供する商品がもたらす利益の内、目の前にいらっしゃるお客様が真に求めている利益は何なのかを正しく認識し、ご理解いただくことが大切です。

そしてその凹凸がきっちりはまったとき、お客様は喜んで契約を結んでくださるのです。

ときに、どうしても自社の商品の良さをわかって欲しいばかりに、少々饒舌になってしまうことがあります。しかし、あれもこれもと心に響かない話をされても、こちらの想いが伝わらないどころか、お客様が耳をふさぎ、心を閉じられてしまう可能性さえあります。

よって営業は、お客様の心に寄り添い、自社の商品で提供することができるお客様の利益は何なのかを常に明確にしなければならないのです。

今回のインターンシップは、そのことに改めて気づかせていただく機会となりました。


No.575 遺言

1000nen

2021/09/06 09:00:00

9月に入りました。長雨が続いたためか夏らしさを感じることがあまりありませんでしたが、このところの朝晩の風の涼しさに、それでも時は移ろいでいるものだということに気づかされる今日この頃です。

今月より私は、名古屋市南区倫理法人会の第12代会長を務めさせていただくことになりました。会員数が140名を超える団体を背負う責任の重さをひしひしと感じています。

先週の金曜日、今期最初の「経営者モーニングセミナー」において、会長としての初仕事である令和4年度の所信表明をさせていただきました。

今期の名古屋市南区倫理法人会のスローガンは、役員の方々の承認を得て

 『活喜生輝と 倫理経営を実践する 大家族』

としました。“活喜生輝”とは、「喜んで働き、輝いて生きる」という意味で、「イキイキ」と読みます。私が30代の頃、部門運営を任されるにあたり明らかにした部門理念の一節で、私の信念に基づくものであり、私にとってはなくてはならない、外すことができない“思い”が凝縮した言葉です。

“倫理経営”とは、言葉通り「倫理に基づく経営」を意味します。コンサルタントとして33年生きてきて、経営の結果の良し悪しは、中長期的に見れば必ず「倫理的であるかどうかによる」と感じています。会員さんには倫理経営の実践を通して、すべての人が幸せになる経営を実現していただきたいと思っています。

そして“大家族”。人は弱いものです。頭では「倫理的でなければならない」とわかっていても、ついつい楽な方、楽な方へと行きがちです。しかし、

「楽すれば 楽が邪魔して 楽ならず 楽せぬ楽が はるか楽々」

(越中富山薬売り「七楽の教え」)

といいます。

崖から落ちそうになっている我が子をそのままにしておく親などいません。私たちは大家族の一員として、あるときは優しく、あるときは厳しく、支え合い励まし合いながら、正しく倫理経営の実践をしていくことができる団体にしていきたい、そんな思いを込めました。

思い起こせば平成19年10月5日、当社の創業者であり、名古屋市南区倫理法人会の初代会長でもあった佐藤澄男が息を引き取るその直前、耳元で告げられた私への遺言は、「倫理を頼む」でした。死の間際まで残されていたその思いを引継ぎ、「倫理を頼む」と託すことができる次代を創っていくためにも、自代を精一杯務めさせていただきたいと思います。


No.576 初心

1000nen

2021/09/13 09:00:00

先週、倫理法人会の新任会長を対象とした研修に参加してきました。その内容の中で、組織運営においてとても参考になる話をお聴きしましたので、ご紹介したいと思います。

その内容とは、「うまくいかない組織におけるトップの共通点」です。それには大きく次の5つがあるとのこと。

1.好奇心がない

2.人の話を聴かない

3.悲観的に物事を捉える

4.心配性

5.直ぐに諦める

いかがでしょうか?思い当たる人もいるかもしれませんね。私もお話をお聴きしながら、何人かの社長や後継者の顔が浮かびました。

逆に言えば、その反対を実践すれば、好ましい結果を生じる可能性があるということになります。それについても、どうすればよいかのアドバイスがありました。私なりに少しアレンジしてお伝えします。上記5項目と照らし合わせながら読んでみてください。

1.疑問を持つ。いつもと違う選択をしてみる。新しいことにチャレンジする。

2.まずは高い志を持ち、共有する。必ず目的を伝え、言い続ける。そうすればお互いに聴く耳ができる。共感力が高まる。

3.何があっても笑って過ごす。悲観的な状況こそ、流れを変えるチャンスと捉える。

4.考えれば考えるほど不安が出てくる。不安はいくら考えても解消されない。気づいたらすぐする。

5.“利他”の精神を持つ。「与える喜び」を常に明確にする。

そして最後に、「幸福感を高める」という話がありました。そのためには、「幸福だと感じる能力」が必要なのだそうです。そしてその能力は、

  「遺伝」50%+「達成感」10%+「行動を起こすときの心持ち」40%

で構成されているとのこと。「半分は遺伝なので諦めてください」とのことですが、重要なのは、「行動を起こすときの心持ち」で40%決まるというところです。

最初耳にしたときは「えっ」という感じでしたが、味わいながら考えてみると、「そうかもしれない」と思えてきました。そして“初心”の大切さを改めて感じさせていただきました。

勝ちに不思議の勝ちあり 負けに不思議の負けなし

と言います。トップとして、まずは前述の「負け戦をもたらす言動」は厳に戒めつつ、“初心”の大切さを忘れずに、精進していきたいと思います。


No.577 本

1000nen

2021/09/21 09:00:00

先週の金曜日、名古屋市南区倫理法人会のモーニングセミナーで、私が倫理をきちんと学ぶきっかけを作っていただいた、豊田市中央倫理法人会の初代会長で、株式会社 山信商店 取締役相談役の山中敦子さんにご登壇いただきました。

私がこのたび会長をお受けするにあたり、「これだけは絶対にさせていただきたい」とお願いしたのが、最初の外部講話者に山中さんを迎えることでした。私にとってそれほど山中さんは大切な存在であり、“倫理の母”とも言える方なのです。

物事には必ず“本(もと)”があります。

私たちの命の“本”は、お父さん、お母さんであり、ご先祖様です。

私たちの商いの“本”は、創業者であり、その創業者を支えてくださった方々です。

あなたが創業者であるならば、その商いを始めるきっかけとなった人や出来事がその“本”と言えるでしょう。

商いがうまくいっていない人を眺めてみると、その“本”をすっかり忘れてしまっている方が多い。

その中には「ちゃんと感謝していますよ」と口にされる方もいらっしゃいますが、その心を表す行動が伴っていない。それどころか、“本”となっている方や物事をないがしろにする方さえいます。

そういう方は、仮に現状うまくいっているように見えても、必ず苦難が訪れる。そしてその理由がわからないから、抜け出すことができません。

“本”を忘れ、大事にしないで、よい結果が生まれるはずがないのです。

逆に、“本”を大切にし、その心を行動に表している経営者で事業がうまくいっていない人はいません。もちろん、状況によっては一時の苦難を伴うこともありますが、その苦難も必ずよい形で活かされる、そういうものなのです。

今回、山中さんをお迎えし、ご指導をいただいた日々を思い出し、改めて心身共に引き締まると共に、“本”に触れる機会と場をもつことの大切さを痛感しました。

みなさんの商いの“本”は何ですか?ぜひその“本”を明らかにし、大切にしてください。その上での事業繁栄をお祈りします。


No.578 必然

1000nen

2021/09/27 09:00:00

先週の土曜日、愛知県倫理法人会29単会の役職者が集まり、今月から始まった事業年度における、それぞれが計画する活動方針の発表ならびに質疑応答の場が設けられました。

本来であれば、全単会の発表が聴けたはずなのですが、残念ながらコロナ下ということもあり、4~5単会ずつに分かれてのディスカッション形式での検証でした。

しかし、他単会の方針ならびに計画を耳にする機会を得たことは、とても有意義でした。

何よりも、皆さん活動に対して前向きで、改めて「よい会にしていこう」という意思と意欲を高めることができました。

また、今回の内容を含め、会の運営に携わるようになってから感じているのは、「会社経営と何ら変わりがないものである」ということです。

その点、どこかで違うものとして捉えていた自分がいたことを反省しています。

翻って、私たち千年経営研究会においても、改めて会の運営に関して、見直すべき点があると感じています。

取り急ぎ、会の規約のたたき台を作ってみました。今後、役員会にて検討し、来年4月2日(土)の総会にて、皆さんに公表できるようにしたいと思っています。

いずれにしろ、今回、名古屋市南区倫理法人会の会長を拝命したことは、この千年経営研究会の運営の見直しにおいても“必然”であったと強く感じます。

千年経営研究会の運営そのものが、皆さんの会社の運営の参考になるものであるようにしていきたいと感じる、とても有意義な一日でした。

是非皆さんと共に、千年経営研究会をより素晴らしい会にしていきたいと思いますので、ご協力のほどよろしくお願い致します。

何よりも、この出会いそのものが“必然”ですから・・・


No.579 検討

1000nen

2021/10/04 09:00:00

当社は今月から新年度がスタートしました。よって先週は年度末最終週ということもあり、各部署で方針の検討会や発表会などが催され、私もバタバタとした時間を過ごしました。

特に、新たなミッションを与えられた部門ではより一層喧々諤々の議論が行われ、私自身も新たな意欲と覚悟を持つことができる機会となりました。

いろいろな会議に参加させてもらう中で、どの部門にも共通して伝えたことがありましたので、皆さんにも共有したいと思います。

一つは、「何をするかの前に、何のためにするかを明確にする」ということです。

新しいことに取り組んでいこうとするのには、もちろん“目的”があります。よって、「それは言わなくてもわかるでしょ?」というところから議論が進んでしまうことがあります。

しかし、その目的の捉え方は、実に人それぞれであることが多いものです。実際に、「なぜその取り組みをしないといけないの?」と尋ねてみると、参加者それぞれが違う答えを口にし、それを耳にした他のメンバーはその都度目を丸め、キョロキョロと周りを見渡します。上から伝えられた物事の理解度は、それほどに儚いものであるとの認識が必要です。

そこでまず、「なぜこの取り組みをしなければならないのか?」を、上への忖度ではなく、各自が自分の言葉でしっかりと話せるようになるまでトコトン議論しなければなりません。

そして、全員が肚落ちしてはじめて、具体的な方法を検討していく、そういうプロセスが大切なのです。

もう一つが、「責任の所在を明確にする」ことです。

目的が明確になれば、具体論を検討し、実施者を決めていくことになります。その際、明確にしなければならないのが、「責任者は誰か?」ということです。実施者=責任者ではないからです。

もちろん、最終責任者はリーダーに集約されます。しかし個々の内容については、その責任を“委譲”することができます。

アメリカの臨床心理学者・ハーズバーグによれば、人がやる気になる5大要因のひとつに“責任”があるとのこと。人は、責任をもつことに喜びを感じる生き物ということです。リーダーには、各自に適切な責任を与えることが求められるのです。

この責任の所在が不明確だと、「誰もやりたがらない」とか、「結局リーダーが全部抱え込む」という結果になってしまいがちです。これはどちらも好ましい状態ではありません。

そこでまず、それぞれの項目における責任者を明確にする。次に、その責任者の管理監督の下、誰が実施するのかを決める。そういうプロセスが必要です。

責任者には「結果責任」があります、そして、実施者には「実施責任」があります。この2つの責任が好ましいものになったとき、はじめて好ましい結果が生まれるのです。

皆さんの会社でも、常に新たな取り組みを検討されているものと思います。その際にはこの2つの視点を明確にしながら、検討を進めていただければと思います。


No.580 信

1000nen

2021/10/11 09:00:00

先週、愛知県倫理法人会・女性委員会主催のセミナーに参加してきました。

講師は矢野きよ実さん(https://yanokiyomi.jp/contents/)。みなさんはご存じですか?私たちの年代では「5時SATマガジン」、もう少し下って、宮地佑紀生さんとの名コンビ番組「どですか!」で知っている方も多いかもしれません。

ときに「名古屋の上沼恵美子」と言われるそうですが、そこまでではないにしろ、「思ったことをズケズケ口にする名古屋弁の女性」というイメージで、実は私、あまりよい印象を持っていませんでした(ファンの方、ごめんなさい)。

しかし、90分の講演の半分は、流れる涙を止めることができないほど、本当によいお話をお聴きすることができました。

私はまったく知らなかったのですが、彼女は東日本大震災で被災した人たちや家庭内虐待を受けた子供たちに、ご自身のもうひとつの顔である書家として、書を通した心の癒しを提供されているのだそうです。今回は、その活動を通じて出会った方々との心のふれあい、大切な気づきなどをお話しいただきました。

お話しをお聴きする中で、「こういうお話だと分かっていたら、もっと多くの方をお誘いしたのに」という気持ちが湧いてきました。実際には何名かの方に声を掛けさせていただいていたのですが、形式的に軽く話をするだけで、本気でお誘いする気持ちは持ち合わせていなかったのです。

そしてその気持ちの本質は、お誘いいただいた方に対する責め心だったのだと思います。

しかし、よくよく考えてみれば、倫理を学ぶ仲間が、「この人がいい!」と自信をもって登壇をお願いした方です。間違いなどあるはずがありません。私が本気でお誘いできなかったのは、単に仲間を信じ切ることができなかったからにほかなりません。そこに思い至ったとき、まさに「穴があったら入りたい」気持ちになりました。

仲間のことを、私のことを真剣に考えてくれている方がお誘いくださったのです。そのことに思い至れば、つまらぬ過去の知識や経験などかなぐり捨てて、誘ってくださった方を信じ切ってお誘いするのが筋というものです。

それができていれば、もっと多くの方に素晴らしいお話をお聴きいただくことができた、そのことを大いに反省させていただきました。

そして、改めて「信じる」ということの意味を考えさせられた一日となりました。


No.581 顧客

1000nen

2021/10/18 09:00:00

以前にもお伝えした通り、当社は今月から新しい期を迎えており、先週は数日にわたり、全社ならびに部門ごとの方針発表会が開催されました。この日が訪れるたびに、気持ちを新たに、かつ引き締めて、この1年を過ごす覚悟が固まります。実施されていない会社があるようでしたら、ぜひ検討をしていただきたいと思います。

当日は私も、担当する部門の前期の振り返りと今期の方針の発表をさせていただきました。そのうちの一つ、「カスタマーサクセス推進室」の取り組みの中に、「若手担当者先の決算前検討の実施」というテーマがあります。

これは今年の5月から始めたものですが、入社7年以下のメンバーが担当するお客様につき、決算月の2か月前に、当期の決算予測と現在および将来にわたる課題の整理をするという取り組みです。

もちろんこれまでも担当者とその上司による検討は行われていましたが、共通の物差しによる検証も必要であろうということで始めてみました。

やってみてつくづく感じたのは、「やはり会社は十社十色だ」ということ。当たり前の話ですが、この仕事を始めて33年、そこそこの経験を積んできたつもりでしたが、まだまだ知らないこと、経験していないことの多さを痛感させられています。

皆さんはトップとして、すべてのお客様のことを知っていますか?もちろん、売上の多少を問わず、です。

業種によって単価が違いますから、皆さんの会社の実情に合わせて表現を変えていただければと思いますが、私は「1,000円のお客様を大切にしなさい」と伝えています。

ときに、取引の少ないお客様は、ないがしろにするとまでは言わないまでも、どうしても優先順位は下がってしまうものです。それでも「大切にする気持ちは忘れない」ことを意識させ続けなければなりません。

中でも「お客様を知り尽くす」という姿勢が大切です。お客様を知り尽くしていれば、ちょっとしたことからお客様に喜んでいただける行動が生まれるものです。そしてそれが本質的なお客様満足となるものです。

「お客様を知り尽くす」姿勢は、担当者のみならず、トップにも求められるものです。そしてその姿勢が、会社全体の顧客満足の実現に繋がっているのです。

ぜひこのコラムを、お客様をより深く知るきっかけにしていただければと思います。


No.582 選任

1000nen

2021/10/25 09:00:00

先週、ある社長から「次が決められない」という悩みを打ち明けられました。

その会社は同族ではなく、代々社員さんの中から代表が選ばれる会社で、ご本人も15年ほど前、自ら立候補して社長の座を射止めた方。「自分もそうだったから、自ら名乗りを上げて欲しい」と考えられています。

現時点で絞り込まれた候補者は3名。しかし、「遅くともあと3年で引き継ぎたい」と考えられているものの、本人たちは三すくみ状態で、自ら手を挙げる人は今のところでてきていない。また指名するにも「帯に短し、たすきに長し」で、「正直決められない」とのこと。

現役社長の右腕・左腕として育ってきた幹部は、部門長として任された部門の運営には長けているものの、全体を見る目は社長に委ね切ってしまっているケースが多く、まさに「帯に短し、たすきに長し」になりがちです。

このような状況の場合、ときに私は『一代飛ばし』をご提案することがあります。その候補者たちが考えている「その次」を選んでもらって、その方に継いでもらう。そして彼らが選んだ「その次」を彼らに支えていってもらえるようにするということです。

しかし今回の場合、現候補者たちも40代と若く、一代飛ばしは現実的ではありませんでした。

そこで2つアドバイスさせていただきました。

ひとつは、他の社員さんにそれとなく尋ねてみるということ。ただし、「誰がいい?」では「好き嫌い」や「自分にとって都合のいい人」を選びがちです。そこで

□部門を問わず、自分を一番育ててくれると思える人は誰? 

□外に出しても恥ずかしくない人って誰?

□神輿として担ぎたいと思える人は誰?

という3つの視点をお伝えしました。

二つ目に、やはり本人から自主的に手を挙げてもらいたいというお気持ちが強いようでしたので、「外飯を食わせる」ことをお勧めしました。ここでいう外飯とは、外部の経営者団体に所属させる、という意味です。

社内にいると、どうしても横を見てバランスを取ろうとします。結果として「自ら手を挙げることが憚られる」状態になりやすいもの。

一方で外に出れば、会社の代表としての自覚が生まれると共に、周囲から「うちの会に会社の代表で来てるんだから、次はあなたなんでしょ?」というプレッシャーがかかってくるものです。それが結果として覚悟に繋がっていくのです。

これらの取り組みは、部門長の選任などにも応用できると思います。人選に悩まれることがあれば、少し参考にしていただければと思います。


No.583 採用

1000nen

2021/11/01 09:00:00

先月から、ある部門の中途採用に携わることになりました。

採用業務に関わって20年ほど経ちますが、これほど応募が少ないのは初めての経験です。人材紹介会社や採用広告会社など、あらゆるルートを使って募集を掛けているのですが、期待には程遠い成果しか得られません。

あまりの手応えのなさに紹介会社の担当者に来ていただいて話をお聴きしたところ、次のような実態が分かってきました。

・今年の前半までは先の見えないコロナ下にあって求人側が採用に慎重で、どちらかといえば就職難の状態が続いていたが、9月あたりから求人数が急激に増えてきて、今では「出れば売れる」といった状況になっている。

・売り文句として登録人数を増やしたい採用サイトが、あまり転職を望んでいない人に対しても登録を勧めているため、見かけの登録者数は減っていないが、実際の転職希望者は減ってきている。

・さらに求職者側は、将来に対する不安から職場を移ることに躊躇する傾向にあり、一層動きが鈍っている。

なるほど、目に見えるリストは多いにも関わらず、こちらからいくらアプローチをしてもなかなか反応が得られない理由がわかりました。

「採用は1割増しが原則(現状の仕事量より1割多めの社員数が理想)」「就職難時が採用好時」とお伝えしてきた手前もあり、「もう少し早く動けていれば」と、少々悔やまれます。

しかし、そうも言ってはいられません。お会いした担当の方に、「どれほど人材を必要としているのか」「どんな人材を求めているのか」「入社してもらえたらどんな活躍をして欲しいのか」などを1時間以上に亘って熱く語りました。

結果は・・・言ってみるものです。紹介いただける方が少しは増えてきました。

しかし、やはり望む人材に出会えるかどうかが問題です。「採用は、よい人を入れる活動ではなく、入れてはいけない人を入れない活動」です。なかなか期待する人材に巡り合えない中で、ついつい心が折れそうになりますが、そこだけは譲るわけにはいきません。心を強く持ちたいと思います。

もう一つ強く伝えられたのは、「本気で口説いてください」ということ。「最後は、どれだけ本気度が伝わるか、です」とのアドバイスは、その通りだと思います。

「これは!」という方と巡り合えたら、これまで以上に全力で口説きにかかろうと思います。


No.584 引継

1000nen

2021/11/29 09:00:00

このところ、これまで私が専任で務めてきた研修を、若手に引き継ぐ機会が増えてきました。所属が変わったこともありますが、やはり私がいる間に若手講師のレベルを引き上げておこうという狙いがあります。

そもそも、その人しかできない仕事を放置すること自体、組織としては問題です。任せておけば済む分、楽ではありますが、急な代替対応ができないことをはじめ、ときに驕りや慢心を生む、ないしは指導すべきことが強く言えなくなってしまう、などといった弊害を生じることもあります。実際に、そのような状況になっている組織は多いものです。トップの責任として、厳に戒めなければなりません。

先日も1件、引き継ぎを行いました。事前に私の研修に同行させ、録音したものを何度も聴かせ、ロールプレイングを行い、「これなら大丈夫」と思える状況で実際にやってもらいました。彼の努力の甲斐あって、まずまずの結果だったと思います。

話を聴きながら改めて感じたのは「任せることは難しい」ということです。ついつい口を出したくなってしまう。「俺ならこうするのに」「もっとこうすればいいのに」と、いろんなダメ出し言葉が浮かんでくるものです。それをグッとこらえる。なかなか辛いことです。

しかし、彼にとっては初めての体験。最初から前任者レベルになるはずはありません。もし最初から同レベルの結果が出せたとしたら、それこそ前任者のレベルの低さの証です。年季の差は必ずあるものです。ないものねだりはいけません。

そこで必要な姿勢は、「ダメなことよりも、良くなったことにスポットを当てる」ということです。良かった点を素直に褒める。それが次へのチャレンジのモチベーションになります。

そのうえで、「改善を要するところはどこだと思うか?」と尋ねました。私が指摘したかったことがほとんど網羅されていました。わざわざ言う必要もなかったのです。そういうものだと思います。

褒められたこと、そして自ら感じた改善点が追認されたこと、その二つをもって大いに自信につながったようです。

今回のように後任に引き継ぎを行う際にひとつ大切なことがあります。それは「〇〇ができるようになったら譲る」といった条件を付けないことです。この条件が足かせとなって、足りないことばかりが目につき、結果として譲れなくなってしまうという弊害を生みます。

譲る側には、譲るという感覚ではなく、捨てる覚悟が必要なのだと思います。

これは事業承継にも通じることですが、譲る側の「後戻りはしない」という強烈な覚悟と美点凝視の姿勢が、スムーズな引継ぎを実現するのだと思います。


No.585 社風

1000nen

2021/12/06 09:00:00

先日、名古屋市南区倫理法人会の有志と共に、株式会社 半田キャスティング様に会社見学に伺ってきました。

同社の加藤社長は元々豊田自動織機の方で、100%子会社である同社に派遣されたのだとか。赴任前に外から見えていた同社は業績良好で、ゆるぎない優良企業に見えていたのだそうです。しかし、実際に赴任してみると、あいさつしない、工場は汚れている、お互いがいがみ合っている、などと、内実は優良企業には程遠い状態だったのだそうです。

そんな会社が、2015年に加藤社長が就任以来、業績もさることながら、何よりも「家族・親族・友人知人を働かせたい会社」となり、実際に、親子や兄弟で働いている社員さんが全社員118名中10組以上、かつ先日実施した5名の募集には、その週のうちに社員さんからの紹介が4名あったのだとか。それだけでも、社風の良さが伺われます。中には「待ってました!」と言われた方もいらっしゃったそうです。

「最悪だった」その社風をどのように変革されたのか、そこにはやはり加藤社長の「自分の家族を働かせたいと思える会社にしたい」という強い思いがありました。

その思いの中で取り組まれたことは、すべてが参考になる話でしたが、今回は少しだけ抜粋してお伝えしたいと思います。

まずは、個人面談を実施されたとのこと。当初はひとり30分程度を予定されていたそうですが、やってみると不平・不満の嵐で、とても30分では終わらなかったそうです。

これまでも“派無し”、即ち「考え方の違いがなくなるまで話をする」価値をお伝えしてきましたが、まさにそれを徹底的に実践されたわけです。

そして面談を繰り返し行う中で、不平・不満の陰に、やる気や上昇志向の光が見えてきたとのこと。やはり話し合うことはとても大切なことですね。

お話の中でハッとさせられたのは、「名前をフルネームで書けますか?」という問いでした。残念ながら私は、古くからの仲間の名前は書けましたが、特に入社間もないメンバーで下の名前は思い出せる人はあまりいませんでした。大反省です・・・

最後に、経営者の使命とは

□成長したい、誰かの役に立ちたい、認められたい」という人間の本質を仕組化し、一人ひとりの『今』を見た、機を逸しないコミュニケーションをとること

□「明日は今日より良くなる」ということを示し続けること

と締め括られました。本当にその通りだと思います。

このほかにもたくさんの学びがありました。詳しくは月例会でお話しします。ぜひご参加ください。そしていつか千年経営研究会でもお伺いし、学ばせていただきたと思います。


No.586 朝起き

1000nen

2021/12/13 09:00:00

このところひとつ意識していることがあります。それは“朝起き”です。

朝起きとは「朝、目が覚めたら、何も考えずにサッと起きる」ことです。ですから、いつも同じ時間に起きる早起きとは違って、3時に起きても朝起き、10時に起きても朝起きです。ポイントは、「目が覚めた」と自覚したその瞬間に起き上がることです。

これがなかなか難しい。ついつい「まだ早いかな?」とか「もうちょっと」といった感情が生まれ、布団から出ようとしない自分がいます。前者が“言い訳”、後者が“わがまま”。朝起きを始めてみると、自分が如何に言い訳とわがままの塊だということに気づかされます。

一方で、朝起きを実践していると、「天と繋がっている」という実感が湧いてきます。

先日も、翌朝一番に提出しなければならない書類を少し残してしまい、「4時に起きれば間に合うかな?」と目覚ましを掛けて寝たのですが、目が覚めたら2時30分。「これは朝なのか?」と思いつつも朝起きを実践し、仕事を始めてみると出社時間ギリギリの仕上がりとなりました。もし予定通り4時に起きていたら間に合っていなかったのです。冷や汗ものでした。「ああ、朝起きとはこういうことなのか」と、身をもって体験することができました。

よく考えてみれば、“朝”という字を分解してみると、「十月十日」と読めます。受胎から出産までの期間ですね。十月十日の眠りから覚めるのが朝。そして朝起きて(生まれて)、一日頑張って(生きて)、夜寝て(死んで)、また朝起きる(生まれる)。要するに、一日とは人の一生そのものということですね。

そして、人が生まれる時間がさまざまであるように、起きるのにベストな時間もまたさまざま。だからその日に必要な寝る時間、起きる時間があって、一番よい時間に目が覚める。「天と繋がっている」とは、まさにそういうことだと思います。

だから朝起きするということは、天のメッセージをきちんと受け止め、これを活かすということ。実践してみて、とても大切なことだと感じています。

言い訳とわがままばかりの人間にまともな仕事などできるはずがありません。朝目が覚めるたびに、言い訳とわがままな自分の存在をきちんと自覚し、そして跳ね除け、爽やか起きる。

「朝起きもできない人間に、人の上に立つ資格などない」と肚括りして、朝起きの実践をしていきたいと思います。


No.587 聴く

1000nen

2021/12/20 09:00:00

先日、私が関わる社内プロジェクトの一つ、顧客満足度向上委員会の打ち上げがありました。

その名の通り、お客様の満足を高めるために何が必要かを議論するその委員会は、管理職4名、入社7年以下の若手社員4名、役員2名の計10名で構成されています。

管理職と若手社員1名ずつの4チームに分かれてそれぞれ2つずつ、合計8つのテーマを担当し、その検討結果を会議の場に持ち寄って議論し、周囲を巻き込みながら具体化の取り組みをしてもらいました。

彼らにとってはとても大変な1年だったと思いますが、これまで放置されていた課題の具体的対策が明らかになり、とても充実した活動となりました。

この活動を通じて、いくつかの嬉しい事実が明らかになりました。

ひとつは、管理職に“聴く耳”があることがわかったことです。ともすると、押し付け的になりがちな組み合わせだと思うのですが、本当によく若手社員の意見に耳を傾けてくれていました。日ごろの姿勢の表れと、とても嬉しく思いました。

もうひとつが、若手社員が活発に意見を出してくれるようになったことです。これは先の管理職の姿勢によるところが大きいと思うのですが、最初の内はただうなずくだけだったものが、1年間の活動を通じて、本当によく発言してくれるようになりました。

これは、出された意見について必ずフィードバックを行い、かつ、良い提案はすぐに実践してもらったことも大きかったように思います。

結果として、短い期間ではありましたが、多くの成果を上げることができました。

今回の取り組みを通じて改めて感じたことは、“聴く”姿勢の大切さです。意見が出ないとついつい口を出してしまうことが多い私としては、とても大きな学びとなりました。

さらには単なる議論で終わらせず、どんな意見であってもすぐに取り入れ、実践できたことも大きかったと思います。

今期、メンバーを変更して継続実施していきます。さらなる成果を上げられるよう、聴く耳を持ち続けていきたいと思います。


No.588 思い

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2021/12/27 09:00:00

先週の金曜日、私が会長を務める名古屋市南区倫理法人会では、『車検のコバック』を運営する、株式会社 コバックホールディングスの代表取締役 小林憲司さんを講話者にお迎えして、モーニングセミナーを開催しました。

小林さんに講話をお願いしたのは3か月前。1か月ほどの日程調整の結果、12月24日、クリスマスイブでの開催となりました。よく考えてみればコバックさんのキャラクターは『コバサン太』君。この巡り合わせに特別な意味を感じました。そしてある幹部の発案により、「名古屋市南区倫理法人会初の100名モーニングセミナーにしよう!」ということになりました。猶予は2か月、十分な集客時間があるように思われました。

ところが、2週間前の役員会で発表されたその時点での参加予定者数は60名程度。それでも「何とかなる」という思いはありましたが、何よりその場の雰囲気に危機感を覚えました。「役員の心がひとつになっていない」と感じたのです。しかしその場においては、どうすればよいか、明確な答えをもつことはできていませんでした。

役員会の後、自然の流れの中で一部の幹部が残り、目標達成に向けてどうするかを話し合うことになりました。彼らは、集客に一番成果を上げているメンバーでした。ともすると、「ほかの奴らは何やってんだ!」となってもおかしくない状況の中、彼らが出してくれた結論は、「俺たちがもっと頑張ろう!」でした。感動しました。そして、それ以上に自分の不甲斐なさを痛感しました。「この結果は、トップである私の心の表れだった。私自身の思いが足りなかった。私自身がもっと真剣にならないといけない」と。

そこでまず、「あの人は難しいだろう」と諦めていた人に改めて声を掛けていくことにしました。加えて、以前から考えていた“社員への声掛け”も実践しました。いろいろなプロジェクトなどで一緒に取り組んでくれているメンバーを中心に、一人ずつ現状と思いを伝えていきました。

その波動が伝わったのか、前述のメンバーの動きが皆の心に火を灯したのか、または元々思いは共有できていたのかは定かではありませんが、翌日から会員の動きは間違いなく大きく変わりました。そして、会員の心が一つになっていく喜びに、毎日毎日がとても楽しくて仕方ありませんでした。

おかげさまで当日は、142名の方にお越しいただき、盛大に開催することができました。用意していたのは146席でしたので、ほぼ満員御礼。とても嬉しい結果となりました。

私の活動結果においても、普段は「朝は勘弁してください」と明確な意思表示をされていた千年経営研究会メンバーも、私を憐れんでか、何人も参加してくださいました。社員も、なんと16名も来てくれました!なかには、車に乗り合って、1時間以上かけて来てくれたメンバーもいました。とても嬉しかったです!

今回の経験を通じて、改めてトップの思いの影響の大きさを痛感すると共に、思いが一つになったときの力の大きさを実感することができました。

「思いは一つ」「やればできる」

この経験を、今後の会運営に、そして会社運営に活かしていきたいと思います。


No.589 干支

1000nen

2022/01/11 09:00:00

新年、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。

さて、今年も恒例の干支の解説で一年の始まりを寿ぎましょう。

今年の干支は「壬寅(みずのえ・とら)」です。まずは十干の「壬」から。

十干は10年で一回りします。10年を5つに区分し、これを生命の循環に当てはめるならば、「種蒔き」「成長」「開花」「結実」「後始末」となります。「壬」は、十干の9番目ですから、これまでの10年を見詰め直し整理する「後始末」の時期であり、次の生命を育む準備のときであるといえます。

また、「壬」は妊娠の妊に通じていて、厳しい冬を耐え抜いて、内面に陽気を蓄えている相であり、その陽気で次代の礎を創り出すことを意味するようです。その姿は、土の下で芽が膨らんで、土がグングンと盛り上がっている姿といってもいいでしょう。

次は十二支の「寅」。

「寅」は十二支の三番目ですから、生命の循環でいえば、「誕生」を表すときといっていいでしょう。「豊穣を助けるミミズが土の中で動き、芽吹きが始まった状態」ともいうようです。まさに、春の胎動を感じますね。

よって「壬寅」の年は、「陽気を孕み、春の胎動を助ける」という意味となり、さらには、

冬が厳しいほど春の芽吹きは生命力に溢れ、華々しく生まれることを意味しているといいます。

これまでコロナ禍で厳しい時間を過ごしてきたわけですから、今年は相当な生命力溢れる何かが華やかに生まれ出る年になりそうです!

しかし、ただ待っているだけではいけません。壬寅の年は、「地道な自分磨きを行い、実力を養う必要がある」といいます。これまで内に秘めてきたパワーを全開にして、自分を磨き、実力を養う年にしていきましょう。

みなさんにとって、今年もよい年であることを心よりお祈り申し上げます。


No.590 変化

1000nen

2022/01/17 09:00:00

先日、愛知県倫理法人会の研修に講師として招かれたのですが、会場に到着すると別室に通され、その場でPCR検査を受けることになりました。

事前にお聴きしていなかったので少々驚くと共に、「これで出てしまったらどうしよう」と不安にもなりましたが、ずらりと並んだスタッフと受講者の陰性を示す検査キットを拝見し、覚悟を決めてキットを咥えて待つこと15分、結果は・・・陰性でした。

検査前は不安以外の何物もありませんでしたが、結果が出てみると安心して講師を務めることができ、「こういう取り組みもありかもしれない」と素直に感じました。「陽性だったらそうしてたんだろう?」という疑問に対する答えはありませんが・・・

一説によれば、過去のスペイン風邪やロシア風邪がそうだったように、ウィルスは一般的に終息末期に弱毒化して感染力が増すのだそうです。よって、今起こっている現象は、コロナ禍終息の表れではないか、といわれているようです。

手元に証拠となるデータがありませんので、にわかにそのまま受け入れることはできませんが、確かにそうなのかもしれないと感じるところはあります。

しかし、現実的に陽性者が増加傾向になる中で、「やるべきことをやる、なすべきことをなすために、できること、考えられることをとことんやり尽くす」という今回の主催者の姿勢は、とても見習うことがあるように思います。

一方で、「コロナ禍前に戻ったら・・・」というような会話も聴かれます。しかし残念ながら、完全にコロナ禍前に戻ることはないでしょう。蝶が青虫に戻れないように、一度起こってしまった変化は、もう戻せない。

もちろん、戻る部分もありますから、その見極めは必要です。“不易流行”という言葉が示す通り、世の中のことはすべて、「変わるもの、変えてはいけないもの」と「変えるもの、変えなければならないもの」が同居しているものです。

特に今回のような大きな変化においては、後者のウェイトが高くなる、そういう認識が必要なのだと思います。

いずれにしろ、現状を素直に、そして肯定的に受け止め、やるべきこと、なすべきことを真摯に実行していくことが大切なのだと思います。


No.591 言葉

1000nen

2022/01/24 11:52:00

先週金曜日の名古屋市南区倫理法人会のモーニングセミナーにて、2歳の時に顔や頭、手などに大やけどをおった創業社長のお話を伺いました。一目でそうとわかるほどの傷跡で、高い身長も相まって、「神様は見た目のハンディを私に与えた」との話からスタートしました。

しかし彼からは、ときにハンディを負った方が身にまとう暗さや卑屈さなどは一切感じられません。それどころか、心の底からにじみ出る明るさと前向きさがひしひしと伝わってきました。

そんな彼も、子供の頃は「見られることを強く意識し、素直に自分を表現できないこともあった」と言います。しかしお母さんから毎日のように「生かされた命だから大切にしなさい」「いつも明るくやさしく!」と声を掛けられ、今の自分を育まれてきたとのこと。

ところが、27歳で結婚し、子宝にも恵まれ、順風満帆な人生を送られていた矢先、転職先でうつ病を発症するほどの理不尽なハラスメントに遭遇。働く意欲をなくし、「生きている価値がない」とさえ思われるほどだったのだとか。

そのとき、奥様から言われた言葉がまた秀逸でした。「病気になるくらいなら好きなことをやったら!」この一言が心にドーンと響き、完全に吹っ切れた彼は起業を決意し、今に至るのだそうです。

いずれの話も、言葉の大切さとパワーを改めて感じさせるものでした。

一方で、ハラスメントをなかば容認していたその会社は、彼が起業を決意したその年に倒産。悪しき言葉が横行するような企業風土の会社の末路は、そのようなものだと思います。

閑話休題。

起業をし、倫理と出会い、多くの経営者と接する中で、ひとつ気づかれたことがあったそうです。それは、「自分が受け入れられていないと感じていたのは、自分が受け入れてなかったから。結局、自分が素直な心を殺して、自分を責めて、心を閉ざしていたから招いた結果だった」ということ。

その気づきを通して、「何でも話すことができる安心・安全な場を作りたい」と言われます。やはり、自己開示ができる場所があることは大切ですね。

私たち千年経営研究会も、素直で愛のある言葉が飛び交う、何でも話し合うことができる場所であり続けたいと強く感じたお話でした。


No.592 共創

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2022/01/31 09:00:00

先週のモーニングセミナーの講話で、今後の経営のあり方に参考になる話をお聴きしましたので、皆さんにもお伝えしたいと思います。

機械のメンテナンス業を営むその会社で数年前、「俺が一から育てた」「彼だけは裏切るはずがない」と信じ切っていたNo2が、ゴールデンウェーク直前に社員を引き連れて辞めてしまったとのこと。

大規模なメンテナンスは工場が止まる大型連休にされることが多く、その時も、全社員総出でもやりきれないくらいの受注を抱えられていたそうです。

ところが退職によってとてもこなしきれないのは火を見るよりも明らか。さらに残った社員はまだ若く、戦力的には人数以上の落ち込みだったのだそうです。

急遽、社員募集を始めたもののまったく反応もなく、途方に暮れてしまっていたところ、見るに見かねた奥様が、知り合いの同業者に片っ端から電話を掛けられたのだとか。

そうしたところ、「まるまるは無理だけど、半日ならいいよ」「この時間帯だったらいいよ」といってくれる人が多くいらっしゃった。それも経験豊な強者揃い。結果は、何の問題もなく仕事を終えられました。

そして今では、そのときのご縁をきっかけにして同業者間のネットワークを構築し、採用難の時代にあって正社員にこだわらなくても済み、また各社の利益率も格段に向上するなど、想像以上の成果を実現されているのだそうです。

まさにこれからの時代を生き抜くヒントが詰まっている話だと感じました。

しかし、よく考えてみれば、「社中」「連」「講」などといった、同じ目的を持った者が集まり、助け合いながら互いの目的を果たしていく取り組みは、昔の日本では当たり前にあったことです。

「賢者は歴史に学ぶ 愚者は経験に学ぶ」

といいますが、今まさに歴史からじっくり学ぶことが大切なときに来ているように思います。

「“競争”から“共創”へ」

以前から言われている話ではありますが、これを機に、同業者間に限らず、自社ではどのようなことが考えられるか、一度検討されてはいかがでしょうか?


No.593 意思疎通

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2022/02/07 09:00:00

先日、「営業部門と製造部門とのコミュニケーションがうまくいっていない」という会社の会議に同席する機会がありました。

同業他社のデータと比較して著しく生産性が低いことを問題視した社長が、いろいろとその理由を検討した結果、その要因の一つとして前述のテーマに行き着き、その解決のための場を設けられたとのこと。

それぞれの部門から2名ずつ選抜され、宿題となっていた相手への要望事項を出し合うことからスタートしました。

正直なところ、双方への非難合戦、罵り合いバトルが始まるかと思っていたのですが、ことのほか穏やかにスタートしたその内容は、突き詰めれば、「お互いへの不満を抱え込み、陰で文句を言って終わっていた」ことが原因である、との結論に至りました。互いの口から出た要望は「言えばわかる」内容ばかりで、互いの忖度が生み出す「ポテンヒットエラー連発」というような状態だったのです。

社長によれば、「先代が『つべこべ言わずにやれ』タイプだったことがその遠因」とのことでしたが、それを放置したのはその社長。そこはきちんと反省していただいた上で、断たれてしまっていたコミュニケーションの糸を、自らの責任として紡ぎ直していただくよう、お伝えしました。

もう一つ象徴的だったのは、製造部門からの一言でした。それは「営業部は感謝の気持ちが足りない。ありがとうの一つもない」。これはよくある話で、営業と製造の部門断絶の大きな理由の一つになっているように思います。

営業部門は直接お客様と接していますので、ついつい「売上は俺たちが作っている」というおごりが出やすいものです。そして、製造部門に対して「お客様の言う通りのものを作るのは当たり前」という気持ちが生じ、文句は出ても感謝の言葉は出てこない、という状態に陥るケースは、少なくないと思います。

これは、家庭における夫婦の関係に似ていますね。私自身、大いに反省するところです。

この会社に限らず、「言えばわかる」ことがそこかしこに眠っているように思います。そして、その内容に着手すれば、大きな前進が見込まれることもあるでしょう。

是非皆さんの会社でも、眠っている「言えばわかる」宝探しをしていただければと思います。


No.594 言葉

1000nen

2022/02/14 09:00:00

昨年末に幹部対象の講話をさせていただいた会社から、そのアンケート結果が送られてきました。

その会社は、私が入社以来、まだ社員数が100名にも満たないころからお付き合いをいただき、2,000人を超える規模になられた今でも、年1回お呼びくださっているお客様です。

ですから、お聴きになる方も「また亀井さんか・・・」と思われているんじゃないかと、毎回不安に思いながらお話させていただいています。特に今回はコロナ禍2年目で、お話しする内容は同じようなものでしたから、なおさらです。

しかし、いただいたアンケートによれば、心配を他所に、多くの方が新鮮な気持ちでお聞きいただいたようで、安心しました。

それ以上に特筆すべきは、私の後の社長のお話に対するコメントでした。「もっと聴きたい」「もっと多くの機会を作って欲しい」など、社長の声を望む言葉にあふれていました。

その社長の話は、前半は話し方も含めてとても厳しい内容でした。正直なところ、「そんな話(言い方)をしてしまって、幹部の心が離れてしまわないだろうか?」とハラハラしながら聴いていました。

しかし後半は打って変わって、「本当にできるのか?」と多くの方が感じたであろう、夢と希望にあふれるものでした。熱く語るタイプの方ではないのですが、その本気は十分に伝わってくるものでした。

「こういう話が聴きたかった!」幹部の方々がそう思うのは、当然のことと感じました。

危機的な状況においては、何よりもトップの言葉が大切なのだと、改めて感じることができました。

それも、現実を誤魔化すことなく、逃げることなく苦難を苦難ときちんと受け止め、そのうえで改めるべきは改めていく覚悟を伝える。さらに、未来に向けては、明るく、前向きで、ドキドキ・ワクワクするような夢を語る。それこそが、苦難の時のトップの役割だと思います。

このような時期だからこそ、この社長のように、自らの役割を再認識し、その使命を果たしていっていただければと思います。


No.595 出生

1000nen

2022/02/28 09:00:00

先日、名古屋市南区倫理法人会のモーニングセミナーにて、生まれる前の記憶をもつという子のお母様のお話を聴きました。

「子供は、親を選んで生まれてくる」

というその内容は、私の人生観を一変させた「生きがいの創造」(飯田史彦著/PHP研究所)の真実を証明してくれるものでした。

子供は生まれる前、いわゆる肉体のない魂のような存在の時、さまざまな家庭の映像を見せられた上で、どのお母さんのもとに生まれるかを、自らの意思で決めるのだそうです。

魂たちに人気のあるお母さんは、明るくて、アクティブで、人のために一生懸命な方とのことで、その人のもとへ続く滑り台の前には、たくさんの魂が集まっているとのこと。

「誰も並んでなかったから、かわいそうだなぁって思って。周りの人から「本当にいいの?」と何度も言われたけど、お母さんを選んだ」

その子は、小学高学年で学校に行けなくなり、自傷することさえあったのだとか。

今では、それまでのさまざまな苦難を幸福に転換され、常に笑いを交えてお話しいただけたことが印象的でした。

親による虐待や、家庭内における各種のトラブルが報道されることが多くなった印象が強いのですが、その親を子が選んできているということに、いろいろ考えさせられることがあります。

特に同族企業においてよくよく考えておかなければならないのは、「なぜ社長の家に生まれてきたのか?」ということです。

かつてお世話になった大和古流二十一世当主・友常貴仁氏が、ご子息のことを、

「私が産んだのではない。我が家を継ぐために生まれてきてくださったのだ」

と言われていたことを思い出します。

もちろん、私のように継がないケースもあるでしょう。しかし、商売屋の父と、代々先生の家柄の母のもとに産まれた私が、経営コンサルタントを生業としていることは、確かに亀井家に生まれるべくして生まれてきた証なのだと思います。

「子は親を選んで生まれてきた」

その意味を、改めて考えてみたいと思います。


No.596 運気

1000nen

2022/03/07 09:00:00

先日、多摩大学大学院名誉教授で、田坂塾塾長の田坂広志氏のお話を久しぶりにお聴きしました。

今回は「運気を引き寄せるリーダー 7つの心得」というテーマで、“運”の大切さと、運気を高めるための具体策について講話をいただきました。

「運も実力のうち」といいますが、私もその通りだと思っています。

ただ、運の良さ・悪さというのは、外部要因よりも、自分自身の内面的要因の方に影響されるものだと思います。

ときに、「俺は運が悪いんだ」という方がいらっしゃいますが、正直「その程度のことしかやってないんだから、結果が出なくて当たり前だよね」と感じることが多いものです。要するに、努力不足を運のせいにしている。

一方で、「俺は運がいいんだよ」という人は、「本当に頑張り屋さんですね」と思える人。そんな人でも、自力ではゴールに達することができない。「あとちょっと」というところで行き詰まる。足踏みをする。二進も三進もいかなくなる。

そんなときに、パッと明かりが差し込むような出来事や人物が現れる。それを「俺は運がいい」と表現しているのだと思います。

要するに、運のいい人に共通するのは、目的・目標を明確にし、その達成に向けて成すべきことを成し、決して諦めることがない人、ということでしょう。実際には、万事休す、諦めかけたときに天啓を受けることが多いようにも思いますが・・・

田坂氏の話にも、その認識に通じる内容もありましたが、それは次回の月例会にてお伝えしますので、ぜひご参加ください。また、詳細については同名の著書があるようですので、ご購読を。

今回はひとつだけ、強く「その通りだ」と感じながらも、その思いが十分ではなかったと反省させられた一言をご紹介します。

「経営者やリーダーの運の強さとは、自分の運気を高めるだけでなく、自身が率いる部下や社員、組織や会社の運気も高める力である」

いずれにしろ、特に今のような環境下にあっては、トップの運を引き寄せる力は重要です。お互いにより良質な運気をまとうことができるよう、精進して参りましょう。


No.597 縁

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2022/03/14 09:00:00

先日、金沢の「株式会社 芝寿し」相談役の梶谷晋弘氏のお話をお聴きしました。梶谷相談役は、年商数千万円だったお父様が創業された店を、年商46億円、従業員数500名までにされた二代目社長だった方です。

「繁栄の倫理(みち)」と題されたその内容は、経営者の義務と責任の話でした。今回は、そのエッセンスの一部をお伝えしたいと思います。

まず、「経営者やリーダーが最初にすべきことは、目的と目標を定めることである」とし、特に「何のために経営するのか?」「誰のために経営するのか?」という、「心に期する“志”」を立てることこそが何よりも大切であるとの話からスタートしました。

当たり前といえば当たり前の話なのですが、梶谷さんのお話には、その奥にある“邂逅“にこそ、その重要性がありました。

邂逅とは、「神様が与えたとしか思えないほどの出会い」(梶谷さん)で、「内に求める心あらざれば 眼前にその人ありといえども縁は生ぜず」という、国民教育の父といわれる森信三先生の言葉を引き合いに、“縁”の大切さを、繰り返しお話しいただきました。

ときに、経営には「徳」と「才」が必要と言われますが、そこに「縁」が加わらなければ、成就できないものがある、そういうことなのだと思います。

その上で、経営者が持つべき最大の命題を「縁ある人を幸せにすること」であるとし、そのためにも「絶対に会社を潰さないこと」が最重要であり、「絶対に黒字にすること」こそが経営者の絶対的使命とまとめられました。

「絶対に潰してはいかん!」

講演中、一番迫力のある一言に、その思いのすべてが現れていたように思います。

特に梶谷さんは後継者。「創業は易く 守成は難し」とのお話に、後継者としての苦渋と覚悟を垣間見た気がしました。そして、親の会社を継ぎ、さらなる繁栄を現実のものとしてきた後継経営者のお話は、とても心にしみるものでした。

私も改めて原点に返り、目的・目標を見直すとともに、縁ある人の顔を思い浮かべて、その大切さをかみしめてみたいと思います。


No.598 発表会

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2022/03/22 09:00:00

先日、名古屋市南区倫理法人会の会員さんがグランコート名古屋で実施された「経営計画発表会」に、16名の会員とともにお招きいただきました。

「大々的に実施するのは初めて」とのことでしたが、段取りもよく、登壇された部門長の方々もとても堂々と、そして自信をもって発表されており、会場の雰囲気も相まって、とても素晴らしい発表会でした。

また、社長がお話された理念やビジョン、方針などもとても思いがこもり、かつ、すべてがワクワクする内容で、社長の持ち分の1時間があっという間に過ぎていきました。

ただ、具体論に入ったとき、社長が示される方針とミスマッチな内容があったことが少しだけ気になりました。

同席した業界をよく知るメンバー曰く、「この業界では普通の内容です」とのこと。

要するに、社長の思いとしては、業界の常識を打破して、新たな世界を作ろうとしているものの、実際の行動には、まだこれまでの常識の範囲から抜け切れていないところがある、ということだったのでしょう。

これは決してこの会社だけの問題ではないと思います。染み付いてしまった業界の常識や慣習を疑うことは、なかなか難しいことだからです。

その点今回は、常識を知らない他業界のメンバーが参加していました。だから気づくことができた。その意味において、このような発表会に利害関係のない他業界の方をお招きすることは、とても有意義なことだと感じました。

終了後に社内の方だけの懇親会があり、気づいた内容をお伝えする時間がありませんでしたので、また別途、今回参加させていただいたメンバーとともに、意見をシェアする場を設けてみたいと思います。それが、参加させていただいた最大のお礼なのだと思います。

経営計画は、会社の方向性を示す羅針盤であり、正しい成長・発展を実現しようとするならば、ぜひ作成していただきたいものです。

そして、ただ作るだけではもったいない。社員さんに周知徹底するのはもちろんのこと、他社の方にも知っていただく機会を設け、外部の目を通して見えるもののフィードバックを受けることは、とても有意義なことだと気づかせていただきました。

皆さんも、経営計画を作成するとともに、外部の方をお招きした発表会を検討してみてはいかがでしょうか。


No.599 道具

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2022/03/28 09:00:00

昨日、日頃モーニングセミナーでお世話になっているサイプレスガーデンホテル様がある金山周辺を、名古屋市南区倫理法人会の有志15名で清掃活動をしてきました。

風が強く、日は出ているものの、結構寒い中での開催でしたが、メンバーからも「朝から体を動かし、ごみを拾うことで心が洗われ、素晴らしい時間を過ごさせていただきました」という声が聴かれ、また、参加してくれた4歳の息子さんも、「またゴミ拾いしようね」と言ってくれていたとのこと。よい企画だったと思います。

私が当会主催の清掃活動に参加したのは2回目ですが、今回もいくつかの気づきがありました。

まずは、繁華街でありながら、意外にゴミが少ないこと。その分、たばこの吸い殻の多さが際立ち、喫煙者のモラルの低さを感じました。タバコを吸われる方は、そういう方々と同類に思われる可能性が高いことを認識いただく必要があると思います。

それはさておき、今回の一番の気づきは、「道具の大切さ」でした。清掃活動といっても、念頭にあったのは「ゴミ拾い」だったので、用意されていたのは軍手とトングのみ。ところが実際にはゴミが少なかったこともあり、落ち葉拾いや草抜きまで範囲を広げることになりました。

そうなると、やはり落ち葉拾いにはほうきと塵取り、草抜きには根から掘り起こせる専用の道具、少なくともスコップがあれば、もっと効率的かつきれいにできたと思います。

私は参加したことがありませんが、「掃除を通じて、世の中から心の荒みをなくしていく」ことを目的に活動しておられる『特定非営利活動法人   日本を美しくする会(https://www.souji.jp/)』では、道具をとても大切にされているとお聞きしたことがありますが、本当にその通りだと感じました。

掃除に限らず、どんな仕事でも道具は大切で、最適なものを使えば、効果的・効率的な仕事が実現できるものの、そうでなければいずれも大きく低下するのみならず、働く人に“不”と“苦”を与えることになってしまいます。

実際に今回も、最適な道具が揃っていれば、もっと楽に倍以上の成果を上げることができたのではないかと思います。

今回の活動を通じて、改めて道具の大切さを認識するとともに、身の回りの“不”や“苦”に着目して、道具の見直しを図っていきたいと感じました。


No.600 総会

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2022/04/04 09:00:00

先週の土曜日、私ども千年経営研究会の14年目を締めくくる総会を開催しました。

3年ぶりにリアル開催した今回は、100名以上入る会場に会員21名とゲスト2名の合計23名。オンライン参加11名を加えれば、会員の参加者は32名でした。現在の会員総数は83名ですから、40%弱の参加となり、現状を考えれば、よく来ていただけた方ではないかと思います。

また、本当に3年ぶりにリアルでお会いする会員もいて、とても懐かしく、また心温まる時間を過ごさせていただきました。

今回特筆すべきは、「千年経営研究会規程」ならびに「役員規程」を新設したことです。「いまさら」という感もなくはありませんが、さらに会らしい会になりました。

その中でも、以下の“使命”を改めて確認できたことは、とてもよかったと思います。

第1条(使命)

千年経営研究会は、同族企業特有の事業承継上の問題を明確にする共に、理想の承継実現のための好ましい方向性と解決策を明らかにし、事業に関わるすべての人々が物心共に幸福となる社会を実現することを使命とする。

一方で、会が始まった当初は後継者がほとんどで、悩みや苦しみを共有できることが多く、活発な活動が実現できていたものの、多くの会員が社長となり、共通の課題が見出せなくなってしまったことで、コロナ禍も相まって、各地域会がその活動にかなり苦労している実態も明らかになりました。

好ましい事業承継の実現には、好ましい引継ぎを現実のものとすることも大切ですが、そもそも引き継ぐことができる会社にしていかなければなりません。

そこで今後は、事業承継そのものの問題だけではなく、会員各社の経営上の課題もテーマにすることで、会の活性化を図っていくことを決めました。

非常に厳しい環境が今後も続いていくことと思われます。ぜひその悩みを、好ましい事業承継を実現したいとの共通の思いを持つ者同士で考え、解決していきましょう。

月例会ならびに各地域会への皆さんのご参加をお待ちしております。