No.776 選良

私が所属している愛知県倫理法人会にて、今期『後継者倫理塾』という後継者を対象とした10か月間の研修の10代目塾長を拝命しました。

当塾は、「創業精神の承継」を大眼目として、倫理経営の正しい理解・実践と、健全な企業経営の推進ができる後継者を育成することを目的としたものです。

この目的は、11月から独立・開業する私の事業の根幹を成すものであり、その塾長を受けるということは、開業早々ただ働きからスタートするようなもの。

もし単に「塾長を」と言われたのであれば敢然とお断りしたのですが、「塾運営の標準を作って欲しい」と懇願されて、コンサル魂に火が点いてしまいました。2年間の任期中に、「創業精神の承継」を標榜する塾に相応しい、愛知県、ひいては全国の倫理法人会における永続的な標準を確立したいと思います。

先週の金・土曜日に第1講が開催されました。下は27歳から上は50歳までの幅広い年齢層、かつ息子あり、娘あり、娘婿あり、社員から昇格者ありのバラエティー豊かな11名が入塾し、大いなる期待の中にスタートを切ることができました。

冒頭、「塾生に期待すること」と題して90分ほどお話させていただきました。その後、「90秒スピーチ」という研修メニューの中で、全員に感想を発表してもらったのですが、「一番印象に残ったこと」として半数以上の塾生から挙がったのが、“選良”というワードでした。

選良とは、「良い人を選ぶこと。またその選ばれたる人」を意味します。

講話の中で
「なぜあなたは経営者の家に生まれたのですか?」
「なぜあなたは経営者の娘と結婚することになったのですか?」
「なぜあなたは経営者一族に後継者のいない会社に入り、その中で活躍できたのですか?」
 「それは目に見えない力に導かれた、即ち選ばれたということに他ならないのではないですか?」
と問い掛けた上で、
 「当塾で学ぶに際しては、まず自らが選良であることを強く自覚することから始めましょう」
とお伝えしていていました。

その後、全員で作成した塾生スローガンでも、「選良たる自覚を忘れず」というワードが入りました。

その内容が一番心に残ったと聴いて、彼らが確実に自己革新し、成長していくことを確信しました。選良の自覚なくして、まともな後継者など育ちようがないからです。塾長としてとても嬉しく、心強く思います。

このコラムを読まれている皆さんも、間違いなく“選良”です。創業者の方は、
 「なぜあなたは経営者となることを許されたのですか?」
を加えてみてください。

これを機に、改めて自らの選良たる由縁と立場を自覚し、肚括りし直していただければと思います。