「千年」バックナンバー No.401~500

目次

No.401 責任

1000nen

2018/02/13 09:00:00

先月15日のコラムでご紹介した、新規事業アイディアの応募が1月末に締め切られ、先週その集計を行いました。

結果は、一部の社員を除き“任意”での募集だったのですが、78%を超える社員が、実に348件ものアイディアを出してくれました。また単に数が多いだけでなく、内容的にも本当によく考え、練られたものが多く見受けられ、中には、そのまま企画書としてもいいんじゃないかと思われるほどのレベルのものもありました。手前味噌ですが、改めて当社の社員の意識の高さと前向きさ、そして真面目さに驚くと共に、嬉しさを噛み締めています。

こうして多くのアイディアを出してもらった以上、今度はその中から実際に事業化するものを選定する私たち役員は、肚を括らなければなりません。

現在、各部門担当の役員が、自部門内で実施できるアイディアをピックアップし、さらにそれを

 ・来期の計画に盛り込むべきもの

 ・採用はするが、再来期に持ち越すもの

 ・見送るもの

の3種類に仕分けを実施しています。

それ以外のアイディアは、複数の部門に関わるものか、全く新たな事業部を作らなければならないものか、ということになります。そしてこのような事業において、最も留意しなければならないのが、“責任の所在”を明確にする、ということです。

そもそも新規事業とは、「3年以内に単年度黒字、5年以内に累積損失解消」が、その成否のボーダーラインといわれています。逆に言えば、「3年目にやっと黒字にすることができる」ほど、厳しい戦いが強いられることを意味します。それほどの苦難と苦渋を飲み込む勇気は、並大抵のものではありませんし、それほどの覚悟を持たなければならないのです。

そのような事業に対して、責任の所在が曖昧であってはなりません。もちろん、責任の所在を明確にすることは、新規事業に限らず、どのような業務においても大切です。

しかし、実際に一つひとつの業務を棚卸してみると、責任の所在が曖昧のままで過ごしてしまっていることも多いものです。

これを契機に、新規事業に限らず、事業ならびに業務の棚卸をし、その一つ一つの責任の所在を明確にされては如何でしょうか?


No.402 提携

1000nen

2018/02/19 09:00:00

先日、ある企業と、提携の可能性を探るための面談を行いました。

結論としては、継続的な検討をしていくことに落ち着いたのですが、業種も、生い立ちも、企業文化も違う2つの組織が、一つの方向性を目指すことの難しさを感じました。

提携には何より、“相互理解”が前提になります。いわゆる“コミュニケーション”が十二分に取れていなければ、決して成功することはないでしょう。提携やM&Aが失敗する理由の多くは、その点にあると思います。

“コミュニケーション”とは、お互いが「思っていること」「感じていること」「考えていること」を分かり合えることが真のゴールでなければなりません。しかし、「言うは易し」で、とても難しいことです。 

そもそも人は皆、生まれ育った環境も、受けてきた教育も、積んできた経験も、歩んできた生い立ちも、まったく異なっています。産み育ててくれた親とであっても、物心つく前から一緒に住んでいる兄弟姉妹とであっても分かり合えることは難しいのに、大人になってから出会った職場の仲間や協力会社の方々、またはお客様と分かり合うのは、なかなか難しいものです。

さらには、胸襟を開いて付き合うことができる親友であっても難しいのに、突然現れた「提携しませんか」とお声掛けいただいた方とにわかに分かり合うことは、まさに“至難の業”といえるでしょう。

少し大げさかもしれませんが、提携とは、その“至難の業”にチャレンジすることだと感じています。しかし、そのような姿勢や取り組みをないがしろにすれば、決して好ましい提携などできないと思うのです。

一方で、お互いに異なる強みを持ち、その強みを活かし合い、“相乗効果”を発揮することで新たな価値を創造することができるならば、とても素晴らしいことです。

今回出会うことができた会社に限らず、より一層の社会貢献ができるような好ましい提携が実現できるよう、じっくりと時間を掛けてコミュニケーションを図っていきたいと思います。


No.403 採用

1000nen

2018/02/26 09:00:00

福岡事務所では、昨年末から採用活動を実施しています。

昨年は、ある採用サイトを活用して、自前での募集をしていました。おかげさまで担当の方から「いまどき、こんなに応募があるのは珍しいですよ」と言っていただけるほどの反応をいただけたのですが、残念ながら採用にはつながりませんでした。

その際は、すべて福岡事務所のメンバーに任せていたのですが、採用に要した工数を集計してみると、相当な時間が掛かっており、採用ゼロという結果を踏まえて、採用の仕方は変更せざるを得ませんでした。

今年に入って行っているのは、人材紹介会社の利用です。年間支給額の1/3を紹介料として支払うことになるわけですから、決して安くはありません。しかし年末の社員が要した工数を考えれば、「致し方なし」という判断だったのです。

最初のころは順調でした。いや、順調なように感じていました。毎日とはいわないまでも、一定期間で一定数の紹介があります。当方の負担はゼロで、これだけの数の反応を得られるのであれば、お願いして正解だったと思っていました。

しかし、途中から違和感が生じてきました。一つは、紹介をされる方が、私たちが期待する人材像とは異なっていることがほとんどでした。先の自前の活動では、この見極めに多くの時間を費やしていました。応募はいただけるけれども採用に至らなかった理由のひとつが、募集職種にマッチする人材かどうかの判断の部分だったのです。結局、紹介された人材の見極めは当方で行わなければならず、その点における工数削減はできませんでした。

もう一つが、面接のドタキャンが多いこと。自前のときもなかったわけではありませんが、その数が違っていました。結局は、社員が熱いメッセージを投げかけた上で面接に繋がった方と、いわゆる業者の方が事務的に発信したメッセージに反応してくる方とでは、思いが違うのだと思います。

結局のところ、社員からの提案もあり、人材紹介会社への依頼も続けながら、3月から改めて自前での採用活動をすることになりました。ひとつには、年末の活動におけるやり残し感もあったのだと思いますが、やはり自分たちが直接メッセージを発信した方が、結果としては望ましい結果に結びつくのではないか、との思いが芽生えてきたのだと思います。

もちろん、人材紹介そのものを否定するものではありません。多くの企業でその恩恵を受け、またその御縁で働く人たちの活躍を見るにつけ、その価値は大きいと思っています。

しかし、特に私どもの福岡事務所のように、4人の中に1人を入れるような場合、入ってきた人の勢力は、実に20%の影響力を持つことになります。「両目を開いて見極める」必要があるのです。そこにかかる工数は、将来の安心を保証するものとなるように思います。

福岡事務所のスタッフには、「どうせやるならトコトンやってみろ」と伝えています。今度こそ、新しい仲間との出会いが待っていることを期待しています。


No.404 健康

1000nen

2018/03/05 09:00:00

既にご存知の方も多いと思いますが、お恥ずかしい話、先々週の土曜日に今冬2回目のインフルエンザに罹ってしまいました。多くの方から「コンプリート【complete】(※)、おめでとうございます」とのお祝いの言葉をいただき、その意味を知ることができたことは収穫でした。

※コンプリート【complete】 出典:大辞林(一部追記)

[形動]全部そろっているさま。完全な。「コンプリートな状態」「コンプリートコレクション」

[名](スル)完成すること。全部そろえること。「キャラクターを16種類コンプリートする」「ミッション・コンプリート」「インフルエンザ・コンプリート」

冗談はさておき、今回の罹患によって、多くの方にご迷惑をお掛けすることになりました。翌週月曜日に予定されていた千年経営研究会・月例会もお休みをいただくこととなり、本当に申し訳なく思います。また、複数の方には私を媒介してうつしてしまったようで、お詫びの言葉もありません。

一方で、「病気は生活の赤信号」(倫理研究所『万人幸福の栞』第七)と言われる通り、病気になるということは、生活そのものに問題があるということ。インフルエンザの罹患は、これまで積み重ねてきた生活上の問題が、一気に噴き出てきたと考えた方がよさそうです。

今回の療養でひとつ気がついたのは、「体温の低さ」です。元々体温が低いことへの自覚はありましたが、2日間の高熱の後にやってきた体温は、35.1度。さすがに「これが人間か?」とわが目とわが身を疑いました。

そこで、低体温になる原因を調べたところ、当てはまることばかり。そして低体温は免疫力の低下をもたらし、万病の元になるものなのだとか。さすがに「これはまずい」と反省し、先週から次のような取り組みを始めました。

 ・朝食を摂る

 ・タンパク質の摂取を心掛ける

 ・夜、ゆっくりお風呂に入る

 ・移動の際、極力「歩く」「階段を上る」を選択する

 ・腹巻をする

 ・お酒を控える

まだ1週間のことですが、朝昼晩の1日3回の体温測定では、36.1~36.4の間にまでなってはきています。理想とされる36.5以上をキープできるようになるよう、今後も続けていきたいと思います。

一方で、「病気は生活の赤信号」には、

「肉体は心の容れ物であり、心のあらわれ。また、病気は一般に知られている原因の奥に、真の原因がある。それは心の不自然なゆがみや偏りが、自分の肉体に赤信号としてあらわれたものだ。朗らかな豊かなうるおいのある心は、病気を治癒するほどの力をもつ。」

(一般社団法人 倫理研究所HPより http://www.rinri-jpn.or.jp/junsui_rinri/article/)

との解説があります。生活習慣に限らず、心のもちようについて今一度振り返り、あるべき姿に戻していきたいと思います。


No.405 卒業

1000nen

2018/03/12 09:00:00

先週、2つの“修了式”に立ち会わせていただきました。ひとつは、岡崎商工会議所様主催の第12期ひとづくり塾、もうひとつは、当社主催の第48期経営者大學です。

この“修了式”において、私が一番大好きなのが“決意表明”の時間です。受講生それぞれが、講座で学んだこと、気づいたこと、そして決意したことを発表されるのですが、その発表内容に、学んだ期間の苦労と喜びが溢れ、“卒業”以降の活躍に対する確信を得ることができるのです。特に、私自身が講師を務めるひとづくり塾においては、その喜びはひとしおです。

彼らが異口同音に口にされるのは、3つのポイントになります。それは、

・これまで全く知らなかった経営のセオリーを学べたこと。

・実践をすることで気付いたこと。

・仲間と一緒に学び、実践したことで、より一層の学びと気づきを得たこと。

です。これらはまさに、2つの講座で目指していることであり、そのこともまた、講師としてとても嬉しいことです。

経営者大學は今年で32年目になります。もちろんリーダーシップやマーケティング、そしてマネジメントの世界では、常に新しい技術や視点が生まれてきますから、それらは適時取り入れています。しかし、講義内容の本質は、何一つ変わっていません。

先日も、10年前に卒業された方から、「今、ひとづくり塾で学んだことの大切さを噛み締めています」との言葉をいただきました。何よりも嬉しい言葉です。少なくとも10年変わることのない本質を学んでいただき、そしてそれに基づく百戦錬磨の実践を通じて本物の気付きを得ていただく、これこそがまさに私たちが提供したい内容なのです。

その上に、共に学んだ仲間がいます。この仲間は、生涯支え合い、気づき合い、成長し合う、最高・最良のブレーンとなることでしょう。ぜひそのような交友を深めていっていただきたいと思っています。

いずれにしても、人は常に学び続けなければなりません。そして学んだことを素直に実践することで、多くの気付きを得、そのことによって周囲の方々をより一層幸せにすることができるようになる。それがまた、自分自身の人生の幸せとなるのです。

是非皆さんも学びの機会を持ち続けてください。そして自らを成長させ続けていっていただければと思います。


No.406 歴史

1000nen

2018/03/19 09:00:00

先週の土曜日、あるお客様の45周年記念祝賀会にお招きいただき、参列してきました。お付き合いが始まってちょうど30年目。当時は100名にも満たない会社でしたが、今では1,600名を超え、約100名の御来賓も含めた宴席は盛大で、とても感慨深いものでした。

以前私が和太鼓をやっていたことをご存知の方も多いかと思いますが、和太鼓に関心をもったのは、5年に1回行われるこの周年記念祝賀会で、この会社の社員さんで構成されるチームによる演奏をお聴きしてからのことです。今回は26名のメンバーのほとんどが、和太鼓を初めて3か月弱という新人でしたが、とてもそれだけの練習期間しかないとは思えないほどの出来栄えで、見知った顔ぶれということもあって、感激もひとしおでした。

大変素晴らしい会でしたが、その中で今回、特に感心したのは、45年間を振り返る映像でした。創業時から、実に多くの写真を残しておられ、様々な会社の分岐点やイベント時の写真が、そのときの時代背景や取り組まれた理由などと共に紹介されました。

お読みいただいている方もいらっしゃるかと思いますが、現在中部経済新聞様にて、「名南経営物語」というコラムを掲載いただいています。しかし残念ながら記載されている内容にマッチする写真が乏しく、少し寂しい紙面になってしまってます。

そのような思いをもっていたところに、45年もの長きに亘る歴史の一つひとつに残る画像や映像に、とても羨ましく思うと共に、私自身、数年間総務部の責任者を務めてきた者として、とても申し訳なく感じました。

私どもも昨年50周年を迎えることができました。残念ながら過ぎた50年の歴史を留める画像・映像は甚だ少ないのですが、100周年に向け、次代に残せる歴史を目で確かめることができる証拠を残していきたいと、強く思うことができました。そして、仲間たちと共に、よりよい歴史を残していこうと思います。


No.407 面談

1000nen

2018/03/26 09:00:00

当社では毎年4月が昇給・昇格の時期で、それを前にして、順次『個別面談』を実施しています。

この面談は、昇給額や昇格の有無について、評価する側、される側の両者が納得感をもてる状態にすることを目的に行うのですが、それ以上に私が意識しているのは、“モチベーションアップ”です。そして、その動機付けを通じて、さらなる成長への原動力にすることを心掛けています。

皆さんも経験されていることと思いますが、処遇をよくすることは、一時的なモチベーションアップになることがあります。しかしそれは、決して長続きするものではありません。それどころか処遇は、不満をもたらす最大の要因であるとの認識をもつ必要があります。

よって、たとえ処遇に対して十分な納得感を得ることができなかったとしても、結果的にはモチベーションアップが実現されている状態を目指さなければならないのです。

そのために当社では、まず『自己申告書』の提出を求めます。具体的には、「成果の実現度」「業務の遂行度」「能力の向上度」の3つの視点で、自らこの1年間の状況を定性的・定量的に整理してもらい、7段階で自己採点をしてもらいます。

この段階で、その評価が高いか低いかは別にして、「自己評価≒上司評価」の場合は、面談もスムーズです。また「自己評価<上司評価」の場合は、それだけでモチベーションアップしやすい状態にあるといえます。評価する側にとって、「ありがたい面談」といってもいいでしょう。

残念ながらその逆、すなわち「自己評価>上司評価」の場合は大変です。まずは評価の擦り合わせから行わなければなりません。大変困難な面談といえるでしょう。しかしそれでも、面談終了後にはモチベーションが上がっている状態を作らなければなりません。それがリーダーの役割というものです。

ありがたいことに今回は「自己評価>上司評価」の対象者はおらず、十分なモチベーションアップを図ることができたと思います。そしてその上で、これからの期待を伝え、さらなる成長の道標を示し、その実現の決意を口にしてもらうことができました。

いずれにしろ“面談”の目的は、“モチベーションアップ”にあると心得る必要があるのです。ぜひその認識の下に、『個別面談』を実施されることをお勧めします。


No.408 志

1000nen

2018/04/02 09:00:00

先週の土曜日、千年経営研究会の10回目の総会を開催させていただきました。無事に10年目を迎えることができることを、とても嬉しく思っています。

思い起こせば10年前、知覧の「特攻平和会館」に立ち上げメンバーと共に伺い、そこに展示されている遺書に感銘を受け、「何かしなければならない」との衝動を抑えることができず、商売屋に生まれ、コンサルタントとして生きてきた私に何をすることができるかと考えた末に、メンバーの賛同と協力を得て立ち上がったのが当会です。改めて、当時の思いを振り返えると、10年続けることができたことそのものがとても嬉しく思えるのです。

総会では、更に嬉しいことがありました。会の最後に、岡崎・三好・名古屋・豊橋の各会から、支部活動報告をしていただいたのですが、何もお願いしたわけでもないのに、どの会からも、会員を増やし、会の活動をより充実したものとするために取り組んでいることや、これから取り組もうとしていることを発表していただけたのです。10年の思いが連綿と繋がっていることに感激しました。

総会終了後には、一般社団法人 人間力大学校理事長で、宮城大学名誉教授の天明茂先生に、「企業永続には法則があった~家徳・人徳・社徳の経営~」というお題で、お話しいただきました。

その中で、「事業存続の3大法則」として、

(1)徳を高め、徳を相続する

(2)社会の課題解決を続ける

(3)後継者を育てる

ことが大切であると教えていただきました。そしてそのお話しの中で、

 「徳が高い経営者・企業は、社会が潰さない」

というフレーズがありました。まったくその通りだと思います。私たち千年経営研究会も、『事業承継』という社会の課題を解決する役割を担い、それぞれが徳を高めて、社会が潰さない会になっていきたいと思います。

また「後継者を育てる」では、「経営能力よりも“志”を受け継ぐ」との話がありました。先の各会からの発表は、まさに「“志”が引き継がれている」ことの証明だと思います。改めて総会での喜びが込み上げてきたお話しでした。

今年の研修旅行は、初心に帰って知覧に行く予定にしています。ぜひ多くの方にご参加いただき、“志”を感じていただければと思います。お待ちしています。


No.409 感謝

1000nen

2018/04/09 09:00:59

先週の土・日曜日、毎年恒例となっている、私の実家のある岐阜県加茂郡八百津町のお祭りに、千年経営研究会のメンバーとそのご家族をお招きしました。今年も多くの方にご参加いただくことができました。

今年で8年目となるようです。2回目に参加してくださった小学4年生の子が高校2年生に、その時にはまだ生まれていなかった子が小学1年生になったと聴き、とても驚くと共に、実に感慨深いものがありました。

毎年同じことの繰り返しなのですが、毎回新たな気付きや思いが生まれます。今年は両親、特に父親の言葉でした。2日間、ことあるごとに「来てくれてありがとう」「来てくれてありがたい」と口にしていることに気付いたのです。そして、その気持ちに嘘はないことに確信を持つことができました。

そもそも皆さんをお誘いするようになったのは、この馬鹿息子のわがままであり、「してやっている」と思われても仕方がないことです。もちろん、どんな気持ちで迎えてくれたとしてもとてもありがたいことなのですが、感謝の心で迎えてくれていたことに感激し、とても嬉しく思いました。

仏教に“無財の七施”という教えがあります。財産がなくてもできる布施があるというもので、次のような内容です。

眼施:優しい眼差しで人に接する

和顔施:にこやかな顔で接する

言辞施:優しい言い方・言葉で接する

身施:自分の身体でできることで奉仕する

心施:他のために心を配る

床座施:席や場所を譲る

房舎施:自分の家を提供する

まさに両親の行為は布施行であり、徳を積むことができることです。しかし両親は、そんな打算ではなく、間違いなく素直な心、感謝の心でやってくれていたのです。

そんな両親に産み育てられた私にも、“感謝の心”の種が植えられているはずです。その種をさらに育て、花を咲かせていきたいと、強く思うことができました。来てくださっている方々のおかげで、大きな気付きを得ることができました。本当にありがとうございました。来年もお招きしたいと思います。ぜひご参加ください。


No.410 コミュニケーション

1000nen

2018/04/16 09:00:00

先週から、「職員を“コミュニケーションの達人”に育てる6つのポイント」という税理士事務所様向けのセミナーツアーが始まりました。全国7会場でお話しする予定です。

そのセミナーのレジュメを作成するにあたり、改めてコミュニケーションの難しさを感じています。

まずは

「人は、人の話を聴くよりも、自分の話がしたい」

ということ。伝えたいことがあるのに、その時点において相手には「全く聴く気がない」というのですから、大変です。

また、育った環境も、受けてきた教育も、積んできた経験も、歩んできた生い立ちも違うわけですから、「考えていること」「思っていること」「感じていること」が違って当たり前。同じものを見ているのに、全く違って見えているとしても、仕方がないことです。

その上、同じ人間でも、立場や状況が変われば言うことも変わります。耳に入った情報によっても変化します。困ったことに、その時々の気分によっても変わってしまうのですから、『分かり合う』ことはとても難しいことです。

さらに、伝え手と受け手は、ときどきにその役割を交代していきます。伝え手が伝えたいことを“発信”する。それを受け手が“受信”する。その受け手が「わかった」や「わからない」ことを表情やジェスチャーなどの反応で伝え手の立場となって“発信”し、その変化を伝え手が受け手となって“受信”し、その反応にマッチした次の“発信”をする。このように、伝え手と受け手が役割を交代しながらコミュニケーションを深めていくことになるのです。

だからこそコミュニケーションでは、伝え手と受け手双方が“寄り添う”気持ちをもつことが何より大切になります。そのためにまず、笑顔やうなずき、相槌などの『非言語情報』や、穏やかで優しい『言葉遣い』で、好ましい雰囲気を作り出すことが大切です。

そして、互いに相手に対して最大の関心を寄せながら、「考えていること」「思っていること」「感じていること」を分かり合う努力を怠らない。その努力の末に、好ましい人間関係を構築することができるのです。

偉そうにお話しをさせていただきながら、自分自身いまだその境地に達していないことを反省しつつ、コミュニケーション能力の向上に努めていきたいと、改めて感じています。


No.411 結朋

1000nen

2018/04/23 09:00:00

先週、2つの『OB会』に参加してきました。ひとつは、開業4年未満の税理士の方を対象とした事務所の円滑なスタートアップを支援する『きどう塾』(“起動”“軌道”“喜働”などの意味を込めました)、もうひとつが税理士事務所の所長、後継者、幹部を対象とした『経営塾』です。

それぞれ、年2回ずつ開催しているのですが、半年もあるといろいろと悩みや相談事があるようで、必ず行われる『近況報告』や『懇親会』は、いつも盛り上がります。

『経営塾』は、北は青森から南は福岡まで、全国から11名の方の参加をいただいており、毎回参加者の事務所見学がセットになっています。1回目は福岡、2回目は青森、そして今回は愛知で、千年経営研究会のメンバーの事務所を訪問してきました。細部にわたって工夫が凝らされ、参加された皆さんにはとても刺激があったようです。次回は山口に伺うことになりました。今からとても楽しみにしています。

一方『きどう塾』は、今年4期生を迎えることになっています。要するにOBは1~3期生のメンバーということになります。ちなみに『きどう塾』のOB会は、『結朋会』という名称です。これからも末永く「結ばれた朋」であり、「今と未来を結ぶ」「事務所とお客様を結ぶ」「トップと職員を結ぶ」「出会った仲間と結ぶ」という塾の目的を持ち続ける「朋と結ぶ」という意味を込めています。

この『結朋会』は、参加人数が多いこともあって、『きどう塾』を開催している東京・大阪・広島・福岡の4会場ごとに実施しています。今回は、東京での開催でした。東京のOBメンバーは29名で、そのうち今回の参加者は15名でした。期が異なるOB会としては、高い参加率ではないかと思います。当会でも一番人気は『近況報告』で、開業間もないもの同士が互いの悩みを語り、考えを伝え合う機会を大切にされているようです。「同じものを学んだ者同士、肚を割って話せる場はここしかない」との声も聴こえ、とても嬉しく思います。

いずれにしろ、このような“場”をもてることは、とても幸せなことだと思います。またその“場”を提供できることに、とても幸せを感じています。

千年経営研究会も、まさにそのような“場”です。ぜひ多くの皆さんに参加してもらいたいものだと、改めて感じた1週間でした。


No.412 感謝

1000nen

2018/05/01 09:00:00

先週の金曜日、千年経営研究会メンバー企業の『創業70周年記念感謝会』にお招きいただき、参列させていただきました。多くの来賓と社員さん、そしてOBの方々までが参加されたその会は、笑いに溢れ、とても和やかで明るいものでした。

その中でも特に印象的だったのは、三代にわたる経営者の方々のお話しでした。

お三方のお話しに共通していたのは、“恩”“感謝”という言葉でした。これまで参列させていただいた周年行事でも、同じように耳にはしているのですが、他社よりも少し厳しい時代を乗り越えられてきたためか、その言葉の数も、その言葉を発せられるときの思いも、ことさらに多かったように感じました。

70年前、現会長の父であり、現社長の祖父である創業者が、大変苦労されて奥様と共に始められた会社を、創業者をして「うちの長男、なかなかやるわい」と言わしめた二代目社長が事業を拡大。しかし、バブル崩壊の荒波が襲い掛かる厳しい時代の中で急速に業績が悪化。前後して体調を崩されてしまった長男の後を弟の現会長が継ぎ、会社を立派に再生されました。そして平成26年、長男の長男にバトンが渡され、今では毎年安定した利益を出すことができる優良企業となりました。まさに「会社に歴史あり」だと感じます。

その歴史を刻んでこられた中での“恩”や“感謝”の言葉は、まさに言葉では言い尽くすことができない思いに満たされたものでした。逆に言えば、そのような気持ちをもちえない経営者であったとしたら、この感謝会が開かれる日は来なかったのではないかと思います。

お亡くなりになってしまった創業者以外の歴代3名のお話しをお聴きする中でふと、「創業家承継でなかったならば、ここまでの感情が生まれるのだろうか?」という疑問が生じました。そして私が出した結論は、「創業家承継だからこそ生まれるもの」でした。親が子を思い、子が親を貴ぶ。祖父母が孫を思い、孫が祖父母を敬う。その関係があったからこその言葉の重みであると感じたのです。

最後の挨拶に立たれた社長は、「日ごろはこういう場で泣くことはありませんが、今日はなぜか涙が止まりません」と、何度も何度も言葉を詰まらせておられました。それほど厳しい時代を生き抜いてこられたと同時に、その時代を支えてくださった方々への“恩”と“感謝”に溢れていたのでしょう。とても素晴らしいお話しでした。

最後には「次は100周年まで泣きません!」と力強く決意表明されました。100周年が立派に迎えられることを心より祈念致します。私も100周年記念の会にお招きいただけるよう、精進していきたいと思います。


No.413 採用

1000nen

2018/05/07 09:00:00

5月に入り、大卒採用活動のクライマックスが到来しています。私も自部門の最終面接者としてのスケジュールがぎっちりと埋められました。

採用に対する考え方には諸々あり、どれが正解ということでもありません。先日、ある会合でお会いした二人の社長からは、「迷ったら入れない」「迷ったら入れる」という、まったく反対の見解が出されていました。お話をお聴かせいただくうちに、会社の成長に対する考え方も、前者は安定成長志向、後者はスピード成長志向であるように感じました。トップの個性による違いが大きいといえるでしょう。経営者の個性にマッチした採用活動を実施することが何より大切なのかもしれません。

一方で、面接をするたびに「わずかな時間で見極めるのは本当に難しい」と感じます。だからこそ採用活動においては、何度も何度も時間を取り、互いにできるだけ“迷い”のない状態を実現することが大切です。そして「もうここでいい!」「もうお前でいい!」と、互いがいい意味での“諦め感”をもてるようにしたいものです。

そのために、私が面接段階で意識していることがあります。それは「面接は“性悪説”で臨む」ということです。

私は平成14年から採用に携わってきましたが、採用活動とはつくづく「よい人を採る」活動ではなく、「入れてはいけない人を入れない」活動であると感じています。よって、面談においては、「よいところを探す」だけではなく、「欠点を炙り出す」ことに注力しています。

具体的には、履歴書などに記載された内容を鵜呑みにはしません。それどころか、そこに書かれた内容が本当かどうか、完全に疑ってかかります。「具体的にはどのように実施されたのですか?」「なぜやろうと思ったのですか?」「苦労された点はどこですか?」「問題やトラブルをどうやって乗り越えられたのですか?」などと、どんどん掘り下げていきます。「炙り出す」というより「えぐり出す」といった方があっているのかもしれません。

そのように掘り下げていきますと、徐々に実態が見えてきます。本当のこと、盛られていること、嘘だったことなどが整理されてくるのです。盛りや嘘が悪いとはいえません。入りたい会社の面接なのですから、多少はあって当然でしょう。問題はその内容が「許せるか、許せないか」にあります。

とことん炙り出した上で、「その欠点を受け入れることができるか?」と自問します。この問いに「YES」の回答が出たら大丈夫。もしその欠点が顔を出したとしても、「YESを出した自分」の責任ですから、納得ずくで指導することができるでしょう。逆に「YES」が出せないまま、ただ「よいところ」だけを見て採用してしまったとしたら、「やっぱりだめだったか・・・」となってしまうでしょう。その失望感の中では、育成の意欲も失われてしまいます。

採用活動とは「入れてはいけない人を入れない」活動と認識し、面接においては“性悪説”で両目を見開いて臨む。でも、自ら欠点を許容して採用したら“性善説”で片目をつむって指導する。そういう姿勢が必要なのだと思います。


No.414 承継

1000nen

2018/05/14 09:00:00

ゴールデンウィークの最中、ある経営者の方の葬儀に参列してきました。4月29日に緊急搬送され、5月2日にお亡くなりになったとのこと。代表権をお持ちのなったままのご逝去で、残された方々のこれからを思うと、心が苦しくなります。

「事業承継対策の立て方・進め方」(日本実業出版社)にも書きましたが、意思決定機能がトップ一人に集中する中堅・中小企業における最大のリスクは、「トップの突然の死」にあります。そのリスクは、おおむね次のようにまとめられます。

1.意思決定機能の喪失

2.資金繰り機能の停滞

3.競合企業からの防衛機能の減退

4.急ごしらえの新経営陣に対する社内外からの拒否反応

5.相続財産分割協議の難航による“争族”の発生

6.議決権の分散等による経営機能不全

この中でも特に深刻なのは、「1.意思決定機能の喪失」です。今回も、後継者であるご長男は営業の責任者ではありましたが、経営全体のことについては「何をしたらいいのか、まったくわからない」状態なのだとか。父の死の悲しみと、明日への不安からなのでしょう。本当に焦燥し切っておられました。

実は、次男が当社の社員ということもあり、今後の対応についてはいろいろとアドバイスさせていただくことができると思います。ご長男も、「弟がこんなに頼りになるとは思わなかった」といわれ、通常よりは安心感をおもちいただけていることが、多少の救いではありました。

葬儀場到着から出棺までの約2時間、悲しみと戸惑いに暮れるご家族と接し、改めて生前対策の必要性を強く感じました。特に経営者は、個人の財産の承継のみならず、会社の承継について、きちんと準備をしておかなければなりません。

今自分に何かあったらどんな問題が生じるのか、そのときにできる限りスムーズに承継を実現するために、何を残し、何を伝え、どんな覚悟を持っておく必要があるのかを明確にしておく必要があるのです。

それが事業承継における最大の役割との認識をお持ちいただきたいと思います。


No.415 変化

1000nen

2018/05/21 09:00:00

先週は、嬉しいことと悲しいことがほぼ同時に起こりました。

嬉しいこととは、6年前から事あるごとにご提案してきた内容が受け入れられたことです。「亀井さん、本当にお待たせしました」との言葉に、諦めずに提案をしてきた自分を褒めてあげたい気分になりました。

提案においては、その都度先方の状況の変化を確認し、その変化にマッチした提案の仕方を心掛けていました。その上で、「何でも自前でやることの限界を感じ始めました。任せるところは任せる、そういう思いになったのも、亀井さんのおかげです」といっていただけて、より一層嬉しくなりました。

その面談の最中に、一本のメールが届きました。システム利用に関する解約のお知らせでした。このお客様は数年前にご契約いただいて以来、そのお客様にマッチした内容をご提案しながら、システム導入を進めてきていたところでした。このところは安定したご利用をいただいており、正直なところ、青天の霹靂ともいえるお申し出でした。

しかしよくよく思い起こしてみれば、最近はご訪問できておらず、調べてみたところ、直近の訪問は昨年の1月、既に1年以上ご訪問できておりませんでした。

お客様の状況は刻一刻と変化していきます。表面的には何も変わっていないように見えても、その内実は常に変わり続けているのです。その当たり前の事実を見落としていた自分の甘さに、何とも情けない気分になってしまいました。

残念ながら、解約の意思は固いようです。しかし、何とか面談の機会をいただくことができました。これまでお付き合いいただけたことに感謝の気持ちをお伝えすると共に、きちんとしたサポートができていなかったことをお詫びしてこようと思います。

同時に起こった2つの出来事は、“変化への対応”という観点では、同質のものであると感じています。物事は常に“変化”している。この当たり前のことをどう捉え、どう活かし、どう対処すべきか、私自身、改めて考える機会にしたいと思います。


No.416 承継

1000nen

2018/05/28 09:05:59

5月14日の「承継」で登場した現役社長のお父様を亡くした社員から、改めて相談を受けました。

その内容は多岐に亘りましたが、一番の心配事は、典型的な創業者で親分肌であったお父様と、典型的な技術者で口数の少ない後継者のお兄様とのギャップでした。「社員の皆さんがついてきてくれるだろうか?」と。

こうしたケースは多いものです。この悩みに対して、私は2つの提案をしました。

ひとつは、四十九日が明けた頃に、お母様主催の社員さんをお招きした食事会を開くことです。生前お世話になったことを感謝すると共に、「後を継ぐ息子を宜しくお願いします」と頭を下げていただくのです。親分肌であった先代は、社員さんから信望が厚かったとのこと。その先代の奥様が望まれることであれば、決して無碍にはできないでしょう。それどころか、新社長を支えていこうという新たな覚悟が生まれるものと思います。私自身10年前、創業者の1周忌に奥様主催の食事会に招かれ、決意を新たにしたことを思い出します。

もう一つは、環境整備です。親分肌の先代と、口数少ない後継者。このような場合、お父様と同じようにしようと思っても、追いつくことはとても難しいことです。同じ土俵での勝負は、戦う前から負けが決まっているようなものだと考えておいた方がよいでしょう。

「寡黙で真面目」なお兄様には、言葉ではないものごとで社員さんへの思いを伝えていくことが最適です。一番わかりやすいのが職場の環境をよりよいものにしていくことです。それほどお金をかける必要はありません。それよりも、新社長自ら手足を動かすことで実現される方がよいでしょう。いずれにしろ、「社員さんが気持ちよく働いてもらえるように」との思いを込めて取り組まれることが大切です。

これ以外にもいろいろなアドバイスをさせてもらいましたが、最後に彼から出た「伝えておけばよかったと思うことがあまりにも多いことに悔いが残ります」という言葉がとても心に残りました。当社著作の『事業承継対策の立て方・進め方』も、お父様のために買っていたにも関わらず、「頑固なオヤジは読んでくれないだろう」と渡すことができていなかったとのこと。「どれだけ伝えても後悔の念は拭えなかったと思いますが、もっと言えたことはあったはず」との言葉は、とても重いものに感じました。

この言葉を聴きながら、対象者は誰ということなく、「伝えておけばよかった」と後悔しないようにしたいと強く思いました。「伝えないことで後悔はしないか?」常にこの言葉を自分に投げかけて、伝えるべきことをきちんと伝え切ることができるようにしたいと思います。


No.417 連携

1000nen

2018/06/04 09:00:00

昨日、「有松絞りまつり」に行ってきました。有松を訪ねるのは初めてで、とても有意義な一日となりました。

今年34回目を迎えるというこの祭り、絞りの体験教室や浴衣着付けコーナー、信長路史跡ツアーや甲冑体験などのイベントもあり、また日頃は非公開の建物の拝観もできることもあってか、とても多くの人でにぎわっていました。

私たちは、「有松まちづくりの会」と「有松あないびとの会」という会のメンバーの方が1時間20分かけて、ガイドブックには載っていない場所や説明をしてくださる「町並みツアー」というものに参加させていただきました。“有松愛”に溢れたガイドさんで、有松の歴史や今の魅力を熱く語ってくださいました。

石ころだらけで農耕に向かなかった貧困な土地で生まれた“絞り”産業、誰もが儲けを独り占めせず、町のために私財を投じたことで生まれた小京都ともいわれる“町並み”と豊かな“文化”など、有松の町の素晴らしさを痛感することができました。

その中でも特に心に残った話がありました。

有松には「五番蔵小路」という道があるとのこと。普通、どの絞り商家も蔵は4つしかないのだそうです。そうすると、あるはずのない五番蔵に通じる道がある、というのはおかしいですね。

これは、お客様がせっかくご来店いただいたにもかかわらず、自分のお店に好みのものがなかった場合に、「五番蔵行って探してきておくれ」となるそうです。そして五番蔵小路を通って向かうのは、隣の商家の裏口。すなわち五番目の蔵は、ライバル店を指すということです。こうして有松では、お互いに助け合いながら、共存共栄を図ってきたということなのです。

以前から私は、マーケットが縮小していく中で、他社との連携を深めていくことの大切さをお伝えしていますが、既にこの国にはそういう文化が根付いていたことを改めて知ることができ、とても嬉しく、温かい気持ちになりました。

他にもたくさん興味深いお話をお聴きすることができ、有松への関心がとても高まりました。特に、商家のご当主のお話をぜひお聴きしてみたいと強く感じました。ご縁のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご紹介ください。

今回、残念ながら回り切れなかったガイドさんお薦めのお店もありました。近いうちにまた足を運んでみたいと思います。


No.418 きどう

1000nen

2018/06/11 09:48:53

先週から、開業4年未満の税理士さんを対象とした全5講の経営講座「きどう塾」が、東京・大阪・福岡でスタートしました。これまでに90名を超える卒業生を輩出し、今年で4期目を迎えます。

「きどう塾」の名称は、スムーズにスタートアップ(起動)し、順調に軌道に乗せて、喜んで働いてもらいたい(喜働)という願いを込めて、命名させていただきました。

今年は開業1年未満の方がほとんどで、まさに「きどう塾」の名に相応しい方々ばかり。年齢はさまざまですが、希望と不安の入り混じった緊張感の中で、スタートすることができました。

第1講のテーマは「経営者論」で、特にお伝えしているのは、次の点です。

・税理士事務所も零細・中小企業。その強みは、小回りが利くとか、意思決定が速いなどと言われるが、最大の強みは大きなマーケットを必要としないこと。だからまず、自分が好きで、得意で、できることに集中する。

・「わが事務所は何を以てこの社会に貢献しようとするのか?」を常に明確にし、やってはいけないことをやらないこと。選ぶのではなく、捨てることが大切。

・開業時は、食っていくために嫌でも安くても請けてしまうことがある。しかしその仕事が、明日の足かせになってしまうことがあることを心得る。

如何でしょうか。スタートアップ時点に限らず、中堅・中小企業経営においては大切な視点だと思います。

講座終了後、ある方が「1週間の内1日はプレイヤーとしてはお休みし、経営者としての時間をきちんと設けたいと思います」と言ってくださいました。これもとても大切なことです。そのことに自ら気付いていただけたことを、とても嬉しく感じました。

きどう塾では毎講座終了後に、他の手本となる先輩の開業税理士に1時間ほどお話をいただくのですが、今期は第1期で学んだ卒業生が登壇してくれることになりました。いつかは登壇者全員が卒業生で埋まるよう、精一杯サポートしていきたいと思います。


No.419 危機

1000nen

2018/06/18 09:00:00

先週の土曜日、元請会社のトラブルの影響を受け、1年ほど前から急速に業績が悪化したという会社の社長から相談を受けました。一時は売上高が前年比40%を下回るほど。現状は元請会社の配慮と自らの新規開拓などによって、何とか70~80%程度までは回復されたものの、「人心離れ、意気地に落ちる」状態なのだとか。

とても苦しい状況の中、考えられるあらゆる手段を講じ、大変な努力をされていることはひしひしと伝わってきました。一方で、言葉の端々に表れる社員さんに対する愚痴・ぼやき、またトラブルを起こした元請への怒りや恨みに、少々違和感を覚えました。そこで、「社長が大変な努力をされていることはよくわかりました。しかし、大切なことをお忘れになっているように思います」とした上で、2つのことをお伝えしました。

まずは『恩の自覚』をすること。今は苦しいかも知れませんが、ここまで会社を発展させてくださったのは間違いなくその元請会社であり、その要求・要望に応え、会社を支えて下さった社員さんたちです。更には、この会社を創り、残してくださったご両親やご先祖様への恩は忘れてはいけません。

特に、いのちの根元である両親やご先祖様に対しては、一層の『恩の自覚』が必要です。「お墓参りには行かれていますか?」とお尋ねすると、ここ数年行かれていないとのこと。少なくとも月1回はお墓参りをしていただくようにお伝えしました。

『恩の自覚』ができれば、感謝と報恩の心が自然と生まれ、お世話になった方々へのご恩返しとしての「何とかしたい」という心が芽生えるものです。愚痴やぼやき、怒りや恨みというマイナスのパワーではなく、感謝・報恩、「人のために尽くしたい」というプラスのパワーでものごとを考えることが大切であるとお伝えしました。

二つ目に、信念をもって語ることができる『言葉』をもつこと。お聴きすれば、社員さんに語られる最も多いフレーズは、「仕方がないじゃないか!」とのこと。これでは「人心離れ、意気地に落ちる」のは当然です。改めてその原因がご自身にあることを認識していただいた上で、「今の仕事の魅力は何か」「将来はどんな会社にしたいのか」などについて、まずはご自身の思いを明らかにしていただき、それを具体的な言葉として信念をもって伝え続けていくことが大切であるとお伝えしました。

その後、個別事情に関する私なり考えをお伝えし、面談を終えたのですが、帰り際、「少し遠いので、足が遠のいていましたが、明日、お墓参りに行ってきます」と言っていただけました。ずっと“他責”にされていたことを、いきなり“自責”だと宣告されて、戸惑っておられる様子が伺われましたが、お墓参りによって、その戸惑いは消え去るのではないかと思います。後日の報告を楽しみに待ちたいと思います。

この会社に限らず、危機的状況に陥ったときにこそ、『恩の自覚』と『信念の言葉』が必要なのだと思います。


No.420 縁

1000nen

2018/06/25 09:49:23

先日、「コミュニケーションの達人に育てる6つのポイント」というお題でセミナーの講師を務めさせていただきました。その際、受講生の方から、「嫌な客、鬱陶しい上司、言うことを聴かない部下に対しては、とても「コミュニケーションを取ろう!」という気持ちになれないのですが、どうしたらよいですか?」という質問を受けました。確かにその通りですよね。多くの受講生の前での質問で、とても素直で勇気のある方だと思いました。

この質問に対して、私は

「人は、縁のある人としか出会わない。それがたとえ“悪縁”であったとしても」

とした上で、まず“四苦八苦”の解説をしました。“四苦八苦”とは、「生」「老」「病」「死」という4つの苦に、

 ・愛別離苦:愛する人と別れ、離れなければならない苦しみ

 ・怨憎会苦:怨み、憎む人と出会ってしまう苦しみ

 ・求不得苦:求めるものを得ることができない苦しみ

 ・五蘊盛苦:5つの欲望が盛んで、尽きることがない苦しみ

を加えて八苦となります。

さて、先の質問者を苦しめているのは、“怨憎会苦”です。そもそも“四苦八苦”は、人間である以上、逃れることができないものです。やはり、「悪縁であっても縁は縁」なのです。そこは肚を括らなければなりません。

一方で、「いい人」ばかりに囲まれていたらどうでしょう。今の状況を変える必要などありませんから、今の自分を変える必要も、成長させる必要もありません。実は、思い通りにならない環境が、人に人間的成長をもたらすものなのです。よって、“悪縁”に出会ったら、「これで私は一層人間的に成長できる!」と喜ばなければなりません。そのような人と出会ったら、「ありがとうございます!」と深々と頭を下げるくらいでちょうどいいのです。

但し、ただ喜んでいるだけではいけません。

・自分が変われば相手も変わる。

・常に原因は自分にないかと反省すること。

・常に相手に良い影響を与えること

・常に相手に思いやりを持つこと

・常に相手に迷惑を掛けないようにすること

・常に相手との信頼関係を確立すること

・常に相手に自分の意思を伝えること

・常に相手に感謝すること

・常に甘えの精神を捨てること

・常にけじめをつけること。

これは私どもが毎朝唱和している『改善の前提』という当社社員の“行動指針”のようなものですが、まさにこのような心情で接することが大切です。

質問をいただいた方は、「そうですよね、逃れられませんもんね・・・」と諦めの言葉を漏らしつつ、「覚悟が決まりました!」と笑顔で帰っていかれました。

「“悪縁”こそ喜ぶ」素晴らしい人生を送るために必要な心情だと思います。


No.421 サービス

1000nen

2018/07/02 09:00:00

先週、ある会計事務所の会合に参加し、コンサルティング業務の取り組みで成果を上げていらっしゃる事務所の成果発表を聴いてきました。そのお話しの中から、一般企業でも参考になる内容をご紹介したいと思います。

「単価が低い」「増収し難い」「生産性が上がらない」などといった、会計事務所に共通する課題を抱えておられたその事務所では、「サービス定義ができていない」ことが最大の原因と捉え、1件1件のお客様にどれくらいの時間が掛かっているかを調査した上で、「何に時間が掛かっているのか?」「自分たちのサービスとはどのようなものか?」などについて、職員一人ひとりにヒアリングをされたとのこと。「大変骨の折れる仕事だった」とのことでしたが、「人によって考えていることがまったく違っていた」ことが明らかになったのだそうです。

そこで、サービス内容をメニュー化し、値付けを行い、お客様とサービス内容の認識にずれが出ないように、それまで行っていなかった見積書の発行をされるようになったのだとか。

ところが、仕組みはできたものの、「自信がない」「お客様との関係を壊したくない」「本当にこんな金額を提示してもいいの?」などといった理由から、当初は旧来の体質をなかなか変えられなかったのだそうです。

しかし、これらの理由は「対象がすべて自分」であり、お客様不在の考えであることに気付き、「社員さんが安心して働ける、働き続けたいと思えるいい会社をたくさん作りたい!」というサービスの目的・意義を再確認し、「だからやらなければいけない」という風土づくりをされてこられました。

「定着するまで3年かかった」とのことでしたが、今では全員が自分たちのサービスに自信をもって提案できるようになったそうです。

この事例を通じて、改めて皆さんに確認してもらいたいと感じたのが

 ①自社のサービスの定義が社員全員に共有されているか?

 ②提供するサービスの内容が、お客様と共有されているか?

 ③そのサービスを提供する目的・意義は共有されているか?

といった点です。意外に共有されていないことが多いのではないかと思うのです。少なくとも全員が自信をもって、淀みなく答えることができるとは、言い切れないのではないかと思います。

これを機に、サービスに対する定義・目的・内容などを見詰め直し、社員さんおよびお客様とその共有化を図られては如何でしょうか?


No.422 継続

1000nen

2018/07/09 09:00:00

先週から、岡崎商工会議所様主催の「ひとづくり塾」が始まりました。早いもので、今年で13年目を迎えます。

19名の受講生を迎えてのスタートとなりましたが、何よりも感慨深かったのは、過去の受講生のご子息が参加されたことです。遂に親子二代に亘る講座となったのです。昨年、会社に入られたばかりとのことですが、お父様から「いい講座だから行ってこい」と勧められたのだとか。嬉しい限りです。

更に嬉しいことに「やっと参加させてもらうことができました!」とおっしゃっていただける方もいらっしゃいました。

また、派遣企業の2/3は過去にも参加いただいている先で、かつ、その半数は社長自らも参加されていて、さらにその半数は、受講当時はまだ社長ではありませんでした。13年の時間の重みを感じます。

「ひとづくり塾」は、セオリーを学ぶ場ですから、講座の内容の8割近くは第1期から変わっていません。結果としてそれが、“共通の言語”を持つという価値となり、継続して派遣いただく理由ともなっているのだと思います。

一方で、私も13年間、何一つ変わっていない訳ではありませんから、お話しさせていただく内容は、多少なりとも進化していると思います。そのことに思い至るとき、OBの方々にも「もう一度聴いてもらいたい」と思うことがあります。

以前私は、毎年同じ内容の研修に10年近く参加していたことがあります。そのときは正直「お付き合い」で参加していたのですが、振り返ってみると、同じ内容の講座を何度も聴くことによって、その中身の理解度が高まっていきますし、毎回感じるところが違っていて、今の自分の血肉になっている実感があり、今となっては本当に良かったと思います。

今後は、同じ内容を同じ人に何度でも聴いていただけるような場を作っていきたいと思うと共に、私自身がもう一度、そのような場に参加し、自己研鑽していきたいと改めて感じました。


No.423 他人の目

1000nen

2018/07/17 09:00:00

先日、ある雑誌を読んでいたところ、精神科医・水島広子氏の『「他人の目」が気になる人へ』という著書の紹介が載っていました。そしてその中で、

「『他人の目』にとらわれるということは、人を気にしているようでいて、実は強烈に自分自身のことばかりを見ているということ」

というフレーズが目に飛び込んできて、ハッとしました。自分自身を振り返ってみると、人の目が気になるときは、まさに自分のことばかり考えているときであると感じたからです。

一方で、『他人の目』にとらわれる」ことが、「自分の心を偽り、無理して行動する」ことや、「世間体に縛られて自分の人生を決めること」につながるものであると解説されていましたが、それには多少の違和感を覚えました。

確かに、『他人の目』を意識しすぎるあまり、外観や言葉を飾ることばかりに執着するようではいけませんが、人は『他人の目』によって身を正し、己を律することができるものであることも確かです。

また、『他人の目』を『他者からの期待』に置き換えれば、自らを成長させる機会ともなります。アメリカの心理学者・マズローによれば、人間の欲求には5段階あり、その中の「自己顕示の欲求」、すなわち

□自分の評価を高めたい

「地位を高めたい」「認められたい」「正しい評価を受けたい」「尊敬を受けたい」など

□自尊心を満足させたい

「自信を持ちたい」「何かを完成させたい」「能力を向上させたい」など

といった欲求を適切に満たすことができれば、人は“自己実現”への道を歩んでいくことができる、と説いています。

要するに、『他人の目』は受け止め方次第であり、『他人の目』に縛られず、適切に自己成長に結びつけることができれば、とても価値あるものであるということです。

私自身、『他人の目』が気になったときは、「何を正し、何を律するべきか」「何を学び、どんな成長を果たしていくべきか」と自らに問い掛ける機会にしていきたいと思います。


No.424 思い

1000nen

2018/07/23 09:00:00

ときに「思いもよらない結果」が出ることがあります。中でも、悪い結果が出たときには、何となくその原因は思い浮かぶのですが、良い結果が出たときには、正直なところ「運がよかった」としか思えないことがあるものです。

  「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」

という言葉がありますが、まさにそのような状況を端的に表している言葉だと思います。

しかし、全く「思いもよらない」ということはありません。そこには、その結果が出せるだけのベースはあるものです。たとえば、少年野球のチームがプロ野球チームに勝つことは絶対にあり得ません。プロ野球チームに勝つためには、それに見合うだけの能力や努力が欠かせません。それだけの基礎があって、初めて「不思議な勝ち」があるのです。

また、人に関わることであれば、そこには「相手を思う心」が欠かせません。そのような心を欠いた上で出た結果は、一時的には良いものであっても、長続きはしません。人に関わる物事の結果は、必ず相手を思う心と比例するものです。

よって、人に関わる内容で結果が出ないということは、相手への思いが足りないという認識を持つ必要があります。

  「念ずれば花開く」

という言葉がありますが、まさに思いの量が結果を左右すると考えておいてよいでしょう。

一方で、「負けに不思議な負けなし」とはいうものの、「原因が全く分からない」ということもあるのではないでしょうか。そのような迷宮に入ってしまったら、自分一人で考えても答えはでないものです。「見えていない自分」の存在が、その原因となっていることが多いからです。

そのようなときは、「人に映っている自分」がどのようなものか、人に尋ねるしかありません。素直に耳を傾ければ、それこそ「思いもよらない理由」が出てくるものです。しかし、その「思いもよらない自分」をきちんと認識しなければ、「思いもよらない結果」を覆すことができません。

よって、人に関わる物事については、「相手のことをとことん思う」と共に、「相手の思いに素直に耳を傾ける」ことが大切です。


No.425 承継

1000nen

2018/07/30 18:08:41

先日、鹿児島出張の折、10年ぶりにある方とお会いしてきました。それは、この千年経営研究会立ち上げの契機となった日、設立メンバーと共に伺った会社の創業者です。

今から14年前、ご自身が54歳の年に社長の座をご長男に譲られたI会長。ご長男が生まれたときから後継者としての見極めをされ、心身ともに問題ないと判断された6歳のときに後継者と定め、優秀な経営者にさせるための教育をされてきました。次男さんには、その長男のNO2としての活躍を求め、子供のころからそのように育てられてきました。

ご長男は高校卒業後、3年間の外飯を食べられたのちに入社。わずか9年間の内に、メイン業務の業績を上げて部長に、ISO14001を取得して常務に、新規事業を立ち上げて副社長に、そして30歳になった年に社長を譲られたのです。そのときには次男さんは副社長。まさに絵に描いたような承継劇でした。

前回、私たちがお会いしたのは承継されて5年後のこと。そのときにはまた別の新たな事業を立ち上げられ、素晴らしい新社屋も建設されていて、承継後も一段と発展されていることを実感させていただきました。

そして今回、I会長の口から出てきたのは、今は中学生の三代目の話。1時間以上に亘って熱く語っていただきました。まさに「三代ワンセットで考える」という私の考えをそのまま実践されていたのです。今回は社長とはお会いできませんでしたが、同席いただいた副社長がニコニコしながら聴いておられる姿を見て、単に創業者のわがままではない理想をみさせていただいたように思います。

皆さんもぜひこれを機に、「三代ワンセットで考える」実践をしていただければと思います。

さて、「千年経営研究会立ち上げの契機となった日」とお伝えしましたが、それは立ち上げメンバーとなってくれた、当時の岡崎商工会議所「ひとづくり塾」の卒業生と、三好商工会青年部のメンバーと、I社訪問後に「知覧特攻平和会館」を訪ねたことにあります。

このとき、私自身が「好ましい事業承継を実現していただく」ことを使命としていくことを心に決め、それに皆さんが賛同してくれたことが、千年経営研究会立ち上げのきっかけとなったのです。

既にご案内がいっているかと思いますが、その「知覧特攻平和会館」への訪問が、千年経営研究会主催で企画されています。一緒に“初心”を訪ねてみませんか?


No.426 採用

1000nen

2018/08/06 09:00:00

現在、福岡事務所で採用活動をしておりますが、御多分に漏れず、大変苦戦しています。中途採用サイトに掲載を始めて3週間。応募もわずか30名ちょっとで、その後の選考活動で、私の手元に履歴書が届いたのはわずか1名。採用担当者にも少し疲弊の色が見られ、苦労させている現状に、申し訳なく思っているところです。

このような状況になりますと、ついつい「多少のことは目をつむって」となりがちですが、これは厳禁です。これまでも何度かお伝えしたことがあると思いますが、採用活動とは

いい人を入れる活動ではなく、入れてはいけない人を入れない活動

です。特に今回採用活動をしている福岡事務所は、現在4名。この中に1名入れるということは、はじめから20%の勢力を持つ者を入れることとなります。その影響力は、かなりのものがあります。このことを、決して忘れてはなりません。

募集期間はあと2週間ほどありますから、採用担当者には申し訳なく思いつつも、もうしばらく頑張ってもらおうと思っています。

もう一つ私が意識していることがあります。それは

  トップの目より、現場の手

ということです。トップから見てよいと思っても、現場がそうでなければやはり入れてはいけません。なぜならば実際に育ててくれるのは現場の社員です。彼・彼女らが、心から受け入れ、喜んで育てたいと思ってくれなければなりません。実際に、私がOKを出した子は、必ず現場の社員にも会ってもらい、「育てるか?」と尋ねた上で、採用を決めています。

ただし、既存業務以外の仕事を任せようと思うのであれば、トップの独断の方がよい場合があります。特に既存業務とは全く異なる業務であればなおさらです。求める人材像が違っているでしょうから、既存社員には受け入れ難いというケースもあります。そのような場合は、トップの目で見極め、自ら育てていくといった姿勢が必要です。

いずれにしろ、採用環境が厳しいものであればあるほど、このような視点を明確に持って、覚悟の上で採用活動をしていっていただきたいと思います。


No.427 立場

1000nen

2018/08/20 09:00:00

先日、4年前に技術職から転職された営業の方とお話しする機会がありました。いろいろとよもやま話をする中で、いつしか仕事上のお悩みをお聴きすることになりました。1年ほど前は、提案段階にもっていくまでに苦労していたのが、このところはクロージング段階で失注することが多いのだとか。

いろいろと状況をお伺いする中で、いくつかの問題に気付きました。その中でも特徴的だったのが、「これだ!」と確信したゴール、すなわち「クロージングの落としどころ」が決まると、一方的にそれを押し通そうとする点にありました。

相手がモノあるならば、その方が核心に近づきやすいのかもしれませんが、営業の相手は感情をもち、それぞれの立場や状況をもったヒトです。決して一筋縄ではいきません。

特に、「相手の立場や状況を鑑みる」という視点に欠けていた点が問題だと感じました。たとえば、実際の商談相手は一担当者で、意思決定権者は別にいるとしましょう。その担当者とのやり取りの中で、担当者から意思決定権者に説得していただくという役割を担っていただくことが決まったとします。これが「クロージングの落としどころ」となります。

その「クロージングの落としどころ」に対して、ことあるごとに「お話しいただけましたか?」「どうなりましたか?」「いつまでにお話しいただけますか?」などと、ご本人はそのつもりは全くないのですが、結果として約束した相手を「責め立てる」ような言動をされていたのです。

ところが相手にも立場や状況というものがあります。意思決定権者は上司でしょうから、余程の確信がない限りお伺いを立てることはできないでしょうし、上司のご機嫌によっても「言えない」場合もあるでしょう。その立場や状況を慮ることなく、「約束したから」と押しまくるようでは、やっぱり結果を残すことはできません。

そこで彼には、

  「これだ!」と思ったら、一旦否定してみる

ことの実践をお勧めしました。「百里の道も九十九里をもって半ばとせよ」という言葉もあります。特に、相手の立場や状況を、今一度考え直してみる習慣をつけるようにお伝えしました。

自己否定をすることはなかなか難しいことですが、それは結果として人間としての「器創り」にも通じます。

彼に限らず、常に「もし自分がいま、相手の立場だったら」と考える習慣をつけることは、とても大切なことだと思います。


No.428 面談

1000nen

2018/08/27 09:00:00

先週から、社員の個別面談を実施しています。この面談は、給与改定時期の3月と決算時期の8月の年2回行っています。それぞれ、昇給・昇格と決算賞与の評価を合わせて行うことになります。

この8月の面談では、単に決算賞与の評価を行うための成果の確認だけではなく、「CUBIC」という個人特性分析の結果を参考にしながら行います。「CUBIC」とは、よく採用面接時に実施する適正テストのようなもので、当社では、ストレス状況のチェックや心理状況の変化を確認するために、毎年7月に実施しています。

利用するシステムは何でもいいと思いますが、既存社員に対してこのような心理状況を確認できるものを実施することは、とても有効だと思います。

今回も、日頃の言動からは分からない心理状況の変化を2名ほど確認することができ、面談時にそのケアを行うことができました。

2人ともに共通するのは、「自分を責める心」をもっていたことでした。原因が環境や他人にあると考えている場合は、攻撃的になったり、自暴自棄的になったりと、ある程度、言動の変化で「何かあったのかな?」と感じることができるものです。

しかし、原因が自分にあると自覚している場合は、人前では精一杯繕っていることが多く、なかなか言動には表れないものです。さらにそれが仕事上の問題ではなく、プライベートな悩みからくるものであったとしたら、一層表面化しないものだとの認識が必要です。

これまでも「CUBIC」によって、何度かプライベートの悩みを明らかにすることができましたが、上司の役割が

  「部下の人生における最も身近な理解者であり指導者である」

ことを考えると、やはりこのような状況を客観的に把握しておくことはとても大切なことだと思います。

ぜひ御社でも、このような取り組みを検討されることをおすすめします。具体的な内容に関してのお問い合わせは、遠慮なくお申し付けください。


No.429 会議

1000nen

2018/09/03 09:00:00

先週、現在私が所属している部門で、来期計画を立案するための合宿がありました。昨年立案した中期経営計画の内容を確認した上で、10月から始まる新たな期の具体的な計画を明らかにすることが目的です。

総勢67名の部門には9つのチームがあり、そのチームのリーダーたちが、初日は部門全体について、2日目はマーケティングと開発の2つのテーマに関わるチームに分けれて、具体的な検討を行いました。

今年も活発な議論がなされ、成果が期待できる具体的なアイディアがいくつも出てきたことは、とても大きな収穫となりました。

活気のある会議というものには、いくつかの共通点があると思います。

第一に、「現地・現場で起こっていることに基づいている」ことです。まずは現状認識を徹底的に共有することが大切なのです。机上の空論では議論を深めることはできませんし、現状に対して共通の認識を得ることは難しいものです。実際に起こっていることを知り合うことによって、議論の土台というものができるのです。

第二に、「人の意見を否定しない」ことです。もちろん、理解できないことや受け入れ難い意見も出されることがあります。その際、「お前は間違っている」というスタンスで対応すれば、議論が深まらないどころか、互いに禍根を残す結果にもなりかねません。「間違っている」のではなく、「ただ違っている」だけと捉え、なぜその違いが出てくるのかを掘り下げていくことが大切です。そこに、それまで自分が気付いていなかった視点を得ることもできるかもしれません。

そして最後に、「人の意見に便乗する」ことです。「それだったらこんなこともできる」「じゃあ、こんなこともいいんじゃない?」などと、どんどん膨らませていくことによって、新たな気づきやアイディアを得ることができるものです。最終的には収斂させていくとしても、まずは一つのテーマに対して「これ以上出てこない!」というところまで広げていくことが大切です。

いずれにしろ、現場主義・現物主義で、かつ人の意見を尊重しつつ、議論そのものを楽しみながら行うことが大切なのだと思います。


No.430 所信

1000nen

2018/09/10 09:00:00

先週、名古屋市南区倫理法人会モーニングセミナーに参加してきました。2011年の福岡転勤以来、講師として何度か登壇させていただいていますが、聴講者としての参加は、他会への参加も含めて本当に久しぶりのこと。前の日にご来社いただいた方から「明日は新三役の所信表明ですから、ぜひご参加ください」と強くお薦めいただき、足を運ばせていただくことになりました。

お聴かせいただいたお三方の所信は、それぞれに個性豊かなものであったのですが、ベースとして“利他”の精神に貫かれていることに感激しました。私もできる限りのお手伝いをさせていただこうと、新たな決意をさせていただくことができました。

一方で、“所信”すなわち自らの「信じるところ」を述べることは、とても大切なことであることを再認識しました。それは、自らの言動の強い原動力となるものであると同時に、コミュニケーションのスタート地点でもあるからです。

また所信表明は、何も年度始まりだけの行事ではありません。自らの信じるところを組織に浸透させようとするには、相当の時間が必要です。よって、年1回ではとても事足りません。毎日の朝礼の場や、都度行われる会議の場など、ことあるごとに伝え続けることが肝要です。

中でも、事業承継において最も大切な所信表明の場は、社長就任披露の場です。参加される社員の方々、またお客様や仕入先や協力会社の方々などに、新社長の「信じるところ」をお伝えすることで、社内外の思いを一つにし、新たな代表を「支えていこう」「共に成長していこう」という機運を生み出す最高・最良の場なのです。

先日も、社長の座を譲られた方から「まだやってない」という話をお聴きし、「ぜひ実施してください」と強くお薦めしたところです。「事業承継対策の立て方・進め方」(日本実業出版)でも書かせていただいておりますが、好ましい事業承継の実現のため、社長就任披露の場は、必ず設けていただきたいと思います。

モーニングセミナー終了後、早速講演のご依頼を受けました。内容はまだ決まっておりませんが、11月2日(金)にお話しさせていただきます。また、11月6日(火)には、豊田市北倫理法人会でも講師を務めさせていただきます。よろしければご参加ください。お待ちしております。


No.431 原点

1000nen

2018/09/18 09:00:00

先週の金曜日、千年経営研究会の研修の一環として、知覧特攻平和会館(http://www.chiran-tokkou.jp/)に伺ってきました。

知覧特攻平和会館は、千年経営研究会の立ち上げのきっかけとなった場所です。リーマンショックの前夜である今から10年前、現会長の松野さんの紹介で、岡崎商工会議所主催の「ひとづくり塾」の卒業生と、三好商工会青年部で講演をした際に出会ったメンバーと共に伺いました。

わずか17歳で特攻に飛び立った方もいる中、死に征くにも関わらず笑顔に溢れた写真や、愚痴一つなく、ご両親、特にお母さんへの感謝の言葉を綴った遺書などを目にし、涙が止まりませんでした。

そして、このような方々のおかげで今の私たちがあることを痛感し、のほほんと過ごしてきた日々を反省した上で、自分たちでこの社会のため、日本のために何かできることはないかと考えたのです。そして産声を上げたのが、当時、譲る者も継ぐ者も、そして社会全般においても否定的に捉えられる傾向にあった“創業家承継”の大切さを見直し、好ましい事業承継を実現することを目的とした千年経営研究会だったのです。

今回もまた、尊い命を懸けてくださった方への感謝の気持ちと、10年前の熱い気持ちを思い出させていただきました。そしてまた10年後に訪問することを心に固く決めてきました。

一方で、10年前はほとんど社長を継ぐ前の後継者ばかりだったのが、現在、半数くらいは現役の社長となっています。また10年後には、自らが譲る側となるステージに入ってくるメンバーもいるでしょう。会の役割も変革の時期が来ていると感じています。

現在、役員会でも新たな枠組み作りを検討し始めました。来年3月30日(土)の総会では、新機軸のご紹介ができるよう、この半年で練っていきたいと思います。ご期待ください。

いずれにしろ、今回の知覧特攻平和会館への訪問は、千年経営研究会の原点に立ち返る機会となったと共に、次の10年の新たなる決意をもつことができた、とても大切な時間となりました。

是非皆さんも、知覧特攻平和会館に行ってみてください。きっと心が洗われると共に、沸々と湧きあがる何ものが得られると思います。


No.432 学び

1000nen

2018/09/25 14:04:00

先週の土曜日、当社が開催している経営者・後継者・経営幹部の方々を対象とした勉強会「経営者大學」の修了式に、受講してくれた千年経営研究会のメンバーの後見人として出席しました。

意思決定権が経営者に集中している中堅・中小企業においては、一般社員の教育よりも、経営陣が学び続けることが何より大切です。経営陣が勉強しなくなった時点で、その会社は衰退の道を歩み始めたといっても過言ではありません。

また、経営陣が優秀で、その部下である社員さんが凡庸であるというようなことはあり得ません。もしそうであるとしれば、その優秀さは、短期的あるいは一定の条件下・環境下においてのみ有効性を発揮し得る程度のものであり、より長期的な観点に立って眺めてみたときに、その経営陣が充分優秀でなかったことは、後日間違いなく証明されるでしょう。やはり、経営陣の成長そのものが、企業の成長に直結しているのです。

「経営者大學」では、経営のセオリーを学びます。しかし経営はセオリー通りにはいかないものです。「当社では」「うちの業界では」「この地域では」などといった特殊性が必ず存在し、セオリー通り実践しても、セオリー通りの結果を得ることは難しいものなのです。

そこで大切なのが、セオリー通りの実践から得られる、「当社では」「うちの業界では」「この地域では」ならではの本物の“智恵”です。“修了”とは、修め了(おわる)ことを意味します。12か月に亘る一泊二日の研修で学んだセオリーと、365日間の百戦錬磨の実践から得られた“智恵”を修め終え、彼はまさにこれから本当の成果を挙げていかなければなりません。

修了式では、12か月間で作り上げた「戦略的中期経営計画書」の発表がありましたが、とても具体的で魅力的な内容となっていました。実践していけば、必ず成果が出るものになっていると確信することができました。

皆さんも、常に自分を成長させていくための勉強の機会を意識的に作り、学びの実践を継続的にしていってください。そしてこれを機に、「自分の成長こそが会社の成長」との認識を新たにしていただければと思います。


No.433 業界貢献

1000nen

2018/10/01 09:00:00

私どもでは毎年1回、会計事務所を対象に、「実例を聴き、事務所の成長戦略を考える」ことを目的として、業界で活躍されている先生にお話しをいただくセミナーを、東京・大阪・福岡の3会場で開催しています。

今回私は、福岡会場でお二人の先生のお話しを拝聴させていただきました。おひとりは開業5年で400を超える新規開拓をされた創業者のN先生、そしてもうおひとりは、古い体質の事務所を急逝されたお父様から引き継ぎ、理想と現状とのギャップに苦しみながらも、理想とする事務所の実現に向けて大変な苦労をされた三代目のY先生でした。

私としては、やはりY先生の話が心に響きました。勤められていた革新的な事務所から、旧態依然とした事務所を継ぐことになった戸惑い。新しいことに取り組もうとしても、職員を取りまとめて抵抗する古参幹部との確執。年々減少していく売上高に対して増え続けるコストと、それに疑問をまったくもたない組織風土・・・。さまざまな苦難に立ち向かってこられたお話しは、まさに私たちが学ぶべき内容だったのです。

一方、N先生の営業活動に関わるお話しはとても具体的で、そのまま取り組めば同じような成果を上げることができるだろうと思えるものでした。いずれにしろ、お二人とも「すべてを包み隠さずお話しくださった」と思える大変有意義な内容でした。

セミナー終了後、お二人と食事をさせていただいた折、「どうしてそこまで明け透けに話をすることができるのですか?」と、素直な疑問をぶつけてみました。お二人が共通して口にされたのが、「業界に対する危機感」でした。そして「業界全体がよくなっていかないといけない。その中で自分たちのやっていることがお役に立てるのであれば、それでいい」という思いからだとのお話しに、大いに感動しました。

税理士法に定められた税理士の使命は「納税義務者の信頼に応え(中略)納税義務の適正な実現」を図ることです。ところが、平成28年度の法人税申告法人の中に占める利益計上法人の割合はわずか33.1%。とてもその使命を果たしているとはいえません。そこに危機感を感じる若い先生たちが、こうして自らの活動を世に示しながら業界を変えていこうとされている。改めて頭の下がる思いがします。

同じ業界の者同士、業界発展のための活動にともに取り組んでいけば、間違いなくそれぞれの業界がよくなっていくものと思います。私も、より一層この業界に貢献していこうという意思と意欲を新たにしました。みなさんも、それぞれが属しておられる業界の発展のために何ができるか、一度考えてみてはいかがでしょうか。


No.434 結束

1000nen

2018/10/09 09:00:00

9月決算の当社では先週の金曜日、今期の方針発表会を実施すると共に、前期における社員の頑張りを称えて、慰労会を実施しました。

大変盛り上がった会となりましたが、その中でも輝いていたのが、入社1年目の社員による出し物でした。歌あり、踊りあり、コントありと、全員が趣向を凝らして私達を楽しませてくれました。今年52年目を迎える当社ですが、その光景は、たまにテレビで見かけるベンチャー企業のイベントのようでした。

慰安会におけるこの企画は、かなり以前から実施していますが、彼らにとって、固い絆を結ぶことができる機会となっています。

今年はアラフォー世代も何名かいて、参加を告げられた当初は、かなり抵抗していたと聴いています。しかし、終わってみれば満面の笑顔で「やってよかったです!」の声。やはりひとつの物事を共に成し遂げることは、強く好ましい関係づくりにおいて、とても有意義なことであるようです。

ときに「教育は強制」という言葉を聴きます。もちろん勉強や学習は、自らの意思で、自ら時間をとって行うことが望ましいものです。しかし、「水は低きに流れる」ものです。人間も同様に、楽な方へ、楽な方へと流れていきます。それを許してしまえば、「学習をしない組織」を作っていくことになります。これは決して望ましい結果ではありません。よって「教育は強制」と諦観し、意識的・計画的に学ぶ機会を与えていくことが大切なのです。

実は、社内に団結力をもたらすことも同様です。「結束は強制」との認識が必要なのです。勉強や学習と同じように、互いの意思で、互いに時間を取り合っていくことが望ましいのですが、日々の仕事に流されて、そのような場と時間を取ることは、なかなか難しいものです。

よって企業においては、各種イベントなどを通じて、一緒になって同じ目的・目標を果たしていく機会を作っていくことが大切なのです。結果として、社内に固い団結力を生まれるきっかけを作ることになるのです。

この慰労会そのものの企画・運営もまた、入社2年目の社員5名で構成されている厚生委員によるものです。彼らも、開催前はその大変さに溜息をつくこともあったのでしょうが、終了後には、強烈な達成感・充実感と共に、強い絆が結ばれていることを感じます。

そしてこれらの経験をみんなが共有していることそのものが、私達の強みであると確信しています。みなさんも「結束は強制」と認識し、さまざまなイベントを考えてみてはいかがでしょうか。


No.435 修了

1000nen

2018/10/15 08:46:08

先週、開業4年未満の税理士を対象とした、そのスタートアップを支援するための講座「きどう塾」の修了式を執り行いました。

「きどう塾」とは、当社が昭和62年から実施している経営者・後継者・経営幹部の方を対象とした1年間に亘る毎月1回一泊二日の講座「経営者大學」の開業税理士向けの抜粋版といえるもので、今年開業52年目を迎える当社の経験と、全国1,700事務所を超える税理士事務所のお客様から教えていただいた開業時に必要な内容を凝縮して盛り込んだ講座のです。

毎回、先輩税理士にご登壇いただき、ご自身が苦労されたことや学んでこられたことなどをお話しいただく時間を設けているのですが、「きどう塾」の内容をお聴きいただくと、皆さん異口同音に「自分が開業したときに聴きたかった」と仰っていただきます。

修了式では、全講参加された方を対象に、修了証をお渡ししています。講座の内容を、修(おさめ)了(おわった)ことを証(あかす)わけですから、私の責任は重大です。しかし、本当に「おさめおわった」とは決して言えません。私がお話ししたことを一言一句修得された方は、過去4回の卒業生の中でも一人もいないでしょう。

にもかかわらず修了証をお渡しするのには意味があります。それは「おさめおわった」ら「後は実践するのみ」とのメッセージをお送りし、その決意と覚悟を促すためです。修了式では毎回、そのことを繰り返しお伝えしています。「いくら学んでも、実践しなければ学ばないのと同じ。実践してこそ意味がある」と。

優れた経営者になるためには、まずは経営に関わるセオリーを学ばなければなりません。しかし、現実にはセオリー通りにはいかないものです。それでも学ぶのは、学んだことの百戦錬磨の実践を通じて得られる“智恵”こそが大切だからです。

今回は「きどう塾」というまとまった講座を「おさめおわった」から、「それを実践してください」とお伝えした訳ですが、人は毎日何かの学びを得ているはずです。日々の生活の中で気づく“学び”を「おさめおわった」ら直ぐに実践する。人の成長は、その実践の数に比例するといっても過言ではありません。

私たちも、一つひとつの物事をその都度その都度身に修め、“即実行”の実践で、大きな成長を獲得していきましょう。


No.436 教育

1000nen

2018/10/22 09:00:00

このところ私は、“教育”の場において、「教えない」ことをおすすめしています。

よくよく考えてみれば、「わかっている人は、わからない人のわからないことがわからない」ものです。その上、教える人は上司か先輩で、教わるのは右も左もわからない新人。「わかった?」と聴かれて、「わかりません!」と答えることができる勇気のある人が、それほど多いとは思えません。ましてや「わかったでしょ!」と言われたらなおさらです。結局、わからないまま、不安な気持ちのまま仕事をしていくことになってしまいます。もしかすると新人の定着率の低さの理由は、こんなところにあるのかもしれません。

そこで私は、動画や紙媒体などの教本やマニュアルを渡して、まずは新人自身に勉強させることをおすすめします。

この自習でのポイントは、「理解させる」ことを目的とはしないことです。目的は、「わからないことを明確にする」ことにあります。それは、「わからない人は、どこまでわかったらわかったといえるかがわからない」からです。いくら勉強しても、自分が理解できているかがわからなければ、不安な気持ちを払拭することはできません。

よって、「自分がわからないことをすべて出して」と伝えます。人はゴールがあることほど頑張れる傾向にあります。「自分がわからないことを出し尽くしたら終わり」という明確なゴールがあった方が頑張れるのです。

また、人はわからないことを明確に自覚できたときに、「知りたい!」「理解したい!」という強い欲求が生まれるものです。そのときを逃さず、丁寧にわかるまで教えてあげると、乾いたスポンジがすっと水を吸い込むように理解が進んでいくものなのです。

『働き方改革』が叫ばれる中、すべての業務のありようを見直す必要があります。“教育”もまたその対象と言えるでしょう。人がなかなか採用できず、既存社員の負担が増える中、やっと入ってきてくれた新人に対する“教育”が、さらなる負担をもたらすことは避けたいものです。

ぜひ「教えない」“教育”のありようを研究していただきたいと思います。


No.437 採用

1000nen

2018/10/29 09:00:00

先日、ある社長から「新人育成に困っている」との話をお聴きしました。入社して半年、「覚えが悪い」「嘘をつく」などの理由で若い教育担当者が疲弊し、先日4人目の担当者が音を上げて、現状はベテラン社員の監視下にいるのだとか。

「こうなることはある程度予測はしていた」という言葉に少し驚き、その理由をお尋ねすると、「応募者が少なくて、選んでいられないんです」とのこと。「仕方なかった」の話に、私は少し苦言を呈しました。

これまでも何度かお伝えしてきましたが、採用活動では、「よい人を入れる」のではなく「入れてはいけない人を入れない」ことが大切であるとの認識が必要です。

この観点に立った時、この会社がもつべき問題意識は、「応募が少ない」ことではなく、「十分な応募を得るための取り組み・工夫ができていない」でなければなりません。現にこの会社では、ホームページに採用専用のページもなく、安い採用サイトに掲載しているくらいの活動しかできていませんでした。

確かに「採用が厳しい」との話はよく聴きます。一方で、潤沢な応募を獲得できている会社もあります。そのような会社では、採用活動に人も、お金も、時間もきちんと掛けています。要するに「過去取れていた」方法では採用できなくなっているけれども、時代に合った「やるべきこと」をやれば、それだけの応募を得ることができるということです。

そのような話をしたところ、「自社には応募を得るだけの魅力がない」との言葉が出てきました。これこそがこの会社の、いやこの社長の最大の問題でした。自社に自信と誇りと魅力を感じていない社長が経営する会社に、優秀な人材が入ってくれるはずなどないのです。

この社長には、まず自分自身が会社や仕事に対する自信・誇り・魅力などを明確にするようにお伝えしました。それらが明らかになったとき、採用活動は劇的によくなると思います。否、採用活動のみならず、素晴らしい経営の実現にも貢献することになると確信します。

みなさんも、まずは自社の誇り・魅力を改めて明確にした上で、採用活動に潤沢な経営資源を投入することで、期待通りの採用活動を実現していただければと思います。


No.438 評価

1000nen

2018/11/05 09:00:00

このところ、給与制度の中に「歩合給」を導入されるところが増えてきているように思います。業績連動型の給与体系の最たるものといえますが、私はその効果に対しては、少し懐疑的です。

「歩合給」を導入される目的は、

 □業績に対して高い意識をもってもらえる。

 □客観的な評価基準となる(評価する手間が少なくなる)。

 □組織内に競争意識が芽生える。

などが考えられ、実際にそのような目的で導入されるケースが多いようです。

一方で「歩合給」は、

 □効率的で自分にとって都合のよい仕事を抱え込む(他に任せようとしない)。

 □後輩指導や会社運営に関わる業務など、お金にならない仕事を嫌がる。

 □組織風土がぎくしゃくする。

などの弊害があります。この長短を比較した時、明らかに後者の問題の方が重いと思うのです。

「後輩指導や会社運営に関わる業務にもポイントを付けるなどして、歩合給に盛り込めばいいじゃないか?」という声も聴こえてきそうですが、「金のために人を育てる」などという風土が、私にはとてもよいとは思えません。

もちろん、業績に対する意識を高くもってもらうことは大切ですし、評価の中に業績部分を入れることに対しては、全く異論はありません。ただ直接連動させてしまうと、後者の弊害の方が強く出てしまうケースを、私はたくさん見てきました。

組織風土は、経営戦略と並ぶ、経営にとってとても重要な要素です。どんなに優秀な社員に恵まれたとしても、組織風土が好ましいものでなければ、その力は十分に発揮してもらえません。逆に組織風土がよければ、人材の能力は多少劣っていたとしても、その能力をいかんなく発揮してもらうことができ、想定以上の結果を出してくれるようになるものです。

潜在能力100×発揮率30%=発揮能力30 < 潜在能力50×発揮率100%=発揮能力50

といったイメージですね。

そもそも“評価”は、評価する者とされる者の信頼の上に成り立つものであり、かつ相互の信頼関係を構築するための最も重要なコミュニケーションのひとつです。

安易な仕組みに頼らず、好ましい組織風土の実現に向けた評価制度の検討をしていただければと思います。


No.439 信念

1000nen

2018/11/12 09:00:00

先週の水曜日、岡崎商工会議所様主催の「ひとづくり塾」の特別講として、「携帯用アジパンダ(味の素)」で日本パッケージデザイン大賞を受賞されて有名になった、本多プラス 株式会社の本多孝充社長にご登壇をいただき、お話しをお伺いさせていただきました。

Honda Plus|本多プラス株式会社

本多プラス株式会社の公式ウェブサイト。プラスティック容器やケースの製造・開発を行っております。ブロー成形技術をコアに、70年以上培ってきた高い技術力と革新的なデ…

1946年に創業されたご祖父様がセロファン製の筆さやを開発し、二代目のお父様がその技術を応用してプラスチック製の修正液の容器を開発されました。しかし現社長が入社された1997年当時、売上高の80%を占めていた修正液市場は、修正テープの台頭やパソコンの普及が進み、いずれ減退していくことが目に見えていたのだとか。

「値決めができる会社になりたい」⇒下請けからの脱却がしたい

「文房具以外の市場も獲得したい」⇒リスクヘッジをしたい

「一代一事業(家訓のようなもの)、新しい形や価値を提供したい」

⇒クリエーター型メーカーになりたい

などの思いを強く持たれ、周囲の反対にも根気強く思いを伝え続け、2011年の「アジパンダ」で開花し、同年、社長になられたとのこと。

その成功には

 ・金型製作の内製化による一貫生産体制⇒1か月かかっていた製品化が1週間に

 ・デザイナーの採用による、マーケティングプロモーションの実現

   ⇒指示されたものをつくるのではなく、欲しいと思ってもらえるものを提案する

 ・資材調達部からマーケティング部への窓口移行

   ⇒コストダウン対象から、マーケッターやデザイナーのパートナーへ

などの具体的施策があったとのことでしたが、私には、その内容以上に、先の思いの強さが具体的な施策を生み、どんな苦難があっても実践するパワーを生み出されたことが、一番の成功要因だろうと感じました。

「景気は自分で創るもの」

講演冒頭で口にされたこの言葉に、すべてが詰まっているように思います。

また、この成功の陰には、「途中、何度か言い争いはあったが、ほとんど任せてくれた」というお父様の存在が大きかったように思います。

今回は、事業承継に関わるお話はあまり聞けませんでしたが、「将来はお前が会社を継ぐんだと言われ続けた」「継ぐことを疑わなかった」など、是非お聴きしたいと思えるキーワードがいくつかありました。いつか千年経営研究会にお呼びして、承継に関するお話ししていただきたいと思います。


No.440 応援

1000nen

2018/11/19 09:00:00

先週の日曜日、福岡マラソンが開催されました。http://www.f-marathon.jp/

福岡市の繁華街・天神をスタートし、福岡県民にとってはかき小屋で有名な糸島市の交流プラザ志摩館をフィニッシュとするコースを走るフルマラソンです。

参加者は実に12,000人!それでも抽選の倍率は毎年3倍以上とのことです。一般的に地方のマラソン大会では倍率が2倍を超えると人気が高いと言われているそうですから、かなり人気のマラソン大会ということになります。

その大会に、福岡事務所の社員が2名応募し、2名とも参加することができました!ということで、当日は参加しなかった2名の社員と共に応援に行ってきました。

当日の朝、8:20スタートに対して、私が福岡空港に9:35到着の飛行機で福岡入りしたこともあり、社員の車で追っ掛けることになりましたが、規制が敷かれており、当初予定していた応援ポイントには間に合わず。そこで、地図とコース案内をにらめっこしながら、四苦八苦しながら、一人の社員を「多分この辺なら」と山をはった地点で待ち伏せ。その5分後、きっちり一人の社員を補足することができ、思いっきり応援することができました。正直、奇跡に近い出来事だと思います。

しかし、その後明らかになったのですが、事前登録で、出走者の位置確認ができるアプリがあったとのこと・・・。知っていれば、もっと楽に出会うことができたようです(苦笑)。

位置確認をするためにLINEでやりとりしていたのですが、その社員から15キロ地点で「もうだめです。でも20キロまでは頑張ります」というメッセージが。ところが、私達を見つけた彼女は、とぼとぼと歩いていたのが、急に駆け足となり、笑顔満面、「25キロまでは頑張ります!」と、思いっきり手を振りながら目の前を通過して行きました。

実際に25キロ地点で収容された彼女からのメッセージは、「応援していただいて、ありがとうございました。正直20キロ時点で諦めるつもりだったのですが、もうちょっと頑張ろう!と思えました。みなさんの応援に力をいただけました。」でした。

それを見た私の素直な感想は、「やっぱり応援ってすごい力を持ってるなぁ」でした。

ちなみにもう一人の社員は、その時点で既に35キロを越えていて、出会うことができませんでした。でも、彼女はお父様と一緒に走っていて、お父様に応援してもらいながら、くじけそうになる心を鼓舞して走り切ったとのこと。

「応援されると、人は強くなる」

もっともっと、多くの人を応援していこう!そう思えた有意義な一日となりました。


No.441 善縁

1000nen

2018/11/26 09:00:00

先週の沖縄出張の帰りのこと。20:05発の最終の飛行機が、悪天候で使用機の到着が遅れ、2時間20分遅く出発することになりました。

そういう日に限って、大きな渋滞に巻き込まれることもなく順調に空港に到着し、また、他の便も満席で早めの便への変更もかなわず、ほぼ4時間、手持ち無沙汰な状態になってしまいました。

しかし、沖縄に行く飛行機の中でたまたま読んだ雑誌の中で、

「悪しき出来事であったとしても、それをきっかけにしてよい結果が出せたのであれば、それは“善縁”である」

と締め括られた文章に出会っていました。まさにこのような状況を見越して、神さまが私に読ませてくれたのではないか、と思えるくらいのタイムリーな出来事でした。

結局私は「この時間は、神仏からいただいた贈り物」と捉え、充実したデスクワークの時間にすることができました。そうでなければ、単なる酒宴の時間となっていたことでしょう

おかげさまで、出張続きで少し溜まっていた事務仕事をこなすことができ、およそ2時間のフライトの後半は、お酒を飲みながら、ゆったりとした時間を過ごさせていただくことができました。

結局、家に辿り着いたのは、深夜2時過ぎ。これほどの遅れは初めてでしたが、

出発前には、遅延時間×1,000円分の食事やお土産に使えるチケットがもらえる

到着後は、15,000円を限度として、交通費・宿泊費を出してもらえる

などの新ネタをいただくこともできました。

また、館内放送があるたびに遅延時間が後ろ倒しになっていく中、「え~」といった小さな声は聴こえるものの、大きな騒動にもならず、終始和やかに時間を待つ人たちばかりで、日本人の素晴らしさを改めて感じることもできました。

いずれにしろ、終わってみれば本当に“善縁”だったと思えます。

「どんな出来事であったとしても、すべての縁を“善縁”にする」

これからも、そういう気持ちでさまざまな出来事と向き合っていきたいと思います。


No.442 短所

1000nen

2018/12/03 09:00:00

先週、3名の学生とお会いしました。彼らは、「逆求人」といわれる求職活動のイベントに参加した学生で、そのうち、そのイベントに参加した当社スタッフが「ぜひ当社に来て欲しい」と思った学生たちです。

「逆求人」とは、一般的に行われる企業側からの求人に学生が応える、というスタイルではなく、学生側がイベントやインターネットなどを活用して自己PRをし、それに関心を持った企業がアプローチをする、というスタイルの活動です。一般的には、採用のミスマッチを減らす効果があると言われています。

残念ながら、私は参加できなかったのですが、スタッフによれば、35名の学生がそれぞれ、自分が関心を持った企業のブースに足を運んで、5~10分程度の自己PRをする、という形式だったそうです。熱のこもったトークに、会場は大変盛り上がっていたとのこと。経験のない私にとっては、「時代は変わったなぁ」と唸るばかりです。

3人のうちの一人は、企業からの評価が一番高かったようで、全国大会のようなイベントに招待されたとのこと(ちょっと主旨が違っているような気もしますが・・・)。その彼との話の中で私は大きな気付きをいただきました。それは、彼から出た次の言葉からです。

「高い評価をいただけたことは、とても嬉しかったです。でも、反省もありました。」

「私はこのイベントに向けて、徹底的に自己分析を行いました。その目的は企業から関心をもってもらうためでしたから、“長所”ばかりに目がいっていました。」

「でも今は、“短所”にも目を向けるべきだったと思っています。“短所”をきちんと認め、受け容れることの大切さに気付きました。」

当社のスタッフが惚れ込んだのも無理はありません。

私は常々、「自分(自社)のよいところを100個挙げましょう」「短所を直すよりも、長所を伸ばしましょう」とお伝えしています。しかし実際には、短所をきちんと認めることも、とても大切なことです。人間性を高めることを阻害するような短所は、やはり改めるべきです。また、能力的な部分については、自分ではできないことをきちんと認めた上で、その足りない部分を補ってくれる人に力を貸してもらうという姿勢も必要です。いずれにしとも、自らの短所に気付き、受け容れることが前提となります。

今回は、学生さんからその点に気付かせていただきました。やはり学びに年齢は関係ないですね。これからもいろんな人から学んでいきたいと思います。


No.443 誓い

1000nen

2018/12/10 09:00:00

先日、元K-1 WORLD MAX世界王者、魔裟斗さんの講演をお聴きする機会がありました。

実は、不遜な態度と2度の世界制覇という結果から、順風満帆な不良人生を送って来られたものと思っていましたが、意外にも穏やかで温かみのある方であり、かつ、挫折だらけの人生であったことを初めて知りました。

K-1デビューをするまでは、高校中退、何をやっても長続きしない生活などなど、今からは想像もできない「ダメっぷり」でした。

「何もやることがない」日々を何度も経験した彼は、「何もやることがないほど辛いことはない」といいます。その中でも、まだ企画中のK-1の誘いを受けた彼が、当時日本チャンピオンだったにも関わらず、所属していた全日本キックボクシング連盟を辞めてしまい、その後3年ほどはまったく仕事がなくなってしまった「その時期が一番辛かった」とのこと。「やるべきことがある」ことが、どれほど幸せなことなのかを考えさせられました。

一方で、K-1がスタートして初回チャンピオンになったのち、優勝できない年が続き、「魔裟斗はもうだめだ」との声が大勢を占めていた5年目。「どうしても優勝したかった」彼は、毎朝「何があっても、どんなことが起ころうとも、絶対に勝つ」と誓ってから一日を始めるようになったとのこと。

その誓いを果たすかのように、決定戦の第1Rでダウンを奪われ、「もうだめか・・・」と諦めかけたとき、毎朝の誓いの言葉が浮かび、猛反撃。最終的には判定勝ちをものにされました。まさに「念ずれば花開く」を実現されたのです。

そのほかにも

「努力したことにムダはない」

「目先のカネより功績を残す」

「何かを得るためには、何かを捨てる」

「本当に欲しいものは何かを問い続ける」

「思いを達成するのに、たまたまはない。本気で思って、本気で努力したことでしか達成はない」

「負けたときがチャンス」

などの、『格闘技から学んだこと』をご紹介いただきました。とても良い講演でした。

私自身、「何があっても、どんなことが起ころうとも、必ず手にする」ものは何かを明確にして、日々精進していきたいと思います。


No.444 承継

1000nen

2018/12/17 09:00:00

先週は、忘年会シーズンに突入したこともあって、懐かしい仲間との再会の機会が多くありました。

事業を拡大し、革新的な経営を認められて、多くの企業や大学などからの見学を受け入れるようになった社長や、お父様が病気で倒れられてしまったために、急遽社長を継いだ後継者などです。

やはり企業は生き物で、少し期間を空けただけで、大きく様変わりするものだと痛感しました。

特に鮮烈だったのは、お父様が投機で失敗し、その責任を負って自己破産をしそうになった後継社長でした。

創業者であるお父様は、「会社を大きくすることが我が使命」といったところがあり、10を超える店舗展開や中国事業への進出など、とにかく拡大志向が強い方だったようです。

しかし、うまく行っている内はいいのですが、そのうち既存事業の拡大に陰りが見え始めると、家族や社員さんたちの制止を押し切って、客観的に見たら博打とも思える事業に手を出し、苦境に立たされたのだとか。

既に社長の座は継いでいたものの、「父親の暴走を止めることはできなかった」とのこと。明るく話す彼からは、そんな苦境に立たされていたなどまったく感じられませんでしたが、生き地獄のような感覚をもっていたのだろうと思います。

一方で、そのような状況の中で相談がなかったことに、少し寂しさを感じました。そのことを伝えると、「それさえも思い出せないくらいでした」とのこと。人間とは、そういうものかもしれません。しかしみなさんは、何かあったら直ぐに連絡をください。

閑話休題。自己破産をしようとする父親を何とか思い留まらせ、個人財産のほとんどを売り払い、中国事業からの撤退と店舗の縮小などの経営効率化を図り、かつ彼が元々構想していた事業が功を奏して、何とか通常の経営を取り戻したのだとか。本当によかったと思います。

その後、事業承継の話となり、創業社長からの承継の難しさを語り合いました。その上で、「なんだかんだ言っても、継がせてもらえる会社を残してもらったことには、心から感謝しています」と明るく話す彼を頼もしく思うと共に、継ぐ者・譲る者が互いにそう思えることが、事業承継成功の秘訣であると、改めて感じました。


No.445 対応

1000nen

2018/12/25 09:00:00

現在、2つのテーマについて、提携先との打ち合わせを実施しています。たまたま同時進行していることもあり、担当者の姿勢や対応の大切さが身に染みてわかります。仮にAさん、Bさんとして、お二人の違いをお伝えしましょう。

Aさんは、当社の状況をよく理解しようと努め、実態に合った提案をしようとしてくれます。まさに「痒いところに手が届く」対応で、新たな気づきをいただけることもあります。一緒にいる時間が楽しく、また頼もしく感じます。

一方Bさんは、こちらの状況を考慮することなく、自社サービスのメリットや今後の展開を熱く語られます。私の知らない話もあり、それはそれでありがたいのですが、一緒にいると疲れてしまって、早くその場を去りたくなります。

またAさんは、デメリットやリスクは、本当に申し訳なさそうに、でもしっかりお話しいただけます。安心して耳を傾けることができます。

一方Bさんは、こちらから疑問を伝えない限り、デメリットやリスクの話は出てきません。「えっ、そういうことだったんですか?!」ということもよくあります。本当に微に入り細を穿って耳を傾けないと、心配で心配で仕方がありません。

「亀井さんがよく切れませんね?」との声が聴こえてきそうですが、先代がお世話になった方で、そうそう感情的にもなれません(苦笑)。また70歳を超えておられますから、さすがの私も礼を失するような対応はできないのです。実はAさんも私より一回りくらい上の方です。人とは実にさまざまだと痛感します。

いずれにしろ、明らかにAさんの方が好ましい対応であることに間違いはありません。一方で、人のことはよく見えますが、実際自分が「楽しく」「頼もしく」「安心できる」時間を提供できているか、Bさんとお話しするたびに不安になります。

  「人の振り見て我が振り直せ」

この言葉を改めて噛み締めてみたいと思います。

一方で、私達は社員さんの前で話をする機会も多いものです。社員さんに対して、私はAさんになれているだろうか、「楽しく」「頼もしく」「安心できる」時間を提供できているか、との不安もあります。

ときに自分が話をしている姿をビデオに撮って見てみるのもいいかもしれませんね。

  「自分の振り見て我が振り直せ」

も大切な視点だと思います。


No.446 視点

1000nen

2019/01/07 09:00:00

新年、明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。

さて、例年通り、日本経済新聞の今年のテーマが1月1日の1面に掲載されました。今回は年頭にあたり、今後の経営の指針の一助となるものとして、ご紹介させていただきたいと思います。今年のテーマは、次のようなものでした。

  「つながる100億の脳 ~知の探究 常識が通じぬ未来へ~」

「100億」という数字は、2050年の世界人口を意味します。その人間の脳と脳とが、会話などの言語情報を介さずに繋がるブレインネットワーキングが実現する時代がやってくる、それが「つながる100億の脳」の意味するところです。

またそれ以外の分野でも、大きな進化が紹介されています。これまでも、たとえばインターネットが1989年から商用化されはじめ、AIが97年にはチェスの世界王者を破り、2015年には囲碁でプロ棋士を破るなどの進化を遂げています。さらに30年代にはチップを身体に埋め込みキャッシュレスで決済ができるようになり、40年代には遠隔ロボットがアバター(分身)として活躍し、50年代には人間の知性をAIが超える転換点を意味する『シンギュラリティ』を迎えるといいます。確かに「知の追究」が「(現在の)常識の通じない未来」を創り出し続けていくことは否定できないでしょう。

このような時代の変化についていくのは、私自身、あまり得意とするところではありませんが、過去の常識に縛られることなく、常に状況を冷静かつ先見的に把握する努力はし続けなければならないと感じています。

また、6面には「スケッチ2050~わたしを待つ未来」という特集で、とても興味深い表現がされていました。

「2050年は古代ローマと似ている。ローマ帝国では奴隷が労働を担い、特権階級は余暇を楽しんだ。労働なき時代、人は何に価値を見出すのか?」

これはとても興味深いテーマです。一方で、2013年にAIの進化でなくなる職種を発表したイギリス・オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授は

「意思決定や判断、創造性に関わる仕事は、AIに置き換えにくい。人と人とのやり取りに価値を見出す。技術だけでは代替できない要素は多い」

と述べられています。まさに「人にしかできない仕事に集約されていく」といえるのでしょう。

そして、フランスの経済学者であるジャック・アタリ氏は、

「自分の利益よりも他人の利益を優先する利他主義がこれからの国際的な動きになるだろう」

とコメントされています。これも実に興味深い視点です。

私自身も、これからの時代は、

  『人にしかもたらすことができない価値』

がより一層重要になると共に、その創出の方向性は

  『自利利他の精神にある』

と感じています。今後10年、20年先の経営を考える視点にしていただければと思います。


No.447 干支

1000nen

2019/01/15 09:00:00

本日は、毎年恒例の干支の解説をさせていただきます。今年の干支は「己亥(つちのと・いのしし)」です。

安岡正篤氏の『干支の活学』では、下記のように説明されています。

【己】

物が形を曲げて縮まり蔵(かく)れた象(かたち)で、外物に対して内なる自身すなわち「おのれ」を表し、(中略)古文字の三横線は糸を表し、二縦線は糸を別つ、糸筋を分けることで、乱れを正しておさめる意味、すなわち紀である。己のおのれは他に対しては屈曲し、悪(わる)がたまりになり、乱れやすいから、これの筋を通して紀律してゆくべきことを表したものである。(中略)これに反して利己的に悪がたまりすると、敗を招くことは必定である。

【亥】

「核なり、百物を収蔵す」(釈名)。「亥は陽気下に蔵す故に該(そなわる)なり」(史記律書)で、(中略)林叢の間より突如として猛然突出し来る猪を以て之に当てた俗説は遇々(たまたま)よく適用したものである。亥は起爆性エネルギーの活動といってよかろう。(中略)いずれにしても、この文字は、「何事かを生もうとしておる」「いろいろのエネルギー・問題をはらんでおる」ということを意味しておる。起爆性を含んでおるわけです。

【亥】の意味するところを鑑みれば、今年は良くも悪くも相当なエネルギーを内在しているということです。それは因果の法則で、善因善(楽)果、よい種を蒔けばよい実がなり、悪因悪(苦)果、悪い種を蒔けば悪い実がなるということです。すなわち、【己】の本質である「筋を通して紀律する」ことができれば、よい結果をなし、できなければ悪の花が咲くことになってしまうのです。それも起爆性の勢いをもって・・・

まずは、“おのれ”を正す1年にしていきましょう。

そして“おのれ”の中にある「百物を収蔵する」“核”は何かに目を向け、“胎動”するその中のよいものを開放し、力強く進んでいきましょう。

また「突如として猛然突出し来る」チャンスを取り逃さないように。チャンスには前髪しかありません。「これがチャンス!」と閃いたら、がっちりつかんで離さないようにしていきましょう。

己亥の今年が、皆さんにとって素晴らしい1年になることを、心よりお祈り致します。


No.448 出口

1000nen

2019/01/21 09:00:00

先週から、税理士事務所様向けの新しいテーマでのセミナーがスタートしました。その名も「私たちが見てきた成長を続ける事務所の成功セオリー」。ご参加いただいた方からは、高い評価をいただくことができました。

セミナーでは、“継続的成長”事務所を

□理想の事務所の実現に向けて

□全職員が一丸となって取り組み

□事務所に関わるすべての人たちの物心両面の幸福を実現しつつ

□日々理想に近づいている

事務所と定義付けをし、そのような状態を実現できている事務所に共通する特徴として

□“理想の事務所像”が明確である
□“売れる仕組み”が構築されている
□“生産性”を高め続けている
□“職員満足”を高め続けている

という4つの点を挙げ、かつ、これらの実現に向けて「諦めず継続し続けることができている事務所だけが、成長をし続けている」とご紹介しました。

この内容は、税理士事務所だけではなく、すべての企業に共通するものだと思います。改めて自社の状況を振り返っていただければと思います。

その中で、「“理想の事務所像”が明確である」については、

  □経営理念が明確である

  □経営ビジョンが明確である

  □事業分野(誰に、何を、どのような方法で提供する業か?)が明確である

  □出口が明確である

こととお話ししました。そして“出口”、すなわち“事業承継”については、

「“親族承継”“所内昇格”“外部招聘”“M&A”の4つの方法があるが、最も好ましいのが“親族承継”である」

とお伝えしました。その理由をお話ししたところ、そろそろ事業承継について真剣に考えなければならないお年頃の先生方は、深くうなずきながらお聴きになっておられました。

改めて「親族承継が最も好ましい事業承継である」ことを肝に銘じ、好ましい“出口”に向かって、日々邁進していっていただければと思います。

それ以外の内容については、また折を見てご紹介させていただこうと思います。


No.449 メッセージ

1000nen

2019/01/28 09:00:00

「人がなかなか取れない」という話が聴かれるようになって、かなりの月日が経ちました。先週も10社ほどの企業訪問をしたのですが、実に9社から異口同音にこの言葉を聴くことになりました。

しかし1社だけ、「大体思い通りの採用ができています」とのこと。「給与は安いんですけどね」と苦笑いされながらも、その秘訣を聴いてみると、「仕事の魅力と熱い思いを伝えているだけです」と・・・。その上で、「この会社で働きたい!と思ってもらえるかどうかがポイントだと思います」と仰います。

「世界一幸せな国」と言われている国があります。数年前に国王が新婚旅行で日本を訪れられましたから、ご存知の方も多いかと思いますが、それはブータン王国です。

当時は、マスコミにもかなり取り上げられていました。ご覧になった方も多いと思いますが、テレビ画面に映し出される道路、家、暮らしぶりなど、どれをとっても「本当にここが世界一幸せな国?」と疑問を感じざるを得ないものでした。物質的には、一国のトップがあたかも自国民が不幸であると思い込んでいるが如く「不幸最小社会にする」などと口にする日本の方が、明らかに幸せと感じて当たり前に思えるものでした。

しかし、そのようなブータン王国が「世界一幸せな国」と言われています。何故でしょうか。それは国民がそう思っているからです。要するに人の“幸せ感”というものは、比較できるものでも、客観的な根拠があるものでもなく、自らが“幸せ”と感じるならば、それは間違いなく“幸せ”なのです。

そして、ブータン王国の人々が“幸せ”だと思っているのは、歴代の国王たちが、国民が“幸せ”を感じることができるメッセージを伝え続けてきたからなのだと思います。

採用においても大切なのは、給与や福利厚生、または労働条件などといった、比較可能な、根拠が明確なものではありません。もちろんそのようなものはよければよいに越したことはないのですが、決定的条件ではありません。

みなさんの会社には、社員さんに“幸せ”を感じさせるようなメッセージをもっておられますか?そして、そのメッセージで「この会社で働きたい!」と思わせることができますか?

私たち名南経営は、「日本一“自利利他”が実践できている会社」と自負しています。そしてこのテーマであれば、何時間でも語り続けることができます。そのようなメッセージをもっている会社は、採用の苦労が少ないように思います。ぜひ一度、熱く語れる自社の魅力をまとめてみてください。

みなさんの会社の採用が満足いくものになることを、心よりお祈り申し上げます。


No.450 伝統

1000nen

2019/02/04 09:00:00

みなさんは私が一時期、和太鼓をやっていたことを覚えていらっしゃいますでしょうか?そのきっかけを作ってくれたのは、岡崎商工会議所様主催の「ひとづくり塾」で出会った三浦太鼓店の三浦和也君でした。修了式で、妹さんと社員さんの3人でしてくれた演奏に感動し、どうしてもやってみたくなってしまったのです。結局、3年でやめてしまったのですが、今でもとても良い思い出になっています。

先日、8年前に「ひとづくり塾」を修了した後、創業1865(慶応元)年の歴史ある会社を継ぎ、6代目社長となった彼と久しぶりに会った時、とても嬉しい報告を受けました。

彼は、「ひとづくり塾」で経営理念の必要性を感じ、思案に思案を重ねて、自ら「伝統を守り、伝統を創る」という理念を明確にされました。そして、その理念に沿った活動を常に意識して取り組まれてきたといいます。

そのひとつの表れが、それまで外注していた“桶太鼓”の内製化でした。職人さんの高齢化が進み、かつ承継する人もいないため、どんどん作り手がいなくなっていたのだそうです。「このままでは伝統が守れなくなってしまう」との危機感から、80歳になる職人さんの下に通い詰め、技術を身に付けられたのだとか。また、その気持ちを受け止められた秋田の伝統工芸士のご家族から、“桶太鼓”を作るための道具一式を譲り受けることができたのだそうです。まさに理念に基づく行動が、人をも動かすことができることを証明してくれる話でした。

もうひとつが、新たな文化の創出です。数年前、八丁味噌協同組合さんが150年以上使われた古い仕込み樽を無償で提供するという話を聴きつけた彼は、岡崎文化の象徴ともいえる樽の底板を使った六尺六寸の大太鼓を、岡崎市民と一緒に製作することを思いついたのだそうです。それまでは、自社でできる範囲で考えていた理念の実現を、何とか他の人も巻き込んでいけないだろうかと考え始めていた矢先のことだったのだとか。そこで、太鼓を作るために必要な資材一式を無償で提供して、有志と共に大太鼓作りに取り組まれました。そして、“味噌六太鼓”と名付けられた大太鼓を岡崎家康公まつりで演奏したのが3年前。今では市の公認イベントとなっているのだそうです。まさに「伝統を創る」第一歩を踏み出したといえるでしょう。

「ひとづくり塾で策定した経営理念は、今も心の支えになっています」と嬉しそうに語ってくれるその顔を見ながら、私もとても嬉しくなりました。

「伝統を守り、伝統を創る」いい言葉だと思います。私たちも、「変わらないために、変わる続ける」ことを意識した行動を常にとっていきたいものです。

もう一度、太鼓を打ちたくなってきました。


No.451 責任

1000nen

2019/02/12 09:00:00

先週、4年前に創業社長であるお父様から社長の座を譲られたという方とお会いし、苦しい胸の内をお聴きしました。

今は会長になられたお父様は、御年80歳。しかし、健康面では何の問題もなく、毎日元気に出社されているのだとか。そのこと自体は息子として嬉しいのですが、いろいろと問題があるようです。

社長からの提案に対し、会長の答えは何でもNO。しかし、会長の意向を確認すると「そんなことはお前が考えろ」。考えた末に出した答えに対しても、やっぱりNO。それどころか、まったく真反対の指示を現場に出されてしまう。その上、そのことで問題が起これば「そんなのは社長であるお前の責任だ」。そんなことの繰り返しなのだそうです。

これまでも何度かお話ししてきましたが、このような問題は、大なり小なり創業社長によくみられることです。そもそも創業社長というのは、譲られた経験もなければ、譲った経験もないのですから、事業承継に対して「どうしたらよいか?」「どうすべきなのか?」は、想像さえつかないのだと思います。

一方で、我が子以上に接点の多い、自分が育てた可愛い会社。さらには、創業以来、自分の思い通りにしてきたのですから、俄かに自分の思いと異なることを容認することは、とても難しいことなのだと思います。

その認識の上で私は、冒頭の社長に対して、次のようにお伝えしました。

「NOと言われたときにあなたは、「またか」と思ってませんか?要するに、提案前からYESと言われることを諦めてしまっている。そんな生半可な気持ちで行う提案が通るはずがない。」

「また、お父様が出された指示に対して、「我関せず」の姿勢になってませんか。問題が起きるのは、指示の内容よりも、その後のケアに原因がある。トップだって神様じゃないから間違うことは日常茶飯事。だからこそトップは、自分が出した指示の経過に細心の注意を払い、起こりそうな問題を細目に潰していく。その繰り返しの中で成果を上げていくもの。会社の責任者であるあなたが、「会長が出した指示だから」とだんまりを決め込むのは、それこそ社長の責任をまっとうしていない。会長の出した指示であろうが、社内に出てしまった以上、全力で成果に結びつける。そういう姿勢がない限り、お父様のNOは続くと思います。」

どこまでご理解いただけたかはわかりませんが、この問題の本質は、このような点にあるのだと思います。そしてこの視点は、私たちも常に認識しておくべきことです。私自身、改めてこの本質に照らし合わせて、自分の行動を見詰め直してみたいと思います。


No.452 工夫

1000nen

2019/02/18 09:00:00

先日お会いした社長様から、「採用ができなくなってきて、社員に厳しく言えなくなってしまった」と、溜息交じりの悩みをお聴きしました。多くの経営者や管理者の方々に共通するものではないかと思います。

お話をする中で私は、「言えなくなってしまったならば、言わなくてもいい状態を作る工夫をなさってはいかがですか?」とご提案しました。

その上で、「言いたくても言えない」内容をお聴きしたところ、具体的にひとつの事例を挙げていただきました。それは、お客様との商談内容を翌日までに報告書として提出するルールが守られていないことでした。

報告書の作成・提出は、直接売上に繋がる業務ではありませんから、どうしても後回しにされる傾向にあるのだそうです。しかし以前はそのような姿勢を許すことができず、ことあるごとに厳しく指導・叱責されていたとのこと。

しかし、期待する採用ができない日々が続く中で、「厳しくして辞められたらどうしよう」との思いが沸々と湧いてきて、気付いてみたら「以前のように言えなくなってしまった自分がいた」のだそうです。

そのお悩み対して私は、次のようなご提案をしました。

・毎月月初に、

・報告者自身で

・「報告書提出必要件数」「当日提出件数」「翌日提出件数」「ルール違反件数」を、

・誰もが見ることができる場所に掲示する

このご提案内容は、私が実際に行っていることなのですが、とても有効です。「誰もが見ることができる場所」ということは、掲示していない人が誰かは誰から見ても明確ですから、結果として抑止力が働きます。また、「ルール違反をしていることをみんなに知られる」ことは、誰もがよしとはしないものですから、「ルールを守ろう」という意思と意欲が芽生えるものなのです。

そして、「何で掲示しないんだ!」と言う必要はありません。毎月1回、「掲示を忘れないでね」と言い続けるだけで大丈夫です。会社の組織風土にもよりますが、私の感覚では、半年もあれば全員掲示するようになり、その後、「ルール違反件数」はゼロになるものです。騙されたと思って、やってみてください。

これはほんの一例に過ぎませんが、「言わなくても、自然と期待する状態を実現できるようにする」工夫をすることは、とても大事なことだとおもいます。

そしてこれを追求していくと、“ストレスフリー”な「社員さんに期待すること」が増えてくるものだと思います。


No.453 転換

1000nen

2019/02/25 09:00:00

先日、13年ぶりにある社長とお話しする機会がありました。

以前お会いしていたときは、自動車部品を作っておられたのですが、リーマンショック後に自動車業界に見切りを付けられたとのこと。「2年間の放浪生活」を経て、何と、有料老人ホーム経営へ。まったくの異業種への転換で、お話しをお聴きしたときには、何とも大胆な行動に打って出られたものだと、少々あっけにとられました。

介護福祉業界共通の課題である「人材不足が悩みの種」とは言われるものの、「他施設より月15万円は高い」といわれる価格設定も奏功して、順調な経営を実現されているのだそうです。

「あのまま自動車部品を作り続けていたら、生き残っていけなかったかもしれない」とのお話をお聴きして、ここまで大胆な転換は難しいとしても、やはり企業は「変わり続けなければならない」ものだと改めて感じました。

加えて、「2年間の放浪生活」の中身をお聴きして、もう2つの気付きを得ることができました。

ひとつは、2年間「これから成長する業界」探しをされたのですが、ただ成長性・収益性が高いだけではなく、「やりたい仕事」という視点を大切にされていたことです。これまでも何度もお話ししてきましたが、私たち中堅・中小企業の最大の強みは、大きなマーケットを必要としないことです。よって「やりたい仕事に特化する」という視点はとても大切です。

もちろん、そうではない仕事をやらざるを得ない場合もあります。守らなければならないものもあるでしょう。でもその中に「やりたい!」と心から思える何かを見出す、ないしは創り出す努力は、常にし続けなければなりません。

もうひとつが、27人いたという社員さんへの対応です。その社長は、一人ひとりの個性や能力にマッチした会社を見つけ、全員を最適な再就職先へと導かれたとのこと。そして今では、全員がそれぞれの会社で輝いて働き、中には経営幹部として活躍されている方もいるのだとか。正直、感激しました。

経営者には、雇用責任があります。しかし、ときに自社内ではその責任が全うできないリスクは、常に付きまとうものです。図らずもそのような状況に陥ってしまったとき、どうしたら雇用責任を全うできるかを考え、果敢に実行するがトップの責任です。2年間、自らの目と足で全社員の最適な再就職先を見つけられた。とても素晴らしいことだと思います。

この会社は、“事業”の承継はできませんでした。しかし、社長の“思い”は間違いなく新しい事業に引き継がれると共に、それぞれのステージへと移っていった方々の胸に引き継がれ、それぞれのステージで花開くことと思います。

13年ぶりの再会は、私にとっても気付きの多いものでした。


No.454 標準

1000nen

2019/03/04 09:00:00

先日、ある業務について、数人のメンバーにその進め方をヒアリングしたところ、かなり違いがあることが発覚しました。多分、その業務以外においても、同様なことがあるのだろうと思います。みなさんの会社では、一つひとつの業務について、標準化はできてるでしょうか?

本来は、誰が行っても、同一の“品質”が担保されると共に、組織として最も“生産性”が高い状態を実現する業務の進め方が確立されていなければなりません。しかし、最初は標準的なものがあったとしても、いつの間にか個々人の都合のよいように変えられ、気付いてみたら「みんなやり方が違っている!」という状態になってしまっている可能性は低くはありません。しかし、その状態は決して好ましくはありません。

そこで、人によってバラバラになっている業務の進め方を、組織として最も効果的・効率的なやり方に集約していく必要があります。『働き方改革』の本筋は、生産性を向上させることです。このような取り組みは、『生産性向上』の鍵を握る、最も重要なものであるといっても過言ではありません。

今回は、先の業務について、その業務を担うメンバー全員に、現状の仕事の進め方を書き出してもらい、それをメンバー全員で読み合わせしました。その結果は、あまりの違いに驚きの声が上がったほどでした。

その上で、共通する部分と違っている部分を整理し、違っている部分については、誰のどのやり方が最も効果的・効率的かを擦り合わせてもらいました。そして、共通する部分については、もっと効果的・効率的な方法はないかを検討してもらい、最終的に、「これが一番効果的・効率的なやり方!」と全員が納得する業務の進め方を明確にしてもらいました。

多分、その標準的な進め方を実践する中で、改めてメンテナンスが必要なことも出てくるとは思いますが、標準が明確になっているので、変更もスムーズにできるようになったと思います。

またその際、一つひとつの業務ステップの中で、「何が終わったら、その業務ステップが完了したといえるのか?」を明確にしてもらいました。実は、この点においてもメンバー間に違いがあり、それが業務レベルの差となって表れていたことが分かったのです。これで業務品質も担保されるようになると思います。

さらに、「複数の方法を認めない」ことも伝え、「原則としては〇〇、どうしても困難な場合に限り△か□のみ認める」としてもらいました。これも、業務品質の均一化においては、とても重要なことだと思います。

今回は、ひとつの業務についてのみ標準化に着手しましたが、重要な業務については、順次進めていきたいと考えています。

これを機に、みなさんもぜひ取り組んでいただければと思います。


No.455 後継

1000nen

2019/03/11 09:00:00

先週、岡崎商工会議所様主催の「ひとづくり塾」で修了式が行われました。経営者、リーダーシップ、マーケティング、マネジメント、人事、生産性などのあるべき姿を9か月間に亘って学んでいただいた総仕上げです。

修了式では毎回、これまで学んでいただいたことを今後にどう活かすかを宣言する『決意表明』をしていただくのですが、その中で「社長になります!」と力強く宣言された方がいらっしゃいました。

彼は、親族でもなく、まだ役職もない、入社12年目の中途社員です。ひとづくり塾に参加させるほどですから、会社からはそれなりの期待はされていたのでしょうが、派遣しようと思われたときには、そこまでの期待はされていなかったのだろうと思います。

彼は開講以来、現場に対して無関心に映る社長と専務に対して、「俺がこんなにやっているのに!」といったような不満を抱えていたようでした。そして、「ひとづくり塾」で「経営者とはどうあるべきか?」「経営とは何か?」などを学ぶ中で、より一層、経営陣に対する不満を高めていったようです。

しかし、最終講を迎えるにあたって、「ひとづくり塾」で学んだこと、そして学んだことを実践してきたことを振り返る中で、企業経営の大変さ、難しさを改めて身に染みはじめ、それを担っている経営陣の、自分では計り知れない苦労というものを慮り、ただただ文句を言っていただけの自分を深く反省したのだそうです。そして、その状況を打開するためには「自分が経営者になるしかない!」と思い至ったとのこと。そういう思考には、なかなかなるものではありませんね。

さらに彼の偉いところは、「社長になる」宣言をした後に、「俺を育ててください」と加えたところです。宣言を受けた社長と専務は面食らったそうですが、その後は、まさに「経営者として育てる」意識での接し方に大変革されたとのこと。お二人とも、心のどこかで期待されていたのかもしれません。

この事例で大切なことは2つあります。一つは、「自ら社長になることを決意した」ことです。やはり、心を定めた人間は強い。

もう一つは、「素直に学ぼうとする心をもった」ことです。それまでの彼であれば、自分自身で力をつけた上で経営陣の足りないところをあげつらい、強引に譲らせようと画策していたかもしれません。

しかし、「経営とはいかなるものか?」「経営者のあるべき姿」などを学んだ結果、自分に足りないものを素直に認め、学ぼうとする姿勢が醸成された。それが一番大事なことだと思います。

これから会社を継ぐ立場にある人には、この事例から、後継者としてのあるべき姿勢を学んでいただきたいと思います。


No.456 理想

1000nen

2019/03/18 09:00:00

これまでも何度かお話ししてきましたが、私は今、会計事務所様向けの生産性向上のお手伝いをさせていただいています。

先日、ある事務所の20数名の職員さんに、会計事務所における生産性向上のポイントについて2時間ほどお話をさせていただきました。終了後、「亀井さんの話の中には、“ムダ”という言葉が一切出てきませんでした。それはなぜですか?」という質問がありました。周りの方も大きく頷かれています。実は私自身、特に意識をしていなかったことでしたし、これまで受けたことがなかった質問だったので、少々戸惑いを感じました。

後からお聴きした話なのですが、その事務所では前職で他の会計事務所にお勤めになっていた方の中途採用がほとんどで、その仕事のやり方の違いから、お互いを批判するような風潮があったとのこと。結果として、生産性向上といえば、互いの仕事の仕方の“ムダ”を見つけて指摘する、という感じだったのだとか。ところが私の話からは“ムダ”という言葉が出てこない。よほど違和感を覚えられたのだと思います。

私は次のようにお答えしました。

「生産性向上を図っていくにあたって最も大切なことは、“あるべき姿”を明確にし、それに向けて何をすべきかを考え、実践すること」

「お互いのやり方が違っているのは、どちらかのやり方が間違っているのではなく、その場そのときに最適な方法がとられていたものが、時代の変遷や状況の変化によってベストなやり方ではなくなっているだけ」

「ひとつの業務に対するお互いのやり方を棚卸し、各自の共通する部分と相違する部分を区分した上で、相違する部分は今の事務所にとってどのやり方がもっとも効果的・効率的かを考え、共通する部分はもっと効果的・効率的な方法はないかを検討する」

「そのような取り組みを通じて、事務所としてもっとも効果的・効率的だと思われる方法にブラッシュアップしていくことが大切」

戸惑いつつも、ご納得いただけたようです。さらに、先の質問が出たときに一瞬場が凍り付いたような感じがしましたが、その後は憑き物が落ちたように、穏やかな雰囲気になりました。その事務所にとっては、喉に刺さった小骨のようなやっかいな問題だったのかもしれません。

現実をみれば変えなければならないことは山積みです。しかし、それを他人のせいにしていては、解決するどころかより一層悪化の一途を辿ってしまうものです。そのような状況になってしまったら、まず“あるべき姿”に目を向け、目指すべき“理想”を共有することが大切なのだと思います。


No.457 採用

1000nen

2019/03/25 09:00:00

2020年4月入社の採用活動が解禁になりました。当社でも会社説明会が始まり、私も会社代表として話をしています。

ここ数年は“売り手市場”と言われ、当社もかなり厳しい活動になっていますが、実際に学生に会ってみると、彼らから楽観的なものは感じません。私が担当する東京・大阪会場では説明会の最後に“座談会”を設けているのですが、一部の学生からは悲壮感さえ漂っています。

いくつかの理由はあるのでしょうが、『就職』活動、というよりも『会社選び』活動が早期化・長期化し、かつ採用サイトやマスメディアなどから「みんなもう動いているよ」「早くしないと乗り遅れるよ」などと危機感を煽られた結果、“働く覚悟”が決まらないままに『会社選び』をしなければならなくなっていることの弊害が出ているように思います。

また、「他に質問はないですか?」との問い掛けに首を横に振りながら、アンケートの質問欄には「もっと〇〇について聴きたかった」と書く学生が多くいて、「本当に自分のこととして考えているのか?」とその姿勢に疑問符が・・・。その点、一概に外部の責任とは言えないとも感じます。この傾向はリーマンショック以降から感じ始めたことであり、それ以降に就職活動を始めた若手に共通することかもしれません。

一方で、「人生とは」とか「働くとは」などという話に目を輝かせる学生が多いことが印象的でした。学生生活の中でも、就職活動の中でも、そのような話を聴く機会がないのだと思います。

私は彼らに、「職で選ぶな」「会社で選ぶな」と伝えています。職も会社もなくなってしまう可能性があるからです。その上で、「人で選べ」と話します。「この人と一緒に仕事がしたい」「この人の下で仕事をしたい」「この人みたいになりたい」といった人がいる会社を選びなさいと・・・。

私たち中堅・中小企業においては、新卒採用に限らず、会社の規模や労働条件ではなかなか勝負できないのが現実です。しかし、「人生を語る」ことはできます。「人の魅力」で負けているわけではありません。

求職者と出会う機会があったら、採用する側とされる側というスタンスではなく、千年経営研究会で学んでいることをいかんなく発揮して、まずは“人”としての関係づくりを行い、「自分の魅力で採用するんだ!」という気概をもって臨んでいただきたいと思います。


No.458 仲間

1000nen

2019/04/01 09:00:00

先週の土曜日、千年経営研究会の総会が行われました。参加された皆さん、お疲れさまでした。

そこで改めて大切なことだと実感したことがありました。それは“仲間”の存在です。

私たちは、創業者、後継者、またはその人たちを支える者としての使命をもって、この世に生まれてきました。その使命を全うしなければなりません。

しかし世の中は、順風満帆とはいきません。ときどきに苦難・困難が待ち受けています。本来であれば、その使命を全うするためにそれらの壁を乗り越えていかなければなりませんが、人間は弱いものです。そこから逃げ出したくなってしまうことも多々あります。

そんなとき、その壁に立ち向かおうとする“私”の背中を押し、逃げ出したくなる“私”に厳しくも暖かい声を掛けてくれる存在、それが同じ使命をもった“仲間”です。

私たち千年経営研究会のメンバーは、創業者、後継者、またはその人たちを支える者として、共通の使命をもって生まれてきました。まさに、真の“仲間”といえます。そういう“仲間”をもてたことは、何よりも幸せなことです。そのことを、まずきちんと受け止めなければなりません。

総会では、各会の会長が、来期の方針を熱く語っていただきました。その中でも、さらなる“仲間”つくりをしていくことを誓ってくれました。同じ使命をもった“仲間”が増えていくことをとても嬉しく思います。

しかし、どんなに“仲間”がいたとしても、触れ合わなければ、その価値がありません。ぜひこれを機に、各会の活動に積極的に参加し、真の“仲間”作りをしていっていただければと思います。

そしてまた来年、その成果を喜びの中でお話しいただければと思います。


No.459 採用

1000nen

2019/04/08 08:49:27

4月1日、今年は36名の新入社員を迎え、入社式を執り行いました。その後、毎年「オリエンテーション」と称して、私が「人生とは」「仕事とは」「会社とは」などをテーマにして2時間弱の講義を行っています。今回は、その内容についてご紹介したいと思います。

簡単な会社の概要説明の後、私は次の「3つの約束」を宣言します。

1.出る杭は伸ばす

 だから、どんどん提案したり、取り組みに対して手を挙げたりして欲しい。もちろん、時期を待つべき内容もあるので、今すぐとは断言できないが、必ずその意欲には応えていく。逆にまな板の上の鯉は要らない。「言われたことは何でもやります!」ならいいが、「言われたことしかやりません」ならば、今すぐ辞めた方がいい。

2.疑問には徹底的に答える

 疑問・質問があったら、気軽に、どんどん声を掛けて欲しい。創業者・佐藤澄男は常々「CS(顧客満足)よりもES(従業員満足)が先」と言っていた。そしてそのように私たちに接してくれた。だから私たちも自然にそれができる。それが当社の文化だ。逆に、たくさんの疑問をもてるようになって欲しい。まずは何に対しても好奇心をもつこと。好奇心をもてば、自然に疑問は生まれるものだ。

3.新しい仕事を創る続ける

 人がやる気を失う最大の要因は「マンネリ」にある。一方で、人が意欲を高めることができる要因の一つに「新しい取り組み」がある。時代が変われば、お客様のニーズも変わる。お客様のニーズに対応するためにも、社員のやる気を出し続けるためにも、私たちは新しい仕事を創り続ける。

その上で、「皆さんの個性や能力などに応じた最適な仕事を与えていく。だから皆さんも、「これが天職、私の天職」だと信じ切って、目の前の仕事に全力投球してください」と結びます。

参考にしていただけるようでしたら幸いです。

採用とは、ひとりの人間の人生を受け止める約束をすることです。一方で、共に目的・目標に向けて取り組んでいく仲間になる約束をしてもらうことでもあります。会社からの約束と、約束して欲しいことをきちんと明示し、お互いが成長し続けていくことができるようにしていきましょう。


No.460 教育

1000nen

2019/04/15 12:01:51

先日、新入社員研修の一環として実施している「インターシップ企画コンテスト」の発表会に参加しました。

当社では、大卒の採用活動でインターンシップを実施しているのですが、長年続けてくるとどうしてもマンネリ化してきますし、既存社員の発想では、今の学生が何を求め、何を重視しているのかが、だんだんわからなくなってくるものです。そこで、就職活動を終えたばかりの新入社員に、どのような企画であれば学生に関心を持ってもらえるかを考えてもらうと考えた訳です。

それもただ単に意見を聴くというのではなく、主体的に責任感をもって考えてもらおうということで、複数のチームに分かれ、コンテスト形式で昨年から実施しています。

私は初めて参加させてもらいましたが、やはり「その人に聴く」ことが何より大切であると痛感しました。要するに自分とは立場も、経験も、置かれている状況も違う人の考えは、「聴かないとわからない」ということです。特に娘の年代の子たちが何を求め、何を重視しているかなど、想像すらできないのは、当然と言えば当然のことでした。

一方で、イキイキと発表の場に臨む新入社員をみていると、やはり「場と役割を与えることが会社の務め」であると感じます。「育たない」と嘆くのではなく、「育つ場と役割をどう与えるか」を真剣に考えなければならないと思うのです。人は、適切な場と役割さえ与えられれば、その個性を活かしながらすくすくと育っていくものだと思います。その責務を、改めて感じることができました。

いずれにしろ、今回の企画を通じて、「耳を傾ける」ことと「場と役割を与える」ことの重要性を再認識させていただきました。今後の社員教育を考える視点として、大切にしていきたいと思います。


No.461 マニュアル

1000nen

2019/04/22 09:00:00

先週から、生産性向上に関わるセミナーの講師を務めています。その中で、「好ましいマニュアルの作り方」というお話しをさせていただいていますが、結構評判がよいので、この場で少しご紹介させていただこうと思います。

“マニュアル”を否定的に捉えられる方がいらっしゃいます。それは、個性がなくなるとか、臨機応変の対応が阻害される、といった理由であるようです。しかし、私はそうは思いません。「マニュアル」によって標準化された行動の上に、その人の個性なり、臨機応変な対応をオンすればよいのです。“働き方改革”によってどんどん「働けなくなる」時代に、標準化された効果的・効率的な行動がベースにあるかないかは、非常に重要かつ大きな違いが生じることになると思います。

一方で、「マニュアルを作っても使えない」との声も聴かれます。その理由は、おおむね次のような内容であるようです。

□ひとつのゴール(業務の終わりの姿)に対して、複数の方法が提示されていて、どの方法でやったらよいかがわからない。

□専門用語を理解していることが前提となっていて、知識がないと使えない。

□文字情報によって構成されていて、理解をするのに時間がかかる。

結果として、「知っている人に聴いた方が早い」となってしまっては、本末転倒です。せっかくマニュアルがあるのにも関わらず、聴かれることによって自分の仕事の時間を奪われるわけです。何とももったいない話ですね。

では、これらの問題を解消するためにはどうしたらよいのでしょうか?ポイントは、次の4点です。

①ひとつのゴールに対して、最も効果的・効率的な方法を抜粋する(複数の方法を認めない)。

②初めての人がやってもできる状態にするため、極力文字を減らし、画像を多用する。

③初めてやる人が指示を受けながら作る。

④マニュアルに基づいて実施し、わからないところを聴きながらメンテナンスしていく。

②については、「わからないまま仕事をする」ことに対して疑問を感じられる方もいらっしゃるかもしれませんね。でも大丈夫です。人間には“知的欲求”というものがあります。「知りたい」という欲求です。

訳も分からずに仕事をしていると、「何でこんなことするんだろう?」「これはどういう意味なんだろう?」という疑問が生じます。そしてその疑問がどんどん膨らんでいき、「どうしても知りたい!」という強い願望に変化します。そのとき初めて人間は心から「教えてください!」という気持ちになるものです。

その感情が芽生えたとき、乾いたスポンジが水をスーッと吸い込むように、人は知識を吸収していきます。これから何をやるかわからない状態で知識を与えても、「何をするんだろう」という意識に満たされたコップの中に、さらに水を入れようとするようなものです。

「知りたい!知りたい!知り尽くしたい!」という“知的欲求”を引き釣り出すようなマニュアルを、ぜひ作っていただきたいと思います。


No.462 資産

1000nen

2019/05/13 08:50:00

先週、10数年ぶりに名古屋港水族館に行ってきました。「水族館は子供連れが行くところ」といった先入観が何となくあったため、子供たちが中学に上がったころからは、行楽地の候補にも挙がっていなかったのですが、「久しぶりに行ってみたい」という成人した家の女子たちの声に背中を押されて、久しぶりに尋ねることになりました。

名古屋港水族館ホームページ<公式>

様々なイベントやプログラムを通して、海の生き物の生態や進化の秘密を発見できる名古屋港水族館です。約500種を超える世界中の海の仲間たちが、みなさまのお越しをお待ち…

結果は、「実に楽しかった!」でした。

イルカのパフォーマンス、シャチやベルーガの公開トレーニング、マイワシのトルネード、ペンギンやウミガメなどの餌付けなど、実に多くのイベントが開催されていて、7時間、全く飽きることなく楽しむことができました。

特にイルカのパフォーマンスやシャチの公開トレーニングなどは、これまで十回近く見ているはずなのですが、何度見ても心が躍ります。

実は、今年に入って、岡崎、瀬戸、半田など、これまで仕事でしか伺っていなかったところに、観光目的で訪問するようにしているのですが、どこへ行っても「こんな場所があったんだ」と、新たな発見と感動をいただいています。

ときに、「お客様が来ても連れて行くところがない」と言われる東海地方ですが、「決してそんなことはない」と痛感します。あまりに近すぎて、目に入っていないだけなんだろうと思います。

翻って社内を眺めてみたとき、同じようなことになってはいないかと、その機会損失の大きさに、危機感を覚え始めてもいます。

「自社の経営資源の価値をきちんと認識し、十分に生かし切っているといえるだろうか?」

いろんなところにお邪魔するたびに、そんな疑問が頭をもたげてくるのです。一方で、そのような疑問を感じることができた結果、いくつかの“埋蔵品”の発掘ができました。そして、「結構、眠らせてしまっている資源があるものだ」と感じています。

これらの取り組みは一時的に行うものではなく、継続的に行っていくものだと思います。その時々の状況や抱える課題などによって、気付くところが違うからです。

よって常に「眠らせてしまっている資産はないか?」との疑問を持ちながら仕事をすることが大切なのだと思います。みなさんもぜひ、そのような視点をもって、日々を過ごしていただければと思います。


No.463 利他

1000nen

2019/05/20 09:00:00

私の好きな光景のひとつに、緊急車両が通過する際、走行する車が左右に寄って道を開ける、あのシーンがあります。救急車に乗っておられる方や、火災に見舞われてしまった方に対しては甚だ不謹慎かとは思いますが、日本人の心の美しさを表す姿のように思えるのです。

先日、1日に3回もその光景に遭遇し、心が癒される思いでした。しかし、最後の1台については、少し悲しい気分にもなりました。

救急車が赤信号を通過しようとしていたのですが、走行車線の車は少しずつ左右に分かれていき、スムーズに交差点に進入することができました。そこまでは、その映像に神々しさを覚えると共に、その一員になれたことに誇りさえ感じることができていました。

しかし、よほど急いでいたのか、また車内が大音量でサイレンが聴こえなかったのか、横切る青信号側の4~5台の車が、何食わぬ顔をして通り過ぎて行ったのです。その間、救急車は足止めされてしまいました。

その時間は、わずか何秒の世界です。しかし、交差点のたびにこのような状況になれば、助かるはずの命が奪われてしまう可能性は否定できません。私は彼らに問いたい。「その救急車に乗っているのが自分の親族だったらどうするのか?」「今その消防車が向かっている先が自宅だったらどうするのか?」と・・・

彼らが横目で緊急車両の存在に気付き、申し訳なさを感じてくれていればまだよいのですが、「自分さえよければよい」「今さえよければよい」といった考えで意図して行っているのであれば、とても悲しいことです。

翻って、日頃の仕事の中でも、支援や協力を求められることがあります。しかし、自分には自分の仕事があります。手伝えばそれだけ労力が増え、帰る時間が遅くなります。そんなとき、あなたはどんな意思決定をしますか?

好ましい風土をもつ組織の特徴の一つとして、「組織構成員が、相互に協力の意思と意欲をもっていること」が挙げられます。もちろん、気持ちだけではだめで、具体的な実践を伴っていることが必要です。実際に、素晴らしい組織風土の会社では、自然に、そして頻繁にそのような光景を目にすることができます。はたから見ていても、とても気持ちのよいものです。

「もし私の子供だったら」「もし私の親兄弟だったら」「もし私の大切な人だったら」

何事に対しても、そのような気持ちで対応していくことが必要ではないかと思います。


No.464 式典

1000nen

2019/05/27 16:53:15

昨日、豊田市北倫理法人会の設立10周年記念式典に参加してきました。

当会は、2009(平成21)年3月に、当時200社を超える会員がいた豊田市倫理法人会を、それぞれ70社くらいずつ「中央」「北」「南」の3つに分けてのスタートでした。100社にならないと“正”として認められないというルールがありますので、「北」と「南」は“準”倫理法人会でのスタートとなりました。100社ずつ2つに分ければ、最初から“正”として活動できたものを、わざわざ3つに分けられ、「30社足りない!」状況からのスタートにされたのです。

皆さんの会社においても、同じような意思決定を迫られることはありませんか?そのとき、「苦難の道を選ぶ」ことができるかどうかを考えていただければ、どれほど凄い決断だったか、ご理解いただけるのではないかと思います。

そして、なんと同年8月には“正”に昇格されていますから、そのパワーがまた凄い!私が初回のモーニングセミナーの講話者を務めさせていただき、続けて「経営と倫理」をテーマとした全12回のシリーズ講話をさせてもらったこともあり、この短期間での達成に、とても嬉しかったことを思い出します。

2009年といえば、リーマンショックの翌年で、無駄なコストは徹底的に削減されることが当たり前の状況の中で会員を増やされたことは、数倍の価値があるものではなかったかと思います。

そして10年経ち、その節目の年にまたシリーズ講話を任せていただいている最中での10周年記念式典でしたので、喜びもひとしおでした。

このような式典は、これまでの歴史を振り返り、いただいてきた“恩”を再確認して感謝の気持ちをお伝えする場です。また日常の中でともすると忘れかけてしまう物事の原点に立ち返る機会でもあります。更には、明日に向けての決意を新たにする。皆さんの会社でも大切にしていただきたいと思います。

豊田市北倫理法人会モーニングセミナーでの私の登壇は、もうしばらく続きます。次回は7月2日です。ぜひお運びください。お待ちしております。

最後に、式典のご準備ならびに運営をいただいた方々に、この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。


No.465 思い

1000nen

2019/06/03 09:00:00

先日、祖父の二十七回忌法要がありました。その際、お坊さんからいただいたお話を少しご紹介させていただきたいと思います。

60歳を少し超えたその方は、10歳の時、お寺に奉公に出されたとのこと。3人兄弟の二人目。今では死語ともいえる「口減らし」だったのだと思います。お母さんに手を引かれ、お寺の門前で言われた「頑張りなさい」との言葉が今でも耳から離れず、帰られるその後姿が忘れられないと言われます。

小学校に行っている内はまだ気はまぎれるものの、当時のお寺さんは子供の遊び場。放課後、同級生が遊んでいる横目で、掃除や勤行などに励まなければならない。また夜の一人寝はとても寂しく、「何で自分だけが」と「母を恨んだ時もあった」のだとか。

それでも親というものは恋しいもので、年に一、二度あるかないかの帰省で「お帰り」と温かく迎えられることが、何よりの喜びだったのだそうです。

そんなお母様が昨年亡くなられました。晩年は末期がんで、終末ケア施設に入られていたお母様を、片道5時間かけて月1回お見舞いに行かれていたとのこと。帰り際、「気を付けて帰りなさいよ」と声をかけてくれるお母様に、いくつになっても失われない親の愛を感じられたのだとか。

数か月してお亡くなりになり、冷たくなった頬に手を当てられながら、奉公に出されたとき、もちろん自分は悲しかったけれども、出したくないのに出さなければならないお母様の悲しみはそれ以上だったのだろうと感じられたそうです。

ときに人は、「言っていること」「やっていること」と「思っていること」は違うものです。「思ってもいないことを言わなければいけない」ことは誰しも経験があることだと思います。一方で、人の言動に左右され、相手の本心に気付くこと、受け容れられないこともある。そして、「あのとき、わかっていたら、受け容れていたら」と後悔することもしばしばです。

お話をお聴きしながら、私自身、相手の言動に惑わされてはいないか、その本質を見抜けているかを慮る力をより一層つけていきたい、そして、相手の思いに寄り添うことができる人間になりたいと強く感じました。今回もまた、よい気付きをいただくことができました。


No.466 承継

1000nen

2019/06/10 09:00:00

先日、瀬戸・旭倫理法人会で講話をさせていただきました。お話しするのは7年ぶりぐらいでしょうか。当会が瀬戸市倫理法人会としてスタートしたのが10年前。12回シリーズの講話をご依頼いただくなど、設立当初からお世話になっていました。

その中で、独自で開催され今に続く、経営者・後継者・経営幹部の方々を対象とした『人財塾』という講座の初代講師を務めさせていただいていました。今回会場に到着すると、多くの卒業生の方々が待っていてくれました。10年経っても、覚えているものですね。顔を見た瞬間に、当時の状況が思い浮かんできました。

中に、難病を抱えられた上に39度の熱を出されていたにも関わらず、「何としてもお会いしたかった!」と来ていただけた方がいました。まさに感無量でした。

もうひとつ、嬉しいことがありました。3人の社長から「うちの息子です」と満面の笑みをたたえてご紹介いただいたのです。ご子息の名刺には、その会社の名前が。要するに、この7年の間に後継者として入社されていたのです。さらに、「今日は来れませんでしたが、息子が入ってくれまして」とのご報告を2名の方からいただきました。今回参加された企業は30数社。その中の5社がこの7年間に後継者を見出された。もうまさに、至福の時間でした。

その中のひとりの社長が、「息子が入って、ますます事業意欲が湧いてきました」「もし息子が入っていなかったら、投資なんて考えもしなかったと思います」「今はガンガン借金して、ガンガン投資して、ガンガン事業を伸ばして、丸ごと引き継がせます!」と嬉しそうに語ってくれたのが印象的でした。

借金の是非は別にして、「後継者ができると事業意欲が湧いてくる」という私の持論を証明していただき、さらに嬉しさが増しました。

一方で、「瀬戸という地でこれほど同族承継が当たり前に行われているのはなぜだろう?」という疑問も浮かびました。いま世間で問題視されている状況とは少し異なっているような気がしたのです。「そこには何か秘訣がある」と思います。ぜひ、その秘訣を研究し、「あるべき事業承継の方向性をより一層明らかにしていきたい」という意欲が湧いてきました。

この件については、またモーニングセミナーに呼んでいただけるそうなので、少しずつ研究を進めていきたいと思います。瀬戸・旭倫理法人会の皆様、そして『人財塾』の卒業生の皆様、ありがとうございました。またよろしくお願い致します。


No.467 物価

1000nen

2019/06/17 09:00:00

先週、昨年度の年度優秀社員6名を引率して、カナダのバンクーバーへ表彰旅行に行って来ました。大きなトラブルもなく、天候にも恵まれて、有意義な5日間を過ごしてきました。

カナダは、自然豊かで、また人も温かく、料理もおいしく、とても素晴らしい国でした。しかし、少し驚いたのが“物価”の高さ。コーラは倍、なばなの里のような公園がざっと3倍といえば、感覚を掴んでいただくことができるでしょうか。予算がある旅行ですから、少々頭を抱えました。

ときに、日本の生産性の低さが指摘されます。生産性を図るものさしが通貨である以上、物価の差がそのまま生産性の差となって現れますから、低くて当たり前だと感じました。

そのこともあって、国は物価を上げようとしていますが、それもどうかと思います。生産性を高めて、モノやサービスが安く提供できるようにした結果が今の物価である以上、今あるものの値段を上げていくのは、本末転倒であるように思うのです。

一方で、他国と比べて2~3倍もの開きがあるわけではありませんから、実際の生産性はそれほど低くはないのではないかとも感じました。それどころか、もしそのものさしが“通貨”ではなく、(数値化することは難しいのですが)“満足度”だとすれば、日本の生産性は世界一ではないかとも思います。

ただ、スーパーでも、公園でも、どこに行っても、働く人の数は、やはり日本の2~3倍はいます。それだけ雇用を生む力をもっているともいえるでしょう。

よって私たち経営者は、既存のモノやサービスについては、よりいっそう生産性を高めて、よりリーズナブルに提供できるようにしていく一方で、より付加価値の高いモノやサービスを提供していくようにすることで、“稼ぐ力”を付けていかなければならないと思います。

今回の旅行を通じて、やはり客観的に物事を見ることの価値を感じました。通訳アプリの使い方をマスターして、また海外に出てみたいと思います。


No.468 自分

1000nen

2019/06/24 09:00:00

先日、ある社長から、とても貴重な話を聞かせていただきました。

その会社では、3年ほど前から「環境整備」に取り組まれているとのこと。物の置き場を決めて徹底するなど、細かい部分まで少しずつルールを作り、実践されてきたのでそうです。

その取り組みの中で、あるとき、「文句ばかり言って、行動が伴わない人がいつの間にかいなくなった」ことに気付かれたのだとか。そして、低かった定着率が、どんどん上がってきて「このところ、辞める人がいなくなった」とも・・・。

真理をついたお話しだと思います。

今、「バイトテロ」などというものが世間を騒がしていますが、仕事や会社に対する誇りと、働く仲間との信頼関係がある会社では起こるはずがありません。もちろん、そのような悪事を行う低次元な人間そのものが問題なのですが、そのような人間が存在できる会社にしてしまっているから起こることです。

今回のお話しは、まさにそのような問題の最大・最良の解決策なのだと思います。「環境整備」が徹底されている会社では、バイトテロなどを起こす人間にとってはいたたまれない。

さらに、その社長の話は続きます。

「環境整備がうまく行くか行かないかは、トップが徹底できるかどうかにかかっていると思います。うまく行っていない会社の話をお聴きするたびに、そう思います。その点、うちは徹底できてよかった。」

「一方で、以前の定着率が低い、文句ばかり言って職場を搔き乱す社員がいることができる会社を作っていたのも私です。」

「やはり、トップが変われば会社が変わる、ですね。」

更に真理をついた話だと思います。

今日の“今日の学び”で、「明るくすれば明るくなる。暗くすれば暗くなる。世界を作っているのは自分」と書かせていただきました。

今の会社を作っているのは、間違いなく“自分”です。その会社を変えることができるのも、また“自分”です。

今回の事例を通じ、改めて“自分”の役割と責任を考え直してみたいと思います。


No.469 やめる

1000nen

2019/07/01 09:00:00

去る6月20日、私が執筆した2冊目の本「業務を革新し付加価値をアップさせる税理士事務所の勝ち残りワークブック」が発刊されました。「“時短”と“拡大”の両立」をテーマに、日本実業出版社から会社名にて出していただきました。

その中でも書かせていただいていますが、“時短”においては、現在の業務をできるだけ短時間に行えるようにすること、すなわち既存業務の生産性向上が不可欠です。そしてその具体策として最も大切な取り組みは、「やめるべき業務をやめる」ことです。

そのためには、「やめるべき業務」の見極めが必要になります。その視点をかのP・F・ドラッカー氏の言葉で説明すると、次のようになります。

すべての業務に対して、「まったくやらなければ何が起こるか?」と問いかけてみることである。もし何も起こらないようであれば、直ちに止める。

(「経営者の条件」ダイヤモンド社)

このような姿勢がなければ、本当に削減しなければならない業務を炙り出すことはできません。

さらにドラッカーは、「身につけるべき5つの習慣的能力」として、

 ・自分の時間が何にとらわれているかを知ることである。そして、残された時間を体系的に管理することである。

 ・外の世界に対する貢献に焦点を合わせることである。

 ・強みを基盤に考え、行動することである。

 ・際立った成果を上げる領域に力を集中することである。その優先順位を守るよう、自らに強制することである。

 ・成果が上がるような意思決定をすることである。

を挙げた上で、

成果が上がらない者は、努力に焦点を合わせる。成果を上げる者は、貢献に焦点を合わせ、外に目標を向け、責任を重視する。

と述べています。要するに、業務の「やる」「やらない」の判断は、何よりも成果に着目して行わなければならないのです。ぜひ、貢献に焦点を合わせ、成果の上がらない業務は積極的にやめるという姿勢をもっていただきたいと思います。

なお、もしお知り合いに税理士事務所の方がいらっしゃるようでしたら、ぜひご紹介ください。また、具体例は税理士事務所の内容ながら、考え方としては、どの業種でも応用できると思います。よろしければ皆さんもご一読いただければ幸いです。


No.470 方針

1000nen

2019/07/08 09:38:20

先日、「生産性向上の実現のためのアドバイスが欲しい」という会計事務所様に訪問してきました。

その事務所では、半年前までの1年間、高い生産性を実現された事務所の指導を受け、具体的な取り組みをされていたとのこと。ところが、「どうしても受け入れないことがあった」とのことで、指導の継続を断念されたのだとか。「うちの事務所にマッチしたやり方を構築したい」、そう考え、いろいろと模索しておられる中、当社が先月開催したセミナーに参加された先生から「ぜひうちの職員に話をして欲しい」とのご依頼をいただき、今回の訪問となったのです。

「どうしても受け入れられないこと」とは、“品質”に対する考え方だったそうです。指導先の事務所では、生産性の向上が何よりも優先され、「品質に関しては80点で構わない」と考えられているのだとか。「それがどうしても受け入れられなかった」のだそうです。

私は、“品質”に対する指導先事務所の考え方が間違っているとは思いません。“品質”と“価格”に対する方針は、組織にとっての最重要方針のひとつであり、かつ、どのような方針が正しくて、どのような方針が間違っている、といえるような性質のものではなく、決められた方針によるとき、その組織の活動は経営的なものであるといえるのであり、またその方針の違いが他の組織との違いを表すものであるともいえます。要するに、組織はどのような方針をもとうと自由であり、そこに正誤はないということです。

しかし、この方針の違いがありながら、その方法論だけを取り入れようとすることには無理があります。著書「事業承継対策の立て方・進め方」にも、後継者の「外飯」の対象となる企業の条件の一つに「経営方針に大きな違いがないこと」を挙げています。その違いを無視して、ビジネスモデルや経営スタイルなどを学ぶことはできません。今回の事例は、まさにその際たる例だと思います。

1年間という月日を通してそのことに気付かれたその事務所様が、当社にお声掛けいただいたのは、セミナーの中で私たちの方針のひとつである「99点の仕上がりは0点と同じ。常に最低100点の仕事にプラスαしてプロとしての報酬をいただけることを心得ること」に共感いただけたからだとのことです。私どもの考えが正しいか、間違っているか、また私たちの取り組みがベストであるかどうかは別にして、正しい選択の視点だと思います。

世の中にはたくさんの『成功事例』があります。もちろん、その成功事例に学ぼうとする姿勢は大切です。しかし、その成功には“前提”があります。その前提をよく精査して、自社に適合するものを学んでいく必要があるのだと思います。


No.471 因果

1000nen

2019/07/16 09:00:00

先日、月刊誌「致知」を読んでいたところ、今話題の渋沢栄一氏の孫・鮫島澄子さんと国際文学療法学会会長の鈴木秀子さんの対談記事の中で、目から鱗の話を見つけました。

それは鮫島さんがオレオレ詐欺にあわれたときのこと。かなりの大金を取られてしまったにも関わらず、「ああ、私はきっと過去世で、いただいてはいけないものをいただいたのを、いま帳消しにしていただいたんだ」と思われたとのこと。

この一文を目にしたとき、「ああ、これが“自業自得”の正しい捉え方だ」と感じました。その上で、「何か説明のつかないことが起こったときにはこう考えればいいんだ」と、すっきりした気持ちになりました。

ほぼ同時に見つけた記事に、「行いによって報いを受ける時期」には、次の4段階あると書かれていました。

順現業:この世で報いを受ける

順次業:来世で報いを受ける

順後業:来々世で報いを受ける

不定業:報われる時が定まっていない

“報い”とは、何も悪いことばかりではありません。「善因楽果」「悪因苦果」と言いますから、善いことをした報いもまた同様です。善いことも悪いことも“自業自得”なのですから・・・

ということは、現在起こっていることの原因は、鮫島さんがおっしゃる通り、過去世にあるかもしれないということです。「順現業」であれば原因ははっきりしていますから、「ああ、あれか」と納得できますし、悪いことであれば反省し、善いことであれば「またやろう!」とモチベーションが高まります。しかし、過去世に原因があるとしたら、もうどうしようもありませんね。だからこそ、鮫島さんのような姿勢が大事なのだと思います。何より、そこには苦しみがない。

さらに鮫島さんの話には続きがあります。「罪をつくった犯人のこれからの人生、母親の悲しみを案じる気持ちしかありませんでした」と。こんな気持ちになれる人になりたいものです。

いずれにしろ、現世で原因が見当たらない、すなわち過去世の行いによって生じているかもしれないものであれば、善い結果に対しては「さらに善行を積んでいこう!」と決意し、悪いことであれば「罪を消していただいた」と喜ぶ。

鮫島さんはオレオレ詐欺にあわれたことを知ったご友人から「こんな時に言う言葉ではないけれど、おめでとうございます」とお電話をもらわれたとのこと。このご友人も凄いですね。でも、このような姿勢が大切なのだと感じました。

このような捉え方で人生を精進していきたいと思います。


No.472 選択

1000nen

2019/07/22 09:42:34

先週末、学生時代のアルバイト先にご挨拶に行って来ました。18:00~23:00、22:00~3:00、3:00~7:00がアルバイト出勤時間の、24時間営業の果物屋さんです。深夜は、飲み屋さんへの配達と、そのお客様やお店の方の帰宅時のお買い物の対応、そして荷出しが中心でした。

店主と奥様、そして二人の娘さんがやっておられた店で、市場の入口という立地もあって、結構な繁盛店でした。娘さんと言っても、30年前の話ですから、今ではお二人とも70歳を超えられています。当時小学4年生だったお嬢さんも、今や40歳になられたとのこと。月日の流れは本当に速いものですね。

数年前に24時間営業は止められたそうです。バブル崩壊やリーマンショック後の不況を受けて景気そのものが悪くなってきたこともありますが、毎夜、お店の前に5台ほど出ていたおでんの屋台がなくなってしまい、夜の人の流れが変わってしまったことが大きいようです。ひとつの文化がなくなってしまったことに寂しさを感じます。

また、単に開店時間が短くなっただけでなく、お店に並ぶ果物の数も1/3くらいになっていました。卸売から仕入れられる果物は、箱単位で入荷されます。たとえば6個入りのメロンはかなりの重さになります。深夜営業をしていたころは、アルバイトが箱出しの役割を担っていましたが、いなくなった今、細腕でその役割を担うのはとても厳しいことです。

そうなりますと、もちろん売上は下がります。そこでお二人は、体力的な負担が少なく、空いたスペースで何かできないかと考え、フレッシュジュースとソフトクリームの販売を始められていました。これが結構な人気で、私がお邪魔させていただいていた20分ほどの間、引きも切らずにお客様がいらっしゃっていました。静岡メロンやドリアンなどの高級果物がバンバン売れていた私が勤めていたバブルのころとはとてもいかないでしょうが、働きやすさと収益が両立したよい選択だったと思います。

経営には、ときに大きな試練が伴います。他責にするのは簡単ですが、それでは何も変わりません。それどころか、悪くなるばかりです。このお二人は、サラリーマンであれば既に定年を超えた年齢から新たな選択をされました。そしてそれが、間違いなくよい結果を生んでいる。見習わなければいけないと、強く感じました。

打つ手は無限大です。私たちも、目の前に現れる試練に対して、よりよい結果を出せるよう、積極果敢に工夫・選択していきましょう。


No.473 承継

1000nen

2019/07/29 09:00:00

先週の金曜日、有楽製菓 株式会社の河合伴治会長にご登壇いただき、「事業承継の決断と実行」というテーマでお話しいただきました。その中で、「譲られるまで」については、これまでもいろいろとお聴かせいただいていたのですが、今回初めて「譲った後」についてのお話しをお聴きしました。

「自分ができなかったから、好きなようにやらせたい」との思いで、社長の座を譲られた後は、極力口出ししないようにしようと決意されたとのこと。ただ、社長を譲ると決めた7年前からことあるごとにされていたアドバイスを素直に聞き入れる姿勢から、「もう少し相談があるものだと思っていた」ものが、社長になったとたん、何の相談もなくどんどん決めていってしまわれるようになってしまったのだとか。

このような場合、譲ったことを後悔し、どんどん口出しするようになり、そのうち怒鳴り合いが始まり、最悪は「出ていけ!」となるケースさえあります。ところが、河合会長はそうはならなかった。お話しの中から、その訳を垣間見ることができました。

「自分のやりたいことをやらせるために継がせた訳じゃない」

「口で言うより、やらせるだけやらせて、間違いに気づかせた方がよい」

「社長にならないとわからないことがいっぱいある。失敗しないとわからない。可能な限り失敗させる。唯一失敗させることが育成」

譲る者の心得の核心を突く言葉だと思います。

一方で、「会長がこんなに大変な仕事だとは思ってなかった」としたうえで、「いかに未練と執着をなくすかが大切」ともおっしゃいます。譲られる者は、譲る者のこの心を深く、強く受け止める必要があると思います。

そして最後に、

譲る者、譲られる者が、それぞれ「抜かれたくない」「抜きたい」と思っている内はダメ。「抜いてもらいたい」「ありがとう」という心持になってはじめて事業承継はうまくいく。

と締め括っていただきました。

本当に好ましい事業承継のあるべき姿を示していただくことができました。この場を借りて、心より御礼申し上げます。河合会長、本当にありがとうございました。


No.474 コミュニケーション

1000nen

2019/08/05 09:00:00

先日、私ども名南コンサルティングネットワークの一員である社労士法人名南経営が、産学連携でサポートしている南山大学経営学部の安藤ゼミの「職場改善」に関する研究の発表会に参加してきました。

安藤ゼミのFacebook →  https://www.facebook.com/Andozemi/

テーマは、

  ①見えないゴールの見える化~人材育成の効率アップ~

  ②長く続けられる職場作り~早期離職の減少を目指して~

  ③やる木の育て方

の3つで、学生たちが企業や学生へのアンケートやインタビューを通して得た知見から、彼らなりの考えをまとめた内容でした。

発表では、「熱意がある6%」「やる気がない70%」「無気力24%」などといったショッキングなデータも示されましたが、それを話している学生からはそんな印象は全くなく、逆に私の次女と同じ年の子たちの熱意・やる気・気力に溢れた内容に、微笑ましさと頼もしさを感じました。

また、

 ・上司の話の60%は理解できない。

  ・「相談したい」「聴きたい」のに上司がいない、聴き辛い。

  ・指示が一方的で、フィードバックがない。

などといった新入社員の声には、大いに反省させられもしました。

一方で、彼らが示した改善策には、少々驚きました。もっとITやネット、SNSなどを駆使した対策と思いきや、3チームともホワイトボードや掲示板などのアナログなツールを使い、かつ「話をする機会を増やす」といった直接的なコミュニケーション手段の提案だったのです。

また、「プライベートな話をすることが大切」などといった研究報告に、「若い人は、直接的なコミュニケーションは苦手で、あまり求めていない」「プライベートな話などもってのほか」などといった思い込みで判断してはいけないと痛感させられました(相手によっては配慮しなければならない場合もあるでしょうが・・・)。

いずれにしろ今回の研究発表によって、「職場改善」というテーマに関しては、何より良好なコミュニケーションが欠かせないことに、一層の確信を持つことができました。

さらには、コミュニケーション手段については、若い人の考えをどんどん取り入れるべきだとも感じました。

わが社においても、コミュニケーションのあり方について、今一度考え直してみたいと思います。


No.475 継続

1000nen

2019/08/19 09:00:00

昨日、豊田市南倫理法人会の設立10周年記念式典に参列してきました。

私ども名南コンサルティングネットワークでは、創業者・佐藤澄男が30年前、名古屋市南区倫理法人会の発起人かつ初代会長を務めさせていただいた関係もあり、倫理法人会が発行する「職場の教養」を毎朝朝礼で輪読するなど、私の入社前から深くお付き合いをさせていただいております。

私自身は、豊田支店の開設責任者として赴任した平成17年に、半年遅れで開設された豊田市準倫理法人会に入らせていただきました。

当初、100名にも満たなかったのですが、わずか3年で倍増の200人越え。そして、リーマンショックで日本中の企業が悲鳴を上げる2009年3月に、ひとつの会を3つに分けるという前代未聞の方策によって生まれたうちのひとつが、豊田市南倫理法人会です。

さらには、65社でスタートした会が、わずか5か月で100社越え。そして、翌年6月には、3会合同で行われた「夢の2010人モーニングセミナー」も現実のものとされました。倫理では「打つ手は無限」といいますが、どのような苦しい状況にあっても「念ずれば花開く」で、「本当に願えば必ず叶う」ことを目の当たりにさせていただきました。

これらの内容は、当時の当コラムにていくつかご紹介させていただいておりますので、お時間があれば、一度お目通しください。

今回の式典では、立ち上げ当初、モーニングセミナーにて12回シリーズの講演をさせていただいたこともあり、10年という歳月を思うとき、とても感慨深く、また誇りを感じながら参列させていただきました。

一方で、九州赴任で5年ほどのブランクがあり、会員さんも半分は見知らぬ顔ぶれになってしまっていて、少し寂しい気持ちになったのも事実です。「継続は力なり」といいますが、「継続しないと力にならない」とも感じました。

「過去は必然」ですから、このブランクそのものに意味があるのだと思います。その意味についてはこれからじっくり考えながらも、10年間継続して守り続けてきていただいた方々に対する感謝と畏敬の気持ちを強く持ち、次の10年に向けて何ができるか、継続すべきものは何かについて、深く考察してみたいと思います。


No.476 旧交

1000nen

2019/08/26 09:00:00

先日、「平成元年卒で令和元年に再び大学に集まろう!」という声掛けの下、母校・北九州市立大学に行って来ました。大々的な企画というわけではなく、仲が良かった者同士で声を掛け合って、集まれるだけ集まろうという企画だったのですが、結果集まったのは6人だけ。この件についての反省は、後ほど・・・

30年ぶりに訪れた大学は、1/3くらいは大きな変貌を遂げていましたが、残りは当時と全く変わらぬまま。南西を競馬場に、東を自衛隊、そして北は都市高速に囲まれるという地形から、敷地を拡げることが難しいという特殊事情もあってか、当時の姿を残してくれていたことは少し嬉しく、娘たちと同年代の学生とすれ違うたびに、年齢を忘れ当時の自分に戻っていくような感覚がありました。

人もまた同じで、「変わらないなぁ~」と思う部分と、「こいつ、こんなんだったっけ?」とその変貌に驚く場面も。やはり人は成長するものだと、感慨深いものがありました。

一方で、「自分は成長しているといえるのだろうか?」「恥ずかしくない人生を送れているのだろうか?」などと、一抹の不安を感じることも。日常生活の中では感じることが難しいそのような振り返りの気持ちも、時を経て再会することによって生まれることがある。そういう点においても、旧交を温める機会を設けることは、大切なことだと思います。

さて今回の企画は、神戸に住む同級生と飲んでる席で盛り上がり、私が幹事となってやることになりました。「平成元年卒が令和元年に集まる」というキャッチーなタイトルですから、それだけで20人くらいは簡単に集まるんじゃないかという安易な考えの下、連絡先を知っている同級生に声を掛け、「連絡先を知ってる仲間がいたら声を掛けてね」と伝えただけ。

結果は、私が声を掛けた内の5名のみ。後から考えれば、当然と言えば当然の話でした。もしちゃんとした集客をしていれば、もっと多くの仲間と再会することができたのにと、大いに反省しました。

集客目標を掲げ、その主旨・目的を明確にし、魅力的な企画を立て、きちんと協力のお願いをし、定期的に状況の確認をする。経営では当たり前のことですね。今回は、ちょっとした乗りで実施したことですが、本気になったらそれくらいはしないといけない。その大切さに改めて気づくことができました。

しかし、わずか6名とはいっても、日頃会えない仲間と旧交を温めることができたことはとても有意義なことでした。ぜひ定期的に行っていきたいと思います。


No.477 採用

1000nen

2019/09/02 09:00:00

先週、私が担当する令和3年3月卒業予定者を対象とした初のインターンシップを開催しました。下の娘と同じ卒業年度の学生を目の前にして、少々複雑な気持ちになりましたが・・・

私が担当する夏のインターンシップは「コンサルタント入門」というテーマで、

・コンサルタントとはいかなる仕事か?

・どのような資質や能力が求められるか?

などの講義の後、架空の企業に対するコンサルティング提案を自分たちで考える、という内容です。

具体的には、企業の概要や置かれている状況などを説明した後、私がその会社の社長となってヒアリングを受けます。そのヒアリングを通して企業の課題を明確にし、具体的にどのような取り組みをしていったらよいかの提案を行ってもらうのです。今回は東京での開催で、26名の参加者が5チームに分かれて検討してもらいました。

毎度のことですが、同じ会社を対象にして、同じヒアリング内容を共有しているはずなのに、各グループがまったく違う提案をしてくれます。そのことに驚きと面白みを感じると共に、コンサルタントという仕事の難しさと怖さを思い知らされ、「最大の成果を実現できる提案をしなければならない」と、毎回気が引き締まります。

今年もいろいろな提案をしてもらい、そのこと自体はとても楽しませていただいたのですが、どうも奇抜なアイディアを出すことがコンサルタントの仕事と勘違いしている学生も多かったような印象を受けました。

そこで、終了後の懇親会でその思いを素直に伝えたところ、「他のグループと違う提案をしないと評価されないんじゃないかと思って・・・」と、これもまた素直にその本音を話してもらいました。

今回はインターンシップですから、選考ではありません。しかし、学生たちにとっては、インターンシップは「選考されている」という認識であり、「目立たなければいけない」という強迫観念のようなものを感じながら参加しているんだということに、初めて気づかされました。

一方で、「正しい答え」よりも「目立つ答え」を出すことが優先されていることに、現在の就職活動の根深い問題があるようにも感じました。

もちろん、自分も同じ立場であったら同じ考え、同じ言動をするのかもしれません。しかしそれは当方の望むところではありません。よって、採用活動においては、改めて当方の期待と姿勢を伝え、お互いに求めるところがミスマッチにならないよう、私たちが求職者の立場に立って最大限の配慮をしなければならないのだと感じました。

今回の学びを、今後の採用活動に生かしていきたいと思います。


No.478 議論

1000nen

2019/09/09 09:00:00

今月は当社の決算月ということもあり、各部署で来期の計画作りが進められています。先日、ある部署の計画作りの場に同席させていただきました。

その中で、何度か議論が滞る場面がありました。今日は、実際にあった議論停滞の特徴的な2つの原因とその対応策について、当事者たちに話した内容をお伝えしたいと思います。

第一に、お互いの持論に固執してしまう場合です。人は同じ物事に触れても、その感じ方や、そこから導かれる考え方は異なるものです。それはどちらかが間違っているのではなく、あくまでも捉え方の違いから来るものであり、いずれの視点も正しいことが多いものです。ところが、持論に固執し、相手の意見を否定することに終始してしまう。そのような場合に停滞が発生します。

しかし本来は、互いの見方・捉え方の違いを知り、その根拠を冷静に見極め、その正しさが証明されれば、それを素直に受け容れ、互いの見識を組み合わせて、新たな正しい見方・捉え方を構築していく、そういう姿勢が大切です。そして、そのような議論から、新たな事業発展の道が拓けてくるものなのです。

逆に、「異見が出ないような議論からは何も生まれない」との認識が必要です。かのP・F・ドラッカーは「全会一致の時は意思決定するな」と言っています。それほどに“異見”が大切なものだということです。

特に人の上に立つ者は、「人は、聴く耳をもたない人の前では無口になる」という認識が必要です。“異見”が出ないどころか、“意見”さえ出ないようであれば、余程自分の日頃の姿勢を疑う必要があるのです。

第二に、現状に縛られ過ぎてしまう場合です。「人がいません」「時間がありません」「ノウハウがありません」などなど、私たちの周りには“できない理由”がてんこ盛りです。そのようなできない理由を前提に考えてしまったら、何もできなくなってしまいます。

しかしよくよく考えれば、人がいなければ採用すればいい、時間がなければ作ればいい、ノウハウがなければ教えてもらえればいいのです。“できない理由”に縛られることなく、あるべき姿から何をすべきかを考える、そういう姿勢が必要なのです。

延べ2日間参加させていただきましたが、最終的には個々人の役割が明確になり、かつそれぞれがやる気をもって取り組むことができる状態までになったと思います。とてもよい議論になりました。

みなさんも、このような観点に立って、より充実した議論を現実のものにしていただきたいと思います。


No.479 健康

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2019/09/17 09:00:00

先日、ある社員の退院に付き添ってきました。2週間ほど前に東京から出張で本社に来ていたその社員は、帰りの新幹線を待つ間、他の社員との懇親を目的に居酒屋に立ち寄ったところ、その場で倒れて救急車で運ばれ、そのまま名古屋の病院に入院していたのです。

緊急搬送されたと聴いたときには、血の気が引く思いをしました。まず思い浮かんだのは、もちろん「大丈夫だろうか?」「命に別状はないだろうか?」という気持ちでした。そして、少し落ち着きを取り戻したころに浮かんだのは、「働き方に問題はなかっただろうか?」というものでした。

彼が所属していたのは、当社の中でも労働時間の短い部署ではありましたが、部門責任者として過度なプレッシャーをかけていなかったか、こちらが把握していない業務をしていたのではないか、との疑いは拭いきれるものではありません。

結局のところ、それらの問題の可能性は低く、彼自身「自分の不摂生がすべてです」と言ってくれていますが、その言葉に安住することなく、このような不安を根こそぎ解消するため、社内の総点検をしようという思いを強くもちました。

みなさんは『健康経営』という用語をお聴きになったことはありますか?「特定非営利活動法人 健康経営研究会」のホームページ(http://kenkokeiei.jp/whats)によれば、

「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても 大きな成果が期待できるとの基盤に立って、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することを意味しています。従業員の健康管理・健康づくりの推進は、単に医療費という経費の節減のみならず、生産性の向上、従業員の創造性の向上、企業イメージの向上等の効果が得られ、かつ、企業におけるリスクマネジメントとしても重要です。」

と解説されています。さらには

「従業員の健康管理者は経営者であり、その指導力の下、健康管理を組織戦略に則って展開することが、これからの企業経営にとってますます重要になっていくものと考えられます」

と記載されています。このことばを借りるまでもなく、社員の健康の責任者は私たち経営者であるとの認識が大切であり、その重要性はますます増してきているのだと思います。

みなさんもこれを機に、社内労働環境の総チェックと、『健康経営』の実践を検討されては如何でしょうか?


No.480 英知

1000nen

2019/09/25 09:00:00

先日、当社で行っているインターンシップのメインとなる、実に5日間に亘る企画を開催しました。

この企画は、最初の3日間、まずは私たち名南コンサルティングネットワーク(以下、名南CN)とはどのような理念をもち、どのような取り組みをしているのかを知ってもらった上で、「名南すごろく」と題して、創業を振り出し、あがりを事業承継として、企業が辿る歴史にはどのようなものがあり、それぞれのターニングポイントにおいて、名南CNが具体的にどのようなお手伝いをしているのかを学んでもらいます。

その上で残りの2日間、そのような理念や役割・強みを持つ名南CNが、もし新規事業を行うならば、どのような事業が考えられるのかを、複数のグループに分かれて検討するという企画です。

私は今年初めてその発表の場に参加させていただきましたが、実に楽しく、有意義な時間を過ごさせていただきました。

何より、何ものにも囚われない自由な発想での提案には、日頃いかに固定観念や過去の因習に縛られているかを痛感させられました。特に、「できない理由」から発想していては絶対に出てこないような提案には、目から鱗が落ちる思いがしました。確かに実現可能性は難しいのかもしれませんが、そのような発想ができなくなってしまっていることに、危機感すら覚えました。

これはとても大切なことで、何か新しいことを始めようとしたり、何か改革を進めなければならないことが生じたとき、社内の英知を集めるだけでは限界があることを如実に表す事例だと思います。

よって経営者・経営陣は、意図的かつ積極的に社外に飛び出し、かつ自らをさらけ出して、社内では得ることができない英知を集めなければなりません。

特に経営者は経営者同士、後継者は後継者同士にしかわからない、理解できない内容も多いものです。同じような立場の人たちが集まる場所に積極的に足を運ばなければなりません。

今回のインターンシップに参加させていただいて、その必要性を改めて感じさせていただきました。

私ども千年経営研究会も、毎月1回、各地で会合を開いています。また今年から、後継者会という新しい企画も始まりました。ぜひお近くの会員にお声がけいただき、積極的にご参加いただくことをお勧めいたします。


No.481 伝統

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2019/09/30 09:00:00

先週、私ども千年経営研究会が毎年行っている研修旅行で、岐阜県関市に行って来ました。その企画のひとつとして、「御刀鍛冶工 二十五代 藤原兼房」こと加藤賀津雄氏による鍛冶実演を拝見すると共に、お話を伺ってきました。本日は、その内容について、少しだけご紹介をさせていただきたいと思います。

関市では鎌倉末期から刀作りが始まり、多くの刀鍛冶がいらっしゃったのですが、先の敗戦でアメリカから刀づくりが禁止され、転廃業を余儀なくされたとのこと。室町時代に興った藤原家でも、南方戦線から帰還されたお父様が兄弟5人で包丁やナイフを製作する会社を立ち上げられ、生計を立てられるようになったとのこと。

しかし、日本の刀は「折り返し鍛錬」という世界に類を見ない製法で作られたもの。その技術を残すために、お爺様である二十三代を中心に国やアメリカに対して陳情を繰り返され、昭和27年にやっと製作が認められるようになったとのだとか。

但し、誰でも作ってよいというものではありませんでした。5年間刀鍛冶の下で修業した後、文化庁の試験に合格した者だけしか刀鍛冶として認められなくなったのだそうです。

更には製作本数が制限され、戦前は1日に10振りほど作っていたものが、長いもので15日に1振り、短いもので10日に1振りしか作れなくなってしまったとのこと。そのこともあってか、たとえ試験に合格したとしても、10人に3~4人しか食っていけない厳しい世界なのだそうです。

そんな中で、当家では42歳のご子息が既に二十六代を継がれています。そこまで続けられる理由をお尋ねしたところ、一言「残していかなあかんという気持ちだけ」と仰います。“伝統”を守っていく重さを感じました。

一方で、「お孫さんに継いで欲しいか」とお尋ねすると、「とても厳しい仕事。気軽に継いで欲しいと言えるものじゃない。ただ、自分たちの姿を見て、継ぎたいと思ってくれれば嬉しい」と。この言葉に、事業承継の本質を感じました。

「継ぎたいと思える会社にする」「継ぎたいと思ってもらえる経営者になる」

改めてその意義を、600年以上の重みをもって感じることができました。みなさんもご一緒に噛み締めてみてください。

最後に、この場を借りまして、今回の企画してくれた三好会メンバーと、他会ながら最大の協力をしてくれたH君に、心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。


No.482 指導

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2019/10/07 09:00:00

先週に引き続き、関市の「御刀鍛冶士 第二十五代 藤原兼房」こと加藤賀津雄氏からお聴きした内容から、今週は“指導”に関わるお話をしたいと思います。

先週もお伝えした通り、刀鍛冶になるためには、最低5年の修行と文化庁の試験に合格する必要があります。さらに、合格した後、1年間は御礼奉公をするのが慣例なのだとか。

御礼奉公を含めた修業期間は、なんと無給かつ手弁当なのだそうです。また、原則として副業やアルバイトも禁止されているとのことで、ある程度の貯えか仕送りがないと生活できません。また一発で合格すればよいのですが、そうでなければ必要資金は年々増えていってしまいます。

その上、たとえ独立したとしても、刀鍛冶で食べていけるのは10人中3~4人くらいなんだそうです。とても厳しい世界、余程の覚悟がなければ入門さえできませんね。

さらに、その試験も決して簡単なものではないようで、たとえば今年の合格者は、受験者9名中4名のみ。さらに一発合格者はお一人のみだったとのこと。

そのような厳しい試験なのですが、二十五代がこれまで育てられた6人のお弟子さんは全員一発合格されたとのこと。今年の唯一の一発合格者も、現在二十五代の下で修業されている方。ただよいものをつくられるだけではなく、人を育てることもできておられる。とても素晴らしいことです。

どうしたらそのようなお弟子さんたちを育てることができたのかをお尋ねしたところ、返ってきた答えは“厳しさ”でした。

二十五代ご自身、「兄弟子に厳しく育てられたからこそ今がある」と仰います。この世界では、たとえ弟弟子の失敗であったとしても、兄弟子が叱られるのだとか。その方は、自分が叱られることがわかっていても任せ、そして最後までやらせてくた。嫌われることがわかっていても厳しく叱責してくださったのだそうです。「そのときは嫌だった」そうですが、今ではその方に「感謝しかない」と言われます。

そこで、ご自身のお弟子さんに対しても

「今日やった失敗を、今日中に頭に叩き込め」

「これでいいやと思うな。どれだけでも追及していけ」

などと、日々厳しく指導されているのだそうです。その結果が、全員一発合格に繋がっているのだと思います。

 「失敗もするし、面倒くさいと思うこともある。でも取った以上、育てる責任がある」

その言葉に、“育てる”ことの厳しさを感じることができました。改めて、“指導”に対する意識と姿勢を見直す機会にしたいと思います。


No.483 変革

1000nen

2019/10/15 09:00:00

先日、5年ぶりにある社長とお会いしました。正直、「あまり会いたくない」方だったのですが、部下からの依頼で、しぶしぶお会いすることになったのです。

5年前にお会いしたときの彼は非常に横柄で、私の話を聴いているのかいないのか、話の途中で部下に指示を出されたり、「それはいいけど、これはどうなの?」などと、とにかく高圧的かつ自分本位で、途中からは話す気もなくなりました。訪問前に、退職者が多いとは聴いていましたが、「これでは仕方がない」と思わざるを得ませんでした。

ところが今回お会いした際には、そんな感じはまったくありませんでした。「あの頃は、1年間に8割の社員が辞めていきました」そう切り出された私の目の前にいる人は、朗らかな笑顔、柔軟な物腰、穏やかな話し方など、それはもう別人かと思えるほどでした。

当時は創業して3年目だったそうです。とにかく馬車馬のように働いて、気付いたら20名ほどの組織になっていたものの、人は定着せず、入れては辞め、入れては辞めの悪循環。ついてこない社員を罵倒する毎日だったのだとか。

ところがあるとき友人から、「もう少し自分を見詰め直した方がいいぞ」とのアドバイスをもらって、初めて自分にベクトルが向かったとのこと。「もうどうしたらいいかわからず、素直に受け入れるしかなかった」彼は、その友人の勧めもあり、心理学を学ばれたのだそうです。

そこで、「人との違いを知り、受け容れ、活かす」という、私が個性學で教えていただいた真理に気付かれ、それから「すべての原因は自分にある」と、これまでの考え方を180度変えることで、50名近い組織になった今では、この1年間退職者ゼロという、当時からは想像ができないほどの会社へと変革されたとのこと。

お話ししていても、本当に同一人物とは思えないほどの変わりぶりで、「これだったら社員さんもついていかれるだろう」と素直に思えました。

彼の変わりぶりにはとても驚かされましたが、一方で「人は変わることができる」ことに、改めて確証を得ることができました。そしてそのために最も必要なことは、「すべての原因は自分にある」という姿勢なのだと思います。

まずは、今目の前に起きている問題を明らかにし、その問題を生んでいる自分の日頃の言動を振り返ってみる。ときには、人の目に映っている自分に素直に耳を傾けるという姿勢も大切だと思います。

「自分が変われば相手も、周りも、すべてが変わっていく」

私自身、ときどきに発生する問題に対して常に自責の心で臨み、自己を変革させ続けていきたいと思います。


No.484 感謝

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2019/10/21 09:00:00

先週の金曜日、私どものグループ会社である名南M&A株式会社で、この1年間にお世話になった方々をお招きして、「感謝の集い」なるイベントを開催しました。

M&Aという仕事は、会社を譲りたい方、譲り受けたい方双方の存在があって初めて成り立つものです。まずは、それらの方々との出会いがなければなりません。

また、単に出会うだけではだめで、双方の合意があって初めて成立します。しかし、環境も生い立ちも異なる二つの会社、そしてそれぞれの経営者たちがお互いに分かり合い、受け容れあうのには、相当の時間を要すると共に、相互の思いを代弁したり、または翻訳したりする存在がどうしても必要となります。

今回お招きしたのは、当該ニーズをもつ会社をご紹介いただき、なおかつ私どもとの橋渡しの役割を担っていただいた方々です。名南M&Aという会社が世に存在し続けられるのは、まさにご参加者の存在のおかげさまと言っても過言ではありません。

2時間程度のささやかな宴席ではありましたが、まずまずご満足いただけたようで、ホッとしているところです。

また、M&Aという共通のテーマをもつ方々ですから、相互の情報交換が活発に行われていました。本来であれば私どもから感謝の気持ちをお伝えしなければならないところですが、席にお伺いすると他の席にご挨拶に行かれていて、油断をしていますと、先方からご挨拶をいただいてしまった、ということも何度もありました。それほどに情報を求められているということであり、今回の場が、そのニーズに少しでもお役に立てたのではないかと思います。

いずれにしろ、このような形式ではなくても、お世話になった方々へ感謝の気持ちをきちんと伝える機会を設けることは大切なことだと思います。またその機会が、その方々にとっても価値のあるものであれば、より一層良好な関係を築くことができます。

今回で4回目のイベントでしたが、今後とも続けていきたいと思っています。みなさんも自社にマッチした方法を検討されてはいかがでしょうか?


No.485 経営計画

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2019/10/28 12:48:13

先週の土曜日、千年経営研究会のメンバーであり、私ども名南経営のOBでもある伊藤圭太さんが代表を務める「中京会計 伊藤圭太税理士事務所」様の第13期経営計画発表会に特別講師として招かれ、毎度おなじみの事業承継に関する講演をしてきました。

13期の経営計画ということは丸12年、干支一回りを満了されたということ。これまでのさまざまな苦難を知っているだけに、大変感慨深いものがありました。

今回は私の話はさておき、中京会計が続けられている経営計画発表会について少しお話ししたいと思います。

「開業時は、A4・4枚の計画書を、ひとり神棚に向かって発表した」

という伊藤さんの経営計画に対する思い入れは、とても大きく、熱いものです。そしてそれは、開業の原点といえるものでもありました。

開業当初から、「中小企業に夢と感動の経営を!」を経営ビジョンとし、その実現の最大の要諦を経営計画の立案・実践であると位置づけられ、その価値をお客様に感じていただくためにも、まずは自社がその先駆者たろうとされています。

実際に、「夢と感動の経営」の賜物としてお客様の利益にとことんこだわり、その実現のための計画を立案し、実践されています。その結果、国税庁発表の法人税申告法人の中に占める利益計上法人の割合は、平成29年度実績でわずか34.2%のところ、中京会計のお客様においては何と71.2%、全国平均の倍以上の成果を出されています。「最終的には100%を目指す」と仰っています。頼もしい限りです。

また社内においても、たとえば生産性の向上というテーマにおいては、一人1時間あたり売上高が2016年に2,376円だったものが昨年は4,245円と、確実に成果を上げられています。

さらに現在では「CHUKYO-LAND構想」なるものを掲げられ、さらなる高みを目指し、その実現に向けてきちんと計画を立案されています。「二回り目の満了時には第一次構想を実現する」とのこと。間違いなく実現するだろうと確信しています。

私も経営計画はどの企業においても必要不可欠なものだと考えています。そして、これほどの成果を出されている会社があります。みなさんもこれを機に経営計画の立案・実践を検討されてはいかがでしょうか?


No.486 指導

1000nen

2019/11/05 09:00:00

先日、千年経営研究会で今年から新たに企画・運営されている「後継者会」に参加してきました。参加者それぞれが近況を報告し合い、忌憚のない意見を交わされました。

その中で、複数の後継者から、

「自分よりも社歴も年齢も上の方をどう指導したらよいかがわからない」

という悩みが報告されました。その理由は、

・新規営業ができず、入ってきたばかりの新人に実績で抜かれてしまっている。元々、営業に向かないと思うんだけど、どう接したらよいかわからない。

・社長と同じような年で、役職も上なのにも関わらず仕事をせず、指摘をしてものらりくらりとかわされる。社長に言っても埒が明かない。

・問題を見つけても、モチベーションが下がることを考えると、指摘もできない。

など、さまざまだったのですが、結局のところ、参加した後継者の間では明確な答えは出ませんでした。

そこで私から、

「後継者が指導できることなど何もない。どんな会社にしたいか、どんな部署にしたいかを語って、自らを磨いていくしかない」

とお話しした上で、

「話を聴いていると、単にできない人のできてない部分をあげつらっているようにしか聴こえない。彼らに対する成長や変革への期待が感じられない。期待のない指摘は単なる悪口に過ぎない」

とお伝えしました。

今回はあくまでも後継者が対象でしたが、この内容は、どなたにでも当てはまるものではないかと思います。「指導」とか「指摘」という言葉は、相手に非があることを前提として使われる言葉です。しかし、本当にその原因は相手にあるのでしょうか?

自分が変われば相手も変わる

目の前にある問題に対して、

「自分がどう変わったらこの問題を解決することができるだろうか?」

と考えるところに、問題解決の糸口が見つかるものなのだと思います。


No.487 イベント

1000nen

2019/11/11 09:00:00

昨日、福岡マラソンに参加する当社社員2名を応援しに行って来ました。朝8時出発ということで、当日入りした私はスタートには間に合わなかったのですが、交通規制をかいくぐって、20km地点とゴール手前の2か所で声援を送ることができました。

福岡マラソンでの応援は今回で2回目だったのですが、下は10代、上は90歳を超える方も参加されていたとのことで、その参加者の多さと年齢のバリエーションに圧倒されました。

ランナーの中には福岡で知り合った経営者の方も何名かいらっしゃいました。颯爽と走り去る姿はみなさん実にスマートで、日頃は感じないカッコよさがありました。

その中でも、私が最後にお会いした3年ほど前は、ぽっちゃりを超えた体型で不健康さを前面に出されていた方が体つきまでスマートになり、実に健康的になっておられたのにはとても驚きました。残念ながらお話を伺うことができませんでしたが、相当の努力をされたのだと思います。

今回、マラソンの応援をさせてもらって改めて感じたのは健康の大切さです。日頃、運動不足の私がいきなりマラソンに参加することが難しいでしょうが、健康増進に向けてできることをちゃんと考えたいと思いました。

また、今年は当社社員が4名応募し、うち2名が当選したのですが、いくつかの企業が揃いのユニフォームを着て、仲良く走っている姿を見て、当社も作ってあげればよかったかな?と反省しました。

一方で、応援する方々にも感動しました。ご自身とは直接関係ないランナーにも大きな声で声援を送る姿は、とても清々しいものでした。ランナーとして参加しなくても、応援をすることにも大きな意義を感じました。

以前からお話ししていますが、みんなで参加するイベントは、好ましい組織風土を醸成するためにはとても有効なものです。今回は福岡支店メンバー限定でのマラソンというイベントでしたが、他の拠点においても社員の一体感を醸成できるようなイベントへの参加を検討してみたいと思います。


No.488 挑戦

1000nen

2019/11/18 09:00:00

先々週、岡崎商工会議所「ひとづくり塾」にて特別講義があり、株式会社 山崎製作所(静岡市清水区)の山崎かおり社長にお話しをいただきました。

昭和42年にお父様が塗装業として創業され、現在は機械板金加工業として医療・食品・自動車・工作機械など、あらゆる分野の板金加工をされています。今では、自社オリジナルのアクセサリーやインテリアも手掛けられ、オリンピック関連商品も製作されているとのこと。https://www.bankin-ya.jp/

社長が会社を継がれたのは平成21年9月。リーマンショック直後で業績は最悪。またワンマン経営者であった社長と社員とが反目し合い、労使関係もまた最悪だったのだとか。

そんな会社を継ごうと思われたのは、子供のころから面倒を見てくれた、そして自分を育ててくれた会社を守ってきてくれた社員さんの生活を守りたい、その一心だったそうです。

社長を継いでまず行われたのは、社員アンケート。その回答の中には、

 「うちの会社はお客さんの奴隷だ」

 「板金屋に勤めてるなんて恥ずかしくて言えない」

といった内容で、愕然とされた。そして、

 「社員の誇り、職人の誇りを取り戻す!」

と固く誓われ、覚悟を決められました。

まず取り組まれたのは社員全員での理念づくり。ホームページにも記載されているその理念は、「自分たちの理念は自分たちで決める!」との思いの下、社員さんたちの心からの言葉をまとめたもの。

そして事業戦略もみんなで考え、「富士山をみんなで登っていこう!」との思いで名付けられた事業戦略書「富士山マップ」を毎年みんなで見直し。

朝礼や研修会のほか、BBQや卓球大会、または社内SNSでコミュニケーションを深めると共に、完全週休二日制、時間有給制度、健康経営への取り組みなど、働き方改革にも着手。

設備のIOT化を進めると共に、技能継承のためのキャリアアップ支援にも取り組まれ、国家資格「板金技能士」には全社員25名中、社長を含め14名が合格されています。

このようなさまざまな取り組みが功を奏し、恥ずかしくて言えなかった板金屋さんに、20代・30代が12名、そのうち女性が5名と、次世代の若い人たちが、イキイキ・ワクワク働ける会社に革新されました。凄いことだと思います。娘さんも自らの意思で入社されたとのこと。

会社を潰さない唯一の方法として貫いている信条とご紹介いただいた

「人がどう思おうが、どう言おうが、自分らしく、進みながら強くなっていく!」

「後ろは見ない。挑戦し続ける!」

を全うされているその内容に、ただただ感銘を受けました。

1時間では到底話尽くされないご苦労もあったかと思います。今一度お会いして、より深い話をお聴きしてきたいと思います。とても有意義な時間でした。


No.489 思い

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2019/11/25 09:00:00

先日、開業5年目の社長とお話しする機会がありました。勤務先から「ウマが合って、売上が作れる後輩」2人を引き連れての開業だったとのこと。

ところが、その仲のよさは、あくまでも立場が同等だったから成り立っていたものであり、社長と社員という関係になったとたん、激変してしまったのだそうです。言うことは聴かない、文句ばかり言う、二言目には「だったら給料を上げてください」。結局、自分だけが馬車馬のように働かざるを得ず、1年経った頃には「半鬱状態になってました」のだとか。

そんな状態を見かねた友人がいろいろと相談に乗ってくれた。そして、その彼と話をするうちに、「会社は彼のように気持ちが共有できる人間とやるべきだったのではないか?」と思い始め、いつしか「彼と一緒にやっていきたい!」と思うようになったそうです。

でも、もう失敗はしたくない。「入って欲しい」という気持ちをグッと抑えて、「どんな会社にしたいのか?」「どんな人と一緒に仕事がしたいのか?」「社会に対してどんなお役に立ちたいのか?」など、徹底的に自分の気持ちを伝え、また話し合いの中から新たな気付きを得ながら、互いの気持ちがどんどん共有されていくのを感じられるようなっていかれた。

そんな折、問題社員2名が問題を起こして退職。「神様の導きに違いない」と確信し、「一緒にいい会社を作っていきたい!」と思いのたけを伝えられたところ、二つ返事で入社を決めてくれたとのこと。さらには、「彼らなら思いが共有できる」というメンバーを2人連れてきてくれた。結局、4名体制で再スタートを切り、わずか2年で社員数15名体制にまでにされておられました。「同じ気持ちで働ける仲間と一緒に仕事ができることが一番嬉しいです」と満面の笑みをたたえてお話しになる姿がとても印象的でした。

かのジャック・ウェルチは、「能力のある人材は必要だ。但し、理念が共有できるものに限る」と言っています。私もその通りだと思います。

この社長は最初、ただ「売り上げを作れる人間」というだけで声をかけて失敗されました。その失敗を通じて、「思いを共有できる人と一緒に働きたい」と強く念願し、確信が持てるまでその努力と時間を惜しまれなかった。その結果が今に繋がっているのだと思います。

「能力よりも思いの共有」

私も改めてその大切さをかみしめ、今何をなすべきかを考えてみたいと思います。


No.490 夢

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2019/12/02 09:00:00

先日、ある社長から相談を受けました。その方は、数年前にお子様がいらっしゃらない創業社長から、社員数約50名の会社を任されました。

引継ぎ当初はまずまずの滑り出しだったそうですが、徐々に社員さんとの関係がぎくしゃくしてきたのだとか。「言うことをきかない」「文句ばかり言う」など、前半のお話しは、社員さんに対するグチ・ボヤキのオンパレード。相当、鬱憤が溜まっていたようです。

お話しの中で、「私は何も変わっていない」という言葉が出てきました。私は「それが大問題」と答えました。社員の意識のまま、社長という、社員を統べる立場に就いてしまったことそのものが問題だと感じたのです。

話をお聴きすると就任当初、何事に対しても「みんなで一緒に考えよう」という姿勢だったのだったとのこと。もちろん、みんなで考えることは大切なことです。でも決めるのは社長。最終的には社員が社長に将来の行く末を尋ねるのは当然のことです。ところが何でもかんでも自分に委ねようとする社員にだんだん苛立ちを感じ始めてしまった。

そのうち、新たにできた複数の社長仲間から「社長は孤独」と聴かされた彼は、どんどん社員さんとの距離を置き始め、徐々に当初と真逆の独裁者的経営者へと変貌し、一層社員さんとの壁を厚くされていったようです。

私はまず「どんな会社にしたいですか?」と尋ねました。出てきた答えは、今の業務をどう円滑に回すかに関わることばかりでした。最後まで魅力的な将来像が出てくることはありませんでした。

そんな彼に私は「社長は孤独ではない」と、2つの理由をお伝えしました。

ひとつは、夢を一緒に叶えることができる社員さんがいること。ただし、その夢を見させてあげるのは社長の仕事。

もうひとつは、同じような悩みを抱える社長仲間がいること。社長仲間は、グチ・ボヤキのはけ口ではなく、共に良い会社を作っていくための相談役。

そのうえで、「まず、どんな会社にしたいか考え、どうしたら社員さんと一緒になって理想の会社を作っていけるようになるかを検討してみてください」とお伝えしました。

「夢を示せていなかった」ぽつりと口にされた彼は、当初肩を落とされていましたが、そのうち、「夢で会社をまとめていきます!」と力強く宣言して帰っていかれました。

経営者とは夢を与える仕事である。みなさんも改めてその役割について深く考えていただきたいと思います。


No.491 金配り

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2019/12/09 09:00:00

先週の金曜日、名古屋市南区倫理法人会のモーニングセミナーにて、一般社団法人 倫理研究所の中西浩名誉研究員のお話をお聴きしました。

“五配り”と名付けられたその講演内容は、とても含蓄のあることばに溢れ、40分の時間があっという間に過ぎていきました。

“五配り”とは、目配り・手配り・足配り・気(心)配り・金配りの5つで、次のような意味合いになります(目配り・手配り・気(心)配りは、大辞泉(小学館)より抜粋)。

目配り:いろんなところに注意を行き届かせること。

手配り:物事をする際、ひとをそれぞれに振り当てて準備すること。また、必要なものを用意したり、段取りを付けたりすること。てはい。

足配り:足を運ぶこと。

気(心)配り:あれこれ気を遣うこと。手抜かりがないように注意すること。

金配り:お金を使うこと。

話の中心は“目配り”のことだったのですが、私が一番心に残ったのは“金配り”でした。「金配りが一番難しい」と重く低い声で言われたときは、「本当にそうだ」と感じました。

「金額」「出すタイミング」「使う場所」「渡し方」などなど・・・。確かにすべてが難しい。「人間としてのいろんなものが絡んでいる」との解説に、唸るばかりでした。

一方で、どこか軽く考えている自分もいることに気付かされました。「これくらいでいいだろう」「人の言う通りにしておけば問題ないだろう」と、あまり深く考えずにお金を出していることが多いように思うのです。

「人間としてのいろんなものが絡んでいる」ということは、“金配り”はまさに自分の人格、人間性の表れなのではないかと感じ、少しゾッとしました。

個人の問題に限らず、会社における“金配り”も、社格や社会性の表れと考えられます。そして会社における“金配り”は、まさに経営者の器の証といえるでしょう。

今回のお話をお聴きして、今後一層“金配り”に心を配り、人格・人間性を高めていける使い方を心掛けていきたいと思います。みなさんも“金配り”について、少し考えてみてはいかがでしょうか?


No.492 魅力

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2019/12/16 09:00:00

先日、ある社長から「立て続けに3人辞めてしまった」とのお話をお伺いしました。「やっと仕事ができるようになってきたところ」という3人は、結局他業種へ転職されたとのことで、さらにやるせなさを感じておられるようでした。

辞められた理由をお聴きすると、少々理解に苦しむ内容でした。私も入社した頃は新人類と言われる種族でしたので、当時今の私くらいの年齢の方々に言わせれば「お前が言うな」となるのでしょうが・・・。

ところが、同席した20代の当社社員は「何となくわかるような気がします」と言います。決して他山の石ではなさそうでした。

詳細は控えますが、3人の退職理由は「将来のことを本当に考えているのか?」という内容。明確な将来設計なしに目先の興味や欲得を優先しているように思えたのです。またその選択は、単に目の前の苦労から逃げているようにも思えました。

「将来のために苦労すべきことがある」私には当たり前に思えることに対して、どうも「それそれ、これはこれ」と完全に切り分けているように感じます。“それ”には「今」や「苦労」、“これ”には「将来」や「理想」を入れて考えてみてください。本来は切り離すことができないものを切り離して考えてしまっていることに問題を感じました。

このような考え方に対して、私たちはどのように対処していけばよいのでしょうか。その後、いろいろと考えてみましたが、「今」や「苦労」を超越した「将来」や「理想」を見せてあげるしかないのではないかと思います。「未来の魅力」を熱く語り、そのための「今の苦労」を喜んで行えるように指導・啓蒙していくほかに道はないと思うのです。

訪問後、同行した社員と食事をしながら私の思いを伝えました。翌日「本当に多くのことを学ばせていただきました。次はこれらを消化した上でお話しできればと思います」とのメールが届きました。やはり一度や二度では“消化”までには至らないようです。もっともっと話をしていかなければならないと感じました。

「これをやるのは当たり前」「やって当然」と思うことでも、なぜそれをする必要があるのか、それをすることによってどんな魅力的な未来が待っているのか、本当に“消化”仕切るまで、彼の人生の本当の目標に“昇華”できるまで語る。そういう姿勢がより一層求められる時代なのだと思います。


No.493 チャレンジ

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2019/12/23 09:00:00

今年最後のコラムとなりました。1年間、お付き合いいただき、本当にありがとうございました。

今年は私にとって少し長く感じた1年でした。それだけ充実していたのだと思います。実際に1年を振り返ってみると、例年に増して新しいことに取り組んできた1年でした。

たとえば・・・

・全国6大都市をめぐる大規模セミナーの講師を拝命しました。

・新たなセミナーテーマを5本増やすことができました(無茶振りで増やされた?)。

・元中日ドラゴンズの岩瀬さんと一緒に講演をさせていただくことができました。

・10年ぶりに引き受けた仕事がありました(知る人ぞ知るSIP研修!)。

・今年に入って、倫理法人会からの講話の依頼が一気に増えました。

・社内では、新たな部門の運営に携わるようになりました。

・税理士事務所向けの本を出版しました(半年で増版が掛かるほど売れてます!)。

・「リベラルアーツ」という新しい分野の内容を学ぶ機会を得ました。

・久しぶりに海外旅行に行って来ました(社内の年間功労者の引率者としてカナダへ)。

そして何より、千年経営研究会として新たな取り組み「後継者会」をスタートさせることができました。これは私にとって実に大きな出来事でした。千年経営研究会の原点に返ることができたように思います。企画・運営をしてくれている事務長に心より感謝しています。

こうして振り返ってみて改めて思うことは、「常に新たなことにチャレンジしていかなければならない」ということです。そのことに気付かされた1年だったように思います。

チャレンジには何かと“苦”が伴いますが、それを乗り越えたときの喜び、満足、達成感は、何ものにも代えがたいものです。そしてそれが誰かのためになるのであれば、これほどの幸せはありません。

一方で、このままではやりっ放しになってしまう可能性があります。ぜひ来年は今年チャレンジしてきた内容を吟味して、より一層、深く充実した取り組みに昇華させていきたいと思います。みなさんもどうぞお付き合いください。

今年1年、本当にありがとうございました。来年がより素晴らしい1年になることを心より祈念しています。


No.494 干支

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2020/01/06 09:00:00

明けましてお目出度うございます。今年もどうぞ宜しくお願い致します。

今年も恒例の干支の解説から1年を始めましょう。

2020年の干支は“庚子(かのえね)”です。

“庚”とい字は、臼と杵で穀物を搗いている形からきていて、搗くことによって元の形から違うものへと「更(か)わる」「変化する」ことを表しているそうです。

また“庚”は十干の7番目にあり、十干最初の甲(きのえ)から6番目の己(つちのと)が草木そのものを成長させる期間であるのに対し、庚からは、次世代を残すための準備をする段階に入ります。すなわち、花を咲かせ、実を成らせ、種を育む期間に入ることを意味するとのこと。

つまり今年は、前年までに完成させた自分から不要なものを削ぎ落とし、これまで培ったものをベースに新しい環境の中で開花・結実させるための体制を整える年といえるでしょう。

次に“子”ですが、ご存知の通り十二支の最初の年です。前年に結んだ種が新たに芽生えて、育ち始める年となります。

また“子”は「冬至」を意味するそうです。冬至は一年で最も昼の時間が短い日ですが、この日を境に日が長くなり始めます。陰陽五行説によれば、陰が極まり陽に転じる、すなわち、動き出した陽気につられて、殻に押し込められていたエネルギーが初々しい活力をもって溢れ出すということです。

ただし、そのエネルギーは良い方向にも悪い方向にも働いてしましますので、しっかりとした軸をもっておくことが必要ということでしょう。

よって“庚子”は、昨年まで培ってきたもののうち、削ぎ落すべきものは勇気をもって捨て去り、継続すべきものは徹底して維持しつつ、新しい時代に合致した新しい自分へと変化させていくことが大切な年ということになるでしょう。

ぜひ、動き出したエネルギーをよい方向に活かし、これまで培ってきたものを見極め、“変化”をテーマとして、自分を、そして組織を革新させていく1年にしていっていただければと思います。


No.495 困難

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2020/01/14 09:00:00

先日、愛知県が発表した「自動車業界の変化の影響等に関する動向調査」に関する報告書を拝見しました。https://www.pref.aichi.jp/soshiki/sangyoshinko/ankeito1901.html

調査の目的は、CASE(※1)やMaaS(※2)といった自動車業界の大きな変化が、自動車産業の一大集積地である愛知県内の関連企業に与える影響や、当該企業の考え方やニーズを把握することにあるそうです。

※1「CASE」:C(コネクティビティ=接続性)+A(オートノマス=自動運転)

+S(シェアード=共有)+E(エレクトリック=電動化)

※2「MaaS」:モビリティ・アズ・ア・サービス。自動車などの移動手段を、必要な

時だけ料金を払ってサービスとして利用すること。

県内企業597社から回答があったその調査結果は、とても興味深いものでした。

まず、「自社の概況について」の項目の内、「自社独自技術の有無」について、全体の41.2%、4人以下の零細企業でも24.3%が「あり」と答えています。これには正直驚きました。と同時に、この点に日本の企業の強さがあるのだろうと感じました。

一方で、「想定される自社への影響」において、「悪影響を受ける」14.2%、「分からない」41.5%(いずれもCASEとMaaSの5項目の平均値)としているにも関わらず、「対応して実施している取組」については、実に51.1%の企業が「何も行っていない」と回答している点において、大いに危機感を覚えました。

さらには、「現在取り組んでいる新規事業」においても、「必要性は感じるが取り組んでいない」が23.8%と、CASEやMaaSといった未だ実感のないものへの対応のみならず、企業が常に取り組んでいかなければならない項目に対しても、「何も行われていない」実態に、少々暗い気持ちになりました。

「今後10~15年間の事業の見通し」において、「事業規模の縮小」12.6%、「事業の譲渡」5.1%、「休業または廃業」1.9%、合計19.6%という結果から、そのような企業の末路はこういうものかも知れないと感じました。

「新規事業を行っていない理由」として「取り組むテーマがわからない」「開発できる人材がいない」「開発する時間がない」「開発する資金がない」「開発の進め方がわからない」などが挙げられています。

しかし、「テーマや進め方が分からなければ聴けばいい」「人材がいなければ採用ないしは育てればいい」「時間がなければ作ればいい」「資金がなければ借りればいい」のです。

ぜひこのコラムをお読みの皆さんは、そのような「できない理由」に対して、「ならばどうしたら可能になるか!」を真剣に考え、あらゆる困難にも立ち向かっていける経営体質を作り上げていっていただきたいと思います。

困難は千年経営の道への登竜門です。


No.496 手入れ

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2020/01/20 09:00:00

先週、ある公園の清掃ボランティアに参加してきました。

いくつかの作業をさせてもらったのですが、その一つが、背丈くらいの植木の上や中に入り込んでいる大きな木から舞い降りてきた落葉を払い落とすと共に、枝の中に手を入れて、既に枯れている枝をポキポキと折って捨てるというもの。

最初、枝を折る作業はなんだか後ろめたかったのですが、「枯れた枝は若い枝が育つのを阻んでいるのです。折ってあげることが木のためなんです。亀井さん、木が喜んでますよ!」と言われて肚を括って思いっきりガサガサ手を入れ始めたら、これが実に楽しい!本当に「ポキポキッ!」といい音を出して折れてくれるんです。木が本当に喜んでくれているように感じました。

「手入れ」とは、「直すこと」「よい状態で保存するための繕いや世話」を意味します。まさに古くて不要になったものをきれいに整理し、次世代に活躍の場を与えることの大切さを感じながらの作業となりました。

もう一つが、地面に落ちた枯葉を取り除くこと。作業内容をお聴きしたときには「腐葉土となって栄養になるんだから、そのままにしておいた方がよいのでは?」と思いました。確かにその側面もあるとのことですが、一方で悪い菌などが繁殖してしまう恐れもあるのだそうです。だから、きちんと取り除いてあげることが大切で、栄養が必要であれば、別途散布してあげるとのこと。

浅はかな素人考えに気恥ずかしさを感じながら作業を始めたのですが、これが結構キツイ。腰を屈めながらの作業、雨水を含んだ枯葉は実に重く、90リットル入りのごみ袋に入れたものを廃棄場所に持っていくのがまた一苦労。森林問題が話題になっていますが、確かにこのような作業を続けていくことは大変なこと。時事問題の深刻さが身をもって感じられました。

およそ5時間の作業でかなりの筋肉痛になったのですが、振り返った公園は見違えるほど爽やかで、本当に喜ばれているように感じました。

もうひとつ、感激したことがありました。軽トラック一杯に積み込まれた枯葉たちを見上げていたあるお子さんが、「この木たちはこんなに重いものを背負っていたんだね。お疲れ様でした」と頭をペコリ・・・。

子供の感受性に頭が下がりました。私も黙って頑張ってる人を見逃さず、その努力を称えることを忘れないようにしたいと思います。

身体はきつかったのですが、とても学びの多い一日となりました。


No.497 採用

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2020/01/27 09:00:00

先日、ある採用コンサルタントのお話しをお聴きしました。

彼は、

「“採用”とは、求職者の時間と未来、すなわち“命”を投資していただくこと」

と定義付け、そのために企業は、

「その投資に見合う人生を送ってもらうために何をするかに責任を負うべき」

と言います。本当にその通りだと思います。

事実、私の知る限り、そのような姿勢で採用活動をされている会社では、社員さんが働き甲斐に燃え、イキイキ・ワクワク・ドキドキと働かれています。

逆に、「仕事をさせるため」「欠員が出たから」などと「誰でも良かった」といった姿勢では、思ったような仕事をしてもらえないばかりか、「採っては辞め、採っては辞め」の悪循環に陥ってしまいます。

優秀な人材が採用できないことを嘆く前に、自分自身の採用に対する姿勢を改める必要があるといえるでしょう。

具体的な内容についていくつかのお話しをいただきましたが、昨年私が実施したインターンシップで、実際に効果が確認できている内容を一つご紹介します。

それは、

 会社案内を求職者自身に考えさせる

ことです。もちろん「熱く語る」ことも大切ですが、人の話はそれほど入ってくるものではありません。自分で考えたことの方が明らかに身になるものです。

具体的には、自社のパンフレット、ホームページ、実際に活用しているシステムを使ってもらって、お客様にどのようなサービスを提供しているか、そのことによってどのような価値を提供している会社なのか、またそれによってどのような“喜び”と“満足”を得ることができるのかを、学生自身に考えてもらったのです。

結果、仕事の内容の理解は格段に上がり、終了後の懇親会では、まるで当社の社員のように熱くその魅力を語ってもらうことができました。

これは確実に効果があると思います。求職者に自社のことを自ら研究させる方法はいろいろあると思います。中途採用でもやり方次第だと思います。ぜひ、みなさんも具体的に検討してもらえればと思います。

ただし、ご自身が自社に魅力を感じていないようでは話になりません。自分の思い以上の思いを感じてもらうことなどできるはずがありません。そうであるならば、まずは自分自身がその魅力を熱く語れるようになることが先決です。


No.498 思い

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2020/02/03 09:00:00

先日、千年経営研究会メンバー企業3社に訪問してきました。

今回は3社ともものづくり企業でした。工場見学をさせていただき、設備や製品などを見させていただきながら話を聴きいていると、自然とワクワク・ドキドキしてきて、とても楽しいひとときを過ごさせていただきました。

またそれぞれに“強み”をもち、その強みを最大限に活かしながら経営をされていることに心強さを感じました。

私は常々、「わが社は何を以て社会に貢献しようとするのか」を明確にする必要性を説いてきました。

そして、私たち中堅・中小企業の最大の強みは、「大きなマーケットを必要としない」ことです。社員さんが10人なら10人、100人なら100人、1,000人なら1,000人を幸せにすることができるだけのマーケットがあればいいのです。だからこそ、自社の強みを明確にし、徹底してその強みを磨いていくことが何より大切なのです。今回の3社は、その実践ができているように思います。

また、今回の訪問を通じて、イキイキと“思い”を語る彼らを見て、

「一番大切な強みは、トップの“思い”の中にある」

と強く感じました。

もちろん、潤沢な資金、豊富な設備、優秀な人材、優れた技術や製品・サービスなども強みとなることには違いありませんが、これらは常に保証されているものではなく、技術革新や時代の変遷によって衰退、陳腐化していく可能性があります。

しかし、“思い”には衰退も陳腐化もありません。あるとしてもそれは自分次第で何とかなるものであり、自分の心持ち次第。仮に一時的な苦難があろうとも、“思い”の強さがあれば、必ず打破していくことができます。

「トップの“思い”こそ、最大の強みである」

このことを改めて強く感じることができました。素晴らしい時間をくれた仲間に、心から感謝します。ありがとうございました。


No.499 事実

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2020/02/10 09:00:00

先日、数年ぶりに中学時代の同級生数人と食事をする機会がありました。中にはクラスが一度も一緒になったことがないメンバーもいて、とても新鮮で、かつ懐かしい時間を過ごすことができました。

楽しい話の中で、驚いたことがありました。それは自分の“記憶”の不確かさです。結構リアルに記憶していた(と思い込んでいた)ことが、実は全く違っていたことがいくつか明らかになりました。「〇〇だったよね!」と語ったそのあとに、他のメンバーが一斉にこちらを向いての「えー!?」との反応に、驚きと戸惑いで自分を見失いそうになりました。

記憶は自分の都合のよいように書き換えられる

といわれますが、まさにそのことを実感させられた出来事でした。特に人生を左右するようなものではなかったのでよかったものの、

  記憶に頼らず、事実を確認する

ことの大切さを痛感させられました。

一方、その前の日にある会社に伺い、物流倉庫を見させていただいた際にも驚きと戸惑いを感じました。

私のそれまでの在庫管理の“常識”は、「商品一つひとつに住所を定めて必ずそこに置く」というものでした。しかし、その会社では「どこでもいいから空いている場所に置く」が行われていました。

最初は理解不能だったのですが、説明を受け、現場を見させていただくと、確かにその方が効率がいい。詳細は割愛しますが、ITシステムを活用したその方法は、まさに今後の“常識”になっていくだろうと感じました。

過去の“記憶”と“常識”は儚いもの

会社の浮沈を担う私たちは、過去の“記憶”や“常識”に囚われることなく、常に“事実”を確認し、正しく間違いのない方向性を見出していかなければならない。そのことを強烈に学ばせていただいた2日間でした。


No.500 対応

1000nen

2020/02/17 09:00:00

このところ、とても感心していることがあります。それは昨年からお付き合いが始まったAさんのレスポンスの速さです。こちらからの発信に対して、間違いなく1時間以内には返信が来ますし、お尋ねしたことに対しても、1日と空けることなく回答が届きます。

「拙速は巧遅に勝る」と言います。端的に言えば「たとえ拙い出来栄えであったとしても、遅いくらいなら速い方がまし」ということですね。まさにAさんはそれを地で行かれています。多分、私の人生の中で最速の方だと思います。

速ければ速いほど、仮に問題があったとしても迅速な対応が可能になります。彼とのやり取りの中でも、その価値を感じる場面が何度もありました。私自身、意識していかなければならないと思っています。

一方で、ことによってはスピードよりも出来栄えが重視される場合もありますし、「いつもいつも間違いだらけ」では、信頼を失ってしまうことになるでしょう。

私どもの創業者が私たちに求めた仕事の姿勢の中に「99点の仕上がりは0点と同じ」という“戒め”があります。やはり、100点満点のアウトプットを提供することを心掛けることは、とても大切なことだと思います。

スピードと品質は、常に相反するテーマです。これを可能な限りお客様や対象者の要望に応えるレベルで提供していくことが求められます。

ただし、その要望は相手によって異なるものです。よって、きちんと事前に先方の意向を確認し、当方の状況や考えに了解を得ておかなければなりません。

その中でもスピードに関しては、少し意識していただきたいことがあります。それは“3倍基準”です。具体的には、1時間で終わりそうなら3時間、3時間なら1日、1日なら3日、3日な9日、などと、想定される時間の3倍を納期として提示してみることです。

もちろん「今日中にやってくれ」と言われれば、それに応えていかなければなりませんが、意外にこちらの希望をお伝えすれば、受け容れられるものです。

物事は予定通りにはいきません。スムーズにいけば1時間で終わる仕事も、急な問い合わせやトラブルなどがあれば、そうはいかないのが世の常。しかし、3倍みておけば、余程のことがない限り、クリアできるでしょう。

さらに「1週間かかる」と言われていたものが3日で届けば、「頑張ってくれたんだな」と受け止めてももらえるでしょう。

最悪なのは、「納期の提示もなく、進捗の報告もなく、やっとできてきたと思ったら間違いだらけ」。これではとても信頼できませんね。

・問合せがあったら、すぐに返信する。

・きちんと納期を示す。

 ・できないものはできないという。

 ・時間のかかるものは、適時適切に進捗報告をする。

 ・その上で、100点満点のものを、できるだけ早く提供する。

ぜひこのような対応によって、高い信頼を得ていっていただきたいと思います。