No.756 王道

先日、千年経営研究会以外の場所で、「千年続く経営を目指して」と題した事業承継のお話をしてきました。

参加者は30名ほどで、半数以上が私より年上。名刺交換させていただいた方のほとんどが70歳以上で、その半数の名刺には「代表取締役」の肩書がありました。

3月31日のコラムに、「2024年の社長交代時の譲る側の平均年齢が71.6歳」(帝国データバンク)であったことをご紹介しましたが、その現実を目の当たりにしたように感じました。

お話をさせていただいた後、多くの方から「もう少し早く聴きたかったなぁ」という感想をいただきましたが、実感なのだと思います。「お孫さんならまだ間に合いますよ」とお伝えすると、皆さん笑顔で帰って行かれました。

今回は、久しぶりのテーマということで、改めて「事業承継対策の立て方・進め方」(日本実業出版)を読み直してみましたが、本当にいいことが書いてあります(笑)。ぜひ皆さんも読み直してみてください。新たな気づきがあると思います。

一方で、データに関しては少々古くなっていますので、いろいろ調べていたところ、まだ皆さんにお知らせしていないものがありましたので、ご紹介したいと思います。

一つは、「後継者難倒産件数」(帝国データバンク)です。後継者不在の会社で、現経営者が継続不能に陥った企業の負債総額1,000万円以上の倒産が、2024年に507件あったとのこと。これは過去2番目の多さで、一番は2023年の586件。該当する倒産は、ここ2年で1,091件もあったことになります。

後継者さえいれば免れたかもしれない“倒産”の二文字。もの悲しさを感じざるを得ません。

もう一つご紹介したいのが、日本生産性本部が100年以上続く老舗企業5,000社を対象とし、600社以上の回答を得たというアンケート調査です。

その中の「経営理念」に関わる調査で、「創業時の経営理念を変えていない」と答えた会社は55%、「一部変更した」の32%を加えると、実に87%の老舗企業が創業時からの理念を守り続けています。これは、私が伝え続けてきたことの裏付けとなる、とても心強いデータです。

一方で、「事業を変えていない」という問いに関しては20%を下回っています。これも「経営とは、変わらないために変わり続けること」とお伝えしてきたことの証左であると思います。

いずれにしろ、私たちが千年経営研究会で学んでいる“事業承継の王道”は、間違いないものだと確信しました。

ぜひ改めて「事業承継対策の立て方・進め方」を読み直してください。そして、自社の事業承継のありようを見直す機会にしていただければと思います。