No.717 再生

先週、2件の債務超過先の相談対応をさせていただきました。

そのうちの1件は、代表者が別会社を経営しており、そこからの資金援助で何とかやり繰りしている状況ですからまだよいのですが、もう1件は、社保の支払いが滞り、今月中に一定金額を支払わなければ、売上債権等の差し押さえをされてしまうほどの状況にありました。

急を要するため、まずは「中小企業活性化協議会」へ相談に行くよう、アドバイスをさせてもらいました。

中小企業活性化協議会の前身は、収益性のある事業を有しているものの、財務上の問題を抱えている中小企業者の再生を支援するため、2003年に創設された中小企業再生支援協議会です。

そして2022年に公表された「中小企業活性化パッケージ」により、経営改善支援センターと統合され、中小企業の収益力改善から再チャレンジまでを幅広く支援する「公的機関」として、すべての都道府県に設置されています。

特に、金融機関への影響力は大きく、交渉が必要な状況になっている場合は、相談されることをお勧めしています。もし、みなさんのお知り合いに、資金繰りの問題を抱えておられる会社がありましたら、教えてあげてください。

さて、これまで何社もの再生の相談に乗ってきましたが、どこでも共通しているのは、「問題の先延ばし」にあります。

多くの場合、「問題がわからない」ことはありません。また「何をしたらよいかもわからない」ことも多くはありません。「わかっているけど手を付けない」が実態です。この2社もまさしくこのケースでした。

中小企業支援協議会をご紹介した会社においては、1年前にも相談を受けていましたが、問題は何一つ変わらず、その問題を放置した結果、その傷が深くなっていただけでした。

世の中に、問題のない会社などありません。それを解消するために全力を尽くす会社と、そうでないか社があるだけです。そして前者は伸び、後者は衰退する。

みなさんもこれを機に、改めて放置している問題はないかを探索してみてください。そして、その問題の放置が、どのような悪影響を及ぼすかを予測してみてください。その上で、その問題に果敢に立ち向かう覚悟を決めていただければと思います。