No.670 精進

先日、千年経営研究会の月例会で、古くからの会員による活動報告がありました。

2004年に社長就任以来、7つの事業譲渡型のM&Aを行い、規模を約3倍にされたというI社長の発表内容は、とても学ぶべき点が多いものでした。

もちろんM&Aは、単に規模を大きくするために行うものではありません。彼自身、「M&Aは、自社の弱いところを強くしていく手段。強くなって生き残っていくための手法」と言われていましたが、結果として規模が拡大したのは、自社の課題を明らかにし、自力で解決できるものとできないものを峻別した上で、後者について他力をうまく活用できたからに他なりません。

また、単にM&Aをしただけで、課題を解決できるわけではありません。やはり、成長を現実のものとするだけの取り組みが必要です。そして、その実践を通じて体得された気づきと学びがあった。今回は、その一部紹介させていただきたいと思います。

「会社の沿革は、毎年書くように決めている」

とても大切なことだと思います。「書ける内容がないということは、経営者としてなすべきことを成していない証拠」とは、まさに至言だと思います。

「結局、やるかやらないか。後でやっておけばよかったは無し」

よく「成功の反対は、失敗ではなく、何もしないこと」と言われますが、まったくその通りだと思います。できない理由は五万とあります。しかし、やる方法も五万とある。結局、やるかやらないかが、後の成否を決めるのです。

そして最後に、事業承継を主題とする私たち千年経営研究会の真骨頂ともいえる話がありました。それは

「代表取締役社長としての賞味期限を設定する」

です。

経営者は「生涯現役」、よって『消費期限』は、「死ぬまで」だと思います。しかし、会社の唯一無二の意思決定権者である代表取締役社長には、退くに相応しいときがあります。それを彼は『賞味期限』と表現されました。的確で素晴らしい言い回しだと思います。

「立つ鳥後を濁さず」といいますが、晩節だけは汚したくないものです。

経営者は、自ら社長としての賞味期限をしっかりと定め、それを守るための準備と肚ぐくりをきちんとする必要があるのです。肝に銘じておきたいものです。

その後の懇親会で、「後継者時代、自力では数百万円の融資しか受けられなくて悔しい思いをしたが、今では無担保無保証で数億円の融資が可能になった」と嬉しそうに語ってくれました。20数年の彼の努力を頼もしく感じると共に、このようなメンバーと一緒に活動して来れたことをとても嬉しく思いました。

ぜひ皆さんも、立派な報告ができるよう、日々精進していただきたいと思います。