No.762 目的
先日、ある若手社員とミーティングの準備に関する打ち合わせを実施しました。
その社員は、これまでミーティングには参加していたものの、準備を担当するのは初めてで、緊張の面持ちで私の前に座りました。
宿題としていたミーティング時に配布する資料の説明をしてもらったのですが、どうにもすっきりしません。よくよく聴いてみると、本人もよくわからないまま、ただ与えられた情報を整理するだけに留まっていたようです。
改めて指示の仕方の難しさを感じました。
認識のズレはいくつかありましたが、最大のズレは「目的」の認識でした。端的に言えば、私が思い描いていた「目的」は、次のミーティングで結論を出すこと。彼の「目的」は、前回の内容をただまとめることであり、次回にどのような結論を出すための資料かが明確ではありませんでした。
結果として、「最終完成物」「業務の終わりの姿・ゴール」の認識が全く異なり、少々的外れな資料になってしまっていたのです。
おかげで、これまでの彼の仕事上の問題も見えてきました。一事が万事で、お客様との対応に関しても、同じような傾向にあったのです。
もちろん、内容が間違っているわけではありませんからクレームにはなりませんが、お客様の中には、「一生懸命やってくれていることはわかるけど、なんだかすっきりしない」と感じられていた方もいらっしゃったのではないかと思います。
今回の面談を通じて、「業務を進めるにあたっては、まずは目的と業務の終わりの姿を明確にし、先方に同意を得てから準備を進めること」を改めて指導しました。
その後に出てきた資料は十二分に満足のいくものでしたから、これからは大丈夫との確信を持っています。
「目的」や「業務の終わりの姿」は、ある程度の経験を積んできた者に対しては、「言わなくてもわかるでしょ」となりがちだと思います。
しかし、ここがズレてしまっては、効果的・効率的な業務など実現しようがありません。経験の有無に関わらず、目的と業務の終わりの姿を確認し合うことの重要性を再認識させられた、大変貴重な機会となりました。