No.787 使命

先週、創業者と二代目の違いと、その確執が垣間見える面談が2件ありました。

1件目は、「やる気があれば何でもできる」という創業者に、「そうは言っても、道筋ぐらいは示さないと社員がついて来れない」と応える二代目。それに対して「ついて来れないのはやる気がないからだ」と返す創業者に、口をつぐむ後継者、という図式。

もう1件は、「お前が考えてやればいい」と言いながらも「やはりこれだけは実現しないといけない」と自分のビジョンを熱く語る創業者に、「そんなのは昔の夢物語、今の時代に合わない」と応える二代目。それに対して「よく考えてやれば必ずできる」と返す創業者に、口をつぐむ後継者、という図式。

このようなやり取りの先には、壮絶な親子間バトルが繰り広げられる可能性もありますが、この2社では、後継者に“親への尊敬”という心根があり、そのことを創業者もわかっているために折り合いが付き、大きな問題に発展していないのだろうと感じました。

しかし、最後には後継者が口をつぐんでジ・エンドですから、このまま放置すれば、結局は何も決まらず、何も進まない状況は続くこととなります。

このような状況の中に、中小企業の停滞と、同族企業の事業承継が円滑に進まない理由の一つがあるのだと思います。

なぜこのようなことが起こるのか?

「攻めの創業者、守りの二代目」という言葉があります。

創業者は、譲られた経験がありませんから、譲られる者の気持ちがわかりません。いや、わかろうとすればわかるはずですが、わかろうとする必要性すら思い浮かばない、といった方がよいかもしれません。そこに、後ろを振り向くことなく様々な課題をクリアしてきた「攻めの創業者」の本質があるように思います。

しかし後継者には守るべきものが最初からあります。良くも悪くも、自分が好きなことを、好きな時に、好きなだけやることができた創業者とは違うのです。

多くの場合、後継者はその違いをよくわかっているものです。わかった上で、今自分が何をなすべきかを考えています。それは、まずは守りを固めることです。しかし、創業者から求められるのは攻めの姿勢。このようなケースで円滑な事業承継を実現しようとすれば、両者の意向を調整する仲裁役が必要になります。

今回の2社との面談は、いずれも創業者側からの要請でした。創業者の野性的勘でその必要性を感じられたのかもしれません。

ただ、7~8割方は後継者の立場に立った調整をしていくことになると思います。攻めるよりも守る方が何倍も難しいからです。創業者には到底理解できないその本質を分かってもらうのは相当苦労しそうですが・・・。

いずれにしろ、譲る側、譲られる側の調整・仲裁という、「幸福同族承継支援」を標榜する当社の進むべき道を改めて示していただきました。そして、その使命を全うしていこうという覚悟を固めさせていただいた面談となりました。