No.753 AI
先日、半年に1回開かれる若手税理士の勉強会にオブザーバーとして参加してきました。
そこでは毎回、税制改正や時々の税務判断への対応、または事務所運営や職員さんに関わるさまざまな問題について議論されることが多いのですが、今回特徴的だったのは、AIに関する報告や質疑応答に多くの時間が割かれたことでした。
要約すれば、「まだ「平気で嘘をつく」という点は解消されてはいないが、調べ物や資料作成のきっかけやベースを作るのには十分で、うまく使えば数%というレベルではなく、数十倍という単位で生産性を向上させることができる」という内容でした。
私自身、直接使ったことがほぼないので、その変化には気づいていませんでしたが、かなり精度が高まっていることを感じました。
中には「もう少し先かと思っていたが、数年後には税理士の仕事はなくなるかもしれない」というレベルの危機感を口にされる方もいらっしゃいました。
確かにAIは、目的が明確で、ゴール・最終完成物がはっきりしていて、そこに至るルールとルートが確立されている業務に対しては、圧倒的な力を発揮するものです。その点、税理士業務はそのいずれもが明確であり、人からAIに置き換わりやすいものであることは明らかです。
一方で私は、「税理士の仕事はなくなるかもしれない」という点については異論があります。確かに“作業”はなくなるでしょうが、“仕事”はなくならないどころか、より一層その価値が上がるものだと思っています。
“知・情・意”という概念があります。それは、人間の心を構成する3つの要素、「知性(知)」「感情(情)」「意志(意)」のことです。簡単に言うと、“知”は知識や理解力、“情”は感情や情緒、“意”は意思や決意です。これらの3つがバランスよく調和していると、心が豊かになり、より良い人生を送ることができると考えられています。ちなみにこの文章は、AIによるまとめです。
要するに、“知”の部分は、AIの活用によってより磨かれていく一方で、“情”や“意”はAIが入り込むことができない人固有の領域であり、感情によって人と繋がり、正しい意思決定をし続けなければならない経営者と寄り添いながら、より良い経営のサポートをすることを使命とした税理士の仕事がなくなることはないのです。
ときに「AIに仕事を奪われることはないが、AIを使いこなす人が、AIを使えない人の仕事を奪っていく」と言われますが、AIを使いこなし、より短時間でより高品質・高付加価値なサービスを提供する人が、これから業界をリードしていくことは確かだと感じました。
皆さんの業界でも、必ずAIの活用が当たり前になる時代が到来するでしょう。ぜひできるだけ早いタイミングでその可能性を見出し、業界をリードしていく存在になっていただきたいと思います。
我々は、大切なものを守るために、変わり続けなければならない存在なのですから。